システムエンジニアとプログラマーの違いとは?8つの観点で徹底解説

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IT技術者の代表的な職種であるシステムエンジニア(SE)とプログラマー。IT業界に馴染みの薄い人やこれからIT業界を目指す人には、「SEとプログラマーは何が違うの?」という疑問も多いでしょう。
この記事では、役割・仕事内容・年収・キャリアパスなど8つの観点で、SEとプログラマーの違いを詳しく解説していきます。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • SEは要件定義や設計などの上流工程を担い、プログラマーは開発工程でコーディング・テストを担う
  • SEの平均年収は、プログラマーに比べておよそ140万円高い
  • プログラマーは高い技術力が求められ、SEは技術力に加えて業務知識やソフトスキルが必要
  • プログラマーとして一定の開発経験を積んでからSEにキャリアアップするケースが多い
CTACTA

システムエンジニア(SE)とプログラマーは別の職種

「システムエンジニア(SE)」と「プログラマー」という言葉はしばしば混同して使われるため、IT業界に馴染みの薄い人にはその違いが分かりづらいかもしれません。

SEとプログラマーはどちらもIT技術者ですが、その役割や仕事の内容、求められるスキルセットは大きく異なります。

プログラマーはその名のとおり、プログラミング言語を使ってコードを書き、テストする専門家です。一方、SEは一般にプログラマーの上位職とされ、システムの要件定義や設計、顧客とのコミュニケーションなどシステム開発全体を円滑に進める役割を果たします。
SEとプログラマーどちらもシステム開発に欠かせない職種であり、お互いに協調しながらプロジェクトを進めていく役割です。

ここからは、SEとプログラマーの違いを8つの観点からより詳しく見ていきましょう。

【違い①】SEとプログラマーの「役割」の違い

まずは、SEとプログラマーがシステム開発プロジェクトで担う、それぞれの役割を見ていきましょう。

  • SEの役割|システム設計やユーザー・顧客とのブリッジ役
  • プログラマーの役割|具体的なコードの実装とテスト

SEの役割|システム設計やユーザー・顧客とのブリッジ役

SEのおもな役割は、システム全体の設計やその実現に向けた顧客・ユーザーとのコミュニケーション、課題解決を図ることです。
プロジェクトの体制によっては、SEがみずからプログラマーの役割も担い、プログラミングするケースも少なくありません。そのため、SEには高い技術力はもちろん、業務の知識やソフトスキルも要求されます。
SEは、顧客やユーザーのニーズを正確に理解して最適なシステムを設計し、それをプログラマーや関連部門と連携して実現するシステム開発の中心的な役割を担う存在です。

プログラマーの役割|プログラミングのスペシャリスト

プログラマーは、SEが作成した設計書をもとに、実際に動作するプログラムに落とし込む役割を担います。
技術を追求するスペシャリストとして、開発するシステムに適したプログラミング言語やライブラリ、フレームワークを駆使して、効率的でバグの少ないコードを書くことが求められます。
SEとプログラマーの関係を建築にたとえるなら、建築家(SE)が描いた設計図(設計書)をもとに、大工(プログラマー)がさまざまな道具(言語・ライブラリ)を使って実際の建物を建てる関係に似ているでしょう。
実際のものづくりを担うプログラマーには、細部へのこだわりやロジック構築能力が必要です。

【違い②】SEとプログラマーの「仕事内容」の違い

次に、SEとプログラマーの具体的な仕事内容の違いを紹介していきます。

  • SEの仕事内容|要件定義から設計・品質管理まで
  • プログラマーの仕事内容|コード実装・最適化・テスト・レビューなど

SEの仕事内容|要件定義から設計・品質管理まで

SEは、おもにシステム開発の上流工程のタスクを担います。多岐にわたるSEの仕事の中で、代表的なものは以下のとおりです。

  • 要件定義:顧客やユーザーから要望やニーズを引き出し、システムの要件を決める
  • システム設計:要件にもとづき、システムの全体像や機能・データ・画面などを設計する
  • テスト計画・実行:プログラマーが作ったプログラムが設計や要件を満たすことをチェックする
  • 進捗・品質管理:担当する領域の作業進捗や設計・プログラムの品質を確保する

このように、SEはプロジェクトの初期から最終段階まで一連の工程に関与して、システム開発を成功に導くキーパーソンです。

▼SEの仕事内容をもっと詳しく知りたい人はこちら

プログラマーの仕事内容|コード実装・最適化・テスト・レビューなど

プログラマーは、開発工程で具体的なコードの実装、およびそれに付随する各種作業を担います。具体的な仕事内容の一部を見てみましょう。

  • コード実装:設計書をもとにプログラムを記述する
  • ユニットテスト:みずから書いたコードの動作をチェックし、バグを摘出し修正する
  • チューニング:プログラムの動作速度やリソース使用量を改善する
  • コードレビュー:ほかのプログラマーが書いたコードの品質を確認し、助言や改善提案を行う

このように、プログラマーはシステム上で実際に動作するプログラムを書き、品質を確保するためのタスクを担います。

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【違い③】SEとプログラマーの「年収」の違い|SEが140万円高い

続いては、これからSEやプログラマーを目指す人が気になる年収の違いを見ていきます。

2019年に厚生労働省がまとめた「賃金構造基本統計調査」によると、SEの平均年収は568.9万円、プログラマーの平均年収は425.8万円でした。

2019年とやや古いデータを紹介したのは、2020年の調査から職種の分け方が変わり、SEとプログラマーの年収の区別がつかなくなったためです。SEとプログラマーの年収の違いをつかむうえでは、2019年のデータでも特に問題はないでしょう。

職種平均年収(万円)
システムエンジニア568.9
プログラマー425.8
全職種500.7

SEとプログラマーを比較すると、SEのほうが140万円以上高年収となっています。全職種の平均と比べると、SEは約70万円高く、プログラマーは約70万円低い結果です。
IT業界では、一般に上流工程を担える人材ほど希少性が高く、年収も高い傾向にあります。もっと年収を上げていきたいプログラマーは、設計スキルや業務知識を高めて、SEを目指すと良いでしょう。

▼SEの年収相場を詳しく知りたい人はこちら

【違い④】SEとプログラマーに必要な「スキル」の違い

違いの4つ目は、SEとプログラマーに求められるスキルを見ていきます。

  • SEに必要なスキル|技術力に加え業務知識・ソフトスキルも
  • プログラマーに必要なスキル|プログラミングやデバッグの深い知識

SEに必要なスキル|技術力に加え業務知識・ソフトスキルも

システム開発の初期段階からリリースまで、一連の工程で中心的な役割を担うSEには、以下のような幅広いスキルが求められます。

  • IT技術力:システム設計や技術的な判断、プログラマーとの議論などができるレベルの知識と技術力
  • 業務知識:顧客やユーザーから要件を引き出して適切に設計するための知識
  • コミュニケーション力:顧客やメンバー、PMなどと円滑にコミュニケーションをとる力
  • 問題解決力:日々発生する課題やトラブルに迅速かつ的確に対処する力

SEがプロジェクトを成功に導くためには、IT技術はもちろんのこと、設計に欠かせない業務知識や多様なステークホルダーと協力してシステム開発を円滑に進めるためのソフトスキルも重要です。

プログラマーに必要なスキル|プログラミングやデバッグの深い知識

SEに幅広いスキルが必要とされる一方、開発工程に注力するプログラマーに求められるスキルは技術力が中心です。おもなスキルに下記のようなものがあります。

  • プログラミング言語の知識:言語の文法やライブラリ活用方法などコーディングに必要な基礎知識
  • アルゴリズムとデータ構造:正確で効率的なコードを書くための知識
  • デバッグ技術:コードに埋め込まれたバグを素早く見つけて修正する技術
  • バージョン管理ツールの活用:チーム開発で欠かせないコード管理のための技術

ただし、プログラマーも技術力だけが高ければ良いわけではありません。チームで開発を行ううえでは、SEやほかのプログラマーとの情報共有やコミュニケーションは不可欠です。

【違い⑤】SEとプログラマーの「需要と将来性」の違い

IT技術の急速な進歩やDX(デジタルトランスフォーメーション)の広がりにより、企業のIT需要は盛んです。加えて、少子高齢化による生産年齢人口の減少もあり、IT技術者の人材不足は深刻さを増しています。
経済産業省によると、今後もIT人材の不足は広がり、2030年には16〜79万人に達するとの試算です。

出典:IT人材需給に関する調査|経済産業省

このように、IT人材の不足はいっそう深刻になることが予想され、SEとプログラマーの需要も引き続き高いでしょう。

ただし、需要が高いからといって、必ずしも将来性が高いとは限りません。
SEとプログラマーの将来性を考えるうえでは、AIが人々の仕事の大部分を代替する可能性は無視できないでしょう。実際に、AIの登場により単純な作業や分析業務などの自動化が進んでいます。

しかし、SEが担っているビジネスニーズを理解し、システム要件や設計に落とし込む業務は人間が行うものであり、近い将来AIにとって変わられることは考えにくいでしょう。

一方で、設計どおりにコーディングするプログラマーの仕事は、近い将来AIが大部分を担う世界が訪れる可能性があります。プログラマーは、AIにはない付加価値を身につけるか、AIでは難しい人間的な役割へのシフトを迫られることになるかもしれません。

【違い⑥】SEとプログラマーの「なり方」の違い

続いては、SEとプログラマーになる方法の違いを見ていきましょう。

  • SEのなり方|プログラマーを経てキャリアアップすることが多い
  • プログラマーのなり方|大学やスクール・自己学習でプロムラミングを学ぶ

SEのなり方|プログラマーを経てキャリアアップすることが多い

SEになるルートは人によってさまざまですが、多くの場合プログラマーの経験を経てSEに進むことが一般的です。
SEには技術面だけでなく業務面やソフトスキルなど幅広い知識やスキルが求められます。

しかし、やはりベースとなるのはITに関する技術スキルなので、プログラミングの経験を積むことはIT技術者としての基礎を身につけるうえでも役立ちます。
上流工程を担当する社内SEや大手SIerに入社すれば、プログラミング経験もそこそこに、早い段階からSEとして要件定義や設計に携われるケースも多いでしょう。

SEになるためのキャリアパスは多岐にわたります。スキルやキャリアプランに応じて目指すべき道を選びましょう。

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プログラマーのなり方|学校や自己学習でプロムラミングを学ぶ

プログラマーも特に資格などは必要ないため、なり方は人それぞれです。
一般的なのは、大学や専門学校でプログラミングを学び、それを活かしてIT関連の企業に入社して活躍する道でしょう。

しかし、学校で学んだことがなくても、入社後の研修でプログラミングを初めて学ぶケースも少なくありません。近年はIT人材の不足もあり、情報系学部にこだわらない採用も増えています。

IT業界以外から趣味や自己学習でプログラミングを学び、IT業界へ転職してプログラマーになることも可能です。新卒であれば完全未経験からでもスタートできますが、転職の場合は何らかの経験が求められることが多いでしょう。

【違い⑦】SEとプログラマーの「その後のキャリアパス」の違い

SEやプログラマーとして活躍したあとには、どのようなキャリアパスが待っているのでしょうか。
その後のキャリアパスのおもな選択肢を見てみましょう。

  • SEの次のキャリアパス|アーキテクトやPM・コンサルタントなど
  • プログラマーの次のキャリアパス|技術を極める道やSEの道へ

SEの次のキャリアパス|アーキテクトやPM・コンサルタントなど

プロジェクトの一連の工程で中心的な役割を担えるスキルを身につけたSEは、さらに上流の職種へのキャリアアップが可能です。代表的なキャリアパスとして下記の3つがあります。

  • ITアーキテクト:企業システム全体の設計の方向性を決め、技術的な最適化を追求
  • プロジェクトマネージャー:ヒト・モノ・カネのリソースを管理し、プロジェクト全体を統括・推進
  • ITコンサルタント:クライアントのビジネス課題を解決するため、ITを活用したソリューションや経営戦略を立案

これらの職種は、SEが持つ知識とスキルを活かしてさらにステップアップできるポジションです。企業や組織のビジネスを左右する重要な立場となり、やりがいとともに責任も大きくなります。

▼プロジェクトマネージャーの仕事内容や年収を詳しく知りたい人はこちら

▼ITコンサルタントの仕事内容や年収を詳しく知りたい人はこちら

プログラマーの次のキャリアパス|技術を極める道やSEの道へ

プログラマーには大きく、技術の道をきわめてスペシャリストになっていく道と、上流工程を担う役割にシフトしていく道があります。代表的なキャリアパスは以下のとおりです。

  • リードエンジニア:技術的な指針を示してチーム全体を牽引
  • テックリード:技術選定やアーキテクチャ設計により開発全体の品質向上を担う
  • SE:システムの要件定義から設計・開発・テストの一連の工程を担う

リードエンジニアやテックリードは、技術力の深さと広さを追求して、開発部隊の中心として企業や組織に貢献します。SEへのキャリアパスを選ぶと、前述したとおりさらなる上流の職種への道が開けてくるでしょう。

【違い⑧】SEとプログラマーに役立つ「資格」の違い

最後に、SEとプログラマーそれぞれのスキルアップに役立つ資格の違いを見ていきましょう。

  • SEのスキルアップに役立つ資格|応用情報技術者試験など
  • プログラマーのスキルアップに役立つ資格|基本情報技術者試験など

SEのスキルアップに役立つ資格|応用情報技術者試験など

SEのスキルアップに役立つ資格には、システム開発全般の資格、技術スキルに関する資格、プロジェクトマネジメント関連の資格などがあります。それぞれの代表的な資格は下記のとおりです。

システム設計・開発全般応用情報技術者試験(AP)
システムアーキテクト試験(SA)
技術スキルオラクルマスター
AWS認定資格
プロジェクトマネジメントプロジェクトマネージャ試験(PM)
PMP

応用情報技術者試験(AP)とシステムアーキテクト試験(SA)は国家資格で、要件定義や設計をはじめとしてSEに必要なスキルが問われます。
技術スキルに関する資格は、データベースやクラウドなどSEが設計や技術的な課題を解消するための知識として役立つ資格です。

プロジェクトマネジメント関連の資格は、PMとの円滑なコミュニケーションや、将来のPMへのキャリアップを見据えたスキル習得に効果的でしょう。

▼SEのスキルアップにおすすめの資格をもっと詳しく知りたい人はこちら

プログラマーのスキルアップに役立つ資格|基本情報技術者試験など

プログラマーのスキルアップに役立つ資格には、システム開発全般の資格、プログラミング言語に関する資格、関連技術の資格などがあります。

具体的な資格の例は下記のとおりです。

システム開発全般基本情報技術者試験(FE)
応用情報技術者試験(AP)
プログラミング言語Oracle認定Javaプログラマ
PHP技術者認定試験
関連技術の資格オラクルマスター
LinuC

基本情報技術者試験(FE)と応用情報技術者試験(AP)は国家資格で、IT技術者はぜひ取得しておきたいシステム開発全般の知識を問う資格です。

プログラミング言語に関する資格は、自身の得意言語や習得したい言語のスキルレベルのチェックや、第三者への能力の証明に役立ちます。

関連技術の資格は、データベースやサーバー技術などプログラミングする上で欠かせない周辺環境の習得に効果的です。

ここまでは、SEとプログラマーの違いを8つの観点で詳しく見てきました。最後に、プログラマーからSEにキャリアアップするためのポイントを解説します。

プログラマーからSEにキャリアアップするためのポイント

上流工程を担うSEは、一般にプログラマーの上位職とされています。プログラマーからSEへのキャリアアップを目指す人も多いでしょう。

プログラマーがSEへ転身して活躍するためには、持ち前のプログラミングスキルに加えて、設計能力やソフトスキルの習得が必要です。プログラムを作る作業メインの仕事から、ステークホルダーとの調整や開発の進捗・品質の管理なども求められるようになります。

プログラマーからSEにスムーズにキャリアアップするためには、知識やスキルを勉強するだけでなく、開発の現場でSEとしての振る舞いを学んでいくことも重要です。

「設計書はこう書けばもっとわかりやすい」「あのSEの仕事の進め方は真似しよう」など、常にSEになった場合の目線を持って仕事に取り組むと良いでしょう。

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まとめ/SEとプログラマーの違いを知って自分にあった道を選ぼう

本記事をとおして、以下のことが分かりました。

  • SEは要件定義や設計などの上流工程を担い、プログラマーは開発工程でコーディング・テストを担う
  • SEの平均年収は、プログラマーに比べておよそ140万円高い
  • プログラマーは高い技術力が求められ、SEは技術力に加えて業務知識やソフトスキルが必要
  • プログラマーとして一定の開発経験を積んでからSEにキャリアアップするケースが多い

SEとプログラマーを比較すると、上流工程を担い年収も高いSEのほうが魅力的にうつるかもしれません。

しかし、SEは技術力に加えて多岐にわたるスキルが必要です。実際、多くのSEはプログラマーとして開発経験を積んだうえで、SEにキャリアアップしています。

また、SEになることだけが選択肢ではありません。

プログラミングのスキルに磨きをかけて技術力を極めれば、プログラマーとして高い評価と高収入を得ることも可能でしょう。

大事なことは、自身の強みや興味、キャリアの目指す方向にあった道を選ぶことです。本記事で分かったSEとプログラマーの違いを、ぜひキャリアパス選びにお役立てください。

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執筆者
しーそー
大手証券系システム会社での20年間のシステムエンジニア(SE)歴を経て、2022年4月よりライターの道へ。前職では主に設計・要件定義などの上流工程やプロジェクトマネジメントを経験。職歴を活かしたIT・金融関係の記事や、趣味と実益を兼ねた資産運用・仮想通貨などが得意ジャンル。2児の父として子育てにも奮闘中