キャリア迷子なアラサーOLが聞く「67歳でキラキラと働く理由」

プロフィール

佐藤宣子さん
株式会社エイジレス キャリアカウンセラー
1956年生まれ。短大を卒業後、大手不動産会社に営業事務として入社。その後大手人材紹介会社で求人広告営業の仕事を行う。
10年の専業主婦期間を経た後、金融系企業に勤め、その後人材派遣会社でコーディネーターとして従事。キャリアコンサルタントの資格を取得し、リクルートキャリアコンサルティングにてキャリアカウンセラーとして再就職支援の仕事を行い、現在は株式会社エイジレスでキャリアカウンセラーを務める傍ら、個人でもキャリア相談の活動を行っている。

女性が働きづらい時代に、ひたすら駆け回った20代

ゆき
今日はよろしくお願いします。今年30歳になるんですけど、このままでいいのかな〜と漠然とした不安がありまして・・・どんな人生を歩んだら宣子さんみたいなキラキラしたオトナになれるのか根掘り葉掘り聞かせてください!
宣子
よろしくお願いします!私の話でお役に立てるといいけど。(笑)
ゆき
宣子さんのファーストキャリアは短大卒業後、大手不動産会社でマンション販売の営業事務をされるんですよね。なぜ不動産の会社に入社したんですか?

宣子
本当はね、出版社に入りたかったんですよ。でも入社試験で落ちてしまって。 それで求人票を見ていた時に、丸の内にある会社が目に止まったんです。 当時は丸の内で働くのが女子大生の憧れだったからね。最初の会社の入社理由はそんな感じです。

ゆき
えー!私たちの新卒の時代も同じですよ。丸の内や六本木の綺麗なオフィスで雑誌に出てくるOLみたいに働きたいな〜と夢見ちゃいますよね。
宣子
そうそう、私もミーハーなのよ!(笑)
ゆき
なんだか急に親近感を感じました。(笑)そこでどのようなお仕事をされていたのですか?
宣子
マンション販売の事務と、モデルルームにいらっしゃるお客さまにマンションをお勧めする、ちょっとした営業の仕事もしていました。
モデルルームに来られるお客様って、高級志向である程度物件を調べられている方じゃないですか。若輩者の中途半端な知識では心許ないので、結構勉強したんです。 その結果、私の説明にご納得いただいて、最終的にマンションが売れることが嬉しかったです。その時、人に認めていただける嬉しさを初めて知り、”仕事=面白い”に繋がっていきました。

ゆき
たしかに「頑張った結果、評価される」っていうのは仕事の面白さの一つですよね。そうなると、どんどんキャリアアップの意欲も出てきたんじゃないですか?

宣子
それは無かったですね。仕事の面白みが分かったから頑張れたけど、当時は女性が軽視されていた時代だったから、どんなに一生懸命マンションを売ってもお給料が上がることはなかったんです。一方で、同じようにマンションを売っている男性とのお給料の差は開いていきました。私は販売だけでなく契約の業務も出来るのに。そんなモヤモヤした気持ちがありました。
ゆき
それは不公平すぎますね…
宣子
あとは女性が役職に就くというのは考えられない時代だったし、10時と15時にお茶を出すのが若手女性社員の仕事、という暗黙のルールにも疑問を持っていました。20人分の湯呑みを覚えて・・・今じゃありえないよね。(笑)
そんな働き方が嫌になって、入社2年半後に次の会社に転職しました。

ゆき
今の時代20人分の湯呑み覚えるなんてやったら一瞬で炎上する気が…(笑)今とは比べものにならない働きづらさですね。
次の会社はどんなところだったんですか?

宣子
大手人材会社に入社し、新卒向け求人広告の営業をしました。
その会社に入社したのは、完全に成果報酬式で男女でお給料が一緒だったという理由が一番大きいです。当時は男女関係なく評価される会社は珍しかったと思います。
女性初の営業部門に配属され、新規の広告主を開拓する仕事で電話でアポイントを取った企業以外でも、毎日10社は飛び込み営業をしていました!
ゆき
毎日10件も回ったんですか・・・!?どうしてそんなに頑張れたんでしょうか?
宣子
やっぱり頑張った分だけ成果が出てくる環境だったからじゃないかな。 だから1日の訪問件数を決めたら、確実に回るようにしていました。
でも勿論、毎日頑張れたわけじゃないよ。やっぱり全然話聞いてくれなかったり、挨拶しても無視されることもあって・・・辛いと思ったら全然切り上げちゃってましたけどね。
ゆき
バイタリティがすごい!やっぱり成果を求められていたということで、キャリアアップも狙っていたんですか?
宣子
若いから出来たことよね。 いや、キャリアアップとかは全然考えていなくて、とにかく目の前のことをひたすらやっていただけなんです。あとは女性初の営業部門で周りから脚光を浴びていたというのもあって、手を抜けないという気持ちはありましたね。
でもね、悲惨だったんですよ。毎日外回りで残業も当たり前でしたから、周りの女性たちも歩きすぎてアキレス腱が切れちゃったり、精神的ストレスで激痩せしちゃったりと心身を壊していました。仕事にやりがいを感じていたし社内の人間関係もとても良かったけれど、その環境で仕事を続けるのが難しくて、私も結婚の話がで始めたのを機に退職しました。

10年の専業主婦時代。あらゆる仕事に挑戦したキャリア復帰後。

ゆき
結婚と同時に仕事を辞めたんですね。
宣子
夫が家に居てほしいタイプだったのと、結婚した時丁度夫が地方に転勤になったから付いて行くことになったんです。そこから10年ほど専業主婦をします。
ゆき
え、そうだったんですか!?結構長いこと専業主婦をされていたんですね。
宣子
そうなんです。働きたい気持ちはあったんだけど、育児があったから現実的に厳しかったんです。勿論時短で働くことは出来たんだろうけど、中途半端な働き方はしたくないという気持ちがありました。
ゆき
当時は今みたいに仕事と育児が両立できるような環境は整っていなさそうですしね。でも10年のブランクがあったら、仕事復帰なんて出来る気がしないです(笑)なんでこのまま専業主婦を続けなかったんですか?

宣子
やっぱり働きたい気持ちがずっとあって、諦められなかったんですよね。 子供中心の生活の中、ママ友との付き合いに生産性を感じられなくて・・もっと達成感のあることがしたくなってきました。 下の子どもが小学生になった頃、スイミングコーチのアルバイトを始めてみたのが社会復帰のきっかけです。
ゆき
スイミングコーチ!?今までのキャリアとは全然違う仕事をされるんですね。
宣子
そうですよね。なんか面白そうだな〜と思って応募してみたら採用されたんです!私、「出来ない、無理!」と思うより、面白そうと思う気持ちが勝ってしまいます。
そこでコーチだけでなく、PCでスイミングスクールの会員情報を入力する仕事もやることになったんですけど、それに楽しさを感じて。当時はWordじゃなくて一太郎だったかな?(笑)パソコンスクールに少し通いました。
ゆき
パソコンを使った仕事を始めて、本格的にキャリア復帰するわけですね。
宣子
そうです。金融系の請負会社に入社して、大手銀行に派遣されました。 そこで渉外の仕事をしました。当時銀行はお客様である企業の御用聞きのようなこともしていたので、私は企業の依頼でお給料周りや手形・小切手を処理するような仕事をしていました。
ゆき
金融未経験でチャレンジするには難しそうな仕事に思えます。
宣子
そう、これも本当は金融経験者が応募条件だったんだけど、面白そうだから応募してみたら採用いただけたのよね。
最初は、札束も上手に数えられませんでしたけど。お金を扱う仕事はミスが許されないし、信用していただくことが不可欠なので、慣れるまで大変でした。 でも正確さと丁寧な対応を心掛け、少しずつお客様に頼られていることが実感できてきた頃はとても遣り甲斐を感じましたね。 銀行は6年半勤めました。ただリスク商品を扱うことが多くなってきたのを機に、辞めてしまいます。
ゆき
やりがいを感じず気持ちがついていかないと、その仕事を続けるのはしんどいですよね・・・次はどんなお仕事をされるのですか?
宣子
次の仕事は派遣のコーディネーターです。 ちょうど次の仕事を探していた時に派遣紹介の媒体を使っていたのですが、その時のコーディネーターさんの仕事がとても面白そうで。思わず「良いお仕事ですね。」と言ってみたら、コーディネーターさんから「やってみますか?」とご提案いただいたんです。それで面接を受けた時期に丁度定年でお辞めになる方がいたようで、採用されました。私は本当に運が良いんです!
ゆき
また未経験の仕事!この時おいくつですか?
宣子
47歳くらいかな。求職者の方の希望・適正に合ったお仕事を紹介するのはとても楽しくやりがいを感じていましたが、中高年の方だとどれだけ優秀でもなかなか 次の仕事先が決まらないんです。年齢に加え、派遣の方たちを軽んじて見るような会社がどうしても多くて企業側が受け入れてくれないんですね。そんな方達にどうしてあげることもできず、モヤモヤを抱えながら働いていました。

57歳で出会った天職。宣子さんが今も働く理由。

ゆき
やっぱりいくつになっても仕事のモヤモヤって抱えるものなんですね。うーん、私もこのままあと30年以上働かないといけないのか〜
宣子
でもね、そんな時に後輩がキャリアコンサルタントの資格を取って、「佐藤さん、絶対資格取得したほうが良いですよ!目から鱗です」というものだから、軽い気持ちでチャレンジしてみたんです。キャリアカウンセラーの資格で学ぶ理論は、みんなポジティブになれるようなものばかりなんですよ。私の思考と合致していてすごく共感できるし、体系的に理解するのも面白くて、どんどん勉強にのめり込んでいきました。 そしてこの知識を活かして、就職が上手くいかない人やキャリアに悩む人たちをサポートしたいと思い始めて、また行動したくなっちゃいました。定年間近というのにね(笑) そしてこの知識を活かして、就職が上手くいかない人やキャリアに悩む人たちをサポートしたいと思ったんです。
それでキャリアカウンセラーの勉強中ではありましたが、求職者支援を行う「リクルートキャリアコンサルティング」に転職をします。
ゆき
57歳で「これだ!」と思える仕事に巡り合えたんですね。偶然とはいえとても素敵です。そこから今までどんなお仕事をされるんですか?
宣子
企業を早期退職された方のサポート業務です。今後の方向性が定まっていない方には、様々な労働市場の情報を伝え、転職活動に際しては、キャリアの棚卸から、応募書類の作成方法、面接対策などを支援しました。早期退職に至る経緯は人によって様々です。どんな事情であっても、それぞれの悩みや希望に真剣に向き合い寄り添って、次の新たな1歩を踏み出していただけるようサポートするのが私の役目。 最終的に仕事が決まり「ありがとう」と言って頂けたときは、やはり嬉しいですね。

ゆき
退職者の支援ってとてもセンシティブなお仕事だと思うのですが、宣子さんに背中を押してもらって次の仕事を前向きに探す姿が目に浮かびます。でも結局リクルートキャリアコンサルティングで65歳まで働くんですよね。いくら楽しい仕事とはいえ、定年退職しようとは思わなかったんですか?

宣子
定年を迎える歳で辞めようとは思いましたよ。でもいざ60歳を迎えると「あれ、もう少し働けそう?」と思いもう少し働いてみようと。それで62歳になってもまだまだやれそうな感じがして、気がつけば65歳になっていたという感覚が近いかな。(笑)

ゆき
そんなものなんですね。やはり元気で自分に合った仕事をしていると、いつの間にか時間が過ぎているという感じでしょうか。 でもさすがに65歳で雇用契約満了を迎えるわけじゃないですか。その時にどうしてまだ働き続けようと思ったんですか?

宣子
65歳を迎えて「私は一体これから何をするんだろう」と考えました。そんな時に「集大成として何かしらの役に立てればいいな」と思ったんです。他人様から喜ばれるようなことをしてお金を頂けるなんてとても有難いことですから、求められる限り仕事を続けてみようと思ったんですよね。 あとは、歳を取っても何かしら達成感を得ていたいなと考えた時に、やはり仕事をする他ないなと気付いたんです。だから今は働くことが生きがいになっています。

キャリアに悩む私たちにアドバイス!

ゆき
宣子さんのお話を伺って、意外と私たちと同じようなモヤモヤや悩みを抱えてこられたことに驚きました。でも私はここまで果敢に挑戦できる気がしないというか・・・もうどうすれば良いんですかね。
宣子
じゃあ、キャリアの理論で覚えておくと良いものを一つ紹介しますね。
スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱した「プランドハップンスタンス(Planned Happenstance)セオリー」というもので、”どんなに頑張っても、個人のキャリアの多くは偶然の重なりによって形成されている。ただその偶然をうまく自分のものにするには、ある行動指針に則って積極的に行動することが大切である。”と説かれています。
その行動指針は、
1.好奇心
2.持続性
3.柔軟性
4.楽観性
5.冒険心
です。
何事にも好奇心を持って広い視野を持ち、こだわりを持ち過ぎず柔軟に物事を捉えること。何かを始めたらある程度は続けてみて、問題が起きたら時には楽観的になることも大事。そして飛び込んでみないと何も始まらないから、チャレンジしてみると良いですよ!
ゆき
まさに宣子さんの生き方を表しているような理論ですね!私は5つのうち1つも持っていないので、これを機にまずは好奇心くらい持つようにします。
宣子
良いじゃない!少しずつで良いんですよ。それから、今の仕事の嫌な部分についてのお話は何回か聞きましたが、逆に「今の仕事で好きな点」を考えてみては、どうですか。忘れてしまっているだけで、楽しいって思える点も、実は結構あるかもしれませんよ。
ゆき
たしかに、「嫌だ」っていうことが先行しすぎて、今の仕事の良いところを忘れがちというか、考えようともしなかった気がします・・・
宣子
それから、何かを始める前に「無理かも」とか「できない」と思いこまない事が大事! だって「できない」と言ったら次に続くのは、出来ない理由しかないでしょ。逆に「できそう」「面白そう」と思ってみると、次に浮かぶのは肯定的な理由になるはず。
ゆき
うーん、そうは言ってもやっぱり新しいことに飛び込むリスクを考えてしまうというか・・・失敗するの怖いじゃないですか。
宣子
失敗したって良いじゃない!良い経験したなぁと思ったら。たとえ上手くいかなくても何かしら手にしているはずだから、それを認めてあげればいいんです。
どうしても勇気が出ないんだったら、自分がなぜそれをやってみたいのかを整理するためにも周りの人に話してみればいいと思う。 一つのことに打ち込むのも素晴らしいけど、色んな選択肢を持った人生も楽しいですよ。

今回取材をさせていただき、67歳でキラキラと働く宣子さんも実は私達と同じように苦労や葛藤を抱えた過去があったものの、継続力と大胆な挑戦によって、ようやく生き甲斐と思える仕事に出会えたことを知りました。
そして最後は親身に私の話を聞き、すぐに行動に移せそうなアドバイスをしていただきました。
そんな宣子さんは、現在「エイジレスエージェント」でミドルシニアの転職相談を行っています。大手人材会社でミドルシニアの悩みに寄り添い、数多くの転職成功に導いた実績がありますので、キャリアに悩む50代以降の皆さんは相談してみてはいかがでしょうか。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。