嘱託社員の給与相場は?正社員との違いやメリット・デメリットを解説
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嘱託社員として企業と再雇用契約を交わす際、「正社員の時との給与の違い」が気になる人は多いのではないでしょうか。
定年退職後も正社員の頃と同じくらいの生活資金が必要です。この記事では、嘱託社員の給与相場や正社員との待遇の違いやメリット・デメリットなど、嘱託社員を検討している方に役立つ情報を紹介します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 嘱託社員の給与相場
- 正社員との違い
- 嘱託社員のメリット・デメリット
嘱託社員とは
法律上、嘱託社員について明確な定義はされておりません。一般的には契約社員やパートと同様に、有期労働契約に基づいて働く非正規雇用の労働者を指します。嘱託社員は、企業と定年退職した元社員との間で有期労働契約を交わして成立します。
有期労働契約とは、企業と労働者が最大で原則3年という期間を定めて交わす労働契約です。なお、専門的な知識などを有する労働者および満60歳以上の労働者との労働契約の上限は5年とされます。
嘱託社員は法律で明確にされていないため、雇用形態や勤務体系、待遇に関しては企業によって異なります。多くの場合、嘱託社員になれば正社員ほどの待遇を受けられないのが現状です。しかし、定年後の再雇用や再就職に向けたさまざま取り組みによって改善が図られています。
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嘱託社員の給与相場は正社員よりも低い
嘱託社員の給与の平均額は正社員よりも少額です。
2021年の国税庁の調査によると、正社員1人当たりの平均給与が508万円であるのに対して 、嘱託社員を含む正社員以外は、198 万円と、300万円以上低い結果です。同じ調査資料によると、2020年の正社員1人当たりの平均給与も2021年と同様に、300万円以上低いことがわかります。詳細は以下の表を確認してください。
2020年正社員の平均給与 | 496万円 |
2020年正社員以外の平均給与 | 176万円 |
2021年正社員の平均給与 | 508万円 |
2021年正社員以外の平均給与 | 198万円 |
定年退職後、他社に転職した場合の給与相場
定年退職後、働いていた企業に嘱託社員として再就職するのではなく、別の企業に転職した場合にも給与は減少する傾向があります。
令和3年上半期の厚生労働省の転職入職者調査によると、前職の賃金に比べ増加した割合は34.2%、 減少した割合は36.6%、変わらないの割合は28.2%となりました。
また、賃金が1割以上増加した割合は23.5%、1割以上の減少の割合は 27.9%となりました。転職によって賃金が減少する割合は多少多いですが、目立つほどではありません。
ただし、55歳以上を除いた各年齢階級では、減少が増加を大きく上回っています。以下の表で詳細を確認してください。
増加 | 減少 | |
55〜59歳 | 13.1% | 48.9% |
60〜64歳 | 13.5% | 67.9% |
65歳以上 | 21.2% | 57.6% |
こうした調査結果により、定年対象年齢に近い人が退職後の別の企業に勤めると、給与が下がる可能性が高いことがわかります。
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嘱託社員と正社員との違いは雇用形態とボーナスの有無
嘱託社員と正社員の大きな違いは、給与以外にも雇用形態やボーナス支給の有無にあります。
雇用形態
嘱託社員と正社員とは雇用形態が異なります。
正社員とは、企業と無期雇用契約を交わし、就業規則に従い所定労働時間を働く正規雇用の社員のことです。一方、嘱託社員の雇用形態はさまざまです。有期労働契約のほかに、業務委託契約や請負契約を交わす場合もあります。
医師や弁護士、または職人など専門性の高い仕事の場合、毎日一定の時間働く必要はありません。企業が必要な際、部分的に業務を依頼するのが一般的だからです。
また、雇用期間も各企業で異なります。例えば、公務員が退職して嘱託社員になる場合、3年の有期雇用契約で非常勤扱いとなるのが一般的です。民間企業の場合も自由に雇用期間が定められるため、再契約を交わす前に雇用形態や契約期間をしっかり確認しておきましょう。
非常勤の場合は収入の減少もあり得る
嘱託社員は非常勤で働く場合、フルタイムで働く社員よりも給与が低くなる場合があります。
高齢者雇用安定法では、正社員と同じ労働条件を義務付けてはいないため、従事する業務の内容や勤務日数、勤務時間などによっては働く時間は軽減されますが、その分給与も下がります。特に非常勤の場合、時給制が採用されることが多いため契約前には必ず確認しましょう。
ボーナス支給の有無
正社員と嘱託社員では、ボーナス支給の有無が異なります。原則、企業は正社員を含む従業員に対してボーナスを支払う法律上の義務はありません。そのため、一般的には嘱託社員へボーナスが支給されない、あるいは支給されても正社員よりも少額な場合が多いです。
正社員の時にボーナスを貰えていなかった人が、嘱託社員になってから貰える可能性は低いことに加えて、正社員時代に貰えていた人でも、嘱託社員になった後はもらえない場合もあります。一方で、稀に嘱託社員や契約社員、アルバイトにもボーナスを払う企業もあります。
企業によっては就業規則や労働契約、求人広告などにボーナスを支給する旨の記載があり、その場合は正規雇用か非正規雇用にかかわらず請求できます。そのため、嘱託社員として契約を交わすときに確認しておきましょう。
嘱託社員のボーナス支給額は正社員より低い
嘱託社員のボーナス支給額は正社員より低いことが、以下の調査によりわかります。
厚生労働省の2021年賃金構造基本統計調査では、企業規模10人以上の民間企業で働く正社員・正職員の「特別賞与その他特別支給額」の平均額が年間およそ99万円だったのに対し、嘱託社員を含む「正社員・正職員以外の雇用期間の定めがある労働者」は23万円でした。
参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 雇用形態別 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
生活資金や子供の教育費、家のローンなど、定年退職した後にも、多くの資金が必要です。嘱託社員になった後の給与が低くボーナスが無ければ、貯蓄や退職金、年金だけでは賄えない可能性もあります。給与やボーナスは、企業と再契約を交わす時に交渉し、応じてもらえなければ転職を検討するのも1つの手段です。
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嘱託社員として働く2つのメリット
この項目では、嘱託社員のメリットを2つ解説します。
- 労働日数や労働時間など柔軟に働ける
- 残った有給休暇を使用できる
1.労働日数や労働時間など柔軟に働ける
企業によって、嘱託社員は労働日数や労働時間など労働条件が柔軟に設定されている場合があります。例えば、ワークシェアリングやフレックスタイム制、短時間勤務、隔日勤務など、導入される勤務形態はさまざまです。
2021年総務省統計局の「労働力調査」によると、非正規の職員や従業員が現職の雇用形態についた主な理由は、「自分の都合のよい時間に働きたいから」とした者が654万人と1番多く、前年に比べ35万人も増加しています。
参考:労 働 力 調 査 ( 詳 細 集 計 ) – 総務省統計局
嘱託社員の契約時に企業に相談し理想の労働条件が実現できれば、充実したプライベートも過ごせるでしょう。
2.残った有給休暇を使用できる
嘱託社員になった後、定年前に残っていた有給休暇を使用できる場合があります。雇い入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務したことに加えて、その間全労働日の8割以上出勤していれば、有給休暇は発生します。
再雇用の場合、定年前と再雇用後とが継続勤務といえるかが問題となりますが、行政通達では、定年退職による退職者を引き続き嘱託などとして再採用する場合 (退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む )など、実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算するとされています。そのため、退職後すぐに嘱託社員契約を交わすことによって、残った救急休暇を引き継ぎ使用できます。
ただし、退職と再採用との間に相当期間が存在し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合有給休暇は引き継げません。
参考:(改正労働基準法の施行について( 昭和63年01月01日基発第1 …)
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嘱託社員として働く2つのデメリット
ここでは、給与相場やボーナス支給の有無以外の嘱託社員のデメリットを2つ解説します。
- 契約が更新されない場合がある
- 期間満了後の退職は自己都合になる
1.契約が更新されないことがある
嘱託社員は契約が更新されないことがあります。有期労働契約で、期間が定められているからです。
契約期間の満了後、更新されなければその時点で退職となります。有期労働契約である嘱託社員は3年を上限に、1年ごとに契約を交わす企業がほとんどです。その後も働く意思がある場合、企業に再雇用してもらえるように相談するか、別の企業への就職を検討しましょう。
2.契約期間満了後の退職は自己都合になる
契約期間満了後の嘱託社員が退職する場合、自己都合退社として扱われます。自己都合退社の場合、受け取れる失業手当の給付日数や受取までの待機期間などが変わります。
自己都合の退職者は、雇用保険上では一般の離職者として扱われます。一般の離職者は、失業保険を受け取るまでの待機期間が長く、給付日数が短くなる場合があります。待機期間はハローワークに申請から7日間〜最長3ヶ月間、給付日数は被保険者期間に応じておよそ3~5ヶ月間です。
一方、会社都合退職に該当すれば、7日間の待期期間のあとすぐに失業手当を受け取れます。雇用保険上は特定受給資格者として扱われるためです。給付日数は年齢や被保険者期間によって細かく区分されており、最長で11ヶ月間(45歳上60歳未満で、被保険者期間が20年以上ある場合)受け取ることも可能です。
参考:ハローワークインターネットサービス|よくあるご質問(雇用保険について
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高齢者の雇用は促進される
近年、少子高齢化による労働力不足を考慮し、定年後の再雇用を促進する制度が増えています。
厚生労働省は令和3年4月1日から、高齢者雇用安定法で70歳までの定年の引き上げや定年制の廃止、継続雇用制度の導入、業務委託契約を締結する制度の導入、社会貢献事業に従事できる制度の導入(高年齢者就業確保措置)など、いづれかの措置を講じるよう努めることを義務付けています。
こうした制度の施行によって、今後は嘱託社員の継続雇用も増えていく可能性があります。実際に、2022年の厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告 」によると、65歳定年の企業は全体(23万5875社)の22.2%を占める5万2418社で、前年から増加しています。
参考:令和4年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します|厚生労働省
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より良い待遇を求めるなら転職を検討しよう
現状、嘱託社員の平均給与は正社員より低いです。加えて、55歳以降に転職すると給与が減少する割合が高くなります。
しかし、正社員と同じ待遇で契約する企業もあるため、定年退職する以前の早い時期に企業規定を確認しておきましょう。待遇次第では、早めの転職をおすすめします。
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