SAPエンジニアとは?仕事内容・年収・将来性を徹底解説【IT経験者向け】
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SAPエンジニアとは、SAP製品に関する高い専門性を持ち、企業のSAP導入や運用を支援するスペシャリストです。
「SAPの2027年問題による特需」「デジタル化の加速」「グローバル化ニーズの高まり」により、SAPエンジニアの需要が拡大しています。
この記事では、20年以上のSE経験を持つ筆者が、SAPエンジニアの仕事内容や年収相場、将来性などを詳しく解説します。
- 【この記事を読んでわかること】
- SAPエンジニアは、ERPソフトウェア「SAP」の導入や運用によって、企業の業務プロセスの課題解決を支援する専門家
- SAPエンジニアの正社員の平均年収は約600万円とITエンジニアの中でも高め
- SAPの2027年問題を間近に控え、SAPエンジニアに対する需要は高まっている
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SAPエンジニアの仕事内容
SAPエンジニアは、企業の業務プロセスを改善するために、SAPシステムの導入やカスタマイズ、運用を行う専門家です。
SAPに関する知識や技術力に加えて、ユーザー業務に関する知識も求められます。SAPエンジニアの仕事をより詳しく理解するために、下記の5つの事項について詳しく見ていきましょう。
- SAPとは
- SAPエンジニアとは
- SAPエンジニアの役割と業務範囲
- SAPエンジニアの仕事の流れ
SAPとは
SAPとは、SAP社がサービス提供するERPソフトウェア群の総称です。
ERPとは「Enterprise Resource Planning(経営資源計画)」の略称で、企業のあらゆる業務を一元管理することを指します。具体的には会計、財務、人事、製造、調達、在庫管理など、企業のさまざまな業務プロセスを統合的に管理することがERPソフトウェアの役割です。
ERPソフトウェアを利用することで、企業内の情報共有が促進され、業務の生産性向上や効率化が図れます。
SAPのおもな製品
SAP社は1972年に設立されたドイツに本社を置くERPソフトウェア企業で、ERPの分野では世界トップのシェアを誇ります。
主要な製品は2000年代にリリースされた、基幹システムパッケージ「SAP ECC(ERP Cenral Componet)」です。SAP ECCを利用することで、企業内のさまざまな情報をリアルタイムで共有でき、迅速な意思決定を可能とします。
SAP ECCは、さまざまな機能を持つ「モジュール」で構成されており、自社の業務に合わせて必要なモジュールを選んで利用可能です。
SAP ECCのおもなモジュールには下記の7つがあります。
FI(Financial Accounting) | 財務会計 |
---|---|
CO(Controlling) | 管理会計 |
SD(Sales and Distribution) | 販売管理 |
MM(Materials Management) | 購買管理/在庫管理 |
LE(Logistics Execution) | 物流管理 |
PP(Production Planning) | 生産計画/管理 |
QM(Quality Management) | 品質管理 |
また、SAPではERPのほかに、特定の分野に特化した製品も多数提供しています。
SAP ECCの後継と2027年問題
SAP ECCの後継として、2015年に次世代基幹システムSAP S4/HANAが提供されました。
S4/HANAは、インメモリ処理による速度向上やUI/UX向上による業務プロセス可視化・モビリティ向上、クラウドサービス提供といった進化を遂げている製品です。
SAP S4/HANAの提供に伴い、SAP社では「SAP ECC 6.0」の標準サポートを2027年に終了すると発表しました。
SAP ECC 6.0を導入している国内2,000社以上が対応を迫られることから「2027年問題」と呼ばれています。
対象企業は下記のいずれかの対応が必要です。
- SAP S4/HANAへ移行
- 他のERPサービスへ移行
- 追加サポート料金を支払ってSAP ECC 6.0を継続利用
基幹システムであるSAP ECCの移行には大規模なシステム対応が必要なため、今後数年間はSAPエンジニアに対する需要が高まることが見込まれています。
独自のプログラミング言語ABAP
SAPでは独自のプログラミング言語「ABAP(Advanced Business Application Programming)」が使われています。
ABAPはSAP専用の言語であり、ほかのアプリケーション開発には使われません。ABAPを使うことで、SAPのカスタマイズやパフォーマンス改善などが可能になります。
ABAPを扱える技術者は少なく、高いスキルを持つエンジニアは希少性が高いといえるでしょう。
SAPエンジニアとは
SAPエンジニアとは、SAPのソフトウェア導入やカスタマイズ、運用、管理などを担う技術者です。
SAPは業務プロセスの効率化を目的としたソフトウェアであり、導入には技術力に加えて業務に関する深い知識が求められます。
SAPエンジニアは単なる技術者ではなく、SAPの導入や運用を通じて企業が抱える業務プロセスの問題解決に貢献することが期待されているのです。
SAPエンジニアの役割と業務範囲
SAPエンジニアのおもな役割には下記のようなものがあります。
業務プロセスの分析・設計 | ビジネスプロセスを理解し、SAPに適用するための分析や設計を行う |
---|---|
SAPの導入計画 | システムの導入計画を策定し、導入のスケジュールやリソース、予算などを決定する |
SAPのカスタマイズ・設定 | SAPをビジネスニーズに合わせてカスタマイズ・設定し、適切な機能を提供する |
ユーザーのトレーニング | ユーザーがSAPを適切に利用できるよう教育やサポートを行う |
SAPの運用・管理 | システムの安定稼働のため、モニタリングやアップデート対応などを行う |
トラブルシューティング | SAPのシステム障害や不具合の原因を特定し、対処や改善を行う |
このように、SAPエンジニアの業務範囲は、SAPの導入から運用まで多岐にわたります。そのため、SAPエンジニアにはSAPに関する知識やスキルはもちろん、業務に関する深い理解も必要です。
SAPエンジニアは、企業がSAPを導入することで業務プロセスの最適化や業務の効率化を実現するための、重要な役割を担っています。
SAPエンジニアの仕事の流れ
企業がSAPを導入する際の流れは、通常のシステム開発プロジェクトと大きな違いはありません。
ただしSAPの導入プロジェクトでは、製品が提供する機能から業務要件に合わせて最適なものを選定し、カスタマイズしていく形で進めるのが特徴です。そのため、一般的なプログラミング言語を使ったアプリケーション開発に比べて、業務プロセスの分析や見直しの検討といった作業の比率が高くなる傾向があります。
SAP導入のおもな工程と、SAPエンジニアの仕事内容は次のとおりです。
要件定義 | 業務分析やユーザーヒアリングを通じて、ユーザーが求める機能や要件を把握 |
---|---|
設計・開発 | 要件定義をもとに設計し、ツールやABAP言語などを使って実装 |
テスト | カスタマイズしたSAPに対してテストを行い、不具合がないことを確認 |
ユーザートレーニング | ユーザーに新たに導入した機能の使い方を指導 |
リリース | 導入したSAPシステムをリリースしユーザーに提供 |
運用・保守 | 安定稼働のため、モニタリングやアップデート、トラブルシューティング、機能改善 |
企業にとってはSAPの導入自体が目的ではなく、SAPによって業務プロセスを効率化しビジネスを向上させることが目的です。
SAPエンジニアには、常にビジネスニーズを把握してユーザーとITシステムの接点として機能することが求められています。
SAPエンジニアに求められる3つの必須スキル
SAPエンジニアとして活躍するために必要となる、おもなスキルは以下の3つです。
- SAPの製品知識
- ユーザー業務に関する理解
- トランザクションコードの活用スキル
SAPの製品知識
SAPエンジニアとしてSAPの導入や運用を担うには、SAPの機能や特徴、導入方法などの製品知識が不可欠です。
SAPには、さまざまな業務領域に対応した製品ラインナップがあります。SAPエンジニアは製品の機能や特徴を理解することで、ユーザーのニーズに合わせた適切なソリューションを提供することが可能です。
また各製品は、さまざまなモジュール(機能群)で構成されています。ユーザーの業務プロセスを最適化するには、モジュールの構造や機能に対する深い知識と、業務に合わせてカスタマイズする高いスキルが求められます。
ユーザー業務に関する理解
SAPエンジニアにとってSAPの製品知識と並んで重要なスキルが、ユーザー業務に関する理解です。
SAPを導入する企業が業務プロセスの改善を実現するには、実際にユーザーがどのように業務を行っているかを理解することが欠かせません。具体的には、業務の現場に同行したり、実務担当者にヒアリングしたりして、抱えている課題や潜在的なニーズを的確に引き出すことが求められます。
そして、SAPが提供する豊富な機能の中から最適なものを選定し、カスタマイズや機能追加(アドオン)して提供することが重要です。
トランザクションコードの活用スキル
トランザクションコードは、SAP内での特定の処理や操作を実行するためのコマンドです。
例えば、特定のマスタデータの登録や変更、請求書の発行など、SAPシステムで行う様々な作業が、トランザクションコードを使って実行されます。SAPエンジニアは、数多くのトランザクションコードを熟知し、必要な作業をスムーズに実行することが求められます。
また、トランザクションコードには多くのパラメータがあり、それらを正確に設定することも重要です。
トランザクションコードを理解することで、SAPの機能やデータフローを把握することができ、業務の効率化や問題解決にもつながります。
SAPエンジニアの年収相場は600万円
SAPエンジニアに転職・転向すると、どのくらいの収入が得られるのか気になる人も多いでしょう。
以下の4つの視点から解説します。
- 正社員SAPエンジニアの年収相場は約600万円
- フリーランスSAPエンジニアの年収期待は1,000万円以上
- 未経験のSAPエンジニアの年収相場は300万円〜400万円台
- SAPエンジニアとしての収入水準を知るためには
それぞれ解説します。
正社員SAPエンジニアの年収相場は約600万円
求人サイト「求人ボックス」のデータによると、正社員のSAPエンジニアの平均年収は598万円です。国税庁の「民間給与実態統計調査」による国内の全給与所得者の平均年収433万円と比べると、160万円以上高く、SAPエンジニアは高年収といえるでしょう。
続いて、代表的なIT関連の職種の平均年収と比べてみます。
職種 | 平均年収 |
---|---|
SAPエンジニア | 598万円 |
プログラマー | 433万円 |
システムエンジニア | 517万円 |
インフラエンジニア | 540万円 |
ITコンサルタント | 643万円 |
プロジェクトマネージャー | 644万円 |
SAPエンジニアの年収は、プログラマーやシステムエンジニア、インフラエンジニアといった技術者よりも高く、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーより低いという結果です。
SAPエンジニアは、一般に年収が高いといわれるIT関連の職種の中でも、高待遇であることが分かります。
フリーランスSAPエンジニアの年収期待は1,000万円以上
フリーランス向けIT求人・案件サイト「フリーランススタート」の調査によると、フリーランスのSAPエンジニアの月収(単価)は、40万円から200万円以上まで幅広くなっています。
12ヶ月稼働した想定で換算すると、年収期待値は480万円から2,400万円にも達します。
経験年数 | 月収(単価)相場 |
---|---|
1年未満 | 40万円~50万円 |
1年〜2年 | 60万円~70万円 |
2年〜3年 | 65万円~75万円 |
3年〜4年 | 75万円~90万円 |
4年〜5年 | 85万円~100万円 |
5年以上 | 90万円~205万円 |
経験年数が浅いうちは、正社員のSAPエンジニアよりも低い水準ですが、経験を積めば年収1,000万円以上も可能です。
月収の高い案件は、SAPコンサルタントとしての役割を求められる案件が多くなります。高年収を目指すためにはクライアント業務に関する専門的な知識を高め、効果的な助言・提案ができるスキルを身につけていくと良いでしょう。
未経験のSAPエンジニアの年収相場は300万円〜400万円台
正社員やフリーランスの年収分布を見ると、未経験のSAPエンジニアの年収相場は300万円〜400万円台と推測されます。エンジニアの世界では、実務経験の年数でスキルを評価されるのが一般的です。
フリーランスの経験年数別の月収相場を見ても分かるとおり、経験を積むことで着実に収入が増え、3年目には2倍程度になることがわかります。収入アップのためには、開発現場で実務経験を積み、スキルを高めることが大切です。
SAPエンジニアとしての収入水準を知るためには
ここまでは、一般的なSAPエンジニアの収入を見てきましたが、より具体的な収入金額を知りたい方に向けて、3つの方法を紹介します。
- 求人情報や転職サイトを参考にする
- 転職エージェントや人材紹介会社を利用する
- 同業種の仲間や上司、採用担当者と相談する
求人情報や転職サイトを参考にする
求人情報や転職サイトで個別の求人案件の年収を確認することで、手軽に具体的な収入を知ることが可能です。多くの転職サイトでは、雇用形態やスキル、経験有無などで求人を絞り込めるため、希望の条件にあった求人の収入を効率的に確認できます。
転職エージェントや人材紹介会社を利用する
SAPエンジニアの年収は、実務経験や専門分野により大きく変動します。
自身の「SAPエンジニアとしての年収相場」「転職候補になり得る企業」を知りたいという人は、弊社エイジレスにご相談ください。
丁寧にキャリアカウンセリングを行い、IT転職市場の最新動向を踏まえて具体的なアドバイスを提供します。
同業種の仲間や上司、採用担当者と相談する
社内外にSAPエンジニアの知人がいる場合、収入について話を聞くことでより具体的な収入水準を知ることができます。
また、社内のSAPを扱う部署の上司に相談してみるのも良いでしょう。さらに、自社内に求人情報や業界全体の収入事情に精通した採用担当者がいる場合は、相談することで適切なアドバイスが得られるかもしれません。ただし、相手によっては収入を開示できない場合もあるため、慎重に情報収集するようにしましょう。
SAPエンジニアの将来性は高い
ERP市場は、最新技術や新しいビジネス要件に対応するため常に進化が活発です。
従来はパッケージ導入が主流でしたが、近年ではクラウドに移行する動きが加速し、SAPでもクラウドサービスが強化されています。
クラウドの利用はパッケージ導入と比べて技術的なハードルが低く、中小企業でもERPへの需要が高まっています。
ERP市場で高いシェアを持つSAPの専門家であるSAPエンジニアの活躍の場は、今後も広がっていくことが見込まれ、将来性は高いといえるでしょう。
SAPエンジニアの将来性は、以下の記事で詳しく解説しているので興味がある人はぜひ読んでみてください。
SAPエンジニアの将来性は高い!需要状況と年収を解説します
SAPエンジニアの仕事は製品に依存するため、将来性が不安な人も多いのではないでしょうか?SAPエンジニアはオワコンとの声もありますが、
今からSAPエンジニアを目指すべき?
ここまで見てきたSAPエンジニアの特徴を踏まえ、下記の3点から、SAPエンジニアへの転職・転向は将来性のある選択肢といえるでしょう。
- 求人数が多い
- 担当業務が多数ある
- フリーランスで働くことができる
求人数が多い
SAPは国内のERP市場で大手企業を中心に高いシェアを持ち、多くの企業で導入されています。
SAPの導入・運用には高度な専門性が求められるため、高いスキルと実績を持つSAPエンジニアへの需要は豊富です。加えて現在は、多くの企業で導入されているSAP ECC 6.0のサポートが終了する「2027年問題」も迫っています。
求人が増えていくことが見込まれ、SAPエンジニアへの転職・転向を目指す人には、大規模なプロジェクトで経験を積む良いタイミングといえるでしょう。
担当業務が多数ある
企業の業務プロセスを管理するための総合的なERPシステムであるSAPは、財務・会計、生産管理、購買・調達、人事・労務管理などさまざまな業務領域をカバーしています。
SAPエンジニアは、これらの幅広い業務領域におけるシステム導入やカスタマイズ、運用・保守などを担うため、担当業務は多様です。
また、SAPは頻繁にバージョンアップされ、常に進化し続けています。SAPエンジニアは新しい知識を取り入れることで仕事の幅を広げ、キャリアアップを図れる魅力的な職種といえるでしょう。
フリーランスで働くことができる
企業でSAPエンジニアとしての実績を積めば、独立してフリーランスで働くことも可能です。
高い専門性を要するSAPのフリーランス案件には高単価のものも多い傾向があります。SAP製品やクライアント業務に関する豊富な知識や経験があれば会社員として働くよりも高年収を得ることも可能です。
ただし、高単価のSAPエンジニアには、プロジェクトを成功に導く確実な「結果」が求められます。高度な専門性を維持するため、常にスキルアップしキャリアを高めていくことが大切です。
SAPエンジニアに向いている人の3つの特徴
SAPエンジニアに向いている人の3つの特徴を紹介します。
- ユーザー業務への関心が高い人
- チームでの仕事が得意な人
- 継続的な学習意欲を持つ人
ユーザー業務への関心が高い人
企業がSAPを導入する目的は、業務プロセスの効率化や生産性の向上です。
SAPの導入・運用を担うSAPエンジニアには、ユーザーと密に連携して業務の課題やニーズを引き出し、SAPによる解決策を提案することが求められます。そのため、SAPエンジニアは技術的なスキルに加えて、ユーザー業務に高い関心を持つことが重要です。
積極的に業務を理解する姿勢は、ユーザーの視点に立った問題発見、改善提案への貢献につながります。
チームでの仕事が得意な人
SAPのプロジェクトでは、ユーザーや開発メンバーなど多くの関係者が参画します。SAPエンジニアはこうした関係者と協力し、適切にコミュニケーションを取りながら開発を進める力が必要です。
例えば、ユーザーとの要件定義を円滑に進めたり、開発メンバーと活発な議論を交わして品質向上を図ったり、といったことが挙げられます。
周囲とうまく連携できないと、スムーズに情報連携が図れずにプロジェクトが滞ることになりかねません。SAPエンジニアには、プロジェクト関係者と協調して仕事を進める力が求められます。
継続的な学習意欲を持つ人
SAPエンジニアとして活躍し続けるには、継続的に知識やスキルを更新していく姿勢も重要です。
多くの企業で利用されているSAPは、常に進化を続けています。新しい機能や技術が頻繁に追加・更新されるため、SAPエンジニアは自身の知識・スキルを最新情報にアップデートしていくことが必要です。
また、SAPを利用する企業を取り巻くビジネス環境やIT技術、法規制なども目まぐるしく変化し、それに合わせて求められる業務プロセスも変わっていきます。
SAPエンジニアは、こうした技術面、ビジネス面の変化を迅速にキャッチし、継続的に自らの価値を高めていくことが重要です。
SAPエンジニアの4つの働きかたとキャリアアップ方法
SAPエンジニアへの転職や転向を考える際に知っておきたい、働き方やキャリアアップの方法、転職ノウハウを見てみましょう。
SAPエンジニアの多様な働き方
SAPは大企業から中小企業まで多くの企業で導入されているため、SAPエンジニアの需要は多く、多様な働き方が可能です。
SAPエンジニアのおもな働き方には下記の4つがあります。
- 企業内の情報システム部門で働く
- SIerやITコンサルタントとしてで働く
- 派遣エンジニアとして働く
- フリーランスエンジニアとして働く
企業内の情報システム部門で働く
大手企業などで、社内の情報システム部門に所属する社内エンジニアとして、SAPの導入や保守などを担う働き方です。社内エンジニアは開発に加えて、事業部門のユーザーとの調整や、プロジェクトの取りまとめなど上流工程やマネジメントに携われます。
社内エンジニアとして働くSAPエンジニアは、自社のビジネスに深く関われるほか、安定した雇用や福利厚生が魅力です。一方で、働く場所や時間などの労務環境は企業による制約が多く自由度は低いでしょう。
SIerやITコンサルタントとして働く
SIerやITコンサルタント会社に所属し、クライアント企業から請け負ったSAPのプロジェクトに参画する働き方もあります。
SIerやITコンサルタントは多くの企業から案件を受託するため、さまざまな業界や分野のSAPプロジェクトに関わり多彩な経験を積むことが可能です。
これらITの専門会社では、教育や研修などスキルアップのための手厚いサポートが受けられます。一方、社内エンジニアと同じく、働く場所や時間などの労務環境は企業による制約があります。
派遣エンジニアとして働く
派遣会社に登録して、派遣エンジニアとしてクライアント企業のプロジェクトなどに参画する働き方です。SIerと同じくさまざまな案件に関わることができ、多彩な経験を積めるのが魅力です。
自身の判断で派遣先を選べて自由度が高い一方、一般に収入は正社員と比べて低く、契約期間も限定されていて雇用も不安定です。
フリーランスエンジニアとして働く
フリーランスのSAPエンジニアとして、個人で企業から案件を受託して働くことも可能です。自身で案件を選べるため働き方の自由度が高く、スキルと実績があれば正社員より高い収入を得ることもできます。一方、案件探しから条件交渉、契約手続きなどを自身で行う必要があり、案件を獲得できなければ収入が途絶えるリスクもあります。
▼フリーランスエンジニアについて詳しく知りたい方はこちら
フリーランスに向いている人とは?特徴やメリット・デメリットも解説
フリーランスは自由度の高い働き方であることから、魅力を感じて検討する人も多くなってきています。 しかし、自身がフリーランスとしてやっ
このように、SAPエンジニアには多様な働き方が可能です。自身のスキルや希望のキャリアプランにあった働き方を選びましょう。
SAPエンジニアがキャリアアップする手段
SAPエンジニアが市場価値や収入を高め、キャリアアップするために役立つ3つの手段を紹介します。
- プロジェクトマネジメントやリーダーシップのスキルを磨く
- 技術スキルを磨く
- 資格を取得する
プロジェクトマネジメントやリーダーシップのスキルを磨く
エンジニアのキャリアは、開発やテストなどの下流工程からスタートし、上流工程やマネジメントの役割にシフトしていくのが一般的です。SAPエンジニアも同様で、プロジェクトマネジメントスキルやリーダーシップなどを身につけることがキャリアアップにつながります。
プロジェクトマネジメントやリーダーシップのスキルは、資格取得や研修・セミナーなどで知識や理論を学び、開発現場での実践を通して身につけていくと良いでしょう。
技術スキルを磨く
SAPは頻繁に機能の追加や改善が繰り返されています。SAPエンジニアもSAPの進化に合わせて、常に自身の知識やスキルを更新することが大切です。
例えば、SAPの最新機能やツールを活用することによって、従来は解決できなかった業務の課題が解決できるようになる可能性があります。また、性能改善や操作性の改善などで、業務効率のさらなる向上を図れることもあるでしょう。
最新の知識・スキルを持つことで、ユーザーにより役立つ提案や実装が可能となり、SAPエンジニアとしての価値も高まります。
資格を取得する
SAPエンジニアのキャリアアップには、資格取得も有効です。資格は社内での評価向上や転職時のスキルの証明など、他者との差別化に役立ちます。
SAPエンジニアが取得しておきたい資格は、SAP社が主催する「SAP認定コンサルタント資格」です。SAP認定コンサルタント資格は150種類以上あり、大きく下記の3つの分野に分けられます。
アプリケーションコンサルタント | SAPコンサルタント向け |
---|---|
デベロップメントコンサルタント | プログラマーやエンジニア向け |
テクノロジーコンサルタント | インフラエンジニア向け |
資格には「アソシエイト」「スペシャリスト」「プロフェッショナル」の3つのレベルがあり、自身のスキルレベルに合った資格取得を目指せます。
ERPの世界でSAP認定コンサルタント資格の認知度は高く、高度な資格を取得していればキャリアアップの大きな武器になるでしょう。
未経験のSAPエンジニアが技術を磨く方法
SAPの実務経験がない人がSAPエンジニアとして働けるスキルを身につけるためには、下記の方法がおすすめです。
- 実際にアプリケーションを開発する
- 学習サイトで学ぶ
- オープンソースへの貢献
- ハッカソンやコンテストへの参加
実際にアプリケーションを開発する
エンジニアが技術力を身につけるためにもっとも効果的な方法は、実際に開発してみることです。しかしSAPはオープンソースではないため、自由に環境構築して開発することはできません。
個人が実際にSAPで開発する方法として、SAP社のトレーニングコースの受講があります。基本操作から高度な開発まで幅広く学べますが、受講費用は数十万円〜百万円と高額なため、個人での受講はハードルが高いでしょう。
現実的な方法としては、SAPエンジニアを募集している企業に入社・転職し、会社負担でトレーニングを受講したり、実際の開発案件に参画して実践経験を積むのが良いでしょう。
学習サイトで学ぶ
ERP市場で人気の高いSAPは、WEB上の学習教材も充実しています。
WEBの情報は書籍と比べて更新頻度が高く、最新の情報を入手しやすいのがメリットです。学習サイトには、有志のエンジニアが情報提供している無償サイトと、専門の企業が動画やテキストの学習コンテンツを提供する有償サイトがあります。基礎知識の習得や情報収集などは無償サイトでも十分でしょう。
一方、SAPの基礎から応用まで体系的に学びたい場合には、有償サイトを利用するのがおすすめです。有償サイトにはSAP社が提供する「Leaning Hub」や、「Udemy」の動画学習コンテンツなどがあります。
SAPの学習コンテンツは英語で提供されるものが多いため、英語ができると教材の幅が広がるでしょう。
オープンソースへの貢献
SAPはクローズドソースとして知られていますが、2001年からオープンソースに関する取り組みをはじめ、2014年には自社のツールをオープンソース化しています。
実務経験のないSAPエンジニアでも、SAPのオープンソースプロジェクトに参加することで、他の開発者からフィードバックによるスキルアップの機会を得られます。また、オープンソースプロジェクトへの貢献は自身の実績にもなり、キャリアアップにつなげることも可能です。
SAPのオープンソースプロジェクトに参加するには、GitHubなどのプラットフォームで興味のあるプロジェクトを探すことから始めましょう。まずは、コードを読んで理解し、バグ修正や新規開発に参加することでスキルアップを図ることができます。
ハッカソンやコンテストへの参加
SAP社の日本法人であるSAPジャパンでは、ハッカソンのイベントを開催することがあります。
ハッカソンとは、技術者が短期間で開発の成果を競うイベントです。多くの技術者が参加するハッカソンやコンテストでは自身のスキルを試したり、ほかの参加者とアイデアを出し合って課題に取り組んだりすることでスキルを高めることが可能です。
自身のスキルにあったイベントが開催される場合には、積極的に参加すると良いでしょう。
SAPエンジニアの転職ノウハウ
SAPエンジニアが転職に役立つ3つのノウハウを紹介します。
- ポートフォリオの作成
- 履歴書や職務経歴書の作成・更新
- 転職サイトや人材エージェントの利用
ポートフォリオの作成
ポートフォリオとは、過去に携わってきたプロジェクトや業務の実績をまとめたものです。転職希望先の企業に対して、実務実績やスキルのアピールに役立ちます。
ポートフォリオではプロジェクトの内容や規模、役割、成果などをわかりやすくまとめ、SAPに関する知識やスキルを具体的に記載することが大切です。
ただし、SAPの開発実績には企業の機密情報が含まれる可能性があるため、記載する情報には十分注意しましょう。
履歴書や職務経歴書の作成・更新
履歴書・職務経歴書は、自身の職務経歴や学歴、資格などの総合的な自己PRの材料になります。履歴書は、企業が求める人材像に合わせてアレンジすることが重要です。
例えば、企業が特定の業界での実務経験や、特定のSAP製品の導入実績などを重視している場合には、それらに関連する経歴やスキルを強調することで評価が高まるでしょう。求人情報をしっかりと読み込んで、採用担当者に刺さる履歴書・職務経歴書を作ることが大切です。
転職サイトや人材エージェントの利用
SAPエンジニアが転職先企業を効率的に探すためには、転職サイトや人材エージェントを利用するのがおすすめです。
転職サイトは膨大な数の求人情報の中から、スキルや経験年数、収入など希望の条件で企業を探せます。履歴書の送付や面接の予約などもでき、効率的に転職活動を進めることが可能です。
人材エージェントでは、自身のスキルや希望のキャリアなどを登録すると、条件にマッチした企業を紹介してもらえます。多くの場合、企業の紹介だけでなくカウンセリングや転職活動に伴う手続きの代行などのサポートを受けることも可能です。
転職サイトや人材エージェントを活用することで、忙しく働きながらでも転職活動を効率的に進められます。
SAPエンジニアは需要が高く魅力的な職業ですが、一部からは「やめとけ」という意見があることも事実です。
以下の記事では、SAPエンジニアとして働くメリットとデメリットを解説しているので、興味がある人は読んでみてください。
SAPエンジニアはなぜやめとけと言われる?理由と働くメリットを解説
SAPエンジニアは一部の人から「やめとけ」と言われることがあります。そこで本記事では、SAPエンジニアの現実を踏まえ「やめとけ」と言わ
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SAPエンジニアを求める企業と案件獲得方法
SAPエンジニアへの転職や独立を考えている人が知りたい、SAPエンジニアを求める企業や業務委託案件の探し方を解説します。
SAPエンジニアを求める企業
SAPはさまざまな業界・業種の企業で導入されており、SAPエンジニアを求める企業は多岐にわたります。その中から代表的な3つの企業を見てみましょう。
- ITサービス企業
- メーカー・製造業
- 金融関連企業
ITサービス企業
ITサービス企業は、多くのエンジニアやコンサルタントを抱え、クライアント企業からシステム導入や開発を請け負う企業です。SIerやITコンサルティング企業などが該当します。
ITサービス企業では、さまざまな企業から案件を受託するため、所属するSAPエンジニアは多様な業界・業種のプロジェクトに参画しスキルアップすることが可能です。
ITサービス企業のSAPエンジニアには、業務プロセスの課題を解決するSAPのプロとしての活躍を期待されています。そのため、SAPの高い専門知識や技術力に加えて、幅広い業務知識や、クライアントと円滑にプロジェクトを進めるコミュニケーション能力なども重要です。
メーカー・製造業
メーカー・製造業では、生産ラインや物流、品質管理などのプロセスを一元管理して、業務効率化や品質向上を図るためにSAPが導入されています。
メーカー・製造業でおもに利用されるSAPモジュールは、生産計画・スケジュールを管理する「SAP PP」や製品の出荷プロセスなどを管理する「SAP LE」、品質管理に特化した「SAP QM」などです。
メーカー・製造業で働くSAPエンジニアには、SAP製品のカスタマイズや導入のスキルはもちろん、製造や物流などの業務知識を備えていることが求められます。
またグローバル展開している企業の場合、英語力があれば海外との合同プロジェクトへの参画や海外拠点のSAP導入など仕事の幅が広がるでしょう。
▼SAP PPについて詳しく知りたい方はこちら
SAP PPとは?SAP PPの基礎知識から機能詳細まで詳しく解説
製造業では、生産プロセスの効率化が企業の競争力や業績の向上に欠かせません。生産プロセスの効率化には、ERPソフトウェアの導入が効果的で
金融関連企業
SAPは、銀行や証券会社、保険会社などの金融関連企業でも広く活用されています。
金融関連企業向けには、SAP FIやSAP COなどの財務・会計系のモジュールをはじめ、金融商品のリスクを管理する「SAP TRM(Treasury and Risk Management)」やローンを管理する「SAP Loans Management」といった機能があります。
金融関連企業で働くSAPエンジニアは、SAPのスキルに加えて、金融商品や法規制といった業務知識、セキュリティ対策のスキルなども重要です。
SAPエンジニアが業務委託案件を見つける方法
フリーランスのSAPエンジニアは自身で業務委託案件を探す必要があります。業務委託案件を見つけるための代表的な3つの方法を見てみましょう。
- 求人サイトやクラウドソーシングサイトで探す
- フリーランスエージェントを利用する
- ネットワーキング
求人サイトやクラウドソーシングサイトで探す
求人サイトの中には転職の求人だけでなく、フリーランス向けの業務委託案件を掲載しているサイトもあります。
また、クラウドソーシングサイトは、案件の担い手を求める企業と仕事を探すワーカーをマッチングするサービスです。大手サイトなら初心者向けから上級者向けまで豊富な案件が揃っているので、希望の案件を見つけられます。
ただし、これらサービスはお手軽な反面、案件探しや企業との条件交渉、契約手続きなどをすべて自身で行う必要があります。手間を省きたい人は次に紹介するフリーランスエージェントがおすすめです。
フリーランスエージェントを利用する
フリーランスエージェントは、スキルや経験、希望の案件内容などを登録すると、条件に合った案件を紹介してくれるサービスです。
求人サイトなどと異なり、自身で案件探しをする必要がないため、時間と手間を省けます。また、企業との単価交渉や契約手続きなど面倒な作業をエージェントが代行してくれるため、エンジニアは業務に集中することが可能です。フリーランスエージェントの中には、専門性の高いSAPに特化したサービスもあります。
年齢不問の求人をお探しなら、弊社の「エイジレスフリーランス」をご活用ください。
エイジレスフリーランスは、年齢不問の求人に特化して、お一人ずつの希望やキャリアにあった企業・案件を紹介するサービスです。
ネットワーキング
ネットワーキングとは、自身の人脈を活用して案件を探すことです。
例えば、勤めていた職場の元同僚や同業の知人などを通じて案件を紹介してもらえる場合があります。
また、SAPのコミュニティへの参加やSNSでの同業者との交流など、積極的に人脈形成を図ることで案件獲得につなげることも可能です。
まとめ:SAPエンジニアを目指す人にとって2027年問題の特需はチャンス
本記事では、SAPエンジニアの仕事内容や年収相場、キャリアアップ方法などについて詳しく解説してきました。
SAPは企業の業務プロセスを改善するERPソフトウェアの中でも高いシェアを持つ製品です。導入や運用を担うSAPエンジニアにはSAPの製品知識・スキルに加えて、クライアント業務に関する理解や提案能力も求められます。
高い専門性を必要とするSAPエンジニアの年収はIT技術者の中でも高水準で、スキルと実績があれば1,000万円以上の高年収も可能です。
またSAPでは、多くの企業が導入しているSAP ECC 6.0が2027年にサポートが切れとなる「2027年問題」もあり、今後数年間はSAPエンジニアに対する特需が見込まれます。
SAPエンジニアへの高まる需要は、転職・転向を考える人にとってもチャンスといえるでしょう。