SAPエンジニアの将来性は高い!需要状況と年収を解説します

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SAPエンジニアの仕事は製品に依存するため、将来性が不安な人も多いのではないでしょうか?SAPエンジニアはオワコンとの声もありますが、需要は高く将来性もある職種です。この記事ではSAPエンジニアに将来性がある理由や、需要が高い人の特徴などを解説します。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • SAPエンジニアは、「求人数が増加傾向」「正社員・フリーランスともに高年収」であり需要が高い職業
  • SAPエンジニアの将来性が高い理由は、「2027年問題による特需」「クラウドサービスの普及」「デジタル化の加速」「グローバル化への対応」があげられる
  • SAPエンジニアの中でも特に需要が高い人の特徴は「SAP製品の実務経験」「担当顧客の業務知識」「ビジネスレベルの英語力」を保有している
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SAPエンジニアの将来性と需要

代表的なITエンジニア職の平均年収

結論からお伝えすると、SAPエンジニアは将来性があり、非常に需要が高い職業です。

以下の3つの観点から解説します。

  • 大手求人サイトでのSAPエンジニアの募集数
  • 大手求人サイトでの正社員SAPエンジニアの平均年収
  • フリーランスでのSAPエンジニアの収入の期待値

それぞれ解説します。

大手求人サイトでのSAPエンジニアの募集数

弊社が大手求人サイトのSAPエンジニア募集数の推移を調査したところ、大幅な増加傾向がみられました。2022年4月と2023年5月を比較すると増加率は約2.5倍です。

※大手求人サイトの求人数や公開しているグラフデータを数値化して算出

大手求人サイトでの正社員SAPエンジニアの平均年収

SAPエンジニアは平均年収が高いことからも、その需要の高さがうかがえます。

弊社が大手求人サイトを調査したところ、正社員募集での平均年収は612万円でした。国税庁による民間給与所得者の平均年収は443万円(男性:545万円、女性:302万円)であることから、SAPエンジニアは一般的な会社員と比較して年収が高いことがわかります。

参考:「民間給与実態統計調査|国税庁」

続いて、代表的なITエンジニア職の平均年収と比較すると以下のとおりです。

職業(ITエンジニア) 平均年収
SAPエンジニア 612万円
プログラマー 423万円
システムエンジニア 509万円
インフラエンジニア 529万円
プロジェクトマネージャー 627万円
ITコンサルタント 644万円

SAPエンジニアの年収は、プログラマー・システムエンジニア・インフラエンジニアよりも高く、プロジェクトマネージャー・ITコンサルタントより低いという結果です。
SAPエンジニアは一般的に年収が高いといわれるITエンジニア職の中でも、高年収に位置づけられます。

フリーランスでのSAPエンジニアの収入の期待値

フリーランス案件相場の高さからも、需要の高まりが分かります。

大手フリーランス案件紹介サイトを弊社が調査したところ、SAPエンジニアの平均月収は約79万円でした。平均月収を1年間稼働した場合に換算すると、フリーランスでのSAPエンジニアの年収期待値は約948万円です。

※上記の正社員情報、フリーランス情報はともにランダムに求人情報を抽出し、求人募集の平均を算出

SAPはERPの世界シェアで1位になるほどの企業であり、国内シェアもトップクラスに位置しています。

さらに、現在SAPには「2027年問題」という特需があり、しばらくSEPエンジニアのニーズは高まる一方でしょう。

参考:「SAP、ERPソフトウェアの市場シェア分析で売上第1位にランク|SAPニュースセンター」

ここまでは、SAPエンジニアの将来性と需要に関してお伝えしてきました。

次では、SAPエンジニアの将来性が高い理由をさらに詳しくみていきましょう。

SAPエンジニアの将来性が高いと言える4つの理由

SAPエンジニアの将来性が高いと言える理由4つが箇条書きされた図

SAPエンジニアの将来性が高いと言える理由は以下の4つです。

  1. 「2027年問題」でSAPエンジニアが不足
  2. クラウドサービスの普及によるERP導入の促進
  3. デジタル化の取り組みが加速
  4. 国内企業のグローバル化への対応

まず前提として、現在はSAPエンジニアに限らずIT業界全体が深刻な人手不足であり、経済産業省の調査ではIT人材は2030年に約16万人から約79万人ほどの不足が懸念されています。

さらに、SAPはERPパッケージとして世界シェア1位・国内でもトップのシェアであることからSAPエンジニアも需要の高止まりが見込まれます。

参考:「IT人材育成の状況等について|経済産業省」

上記以外に、SAPエンジニアの将来性が高いといわれる具体的な理由はどのようなものがあるのでしょうか。

それぞれ解説します。

1.「2027年問題」でSAPエンジニアが不足

SAPエンジニアが不足している問題は、2027年に向けてさらに深刻化することが見込まれます。

その理由としては、現在国内に約2,000社以上のユーザーがいると言われている「SAP ERP 6.0」が2027年に標準サポートを終了するためです。

「SAP ERP 6.0」を導入しているすべての企業が一斉に対応を迫られることから「2027年問題」と呼ばれています。

対象企業は以下いずれかの対応が必要です。

  • 次期製品「SAP S4/HANA」へ移行
  • ほかのERP製品へ移行
  • 追加サポート料金を支払って現行の「SAP ECC 6.0」を継続利用

企業の基幹システムである「SAP ERP 6.0」を移行するには大規模なシステム対応が必要なため、SAPエンジニアに対する需要が高まることが見込まれています。

また移行が完了した後も、SAP製品を適用する業務範囲の拡大や、カスタマイズ対応なども必要になると考えられるためSAPエンジニアは中長期的に将来性の明るいエンジニアです。

2.クラウドサービスの普及によるERP導入の促進

ERPパッケージの導入には以前は高額な初期費用の問題がありましたが、最近ではクラウドサービスの普及により初期費用を抑えた選択も可能になっています。

従来のERPはおもにオンプレミス型のサービス提供が一般的でしたが、最近ではAWSやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスと提携を開始し、クラウド上での利用が可能になりました。

クラウド利用はオンプレミスと比較して初期費用や技術的なハードルが低く、ERP市場は今後も活気づいていくと予想されます。

SAP製品はERP市場で高いシェアを持つため、SAPエンジニアの需要も高まるでしょう。

3.デジタル化の取り組みが加速

SAP製品は大企業が利用しているイメージがありますが、実際には意外にも国内でSAPを利用している企業の約8割が年商1,000億円以下の中堅・中小企業です。

中小企業庁の報告によれば、コロナ禍を契機に企業のデジタル化の取り組みの優先順位は上がっています。

デジタル化の取り組み内容として、以前は個々のITシステムの導入を進めていました。

しかし、現在は進んでおり業務プロセス自体の見直しや業務効率化をはじめとしたビジネスモデル変革を推進する段階です。

このようなデジタル化の取り組みを実現する手段としてERPの必要性が高まっており、SAPエンジニアの需要も高まっています。

参考:「大企業向けと思われがちなSAP、実は顧客の8割が中堅企業|logmiBiz」
参考:「2022年版 中小企業白書 全文|中小企業庁」

4.国内企業のグローバル化への対応

国内企業は、国内市場が縮小傾向にあることや新興国や先進国での日本製品やサービスへの需要が高まっていることから、海外市場に関心をよせる企業が増えてきています。

コスト削減や海外市場の開拓、優秀な人材の獲得などを目指して、将来的にはさらに日本国内でもグローバル化が進むことが考えられるためSAP製品を導入する企業も増える可能性があります。

グローバル化といっても単なる言語対応だけではなく、海外の法律や業務フローなど多岐にわたる対応が必要です。

SAP製品は、言語だけでなく各国の法律・会計基準などさまざまな分野の国際標準に対応できるように作られています。

そのため、グローバル化を推進する国内企業にとって有効なソリューションとしてSAP製品は受け入れられるでしょう。

以上の4つをおもな理由として、SAPエンジニアの将来性が高いといわれています。

今後もSAPエンジニアは引く手あまたの状況が続くでしょう。

次では、SAPエンジニアの将来性を考える上で考慮すべきリスク要因を解説します。

SAPエンジニアの将来性を考える上での2つのリスク要因

SAPエンジニアの将来性を考える上でのリスク要因2つが箇条書きされた図

SAPエンジニアの将来性に関して、以下の2つのリスク要因があげられます。

  • 2027年問題が終わった後のピーク時と比べた一時的な需要の冷え込み
  • 別のERP製品への乗り換え

2027年問題が終わった後のピーク時と比べた一時的な需要の冷え込み

次期製品への移行プロジェクトが完了すると、企業はSAP製品に関して緊急で対応する理由がなくなるため、SAPエンジニアの需要が一時的に低下する可能性があります。

移行が完了した後も、SAP製品の適用範囲の拡大やカスタマイズ対応などが見込まれますが、それがどの程度発生するかは明確ではありません。

そのため、SAPエンジニアの需要が一時的に減少する可能性もあります。ただし、予想以上の仕事量が発生する可能性もあるため、現時点で確定的な見通しを立てることは難しい状況です。

別のERP製品への乗り換え

2027年問題をきっかけに、別のERP製品への乗り換えを決める企業も出てくるでしょう。

SAPの次期製品「SAP S4/HANA」は現在のビジネス環境にあわせて機能強化されていますが、従来のSAP製品「SAP ERP 6.0」と比較するとシステム構成などが大きく変わっています。

参考として、従来の「SAP ERP 6.0」と、次期製品「SAP S4/HANA」の変更点をまとめます。代表的な変更点は以下の3つです。

変更点 従来の「SAP ERP 6.0」 次期製品「SAP S4/HANA」
使用できるデータベース Oracle、Microsoft SQLServerなどを選択可能 SAP HANAのみ(データ処理高速化が目的)
新たなユーザーインターフェースの追加 SAP GUI SAP GUIに加えてSAP Fioriを追加(モバイル対応)
システム導入形態にクラウドが追加 オンプレミスのみ オンプレミス・クラウド

上記は代表例ですが、ほかにも多くの変更点があります。ERPは基幹システムであり、決して移行に失敗はできません。

そのため次期製品の移行にリスクがあると考えて慎重になったり、従来の製品で満足していた一部の企業は、製品提供元の方針により強制的にシステム刷新を迫られたと捉えたりするユーザーもいるでしょう。

このことから、SAP製品を利用している国内約2,000社の一部は、SAP以外のERP製品への乗り換えが発生すると見込まれます。

国内では、大塚商会の「SMILEシリーズ」や、富士通の「GLOVIAシリーズ」などがSAP製品の競合です。SAPの2027年問題をチャンスと捉えてSAP以外のERPベンダーも乗り換えの提案を強化してくると見込まれます。

SAPが今後も支持され続けるか、別のERP製品に乗り換えになるかはSAPエンジニアにとってリスクでしょう。

ここまでは、SAPエンジニアの将来性を考える上でのリスク要因をお伝えしてきました。

次では、SAPエンジニアの中でも特に需要と将来性が高い人の特徴を解説します。

SAPエンジニアの中でも特に需要と将来性が高い人材の3つの特徴

SAPエンジニアの中でも特に求められている人材の特徴3つが箇条書きされた図

大手求人サイトおよびフリーランス案件サイトから、SAPエンジニアの中でも特に年収・案件単価が高く市場から求められている以下3つの人材の特徴をまとめました。

  • SAP製品を扱った実務経験
  • 担当顧客に関する業務知識
  • ビジネスレベルでの英語力

それぞれ解説します。

SAP製品を扱った実務経験

需要が高い人材の最も多い共通点は、SAP製品を扱った実務経験を保有していることです。

高収入な求人・案件のすべてにおいて実務経験は必須条件となっており、3年から5年の実務経験者の求人が多い傾向にあります。

実際のプロジェクトでSAPシステムを導入した経験は、求人を募集している企業にとってたいへん重要です。

実務経験があると、SAPの基本的な概念やベストプラクティスに加え、問題解決能力やプロジェクト管理のスキルなど幅広い専門知識を獲得できます。

SAPの実務経験が豊富な人材は市場評価が高く、高い報酬を得ることができます。

担当顧客に関する業務知識

需要が高いSAPエンジニアには、担当顧客の業界や業務に関する知識も必要です。

それぞれの企業や業界には独自のニーズや課題があり、SAPエンジニアは担当する顧客の業務プロセスや法令・規則、用語などを理解して最適なSAPシステムの設定や開発を行う必要があります。

SAPにはモジュールと呼ばれる特定業務領域の機能をまとめたプログラムの集合体が用意されており、SAPを導入する企業に合わせてモジュールを選び利用します。

20以上のモジュールがあり、代表的なものは以下のとおりです。

モジュール名 略称
財務会計 FI(Financial Accounting)
管理会計 CO(Controling)
販売管理 SD(Sales and Distribution)
購買・在庫管理 MM(Material Management)
物流管理 LE(Logistics Execution)
生産管理 PP(Production Planning and Control)
品質管理 QM(Quality Management)
人事管理 HR(Human Resources)

業務知識が豊富なSAPエンジニアは、高い市場ニーズがあります。

ビジネスレベルでの英語力

英語力もSAPエンジニアにとって重要なスキルです。

ひとことで英語力といっても、「TOEIC650点以上」「グローバル案件の担当経験がある」「読み書きレベルの英語ができること」などそれぞれの求人・案件によって求められるレベルは多様です。

SAPはグローバル化を進める国内企業に広く使用されており、グローバルなメンバーでプロジェクト体制を構築することもあります。

その場合、海外のパートナーとのコミュニケーションやドキュメントの作成などで英語スキルを求められることがあります。ビジネスレベルでの英語力がある人材は、グローバルな案件にも対応でき、より将来性が期待できるでしょう。

以上の3つが、SAPエンジニアの中でも特に年収・案件単価が高い人材の特徴でした。

これらの特徴から、実務経験・業務知識・英語力を保有している即戦力が市場から最も求められているSAPエンジニアの人材像といえます。

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まとめ|SAPエンジニアは高い将来性があるからこそ努力が大事

本記事では、以下の3つのことがわかりました。

  • SAPエンジニアは、「求人数が増加傾向」「正社員・フリーランスともに高年収」であり需要が高い職業
  • SAPエンジニアの将来性が高い理由は、「2027年問題による特需」「クラウドサービスの普及」「デジタル化の加速」「グローバル化への対応」があげられる
  • SAPエンジニアの中でも特に需要が高い人の特徴は「SAP製品の実務経験」「担当顧客の業務知識」「ビジネスレベルの英語力」を保有している

SAPエンジニアは製品に依存する仕事であるため、将来性を不安視する声もあります。

しかし、国内でのERP需要は高まりをみせており、さらにSAPは世界トップシェアのERPソリューションであることから当面は高い需要が見込まれるでしょう。

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執筆者
じょう
新卒で国内大手Sierに入社しシステムエンジニアとして13年勤務。2023年4月よりフリーランスとして独立。 前職ではプロジェクトマネージャーやコンサルタントとしての役割を担い、個社の基幹システム運用やクラウド移行の案件を中心に商談〜構築〜運用まで幅広く担当。 ライターとしては経歴を活かしたIT関連の記事執筆が得意。妻は前職の同僚で現在も継続して勤務中。共働きで3児の父として子育てにも奮闘中。