遺族年金はいつまで受け取れる?種類と受給の条件や金額を徹底解説
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遺族年金は一家の大黒柱がなくなった場合に遺族が受け取る年金で、遺族の生活を支える財源です。
しかし、亡くなった人の配偶者でも受け取れない人もいるため、自分が受け取れるのかどうかを知っておく必要があります。
この記事では遺族年金の基礎知識やどのような人がいつまで受け取れるかを解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 自営業者の子どものいない妻は遺族年金を受け取れない
- 遺族基礎年金は子が18歳になるまで受け取れる
- 遺族厚生年金は再婚などをしなければ一生涯受け取れる
遺族年金の種類ともらえる年金額
最初に遺族年金の種類や受け取る金額について解説します。
遺族年金とは
遺族年金とは公的年金の加入者が亡くなったときに、亡くなった人と生計を共にしていた遺族に支払われる年金です。国民年金からは遺族基礎年金が支払われ、厚生年金からは遺族厚生年金が支払われます。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は国民年金の加入者または加入していた人が亡くなった場合に、一定の要件を満たした同一生計の遺族が受け取れます。
遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金の受給には、亡くなった人が次のいずれかに該当する必要があります。
- 保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の2/3以上あること
- 老齢基礎年金の受給資格期間(25年)を満たしていること
死亡日が令和8年3月末日までで亡くなった人が65歳未満であれば、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
遺族基礎年金を受け取れる人
遺族基礎年金は、すべての遺族が受け取れるわけではありません。受け取れるのは亡くなった人に生計を維持されていた以下のような遺族です。
- 子のある配偶者
- 子
遺族年金の受給要件の「子」とは、18歳になった年度の3月31日を過ぎていない子、または20歳未満で障害年金の障害等級1、2級の子(いずれも未婚)のことを指します。子のある配偶者と子に対して、同時に遺族基礎年金が支払われることはありません。親が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に同一生計の父または母がいるときは、子に遺族基礎年金は支給されません。つまり、両親が亡くなった18歳までの子だけが遺族基礎年金をもらえるわけです。
「生計を維持」とは、以下の要件をいずれも満たす場合です。
- 同一生計であることで、同居している、または別居でも仕送りしているなど
- 前年の収入が850万円未満、または所得が655万5,000円未満であること
以上のことから、自営業者の妻や夫が遺族年金を受け取るには、高校卒業前の子がいるかがポイントになります。なお、遺族年金の給付においては、事実婚の配偶者も法律婚の配偶者と同等に扱われます。
遺族基礎年金の受給金額
2022年度の遺族基礎年金の年金額は、以下の通りです。
受け取る人 | 年金額 |
---|---|
子のある配偶者 | 77万7,800円+子の加算額 |
子 | 77万7,800円+2人目以降の子の加算額(子の人数で割った金額が1人あたりの額) |
子の加算額は、以下の通りです。
- 1人目および2人目の子の加算額:各22万3,800円
- 3人目以降の子の加算額: 各7万4,600円
寡婦年金・死亡一時金
国民年金の保険料を納めていた人が年金を受給しないうちに亡くなると、遺族が寡婦年金や死亡一時金が受け取れる場合があります。
寡婦年金は保険料を10年以上(平成29年8月1日以前に死亡の場合は25年以上)納めた第1号被保険者の夫が亡くなった場合に、妻に対して支払われます。支給対象となるには10年以上継続した婚姻期間と同一生計であったことが必要で、妻が60歳から65歳までの間に支給されます。年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の3/4です。
死亡一時金は国民年金保険料を36ヶ月以上納めた第1号被保険者が、年金を受け取らずに亡くなった場合に遺族がもらえる一時金です。受け取る遺族の順位は、配偶者、子、父母、 孫、祖父母、兄弟姉妹の順です。一時金の額は以下の通りです。なお、付加保険料を36ヶ月以上納めた人は、以下の金額に8,500円が加算されます。
保険料納付済月数 | 一時金の額 |
---|---|
36ヶ月以上180ヶ月未満 | 12万円 |
180ヶ月以上240ヶ月未満 | 14万5,000円 |
240ヶ月以上300ヶ月未満 | 17万円 |
300ヶ月以上360ヶ月未満 | 22万円 |
360ヶ月以上420ヶ月未満 | 27万円 |
420ヶ月以上 | 32万円 |
寡婦年金と死亡一時金の両方の支給条件に該当する場合、受給する人がどちらかを選べます。一般的には寡婦年金を選択したほうが多くの金額を受け取れます。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は厚生年金の加入者または加入していた人が亡くなった場合に、同一生計の遺族が受け取れます。
遺族厚生年金の受給要件
遺族厚生年金を受けるには、亡くなった人が以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 厚生年金に加入中に死亡
- 厚生年金に加入中の傷病が原因で初診日から5年以内に死亡
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っていた
- 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上あった
上記1・2については保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の2/3以上ある人が対象です。
遺族厚生年金を受け取れる人
遺族厚生年金は亡くなった人と同一生計の以下の遺族の中で、最も順位の高い人が受け取れます。遺族厚生年金を受給できる遺族が遺族基礎年金の受給条件を満たす場合、両方を受給できます。
- 妻
- 子(遺族基礎年金と同条件)
- 55歳以上の夫(受給開始は60歳から。遺族基礎年金を併給できる場合、55歳から60歳の間であっても受給可)
- 55歳以上の父母(受給開始は60歳から)
- 孫(子と同じ条件)
- 55歳以上の祖父母(受給開始は60歳から)
遺族の優先順位は高い順に以下の通りです。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|
・子のある妻 ・子のある55歳以上の夫 ・子 |
・子のない妻 ・子のない55歳以上の夫 |
・55歳以上の父母 | ・孫 | ・55歳以上の祖父母 |
子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受給中は、子には遺族厚生年金は支給されません。
遺族基礎年金は子がいない人は受給対象外ですが、遺族厚生年金は子がいなくても受け取れます。
遺族厚生年金の受給金額
遺族厚生年金の年金額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4です。報酬比例部分の計算上、厚生年金の被保険者期間が300ヶ月未満の場合は、300ヶ月とみなして計算します。
中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算
遺族厚生年金には、年金額が加算される2つの制度があります。
「中高齢寡婦加算」は40歳以上で遺族基礎年金をもらえない妻に加算される年金で、40歳から65歳まで58万3,400円(年額)が受け取れます。対象となるのは、次のいずれかの条件を満たす妻です。
- 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、同一生計の子がいない妻。
- 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、末子が18歳到達年度末を迎えた(障害状態の場合は20歳になった)等のため、遺族基礎年金を受け取れなくなったとき。
「経過的寡婦加算」は、昭和31年4月1日までに生まれた妻に対して65歳以降に支給されます。
遺族年金受給のモデルケース
具体的に遺族年金はいくらもらえるのか、一例を紹介します。前提条件は次の通りです。
l 妻:39歳、厚生年金加入なし(経過的寡婦加算対象外)、60歳時の国民年金加入期間は480ヶ月
l 子:15歳
遺族厚生年金:100万円(報酬比例部分の年金額)×3/4=75万円
妻39歳~42歳(子が18歳になるまで) | 遺族基礎年金:100万1,600円 遺族厚生年金:75万円 合計:175万1,600円 |
妻43歳~64歳 | 遺族厚生年金:75万円 中高齢寡婦加算:58万5,700円 合計:133万5,700円 |
妻65歳~ | 遺族厚生年金:75万円 老齢基礎年金:77万7,800円 合計:152万7,800円 |
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遺族年金はいつまで受け取れるか
遺族年金がいつまで受け取れるかは年金の種類ごとに異なります。
遺族基礎年金の場合
子のある妻が遺族基礎年金を受給できるのは、支給要件を満たす子がいなくなるまでです。つまり、末子が8歳になった年度の3月31日まで、また障害等級1級または2級の障害状態にある末子が20歳に達するまでとなります。
子が受給する場合、18歳になった年度の3月31日まで、障害等級1、2級の障害状態であれば20歳に達するまでです。
遺族厚生年金の場合
遺族基礎年金は子どもが18歳までで打ち切られますが、遺族厚生年金は基本的に一生涯受け取れます。ただし、30歳未満の子のない妻は支給開始から5年経過すると支給停止になります。また、遺族年金以外の年金を受け取る場合、遺族厚生年金が支給停止になる場合があります。
遺族年金を受け取る権利を失う場合
遺族年金の受給権は、次のような場合に失権します。
- 遺族年金の受給権者が婚姻した場合
- 遺族年金の受給権者が養子になった場合
遺族年金で不足する資金は準備が必要
ここまでの内容を踏まえると、遺族年金は必ず受け取れるものではなく、受け取っても打ち切られるケースもあることがわかりました。子のない自営業者の妻、子のない30歳未満の会社員の妻などは厚生年金に頼れないため、夫に万が一のことがあった場合に備える必要があります。
遺族厚生年金が受け取れる人も金額を試算し、生活費や教育費の不足分を自分の収入でまかなう、生命保険で準備するなどの対策を考えましょう。
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遺族年金受給の手続き
最後に遺族年金を受給するための手続きを見ておきましょう。
請求手続き先
遺族年金の請求手続きの窓口となるのは、次の通りです。
- 遺族基礎年金のみの場合:市区町村役所
- 遺族厚生年金(遺族基礎年金を含む場合も):年金事務所または街角の年金相談センター
請求に必要な書類
遺族年金の請求に必要な主な書類は次の通りです。なお、死亡の原因が交通事故などの場合は別途必要な書類があります。
- 年金請求書
- 基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し※
- 死亡した人の住民票除票の写し(世帯全員の住民票の写しに含まれる場合は不要)
- 請求者の収入が確認できる書類(源泉徴収票など)※
- 子の収入が確認できる書類(高等学校等在学中の場合は在学証明書または学生証の写し)※
- 死亡診断書の写し
- 受取先金融機関の通帳等(本人名義)
※年金請求書にマイナンバーを記入すると省略可
手続きの流れ
遺族年金の請求から年金の受け取りの流れは、次の通りです。
- 「年金請求書」を年金事務所や市区町村役所に提出
- 「年金証書」 「年金決定通知書」 「年金を受給される皆様へ(パンフレット)」 が日本年金機構から自宅に送付される
- 年金証書が届いた1~2ヶ月後から年金が振り込まれる
なお、遺族年金は年金請求時に指定した口座に、偶数月に2ヶ月分振り込まれます。
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まとめ:いざというときの遺族年金について確認しておこう
遺族年金を受給できる条件は、年金の種類や遺族の状況によって異なります。受給できるかできないかでライフプランが大きく変わる、非常に重要な内容です。万が一の場合の年金を自分はいくら受け取れるのか、いつまで受け取れるかはすぐにでも確認しましょう。遺族年金が受け取れない人は、保険に加入するなどの対策も立てましょう。
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