年金は60歳から受給できる?年金受給開始年齢はいつがいい?
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定年を65歳に延長する企業が増える中、自身のリタイアの時期や年金を受給するタイミングに迷っている人は少なくありません。
そこで本記事では、年金を60歳から受け取った場合の受取額への影響や、年金受給開始年齢の平均値、年金を60歳から受け取ることのメリットやデメリットなどを解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 老齢年金は60歳から受給することができる
- 老齢年金を65歳から受け取る場合に比べ1ヶ月あたり0.4%または0.5%減額される
- 老齢年金を繰り下げ受給すると年金額は1ヶ月ごとに0.7%増額される
- 60歳から年金を受給するメリットは収入が安定することなど、デメリットは受給時期の変更ができないなど
- 年金を増やす方法は付加保険料を納付するなどの方法がある
年金は60歳から受給できる
老齢年金の支給は原則として65歳からとなっています。しかし、繰り上げ制度を利用することで60歳から1ヶ月単位で繰り上げて受け取ることも可能です。繰り上げ請求は、60歳になった月から65歳になる前月までで、その間であればいつでも請求ができます。繰り上げ請求をした場合は、請求をした月の翌月から受け取りが可能です。
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60歳から受給できる老齢年金の種類
公的年金は国が運営・管理をする年金制度のことをいい、給付される公的年金には、加入者が亡くなった際に遺族に支給される「遺族年金」、障害を持った際に支給される「障害年金」、老後の生活を支える「老齢年金」の3種類があります。
この中でも最も多くの人に関係する公的年金が「老齢年金」で、老齢年金は60歳から受給が可能です。また、老齢年金は以下の3つに分けられます。
老齢基礎年金(国民年金)
老齢基礎年金は一般的に「国民年金」と呼ばれているもので、原則として日本に住む20歳以上60歳未満の人すべてが加入する年金制度です。老齢基礎年金は10年間保険料を払い続けると受給資格を得ることができ、繰り上げ受給をしない場合は65歳から受給が可能です。
老齢基礎年金は加入者の職業や就学状況などによって以下のように3つに区分されます。
被保険者種別 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 |
---|---|---|---|
受給できる老齢年金の種類 | 老齢基礎年金(国民年金) | ||
老齢厚生年金(厚生年金) | |||
対象となる人 | 自営業者やその配偶者、フリーランス、学生、無職など第2・第3号被保険者以外の人 | 会社員や公務員 | 第2号被保険者にの被扶養者である配偶者 |
保険料の支払い | 国民年金保険料を自分で支払う、または免除を受ける | 厚生年金保険料を支払う(国民年金保険料が含まれている) | 負担なし |
第1号被保険者は自分で国民年金の加入手続きを行って保険料を支払いますが、第2号被保険者は会社の給与から天引きされる厚生年金保険料に含まれる形で国民年金保険料を支払っています。
第1号被保険者の収入がない場合や少ない場合、保険料の支払いの免除や減額といった措置を受けられるほか、学生の場合は「学生納付特例」という支払い猶予が受けられる制度も利用可能です。
なお、国民年金保険料は収入に関係なく年度ごとに決められた一定の金額を60歳になる誕生日の前月まで支払います。
老齢厚生年金(厚生年金)
老齢厚生年金はいわゆる「厚生年金」と呼ばれているもので、会社員や公務員が老齢基礎年金に上乗せする形で加入しています。そのため、会社員や公務員は老齢基礎年金しか受給できない自営業者やフリーランスと比較すると年金の受給額は多くなります。
厚生年金保険料は国民年金保険料のように誰でも一定ではなく、収入によって保険料が異なります。そして、加入期間に加え、納めた保険料の金額によって受給額が異なります。つまり、加入期間が長く、さらに収入が多い(納めた保険料が多い)人ほど受け取れる老齢厚生年金の金額も多くなるのです。
特別支給の老齢厚生年金
特別支給の老齢厚生年金は、1985年の法律改正によって老齢厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことを受け、受給開始年齢をスムーズに引き上げるために設けられた制度です。
特別支給の老齢厚生年金は以下の条件を満たしている場合、60歳から64歳までの間受給することができます。
- 1961年4月1日以前に生まれた男性
- 1966年4月1日以前に生まれた女性
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
- 厚生年金保険などに1年以上加入していたことがある
- 生年月日に応じた受給開始年齢に達している
なお、受給できる年金額は、年金の加入機関や過去の報酬額などから算出されることとなっています。
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年金を60歳から受給すると年金額は減額される
老齢基礎年金も老齢厚生年金も、受給開始年齢である65歳から60歳に繰り上げて受給できます。
受給を早く開始すればトータルでは多く年金を受給できるようにも思えますが、実はそうではありません。年金を繰り上げ受給した場合、繰り上げた機関に応じて年金受給額が減額されるため、結果として受給できる年金額が少なくなる可能性があるのです。
年金の減額率は、以下のように、65歳になる日の前月までの月数に、0.4%または0.5%をかけた値になります。なお、減額率は生まれた日によって次のように設定されています。
- 1962年4月1日以前に生まれた人
減額率=繰り上げた月数×0.5% - 1962年4月2日以降に生まれた人
減額率=繰り上げた月数×0.4%
老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに、繰り上げ受給を請求した年齢によって減額率が決まります。受給請求時の年齢ごとの一覧は以下のとおりです。
【1962年4月1日以前に生まれた人の減額率(単位:%)】
請求時の年齢 | 0ヶ月 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 7ヶ月 | 8ヶ月 | 9ヶ月 | 10ヶ月 | 11ヶ月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
60歳 | 30.0 | 29.5 | 29.0 | 28.5 | 28.0 | 27.5 | 27.0 | 26.5 | 26.0 | 25.5 | 25.0 | 24.5 |
61歳 | 24.0 | 23.5 | 23.0 | 22.5 | 22.0 | 21.5 | 21.0 | 20.5 | 20.0 | 19.5 | 19.0 | 18.5 |
62歳 | 18.0 | 17.5 | 17.0 | 16.5 | 16.0 | 15.5 | 15.0 | 14.5 | 14.0 | 13.5 | 13.0 | 12.5 |
63歳 | 12.0 | 11.5 | 11.0 | 10.5 | 10.0 | 9.5 | 9.0 | 8.5 | 8.0 | 7.5 | 7.0 | 6.5 |
64歳 | 6.0 | 5.5 | 5.0 | 4.5 | 4.0 | 3.5 | 3.0 | 2.5 | 2.0 | 1.5 | 1.0 | 0.5 |
【1962年4月2日以降に生まれた人の減額率(単位:%)】
請求時の年齢 | 0ヶ月 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 7ヶ月 | 8ヶ月 | 9ヶ月 | 10ヶ月 | 11ヶ月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
60歳 | 24.0 | 23.6 | 23.2 | 22.8 | 22.4 | 22.0 | 21.6 | 21.2 | 20.8 | 20.4 | 20.0 | 19.6 |
61歳 | 19.2 | 18.8 | 18.4 | 18.0 | 17.6 | 17.2 | 16.8 | 16.4 | 16.0 | 15.6 | 15.2 | 14.8 |
62歳 | 14.4 | 14.0 | 13.6 | 13.2 | 12.8 | 12.4 | 12.0 | 11.6 | 11.2 | 10.8 | 10.4 | 10.0 |
63歳 | 9.6 | 9.2 | 8.8 | 8.4 | 8.0 | 7.6 | 7.2 | 6.8 | 6.4 | 6.0 | 5.6 | 5.2 |
64歳 | 4.8 | 4.4 | 4.0 | 3.6 | 3.2 | 2.8 | 2.4 | 2.0 | 1.6 | 1.2 | 0.8 | 0.4 |
たとえば、1963年生まれの人が60歳の誕生月から年金を受給した場合、請求時の年齢は60歳0ヶ月のため、65歳の誕生月にから年金を受け取る場合よりも24.0%少ない受給額となります。
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年金の繰り下げ受給をすると年金額は増額される
年金を繰り上げて受給すると受給額が減額される一方で、年金を繰り下げ受給すると年金額は増額されます。
具体的には、1ヶ月ごとに0.7%増額され、繰り下げは75歳まで可能です。受け取る時期を遅くすればするほど受け取れる年金額が増える仕組みとなっており、増額率は以下の計算式に当てはめると算出できます。
増額率=65歳になった月から受給請求をした月の前月までの月数×0.7% |
仮に65歳からの受給を70歳で5年間(60ヶ月)まで遅らせた場合、42%増額することが可能です。
2022年度の老齢基礎年金の満額は月額64,816円ですので、単純計算で年額777,792円受け取る年金が、年額1,104,464万円になるという計算になります。年間約32万円程度受取額が増えるため、非常にお得であるといえるでしょう。
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年金を60歳から受給するメリット・デメリット
ここまでご紹介したとおり、60歳から年金を繰り上げ受給する場合のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット①安定した収入が得られる
たとえば60歳で定年を迎える人の場合、再就職や不動産収入など何らかの収入がなければ、65歳からの年金受給までの5年間は無収入の状態が続くことになります。貯金がある人でも、5年もの間貯金を切り崩すだけの生活になってしまうでしょう。
そのような人にとっては、たとえ受給額が減っても繰り上げ受給をすることによって安定した収入が得られるようになります。
また、年金を受給しながらでも働いて給与収入を得ることは可能です。給与所得だけでは生活費用が足りない場合や、年金だけでは生活ができない場合、繰り上げ受給をすることで収入源を複数確保することができます。
なお、厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度で国民年金の繰り上げ受給をしている人の割合は、11.7%となっています。
メリット②確実に年金が受給できる
65歳まで受給を待ったり、さらに受給開始年齢を繰り下げたとしても、それまでに本人が亡くなってしまえば当然年金も受給できません。
とくに健康面に不安を抱えている人の場合、先の見えない将来を待っているよりも、確実に元気に生きられている今のうちに年金を受給して、生活資金や趣味のためにお金を使いたいと考えることも不思議ではないでしょう。
持病がある人や、先々のことよりも「今」を大切にしたいと強く考える人であれば繰り上げ受給を検討してみるのも一つの手です。
デメリット①毎月の年金受給額が減る
先にご紹介したとおり、年金を繰り上げ受給すると、受け取れる年金額は本来の受給開始年齢よりも1ヶ月前倒しするごとに0.4%または0.5%の減額となります。
さらに、この減額率は変更されることなく生涯続きます。早く受給できる一方、受け取れる総額は減ってしまうため、やむを得ず繰り上げ受給をしなければならないケースを除いては、65歳まで受給を待つ方が良いでしょう。
デメリット②国民年金と厚生年金の両方に適用される
会社員や公務員として働いていた人は老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給することができますが、繰り上げ受給はどちらか一方のみではなく、両方に適用されます。
そのため、たとえば会社の定年制度が65歳に変更され、60歳以降も働いて厚生年金に加入できるようになった場合に、老齢基礎年金だけ繰り上げ支給するというようなことはできません。
なお、厚生年金では60歳以降に繰り上げ受給をしながら働くことが可能な「在職老齢年金」というものもあります。ただし、年金の受給額と給与額の合計が一定の金額を超えてしまうと年金額が調整され、受給できる年金が減額されるため注意が必要です。
デメリット③受給時期の変更ができない
年金の繰り上げ受給は一度申請すると取消しや変更ができません。 たとえば繰り上げ受給をしている間に仕事に就いて安定した収入が得られるようなことがあっても、繰り上げ受給を停止することはできず、減額された状態の年金が支給され続けることになります。
60歳を過ぎても気力・体力的に働ける状態なのであれば、年金の繰り上げ受給を検討する前に、65歳まで働ける環境を探してみても良いかもしれません。
デメリット④遺族年金や障害年金の受給に影響が出る可能性がある
年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金のほかに、障害年金と遺族年金があります。
障害年金は病気やケガによって身体や精神に障害を負った場合に受給できるものですが、繰り上げ受給をした場合は、60歳から65歳までの間に障害を負っても障害年金が請求できません。
また、加入者が亡くなった場合に遺族が受け取ることのできる遺族年金ですが、65歳までは老齢年金か遺族年金のいずれかしか受け取ることができません。遺族年金の方が金額が多い場合は65歳まで遺族年金の受給を選択することができます。
しかし、一度繰り上げ受給の請求をしてしまっていると、65歳を過ぎて遺族年金と老齢年金の両方を受け取れるようになっても、受け取れる老齢年金は減額されたままとなるのです。
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年金は60歳からの受給と繰り下げるのとではどっちが得?
「受け取れる年金額が増えるなら繰り下げ受給したい」と思う一方で、「いつまで生きられるかはわからない」という思いから受給開始のタイミングについて迷う人も多いでしょう。
結論からいうと、自分が何歳まで生きられるのかは誰にもわからないため、正確に「いつから受給すると得」ということはわかりません。厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳ですので、平均寿命を一つの目安にしてみるのも良いかもしれません。
また、「損益分岐点」を参考にしてみる方法もあります。損益分岐点は、2つの異なる受給開始年齢を比較し、何歳になると受取額の総額が等しくなるかを調べるものです。
以下では、60歳から繰り上げ受給をした場合と65歳から受給した場合、65歳から受給した場合と70歳から繰り下げ受給をした場合の損益分岐点をご紹介します。
60歳から繰り上げ受給した場合と65歳から受給した場合の比較
1962年4月1日以前に生まれた人の場合、年金を60歳から繰り下げ受給すると減額率は30%となります。令和4年度の国民年金受給額(年額)は満額で約77万円です。こちらを参考に65歳における満額受給が年額77万円だった場合、繰り下げ受給の年金額は30%減額で約54万円になります。
年齢 | 70歳 | 75歳 | 76歳9ヶ月 |
---|---|---|---|
60歳から繰り上げ受給をした場合 | 540万円 | 810万円 | 904.5万円 |
65歳から受給した場合 | 385万円 | 770万円 | 905万円 |
この場合だと、76歳9ヶ月より長生きをすると、65歳から受給を開始した方が受け取れる年金の総額は多くなります。
65歳から受給した場合と70歳に繰り下げ受給した場合の比較
次に、65歳から受給を開始した場合と、繰り下げ受給をして70歳から受給を始めた場合の比較です。65歳における満額受給が年額77万円だった場合、70歳から繰り下げ受給をすると42%増額され、約109万円となります。
年齢 | 75歳 | 80歳 | 82歳1ヶ月 |
---|---|---|---|
65歳から受給した場合 | 770万円 | 1,155万円 | 1,315万円 |
70歳から繰り下げ受給した場合 | 545万円 | 1,090万円 | 1,317万円 |
この場合は、82歳1ヶ月より長生きをする場合は、70歳から繰り下げ受給を開始した方が受け取れる年金の総額は多くなります。
年金受給開始年齢はいつが多い?
損益分岐点を把握したうえで平均寿命を考えると、年金は繰り下げ受給をした方がお得のようにも思えます。では、実際に現在年金を受給している人たちは、何歳から年金を受給しているのでしょうか。
受給開始年齢についてわかる資料はありませんが、厚生労働省が公表している2020年度の「厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、老齢年金の受給権者の年金繰り上げ、繰り下げ状況は次のようになっています。
老齢基礎年金(国民年金) | 老齢厚生年金(厚生年金) | |
---|---|---|
繰り上げ受給 | 11.7% | 0.5% |
65歳から受給 | 86.7% | 98.5% |
繰り下げ受給 | 1.6% | 1.0% |
老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに、割合としては65歳から受給を開始する人が圧倒的に多いことがわかります。繰り下げ受給にすると受取額が増えることは知っていても、確実に元気なうちに受け取ることを選択している人が多いのかもしれません。
▼65歳まで働くメリットとは?
65歳まで働くメリットは?雇用制度やもらえる年金など詳しく解説
定年延長などの影響もあり、現在では65歳まで働く人も珍しくありません。 しかし、これまでよりも長期間働くことに不安を感じる方も少なくな
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繰り下げ受給以外に今から年金を増やす方法
年金は繰り上げ受給できるものの、平均寿命を考えたり、心身ともに働くことが難しくなり、年金収入のみに頼るようになる状況を考えると、繰り上げ受給はなるべく避けた方が良いともいえます。
繰り上げ受給をしないのであれば、次のような方法でさらに将来受け取れる年金額を増やす方向に考え方をシフトしてみるのも一つの手です。
国民年金に任意加入する
国民年金は加入期間が20歳から60歳までの40年間となっていますが、40年間のうち加入していない期間があれば満額受給きません。しかし、60歳を過ぎても条件を満たせば、65歳まで国民年金に任意加入することができます。
加入期間が1年増えるごとに受け取れる老齢基礎年金額は年間約2万円増えます。また、そこで加入期間が40年に達することができれば満額受給も可能です。
会社員から自営業になった際に納付免除を受けていた人や、収入が減ったことで免除申請を受けていた人、「学生納付特例制度」を利用していた人などは追納できる可能性があります。
付加保険料を納付する
国民年金には「付加年金」と呼ばれる上乗せ制度があります。この制度では、国民年金保険料に月400円を上乗せして支払うことで、受け取れる老齢基礎年金を「付加保険料納付月数×200円」増やすことができます。
たとえば60歳から65歳までの5年間国民年金に任意加入し、さらに付加年金に加入した場合、24,000円の付加保険料の支払いで、老齢基礎年金を年間12,000円増やすことが可能です。受給から2年間で元が取れることになるため、非常にお得な制度といえるでしょう。
給与をアップさせる
厚生年金は平均標準報酬月額が基準となっているため、もとの給与や賞与が増えれば保険料が増え、年金受給額もアップします。さらに、加入期間が長ければ長いほど年金受給額はアップします。
資格を取得することで給与がアップしたり、今の仕事よりも待遇が良く、さらに定年年齢が70歳など長く働ける会社に転職できる可能性があるのならば、スキルアップやキャリアチェンジを検討するのも良いでしょう。
60歳以降も働く
厚生年金は、原則として70歳までであれば厚生年金保険料を納めることが可能です。そのため、60歳以降も働いて厚生年金保険料を納めることができれば、安定した収入が得られるだけではなく、老齢厚生年金の受給額も増やせます。雇用条件によっては会社の健康保険にも加入することができるため、健康保険料の負担額も減らすことができます。
iDeCoを利用する
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月自分で掛金を拠出し、自ら選んだ商品を運用して老後に個人年金として受け取る私的年金制度のひとつです。
年金を受け取れる年齢は原則として60歳以降ですが、iDeCoでは掛金が全額所得控除となるため、毎年支払う所得税や住民税を安くでき、さらに運用で得た利益にも税金がかかりません。また、一時金や年金として受け取る際にも税制優遇が受けられるため、公的年金と組み合わせて加入する人が増えています。
つみたてNISAを利用する
つみたてNISAは、年間40万円までの積み立て投資を専用とした少額投資非課税制度です。通常、金融商品を売買して利益を得た場合利益に対して約20%の税金がかかるところ、つみたてNISAは最長20年間、最大800万円まで非課税で利益を受け取ることができます。
あらかじめ積み立てる金額を設定し、一度金融機関に申し込みをすれば、その後は毎月口座から自動的に金額が引き落とされ、自分で選んだ金融商品に買い付けが行われます。
個人年金保険に加入する
民間の保険会社には「個人年金保険」と呼ばれる商品があります。これは60歳や65歳などあらかじめ決められた年齢まで保険料としてお金を積み立て、決められた年齢になると積立金をもとに私的年金として受給するものです。
個人年金保険では、定額や変額、円建てや外貨建てなどさまざまな運用方法から自分に合ったものを選ぶことができます。また、一定の条件を満たせば年間の支払い保険料に応じて一定額が所得から控除されるため、毎年支払う住民税や所得税を減らせる点も大きなメリットです。
国民年金基金に加入する
国民年金基金は、自営業やフリーランス、フリーターなど、国民年金第1号被保険者の人が老齢基礎年金に上乗せして加入できる公的な年金制度です。任意加入の人を含め、年金保険料を納付している人であれば加入でき、積み立てる掛金は加入時に決めた金額から変わることがありません。また、掛金は全額所得控除の対象となります。
さらに、一部のプランを除き、本人が死亡した際は家族に遺族一時金が支払われます。ただし、国民年金基金は付加年金との併用はできません。
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年金受給のタイミングは慎重に検討を
年金の繰り上げ受給は一度申請すると取り消すことはできないため、早く受け取りたいと考えた場合でも慎重に検討する必要があります。また、繰り上げ受給は早い段階から安定した収入は得られるものの、年金以外の収入が完全になくなった場合には、受給額が少ないことで後悔する可能性もあるでしょう。
今回ご紹介した平均寿命や損益分岐点も参考に、目先の収入だけに捉われるのではなく、長く働き続けることや、資産運用で今あるお金を増やすことにも目を向けてみることをおすすめします。
年金の種類は1つではない!さまざまな分類をわかりやすく解説
「年金」と聞いて老後に受け取る「老齢年金」を真っ先に思い浮かべる人は多いでしょう。年金は公的年金と私的年金の大きく2種類に分けられ、公
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