年金の受給資格は?受給開始年齢など具体的な条件を解説

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年金は安定した老後生活を送る上で、欠かせない生活資金です。

しかし、年金を受給するための条件を詳しく把握しておらず、きちんと年金をもらえるか不安に思う方も多いのではないでしょうか?
今回は、老齢年金の受給資格について具体的な条件や受給開始年齢などを詳しく解説します。

年金の受給資格を把握したい方はぜひ参考にしてください。

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  • 年金には国からもらえる「公的年金」と自身で加入する「私的年金」がある。
  • 公的年金は65歳から受給可能で一生涯受給できる。
  • 公的年金は「国民年金保険料の納付期間が10年以上」であることが基本条件

年金には公的年金と私的年金がある

お金

年金には国からもらえる「公的年金」と、企業から退職時にもらえる企業年金や自分で老後資金を用意するiDeCo(イデコ)などの「私的年金」があります。

公的年金は2種類

公的年金には2種類あり、以下のとおりです。

  • 国民年金(基礎年金):20歳以上60歳未満のすべての人に加入・支払いが義務づけられている年金
  • 厚生年金:会社員や公務員等が加入でき、国民年金に上乗せしてもらえる年金

主に自営業などで仕事をする場合は国民年金に、会社員として雇用され仕事をしている場合は国民年金と厚生年金の両方に加入することとなります。

私的年金とは

私的年金とは国民年金のように加入義務はなく、代表的なものが個人で加入するiDeCo(個人型年金)です。

iDeCoは自身で毎月支払う掛金を設定し、60歳以降に年金給付を受けられるもので、税制優遇などのメリットもあり近年加入者が増えています。

今回は加入が義務付けられる「公的年金」について、受給資格を詳しく解説します。

公的年金の受給資格

書類

公的年金の受給資格は国民年金と厚生年金で条件が異なるため、それぞれ分けて解説します。

国民年金の受給資格

国民年金の受給資格は以下のとおりです。

  • 保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある

【出典】日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」

原則として国民年金に加入し保険料を支払った期間が10年以上あれば、国民年金の受給資格を満たします。
従来は受給資格を得るために25年以上の加入期間が必要でしたが、法改正により2017年8月1日から10年に短縮されています。

厚生年金の受給資格

厚生年金を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 厚生年金の被保険者期間が1か月以上ある
  2. 国民年金保険料の納付期間が10年以上である

厚生年金に加入した上で、国民年金保険料を10年以上支払った場合に受給資格を満たせます。
厚生年金は会社員や公務員等を対象としており、国民年金にも同時に加入しています。

基本的に国民年金の受給資格を満たしていれば、厚生年金の受給資格も同時に満たせるでしょう。

公的年金が受給できる年齢

年齢

公的年金の受給年齢は、受け取る年金の種類によって以下の違いがあります。

  • 国民年金・厚生年金ともに原則65歳
  • 特別支給の老齢厚生年金は60~65歳

条件次第で年金を受け取れる年齢が変わるため、詳細を把握しておきましょう。

国民年金・厚生年金ともに原則65歳

公的年金は国民年金・厚生年金ともに原則65歳から一生涯受給可能です。
後述する公的年金の計算方法により決定した金額を12等分し、毎月支給されます。

受給できる年金額は、保険料を納付した月数など条件によって変わります。ただし、手続きを行うことで受給年齢を早める「繰り上げ受給」と受給年齢を遅める「繰り下げ受給」が可能です。

繰り上げ受給

手続きを行うことで、60歳から64歳までの間に受給を早める「繰り上げ受給」ができます。

繰り上げ受給は年金を早めに受け取れるものの、一定の減額率が設定され毎月受け取れる年金の支給額が減額されてしまうため、繰り上げ受給は慎重に検討した方が良いでしょう。

繰り下げ受給

年金の受け取りを66歳以降に遅らせる「繰り下げ受給」も可能です。
繰り下げ受給を行うことで、繰り下げた期間に応じて一定の増額率が設定され、毎月受給できる年金額が増額します。

特別支給の老齢厚生年金は60~65歳

特別支給の老齢厚生年金は、昭和60年の法改正で厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際に、受給開始年齢を段階的に引き上げる措置として設けられた制度です。

以下の条件を満たす人は「特別支給の老齢厚生年金」の対象となり、60〜65歳時点から年金受給が可能です。

  • 男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれている。
  • 女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれている。
  • 老齢基礎年金(国民年金)の受給資格期間(10年)があること。
  • 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
  • 生年月日に応じた受給開始年齢に達していること。

【出典】日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」

特別支給の老齢厚生年金は65歳以前から受給でき、65歳以降の年金受給額の減額もありません。

公的年金の計算方法

計算

公的年金の受給額は、国民年金と厚生年金で算出方法が異なるため、以下でそれぞれ詳しく解説します。

国民年金の計算方法

国民年金の年間受給額は以下の計算式で算出できます。

  • 国民年金受給額=年金額×(保険料の納付月数÷480ヶ月)

令和4年度は上記の「年金額」部分が777,800円で設定されており、仮に保険料を20から60歳までの480ヶ月納めた場合、年間受給額は以下の通りです。

  • 国民年金年間受給額=777,800円×(480ヶ月÷480ヶ月)=777,800円

年間777,800円の国民年金が受給でき、月々で64,816〜64,817円となります。

ただし、上記はあくまで20〜60歳の間、国民年金保険料を支払い続けた場合であり、納付していない期間があればその分もらえる年金額は少なくなるでしょう。

厚生年金の計算方法

厚生年金の受給額は以下の計算式で算出できます。

  • 厚生年金受給額 =報酬比例部分+経過的加算+加給年金額

上記の「報酬比例部分」「 経過的加算」「加給年金額」の具体的な内容と計算方法は以下の通りです。

概要 計算方法
報酬比例部分 厚生年金額算出の基礎となる部分。
年金の加入期間や過去の報酬に応じる。

報酬比例部分=A+B

A:平成15年3月以前の加入期間
A=平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数

B:平成15年4月以降の加入期間
B=平均標準報酬月額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数

経過的加算 特別支給の老齢厚生年金との差額を調整するための加算額。 経過的加算=定額部分として計算した額ー777,800×昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者月数/(加入年数×12)
加給年金額 厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳到達時に生計をともにする配偶者や子がいる時に加算される。 ・配偶者:223,800円
・1人目・2人目の子:各223,800円
・3人目以降の子:各74,600円

【参考】日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
【参考】日本年金機構「報酬比例部分」

上記の内、最も厚生年金の受給額を左右するのは「報酬比例部分」です。
上記表内の3つの合計が、年間でもらえる厚生年金受給額となります。

厚生年金受給額は計算方法が複雑であり、加入時期や家庭事情によっても変わることから自力で算出するのが難しい人もいるでしょう。
その場合、後述する「ねんきんネット」で受給できる年金の見込み額を確認できるので、気になる方はチェックしてみてください。

なお、厚生労働省の報告によれば、令和2年度の厚生年金受給者の平均年金月額は146,145円です。

参考:厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

公的年金の受給資格をを満たしているかは「ねんきんネット」で確認できる

PC

国民年金や厚生年金の受給条件を満たしているかは、「ねんきんネット」で確認できます。

ねんきんネットは日本年金機構が運営するWEBサイトで、国民年金・厚生年金の加入者は以下の項目を閲覧可能です。

  • 公的年金制度(国民年金、厚生年金)の加入履歴
  • 1年間の保険料納付額、これまでの保険料納付額
  • 受給できる年間年金見込み額 など

上記で公的年金制度の加入状況を把握できるため、国民年金・厚生年金の受給条件である「国民年金保険料の納付期間が10年」を満たしているか確認できます。

また、将来どれだけ年金を受け取れるか受給見込み額も閲覧できるので、年金をいくらもらえるか気になる方はねんきんネットを活用しましょう。

【参考】日本年金機構「「ねんきんネット」によるご自身の年金記録の確認」

公的年金の受給資格を満たしていない場合の対処法

パソコンに向かう男性

公的年金の受給資格である「国民年金の納付期間が10年以上ある」を満たしていない場合、以下の2つの対処法があります。

  • 国民年金に任意加入する
  • 厚生年金に任意加入する

ねんきんネットなどで国民年金加入期間を確認し、足りない場合は上記2つの方法を検討しましょう。

国民年金に任意加入する

国民年金の加入期間は原則60歳までですが、受給資格を満たしていない場合は、60歳以降でも国民年金に任意加入できる「任意加入制度」を利用できます。

任意加入制度は、具体的に以下の条件に当てはまる人が対象です。

  1. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
  2. 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
  3. 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
  4. 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
  5. 日本国籍を有しない方で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する方ではない方

【出典】日本年金機構「任意加入制度」

上記以外にも、「年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人」や「外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の人」も加入できます。

なお、加入手続きは居住地域を管轄する市区役所・町村役場にある国民年金担当窓口、もしくは近くの年金事務所で可能です。

厚生年金に任意加入する

基本的に70歳になると、厚生年金の加入資格を失います。

しかし、国民年金の受給条件を満たしておらず、70歳を過ぎても会社に勤める場合は、受給条件である国民年金加入期間10年以上を満たすまで任意に厚生年金保険に加入できます。
具体的な加入要件は、以下のとおりです。

  1. 厚生年金保険の被保険者となることについて、事業主の同意を得ていること。
  2. 厚生年金保険の加入について、厚生労働大臣が認可すること。

【出典】日本年金機構「70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き」

厚生年金の任意加入を希望する場合、加入者本人が「高齢任意加入被保険者資格取得申請書」を日本年金機構に提出する必要があります。

まとめ

年金には公的年金と私的年金の2種類があり、公的年金である国民年金・厚生年金には「国民年金の納付期間が10年以上」という受給条件が定められています。

公的年金の加入状況は日本年金機構が運営するWEBサイト「ねんきんネット」で確認できるので、受給資格を確認し将来の年金受給見込み額を知りたい方はぜひ活用してください。

もし受給条件を満たしていない場合は、国民年金・厚生年金の任意加入制度を利用しましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。