定年退職に関する「いつ?」を徹底解説【年齢の考え方と退職日】
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定年年齢が見えてきたものの、具体的にはいつが定年退職日となるのかご存知でしょうか?
定年退職時の年齢によって受けられる失業手当は変わりますが、その点はあまり知られていません。
本記事では、定年制度における退職日の考え方、法律や就業規則、雇用保険の点から解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 定年退職日は公務員の場合は法律で決まっている。企業の場合は就業規則で定めるのが一般的
- 就業規則の退職日を理解する際は満年齢の考え方に注意。法律で用いられる満年齢の考え方は「満年齢到達日」=「誕生日の前日」
- 雇用保険上、65歳未満で退職した場合は「基本手当」、65歳以上で退職した場合は「高年齢求職者給付金」の受給資格がある場合がある
定年退職の「退職日」は具体的にはいつ?
定年退職の年齢は法律上は60歳を下回らない範囲で、事業主が設定できます(2022年10月現在)。また、退職日も、会社としてもっとも合理的な日を自由に決めて良いことになっています。
昨今の高年齢者の雇用安定に関する施策で「定年の定めを行わない」会社も出てきていますが、全体の4%と、まだメジャーではありません。会社が定年を定める場合は、就業規則に規定を設けるか、労働者との個別の雇用契約書に記載する必要があります。
公務員や教員の定年退職日は法律に定められている
国家公務員の定年退職日は国家公務員法によって定められています。
公立学校の教職員を含む地方公務員は、地方公務員法の規定により「国家公務員の定年を基準としてそれぞれの地方自治体の条例で定める」とされており、各自治体の条例などで最終的に定められることになります。
国家公務員の定年年齢は、2022年度まで、一部の職を除き原則60歳です。また、定年退職日は、特別に定めのない限り「60歳に達した日以後における最初の3月31日」となっています。
ただし、2023年度から段階的に定年年齢を引き上げることが決定しており、2031年度以降は原則として65歳定年となります。それにともない退職日も、それぞれの年度に適用される退職年齢に応じ「(退職年齢)歳に達した日以後における最初の3月31日」になるでしょう。
一般企業の定年退職日は勤め先の就業規則を確認
企業に勤めている場合、具体的な定年退職日を知るには、就業規則の定年退職および退職日に関する記述を確認しましょう。
厚生労働省作成の規定例「モデル就業規則」では下記のように表現されています。
第49条 労働者の定年は、満65歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。
勤め先の就業規則によって、退職日の定めや表現はさまざまですが、おもなものは下記①〜⑥でしょう。
② 定年年齢(〇〇歳)に達した日/の誕生日の属する月の月末
③ 定年年齢(〇〇歳)に達した日/の誕生日の属する給与締切日(会社による)
④ 定年年齢(〇〇歳)に達した日/の誕生日の属する年度末(3月31日)
⑤ 定年年齢(〇〇歳)に達した日/の誕生日の属する年末の日(12月31日)
⑥ 定年年齢(〇〇歳)に達した日/の誕生日の属する事業年度の末日(会社による)
ここで注意したいのが、「◯◯歳に達した日」と「◯◯歳の誕生日」では、退職日が異なることです。詳しくは後述しますが、この点は十分に注意して確認してください。
勤め先の就業規則に具体的な日が定められてない場合
「◯◯歳で定年とする」など、日付の記載がない場合は、会社の総務・人事部門に退職日を確認しましょう。
また、会社の総務・人事部門は、自社の就業規則の退職に関する定めに退職日の日付の記載がない場合は、改訂を検討しましょう。
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定年退職における年齢の考え方と退職日
厚生労働省のモデル就業規則をもう一度見てみます。
「満65歳」と「定年に達した日」という表現が出てきます。このような年齢の条件の記載方法は、雇用保険や健康保険、年金制度などでも頻繁に用いられますが、注意が必要です。
法律などで使用されるこの概念は「満年齢到達日」と呼ばれ、「◯歳に達した(する)日」は◯歳の誕生日の「前日」を指すためです。
「○歳に達した日」と「○歳の誕生日」は1日違う
満年齢の計算は、「年齢計算ニ関スル法律」と「民法」に定められています。 この定めでは、満年齢の計算は「初日算入」とされ、誕生日を1日目として数えます。
「満◯歳に達する日」は「◯歳を迎える誕生日の前日」となりますが、「満◯歳の誕生日」と表記されていれば、誕生日そのものを指します。
したがって、4月1日生まれの人の場合、就業規則の定め方によって退職日は下記のとおりです。
就業規則の記載例(◯は60歳以上の具体的な年齢) | 4月1日生まれの場合の退職日 |
---|---|
・従業員の定年は満◯歳とし、定年に達した日をもって自然退職とする ・◯歳に達した日をもって定年退職とする ・◯歳に達した日の属する月の末日をもって定年退職とする | 3月31日 |
・従業員の定年は満◯歳とし、定年に達した日の翌日をもって自然退職とする ・◯歳の誕生日をもって定年退職とする | 4月1日 |
・◯歳の誕生日の属する月の末日をもって定年退職とする | 4月30日 |
上記違いを理解した上で、勤め先就業規則の定年に関する定めを確認し、退職日を確定しましょう。
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定年退職をいつするかは雇用保険に大きく影響
定年退職をめぐる手続きで、定年退職日が大きく影響するのは雇用保険です。
雇用保険では65歳未満の被保険者を「一般被保険者」、65歳以上の被保険者を「高年齢被保険者」に分けており、この二つの保険者資格では適用される制度が異なります。
前述の満年齢の計算により、一般被保険者でいられるのは「65歳の誕生日の前々日まで」、高年齢被保険者となるのは「65歳の誕生日の前日から」であり、保険者資格は特段の手続きなく自動切替えです。
雇用保険には、退職後も働く意欲がある人の求職中の生活をサポートする失業給付制度がありますが、一般被保険者と高年齢被保険者ではこの失業給付の内容が大きく変わります。
保険者名 | 加入期間 | 申請できる失業給付制度 |
---|---|---|
一般被保険者 | 65歳の誕生日の前々日まで | 基本手当 |
高年齢被保険者 | 65歳の誕生日の前日以降 | 高年齢求職者給付金 |
雇用保険の高年齢被保険者の概要については、下記の記事もご覧ください。
高年齢被保険者とは?概要・加入手続・受給できる給付金などを解説
65歳以上の失業保険は「高年齢求職者給付金」
65歳到達日(65歳の誕生日前日)以降に退職し、失業の状態(就職の意思があり、積極的に求職活動を行っている)にある場合に申請できる失業給付は「高年齢求職者給付金」です。
支給要件を満たした場合、被保険者期間が1年未満なら「基本手当日額」の30日分、1年以上なら50日分を一時金として一括で受け取ることができます。
年金との同時受け取りが可能な点が特徴です。
参考:雇用保険の高年齢求職者給付金を受け受けようとする方へ|厚生労働省
雇用保険の高年齢被保険者の概要については、下記の記事もご覧ください。
高年齢求職者給付金を徹底解説!【65歳からの失業保険】
65歳未満の失業保険は「基本手当」
65歳到達日より前(65歳の誕生日前々日以前)に退職し、失業の状態にある場合は失業給付の「基本手当」が申請できます。
支給要件を満たした場合、被保険者期間に応じて90日・120日・150日を上限として「基本手当日額分」を分割で受給することになります。4週間ごとに失業の資格認定の手続きが必要です。
年金との同時受給はできず、ハローワークで求職の申し込みを行うと老齢厚生年金の全額が支給停止となります。
また、退職理由が「自己都合退職」の場合は、基本手当の受給手続日から原則として7日経過した日(7日間は待機期間)の翌日から2か月間の給付制限期間があります。
参考:雇用保険の給付を受けると 年金が止まります!|日本年金機構
基本手当と高年齢求職者給付金どちらがいい?
どちらの給付金でも計算基礎となる「基本手当日額」は、離職日直前の6ヶ月間で毎月決まって払われていた賃金合計額を180(日数)で割った「賃金日額」に年齢や賃金額に応じた給付率を掛けて算出します。
ざっくりと言えば、退職前の給与の5割から8割の失業給付が受け取れるイメージです。
高年齢求職者給付金より基本手当の方が支給日数の最低・最大が大きいため、もらえる金額も大きいと言えるでしょう。
ただし、会社の規定で「65歳に達する日」が定年退職日となっている場合、それより前の退職は「自己都合退職」となり、基本手当受給には2ヶ月の給付制限がかかります。
また、家族の健康保険上の扶養に入ろうとしている人の場合、失業保険の受給額によっては扶養に入れない、扶養から外れなければならない可能性もあります。
定年退職する勤め先で65歳まで退職金を積み増ししている場合は、退職理由が自己都合となると、退職金の額が変わることもあるため、どちらの給付を申請すべきか考える場合は、ご自身の退職後のプランにそってよく検討されてみてください。
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定年退職の年齢引き上げはいつから?
少子高齢化による労働人口の減少と健康寿命の延伸を受けた社会保障制度維持の観点から、高年齢労働者の活用が社会的な課題となっています。
「70歳まで引き上げられるのでは?」といった見方も出て来ている「定年」ですが、日本の標準的な定年年齢は社会構造の変化や法整備を受けて、これまでも少しずつ引き上げられてきました。
少し歴史をひも解いてみましょう。
日本の定年年齢の変遷と高年齢者雇用安定法
日本の労働者の定年の年齢を規定している法律は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下、「高年齢者雇用安定法」)です。同法は、少子高齢化と人口減少が進行する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者が活躍できる環境整備を図ることを目的としています。
定年退職が55歳だった時代はいつまで?
高年齢者雇用安定法が制定されたのは1986(昭和61)年、前身の「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」を改正・名称変更する形で法制化されました。
当時は55歳定年が主流でした。新設された高年齢者雇用安定法には「定年を定める場合は60歳を下回らないようにする努力義務」が盛り込まれ、この法律は定年制に関する初めての法的規制となりました。
定年退職60歳が義務化されたのはいつから?
その後、1994(平成6)年の改正で60歳未満の定年制が禁止されることとなり、経過措置期間を経て1998(平成10)年から施行。
これによって60歳定年が標準的な定年となりました。
定年退職65歳が義務化されるのはいつから?
2013(平成25)年に成立した改正高年齢者雇用安定法により、定年を65歳未満に定めている企業に「65歳までの雇用確保措置の導入」が義務化されました。
雇用確保措置は以下のいずれかの措置を講ずる義務があります。
2 定年制の廃止
3 原則として希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用制度の導入
この法改正により、経過措置期間が終了すると、すべての企業で希望する労働者は65歳まで就労可能となります。
定年年齢を一律に引き上げる必要はありませんが、経過措置期間終了後の2025年4月1日からは65歳までの実質的な定年延長が図られる見通しです。
公務員の定年は、民間企業を追いかける形で、2021(令和3)年に「国家公務員法等の一部を改正する法律」が成立しました。
この法律によって、国家公務員の定年が2023(令和5)年4月から段階的に65歳まで引き上げられることが決定しています(2031(令和13)年度からは65歳定年)。
地方公務員の定年は各自治体の条例に規定されますが、国家公務員法を基準とした同様の定年引き上げの法整備が進められる予定です。
定年退職が70歳になるのはいつから?
改正高年齢者雇用安定法は、2020年に更なる施策を盛り込みました。 「70歳までの就業機会の確保(努力義務)」です。
定年を70歳未満に定める事業主の努力義務として、下記の対策が求められています。
2 定年制の廃止
3 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
(雇用先については、特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
4 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
5 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
厚生労働省のWebサイトによれば、本改正は定年年齢の引き上げを義務化するものではない、と明記されています。
参考:高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~|厚生労働省
ただし「本努力義務が段階を経て法的義務になる可能性もある」との見方もあり、そうなった場合は「希望者が70歳まで、(雇用形態によらず)何らかの形で働ける」あり方を、企業含め社会全体で作り上げる必要が出てくるでしょう。
定年退職の年齢引き上げの法整備・詳細については、こちらの記事も参考にしてください。
定年延長とは?法改正の背景から企業に求められる対応まで徹底解説
定年退職後の継続雇用制度も要確認
最後に、定年年齢と退職日を確認したら、勤め先の継続雇用制度も確認しましょう。
前述したように、定年を65歳未満に定めている企業では希望者に対する「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)」を導入しているはずです。また、70歳までの就業機会確保措置を設けているところもあるでしょう。
勤め先の退職日、継続雇用制度などをよく調べた上で、定年退職後のライフプランを検討されてみてください。
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まとめ
本記事では、定年退職に関する「いつ?」をキーワードにして「退職日の確認方法」、「満年齢到達日の考え方」、「雇用保険への影響」などを説明してきました。そのほか、定年退職の年齢引き上げの動きがいつからどのように始まったのかも補足しています。
定年退職は何度も経験することではありません。はじめての手続きで戸惑うことも多いかと思いますが、一つづつ確認すれば大丈夫です。余裕を持って準備をお進めください。
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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
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