派遣社員の定年とは?何歳まで働けるのか雇用契約別に解説
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本記事では、企業が派遣会社から派遣労働者として受け入れる社員、「派遣社員」の定年について紹介しています。
2018年以降、無期雇用派遣労働者の登場により、派遣社員の定年の考え方は複雑になりました。
また、高年齢者雇用安定法に基づく「高年齢者の定年後雇用確保措置」とも無関係ではありません。
制度ごとにわかりやすく解説します。
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まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
- 【この記事を読んでわかること】
- 派遣労働者の定年等は派遣元事業主の就業規則によって規定されている
- 派遣労働者の契約が有期契約(登録型)である場合は、定年制の定めはない
- 派遣労働者の契約が無期雇用(常用型)である場合は、派遣元の定める定年がある場合がある
- 無期雇用派遣労働者(常用型)には、高年齢者雇用安定法が適用される
派遣社員と定年制度
定年(定年退職制度)とは、労働者が一定の年齢に達したことを退職の理由とする制度です。 労働者と事業主双方のニーズに合わせて多様な働き方が選べる現在、正社員・派遣社員問わず、さまざまな年齢の労働者が活躍している企業も多いと思います。 就業可能年齢は、実務的な場面で下記のようなシーンに出くわすこともあります。
- 派遣会社から紹介された派遣社員が自社の定年に近い年齢だった。受け入れるべきか?
- 経験豊かなシニア層の派遣社員を探しているが、法律的にはいつまで働けるのか?
派遣社員と定年制度について、改めて整理してみましょう。
派遣社員の定年は派遣会社の規定で決まる
労働者派遣は、派遣元事業主(以下、派遣会社)と派遣労働者の受け入れ先(以下、派遣先)及び派遣労働者の3者によって成り立ちます。 契約関係は
- 派遣会社と派遣先が「労働者派遣契約」を交わす
- 派遣労働者と派遣会社が「労働契約(雇用契約)」を交わす
参考:厚生労働省 派遣で働くときに特に知っておきたいこと(制度の概要)
派遣社員の定年は雇用契約の状況によって異なる
派遣社員の定年の有無は、派遣社員が派遣会社と交わす雇用契約の種類で異なります。
派遣労働者の雇用が有期契約(登録型)である場合は、定年制の定めはない
派遣で働く方が派遣会社に登録し、仕事の紹介を受ける働き方を、一般的に登録型派遣と呼びます。登録型の場合、労働者と派遣会社のあいだの雇用契約は、就業の期間だけの有期雇用契約となります。 定年退職制度は「期間を定めない雇用契約」に適用されるという理解が一般的です。そのため「期間に定めのある有期雇用契約」を結んでいる登録型の派遣社員には適用されません。
派遣労働者の雇用が無期契約(常用型)である場合は、派遣元の定める定年がある場合がある
派遣で働く方が派遣会社と「期間の定めのない雇用契約」を交わしており、派遣契約に基づき派遣先で勤務する場合を一般的に「常用型派遣」と呼びます。派遣社員が派遣元では「正社員」や「無期雇用社員」となっているケースです。 この制度で働く派遣社員には派遣元の定年に関する規定が適用されます。
派遣社員として募集・派遣される際の年齢制限は禁止
定年制度ではありませんが、派遣社員として募集・派遣される際の年齢制限についても見てみます。 まず、派遣会社が派遣労働者を募集・採用する際、年齢制限を設けることは法律で禁止されています(雇用対策法 第10条)。 また、派遣労働者を受け入れる際、派遣先が派遣社員を特定することも原則として違反行為とされています(労働者派遣法 第26条第7項)。「派遣社員を特定すること」とは、性別・年齢の限定や派遣契約前の事前面接や書類選考などを指します。 以上の法規制から、一般的な労働者派遣では(※)上記に基づき、派遣会社・派遣先とも年齢を理由に派遣労働者を断ることはできません。 少子高齢化のなかで、個々人が年齢にかかわらず、その能力や適性に応じて活躍できる社会を目指す施策の一環となっています。
※雇用対策法・労働者派遣法ともに派遣先での正社員化を前提とした「紹介予定派遣」の場合など、年齢制限を認める例外事由もあります。
参考:厚生労働省 「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」事業主の皆様へ
厚生労働省 労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A Q1-9
厚生労働省 派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2ー3項
派遣社員は年齢に関係なく働ける一つの選択肢
かつて、派遣社員をめぐって「35歳定年説」というものがありました。 35歳を過ぎると登録型派遣で仕事を見つけるのは難しく、実質「定年」状態になることを言います。 しかし、2014年以降の日本経済の回復で、労働市場では派遣業界も含め深刻な人手不足状況が続いています。 また、働き方の多様化が進み派遣労働者の職域が広がったことで、スキル・経験重視の派遣求人が増えました。 2017年の厚生労働省の調査では、派遣労働者を年齢別に見ると40〜44歳が最も多くなっており、 女性に関しては45〜49歳がそれに続きます。
今後、若年労働人口の減少により労働市場がますます変化することを考えると「35歳定年説」は、すでに実態を伴わないと考えるべきでしょう。 派遣社員は年齢に関係なく働くことができる一つの選択肢になりつつあります。
参考:一般職業紹介状況(令和4年4月分)について
令和2年版厚生労働白書 第1部 令和時代の社会保障と働き方を考える
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正社員・無期雇用派遣労働者の定年の定め
前項で、派遣労働者が期間の定めのない雇用契約を結んでいる場合は、派遣元の定める定年が適用されることを説明しました。 期間の定めのない雇用契約の派遣社員には、有期雇用から無期雇用に転換するケース(転換型)と採用時から正社員または無期雇用となるケースがあります。 転換型は、非正規雇用労働者の雇用安定を図るために登場した新しいパターンです。
改正派遣法による3年ルールでの無期転換
2015年(平成27年)施行の改正派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)により、派遣会社に有期雇用派遣労働者への雇用安定措置が課せられました。 派遣会社は、同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある派遣労働者に対し、派遣終了後の雇用継続のために、以下の措置を講じる義務があります。 (1年以上3年未満の見込みの労働者は、努力義務がかかります。)
- 派遣先への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
- 派遣元事業主による無期雇用
- その他雇用の安定を図るために必要な措置
この措置により、該当する派遣社員が希望すれば派遣先もしくは派遣会社で無期雇用となる可能性があります。
改正労働契約法による5年ルールでの無期転換
2013年(平成25年)施行の改正労働契約法により、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールができました。派遣社員の場合、無期転換の申し込み先は、雇用関係のある派遣会社となります。 無期転換申し込み権が発生する場合は、以下の3要件がそろった時です。
- 有期労働契約の通算期間が5年を超えている
- 契約の更新が1回以上
- 現時点で同一の使用者との間で契約している
このルールにより、該当する派遣社員が希望すれば派遣会社で無期雇用となります。
正社員・無期雇用派遣人材の採用
有期雇用のイメージが強い派遣社員ですが、以前から派遣会社で正社員または契約社員として常時雇用している社員を派遣するサービスがありました。これは「登録型派遣」に対し、「正社員型派遣」や「常用型派遣」と呼ばれます。 従来は研究職・技術職の分野で多くみられた常用型派遣ですが、上記法改正の影響もあり、現在は幅広い職域の派遣で利用されています。 登録型派遣をメインで扱う派遣会社においても、安定的な人材確保のため、登録型とは別枠で正社員もしくは無期雇用の派遣人材を採用しているところも増えています。
正社員・無期雇用派遣労働者の定年
これまで見てきたように、派遣社員が派遣会社で正社員・無期雇用として雇用されているケースがあります。その場合、派遣社員の定年は派遣会社の就業規則などに定められています。 また、後述する「高年齢者雇用安定法」の適用対象になるため、定年を65歳未満に定めている場合は、65歳までの安定した雇用を確保する措置を取る必要があります(2025年4月からは65歳以上の定年制が義務化)。
参考:厚生労働省 65歳までの雇用確保措置(法改正により平成25年4月1日から導入)
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高年齢者雇用安定法と派遣社員
定年制度に大きく関係のある「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下「高年齢者雇用安定法」)が、2021年に改正されました。この改正により、今、シニアの派遣での働き方に注目が集まっています。
高年齢者雇用安定法による70歳までの就業確保措置
高年齢者雇用安定法は、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できる社会づくりを目指し、この10年で2度の重要な法改正が行われました。 2013年の改正では65歳までの雇用確保義務がすべての企業に追加。 2021年の改正では70歳までの就業確保努力義務が追加となっています。 特に、2021年の改正で努力義務とされた70歳までの就業確保措置は以下のとおりです。
(2)定年制 の廃止
(3)70 歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
(4)70 歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
(5)70 歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
注目すべきは(3)の継続雇用制度で、他の事業主による継続雇用を認めていることです。 この場合、65歳で定年した労働者を派遣会社が雇用し、元の職場に派遣するという選択肢が出てきます。
参考:厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
厚生労働省 高年齢者雇用・就業対策
厚生労働省 高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)
▼高年齢者雇用安定法について詳しく知りたい方はこちら
【令和3年施行】改正された高年齢者雇用安定法の概要とポイント
2020(令和2)年に改正された高年齢者雇用安定法は、2021(令和3)年4月1日から施行されています。高年齢者雇用安定法は65歳まで
65歳以上のシニア層の派遣に注目
高年齢者雇用安定法に定める70歳までの雇用確保措置はまだ努力義務の位置付けですが、近い将来義務化されることも想像に難くありません。 また、派遣労働者の実態を見ても、派遣社員の年齢分布に変化が起きています。 先にあげた2017年の調査で見ると、全派遣労働者に占める65歳以上の割合は前回調査時より大幅アップとなり、20代の数値に迫る勢いです。 行政でも、東京都などが派遣会社と協力して65歳以上の雇用機会を増やす取り組みを行なっています。65歳以上のシニア層の派遣は今後ますます注目されるでしょう。
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まとめ
派遣社員の定年について雇用制度別に解説しました。 派遣社員の派遣のあり方・雇用のあり方は、近年の法整備で大きく変わり、より複雑化しました。しかし、有期雇用者の雇用安定を図る措置の充実とともに、より長く安定して働ける制度に変わってきています。また、高年齢者の活用・多様な働き方の手段として、労働者・使用者双方においてますます需要は高まりそうです。人事担当者の方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
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