契約社員の定年とは?有期雇用・無期雇用のケース毎に事例を解説

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本記事では、有期雇用契約の社員いわゆる「契約社員」の定年と継続雇用について紹介しています。

高年齢者雇用安定法に基づく「65歳までの安定した雇用確保措置」は周知のとおりですが、契約社員にも適用されるべきなのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ケース毎に事例をあげて丁寧に解説します。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 契約社員(有期雇用契約)にはいわゆる定年制はそぐわない
  • 契約社員(有期雇用契約)の年齢上限を定める場合は、個別契約書か就業規則に不更新条項として明記する
  • 契約社員の無期転換後の定年は、就業規則等を対応させて適用する
  • 定年年齢を超えた契約社員(有期雇用契約)から無期転換の申し込みがあった場合は法の趣旨に沿った適切な個別対応が必要

契約社員の定年をめぐる考え方

労働者と事業主双方のニーズに合わせて多様な働き方が選べる現在、正社員・契約社員問わず、さまざまな年齢の労働者が活躍している企業も多いと思います。 ふと気がつけば、定年に近づいている労働者が契約社員であることも少なくありません。 定年退職の制度と契約社員について、改めて整理してみましょう。

定年退職制度の現状

定年退職とは、労働者が一定の年齢に達したことを退職の理由とする制度です。2017年の政府調査によると、定年制を導入している企業は95.5%。1994年の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下「高年齢者雇用安定法」)で60歳未満の定年が原則禁止となって以来、60歳定年制が主流となっていました。

しかし、2013年の高年齢者雇用安定法の再改正により、全事業所を対象として、定年を65歳以上に引き上げることが義務となりました(2025年4月施行)。

現在は経過措置期間として、65歳未満の定年の定めをしている事業主は、1)定年の引上げ、2)継続雇用制度の導入及び3)定年の定めの廃止のいずれかの措置が必要です。

参考:「就労条件総合調査(平成29年調査 結果の概要 定年制等)|厚生労働省」
   「高年齢者の雇用|厚生労働省」

▼定年制度について詳しく知りたい方はこちら

定年退職制度と契約社員(有期雇用契約の労働者)

一般的に契約社員とは、期間に定めのない労働契約を交わす労働者(正社員など)との対比で、期間に定めのある労働契約(=有期労働契約)を交わした労働者を指します。

フルタイムなら「契約社員」、短時間・時給制なら「パート」や「アルバイト」とするなど、企業によって名称を分けているところも多いですが、本記事では有期雇用契約の労働者全般を「契約社員」と呼ぶことにします。

定年退職制度は「期間を定めない雇用契約」に適用されるという理解が一般的です。そのため「期間に定めのある雇用契約」を結んでいる契約社員にはそぐわないとされています。

契約社員と正社員の就業規則を一本で管理している事業所などでは混乱が生じるところかと思いますが、契約社員に定年を適用するとした場合、定年までの更新・雇用を示唆するものと解される恐れもあり、注意が必要です。

一方、定年制度を根拠にせず、年齢による契約更新の上限を設けることは可能です(後述)。

高年齢者雇用安定法と契約社員

次に「高年齢者雇用安定法」との関係をみてみましょう。

高年齢者雇用安定法第9条による雇用確保措置は、期間の定めのない労働者が65歳未満で定年を迎えた場合に、継続雇用の機会を与えることを目的としています。

したがって、期間に定めのある雇用契約を結ぶ契約社員は同措置の対象外と考えるのが主流となっています。

ただし、これまでの契約更新状況や裁判例などにより、期間を定めない雇用と同等の実態があると判断された場合はその限りでないため、慎重な個別判断が必要です。

すでに対象になりそうな契約社員がいる場合は、採用の経緯や更新時の説明、これまでどのような雇用契約を交わしてきたかを再度確認の上、専門家への相談も検討してください。

参考:「高年齢者雇用確保措置|高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」

契約社員が無期転換した場合は定年・雇用安定化措置が適用に

一方、契約社員をめぐる法整備には2013年4月1日施行の「改正労働契約法」があります。

改正の最大のポイントは「無期転換ルール」です。これによって、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換することが義務化されました。

このルールによって無期転換をした契約社員は「期間の定めのない労働契約」を結ぶことになるので、就業規則に定めることによって定年制度を適用することが可能です。さらに、65歳未満の定年制度を導入する場合は、高年齢者雇用安定法第9条による雇用確保措置の対象にもなります。

無期転換の可能性がある契約社員を抱える企業は、転換を見据えた就業規則の改訂・新設などによる対応が必要でしょう。定年制を導入する場合は、雇用確保措置内容もセットで考える必要があります。

参考:「高年齢者雇用確保措置|高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」

概要 定年制等)|厚生労働省」

▼『高年齢者雇用安定法』について詳しく知りたい方はこちら

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有期雇用契約の不更新条項による上限年齢の定めとは

前項では、定年制度による雇用契約の終了の考え方は契約社員には馴染まないことをお伝えしました。一方、あらかじめ「不更新条項」を定めておくことにより、実質上の定年制度と似た制度設計が可能です。

不更新条項とは、有期労働契約上、本契約を更新しない場合の条項を指します。一般的に「会社の業務上の理由(業績不振)、労働者の勤務態度・能力・適性」などがよく知られていますが、更新時の年齢や更新年数・回数の上限を定める更新上限条項も広い意味の不更新条項にあたります。

不更新条項の後出しは労使トラブルのもとになります。契約締結当初から労働者に明示され、雇用契約書によって労使双方が合意に至っていることが望ましいでしょう。

不更新条項を定める場合は、就業規則に記載が必要

不更新条項を定める場合は、契約社員を対象とする就業規則に規定をする必要があります。具体的には下記2つのパターンが基本となるでしょう。

1)具体的な上限期間・回数等は雇用契約書に記載すると定めるパターン

【就業規則への記載例】
第○条(契約更新の上限)
有期契約の契約更新については、更新の上限を設けることがある。この場合、上限を超えた更新は行わない。上限を設ける場合の具体的な期間・回数等は個別の雇用契約書に定める。

2)年齢の上限のみ就業規則に定め、他の条件は雇用契約書に記載するとするパターン

【就業規則への記載例】
第○条(契約更新の上限)
1 有期契約の契約更新については、更新の上限を設けることがある。この場合、上限を超えた更新は行わない。上限を設ける場合の具体的な期間・回数等は個別の雇用契約書に定める。
2 個別の雇用契約書で更新の上限を定めない場合であっても、満65歳を超えた契約更新は行わない。

不更新条項は、雇用契約書にも記載が必要

不更新条項を含む「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」は、雇用契約書の必須記載事項となっています(絶対的明示事項とも)。就業規則によって規定したら、雇用契約書にも必ず記載し労働者への明示が必要です。

また、契約期間中に更新の年齢上限を迎えることになる最後の雇用契約書締結時には、本契約の更新はおこなわない旨を記載し、労使双方で確認・合意することが大切です。

参考:労働基準法施行規則

不更新条項による年齢上限の設定は慎重に

不更新条項を定めることが可能とはいえ、国の施策である高年齢者雇用対策および高年齢者雇用安定法の趣旨にそぐわない年齢上限の設定は合理的とは言えません。契約更新の条件に年齢を盛り込む際は、最新の法の趣旨に沿って対応しましょう。

また、そもそも、契約社員など、有期雇用契約の本来の姿は「契約期間の最終日をもって退職となる」と言えます。しかし、実態として更新を繰り返し雇用が長期化している場合、期間の定めのない雇用契約との違いが明確でないケースもあります。

そういった場合、不更新条項による契約期間満了の雇止めが法的に有効となるか無効となるかは、不更新条項の明示時期やこれまでの更新実態などから総合的に判断されるため、慎重な運用が必要です。

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ケーススタディでみる契約社員 定年後の雇用について

事例1契約社員が契約更新の年齢上限に達する場合

事例1では、

  • 契約社員(有期雇用契約中で無期転換前)がおり
  • まもなく不更新条項となる年齢上限に達する
  • 引き続き業務を行なってもらうためにはどんな方法があるか?

ということについて取り上げます。

事例1対応その1:就業規則に記載の不更新条項を改訂する

就業規則に不更新条項として年齢上限を規定している場合は、就業規則を改訂し、年齢上限を引き上げることが考えられます。

この場合、当該就業規則が適用されている労働者全員に変更が反映されます。有期雇用契約のままとなるので、大きな処遇の変更はありません。

事例1対応その2:最終更新時の個別雇用契約書で契約期間を個別に設定する

就業規則で年齢上限を規定せず、個別の雇用契約書に委任する形になっている場合は、最後の更新となる雇用契約書での対応が考えられます。

有期雇用契約の契約期間の上限は3年です。また、これまでの雇用契約書に記載の不更新条項と大きく齟齬が生じない範囲で「契約期間」を設定し、さらに「本契約は更新しない」旨について明記し、労使で合意しましょう。

この場合、結んだ契約期間中の雇止めは難しくなるため、十分な検討が必要です。

また、すでに最終更新の契約書(「本契約は更新しない」旨記載の雇用契約書)を交わしている場合は「契約期間」や「更新有無に関する記載」を変更するのは避けるべきでしょう。

事例1対応その3:別の制度での登用を検討する(嘱託職員・パートタイマー・業務委託など)

すでに最終更新の雇用契約を結んでいる契約社員や、上記の対応1や2が難しい場合、当該有期雇用契約終了後にほかの制度での登用を検討する方法もあります。

その場合、下記の点に注意の上、必要に応じて専門家への相談も検討してください。

  • 再度雇用する場合、無期転換ルールに当てはまれば労働者に無期転換の権利が生じる
  • 業務委託とする場合、まったく新しい契約として業務や責任範囲の見直しを十分に行うこと

(いわゆる「無期転換逃れ」と解されないよう注意が必要)

事例1の対応その4:無期転換権が生じている場合、転換希望を聞く

対象となる契約社員に無期転換権が生じている場合は、本人からの申し出があれば、無期転換が可能です。

その際、すでに事務所において定めている定年の年齢を超えた後の無期転換となる場合は、定めてある定年がそのまま適用されるわけではないことに注意が必要です。

この場合、無期転換ルールの趣旨および高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえ、労使でよく話し合って十分な理解を得た上で、適切な労働条件の設定をする必要があります。

参考:多様な正社員及び無期転換ルールに係るモデル就業規則と解説(P34)

事例2無期転換済の契約社員が定年に達する場合

事例2では、

  • 無期雇用社員に転換済みの元契約社員がおり
  • まもなく就業規則に記載の定年となる年齢に達する
  • 引き続き業務を行なってもらうためにはどんな方法があるか?

ということについて取り上げます。

事例2の対応その1:就業規則に記載の定年年齢を引き上げる

無期転換社員を対象にした就業規則で定年を定めている場合、就業規則を改訂し、年齢上限を引き上げることが考えられます。

この場合、当該就業規則が適用されている労働者全員に変更が反映されます。

事例2の対応その2:高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度を利用する

無期転換社員を対象にした就業規則で、65歳未満の定年制度を導入している場合は、高年齢者雇用安定法第9条による雇用確保措置を実施しなくてはなりません。

法に基づく継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度など)がある場合、その利用を検討しましょう。

また、無期転換社員に適用される就業規則を設計する際は、いわゆる「正社員」やそのほかの社員との処遇の差とその根拠を明らかにした上で、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に勤めることが求められています。

参考:無期転換ルールハンドブック(P8)

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まとめ

定年退職の制度と契約社員について解説しました。近年、契約社員(有期雇用労働者)をめぐる法整備や、高年齢者雇用対策をめぐる法整備が相次ぎ、就業規則などの対応に追われている事業所も多いかと思います。若年層労働人口が減少する中、高年齢者の活用・多様な働き方への対応は益々重要性を増しているので、人事担当者の方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

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漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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執筆者
阿部雅子
人事/キャリアコンサルタント
人事担当として約12年強、採用から人事管理、退職までをサポート。業界はIT系スタートアップ/ブライダル/政府系研究機関等。国家資格キャリアコンサルタント。中小企業での各種雇用調整助成金の受給やコンプライアンスのための規程整備等の経験が豊富。