高年齢被保険者とは?概要・加入手続・受給できる給付金などを解説
※当サイトは人材関連サービスを展開する株式会社エイジレスが運営しています。本ページは自社および提携先のPRを含む場合があります。
2017年1月から65歳以上の労働者も雇用保険の適用条件を満たせば「高年齢被保険者」として雇用保険が適用されるようになりました。2020年4月1日からは保険料の免除制度も廃止され、加入に関してはほぼ一般被保険者と同様となっています。本人が受給できる雇用保険の給付や会社が行う届出などを含めて、わかりやすく解説します。
- 【この記事を読んでわかること】
- 高年齢被保険者とは雇用保険の適用拡大によって新しくできた被保険者名
- 高年齢被保険者とは65歳以上の雇用保険加入者(被保険者)で年齢上限はない
- 高年齢被保険者は雇用保険から高年齢求職者給付(一時金)・育児休業給付・介護休業給付・教育訓練給付の4つを受給可能
- 高年齢被保険者の特例マルチジョブホルダー制度が2022年1月からスタート
資金計画に不安ならFPへ相談を
資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。
- 無料で何度でも相談できる
- 会員100万人突破
- 全国47都道府県対応
- 無理な勧誘や営業は一切なし
- 【公式】https://hokench.com/
高年齢被保険者とは
「雇用保険制度」は会社などで働いていた方が離職した場合に、失業後の生活を心配せず再就職活動ができるよう援助するために設けられています。2021年の高年齢雇用安定法の改正により、65歳以上70歳までの就業機会確保措置が努力義務化され、65歳以上でも就労・就職する人はますます増えています。
高年齢被保険者とは、2017年の法改正により新しくできた雇用保険の被保険者区分名です。 高年齢被保険者の適用条件、保険料、加入手続きとおもに60歳以上の高年齢労働者のいる企業が提出すべき届出について順を追って解説します。
高年齢被保険者は雇用保険加入義務を満たした65歳以上の労働者
2017年1月1日に施行された雇用保険法の「雇用保険の適用拡大」によって、
・65歳以上の労働者でも適用要件を満たす場合は雇用保険の加入者となること
・65歳以上の雇用保険加入者は「高年齢被保険者」の被保険者区分とすること
となりました。
上記法改正により、適用条件を満たせば、労働者は年齢の上限なく雇用保険に加入することができます。
雇用保険の適用条件
- 雇用保険適用事業所に雇用されていること
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあること
高年齢被保険者と高年齢継続被保険者の違い
2017年の法改正以前の雇用保険法では、雇用保険は原則として65歳以上の労働者に適用されない仕組みでした。
ただし65歳になる前から雇用保険の被保険者で、そのまま働き続ける労働者は例外的に継続加入となっており、その被保険者区分は「高年齢継続被保険者」と呼ばれていました。
「高年齢継続被保険者」の被保険者区分は2017年の法改正で「高年齢被保険者」に統合され、自動的に変更・読み替えられています(ハローワークへの届出必要なし)。2022年現在「高年齢継続被保険者」という保険者資格・区分はありません。
高年齢被保険者の保険料免除制度は廃止
2017年1月1日から「高年齢被保険者」の制度が始まりましたが、前述した「高年齢継続被保険者(65歳以前からの継続被保険者)」について保険料が免除されていたため、下記の経過措置が取られました。
経過措置内容:65歳以上の「高年齢被保険者」について保険料を免除
上記経過措置は現在は終了し、2020年4月1日からは「高年齢被保険者」について、通常の雇用保険一般被保険者と同じく下記手続きが必要です。
・事業主が本人分・事業主負担分を合わせて労働保険料として納付
高年齢被保険者への加入手続・移行手続
高年齢被保険者の雇用保険加入手続は一般労働者と同様
一般労働者と同じく、65歳以上の労働者も
・雇用保険適用条件を満たす条件で雇用した時
もしくは
・雇用条件を変更した結果、雇用保険適用条件を満たした時
は、雇用保険の加入手続きを行います。
雇用保険の加入手続きは、雇い入れ日または労働条件変更日の翌月10日までにハローワークへ資格取得届を提出します。
高年齢被保険者への移行手続は不要
64歳未満の雇用保険加入者が65歳に達し、そのまま雇用されている場合は自動的に高年齢被保険者に切り替わります。被保険者区分変更・以降については、新たな手続きは必要ありません。
高年齢者雇用に関して事業主が提出する届出
65歳以上の高年齢被保険者に限って、ということではありませんが、60歳以上の労働者を雇用している場合に関係のあるいくつかの届出があります。
下記に代表的なものを紹介するので、漏れがないか確認しておきましょう。
1.高年齢者雇用状況等報告
「高年齢者雇用安定法」に定められた65歳までの雇用確保措置および70歳までの就業確保措置の実施状況等を把握するために、厚生労働省がすべての事業主に課している届出。事業主は毎年6月1日現在の高年齢者の雇用に関する状況をハローワークに報告する必要があります(高年齢者雇用安定法52条第1項)。電子申請も可能です。
2.多数離職届
「高年齢者雇用安定法」に定められた「事業主による高年齢者等の再就職の援助」を目的として事業主に下記の義務が課せられています(高年齢者雇用安定法第16条および17条)。
・解雇等により離職する高年齢者が再就職の支援を希望する場合、求職活動支援書を作成し、高年齢者等に交付すること
3.無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例(第二種計画認定申請)
「労働契約法」に定められた無期転換ルールについて、みずからが雇用する「継続雇用の高齢者を対象とした適用除外」を受けるためには「第二種計画認定申請」の提出が必要です。
無期転換ルールは、反復更新された契約によって実質的に雇用期間の定めのない雇用と同様の働き方をする有期雇用契約の労働者を守るために設けられました。一方、「高年齢者雇用安定法」により、60歳を超えて定年後の継続雇用制度により再雇用され、有期雇用となる高年齢者は増えています。定年後再雇用された高年齢者を無期転換することは、当初の法の趣旨と異なるため「継続雇用の高齢者」については、一定の手続きの元、無期転換ルールから除外できる特例が設けられています(専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法)。
「第二種計画認定申請」についての詳細は、下記案内をご確認ください。
参考:無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例について (第二種計画認定・変更申請)
高年齢被保険者が受給できる給付金は4つ
雇用保険には、労働者が安心して働き続けるために受給できる給付金制度があります。 そのうち、65歳以上の被保険者である「高年齢被保険者」が受給できる給付は以下の4つです。
企業担当者も、本人も知っていて損はありません。必要に応じて賢く活用しましょう。
高年齢求職者給付金
雇用保険の一般被保険者にとって、雇用保険の基本的な給付金である「基本手当(失業保険・失業手当とも)」は、一定の条件を満たした場合に、会社を退職してから次の就職までのあいだに出るものです。
「高年齢求職給付金」は、65歳以上の高年齢被保険者が、その「基本手当」の代わりに受け取る給付金です。基本手当との違いとして、高年齢求職給付金は一時金で一括支給、年金との併給も可能という特徴があります。一定の受給要件、離職後の早期手続きが必要です。労働者本人が手続きを行いますが、高年齢者が離職する際、該当となりそうな場合は、会社から案内をすると親切でしょう。
▼『高年齢求職給付金』について詳しく知りたい方はこちら
高年齢求職者給付金を徹底解説!【65歳からの失業保険】
「高年齢求職者給付金」という制度をご存じでしょうか? 65歳未満の人が失業した際に支給されるいわゆる「失業手当」に対し、高年齢求
育児休業給付金
育児休業給付金とは、1歳から2歳(各種要件あり)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に支給される給付です。
原則として、会社が手続きを行いますが、本人が希望する場合は本人申請も可能です。
受給要件および手続きは、下記ハローワークや厚生労働省のサイトを参照ください。
参考:雇用保険制度 Q&A~育児休業給付~|厚生労働省
参考:ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
また、高年齢被保険者の設置と同じタイミングで、育児休業・介護休業給付金の要件が緩和されました。より多くの対象者が給付を受けられるようになったので、自社の関連規程類も再度確認しておくと良いでしょう。
介護休業給付金
介護休業給付金とは、家族を介護するために介護休業をした被保険者に支給される給付です。原則として、会社が手続きを行いますが、本人が希望する場合は本人申請も可能です。
受給要件および手続きは、下記ハローワークや厚生労働省のサイトを参照ください。
参考:雇用保険制度 Q&A~介護休業給付|厚生労働省
参考:ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
教育訓練給付金
教育訓練給付制度とは、労働者の主体的な能力開発やキャリア形成を支援することを目的としています。厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されます。
対象となる教育訓練は、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があり、それぞれ給付金額や支給方法が異なります。
キャリアアップやキャリアチェンジ向けの専門的なものから、IT関連基本スキルや事務関連の資格まで幅広い講座が対象となっています。
労働者本人がハローワークで申請を行う必要があります。
支給要件および対象講座などは、厚生労働省のページをご確認ください。
高年齢被保険者を雇い入れる事業主への助成金
特定求職者雇用開発助成金 (生涯現役コース)
雇い入れ日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇用する場合に支給される助成金です。
高年齢者を雇用するにあたり、下記2条件を満たす必要があります。
・一年以上雇用することが確実であること
さらに、本助成金を受給しようとする事業主は、雇用関係助成金共通の要件を満たす必要があります。詳細は、厚生労働省のホームページなどで最新の情報を確認しておきましょう。
参考:特定求職者雇用開発助成金 (生涯現役コース)のご案内
参考:特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース) |厚生労働省
高年齢者雇用に関連するその他の助成金
対象は高年齢被保険者だけに限りませんが、高年齢者の雇用安定にかかるさまざまな措置を行う事業主に対して支給される助成金に「65歳超雇用推進助成金」があります。
65歳超雇用推進助成金
65歳以上の労働者の雇用の安定に資する取り組み(65歳以上への定年引上げ等や高年齢者の雇用管理制度の整備、また高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換する措置)を講じた場合に支給される助成金です。
本助成金には、下記3つのコースがあります。
1)65歳超継続雇用促進コース
指定年度中に、下記いずれかを施策を実施し、70歳未満の雇用確保対策を行った事業主が要件を満たす場合に受給申請できます。
・65歳以上への定年引上げ
・定年の定めの廃止
・希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入
・他社による継続雇用制度の導入
2)高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
高年齢者が働きやすい雇用管理を目指して「雇用管理制度の整備等に係る措置」を実施した場合に、その経費の一部助成を行うものです。
対象となる措置には、下記のようなものがあります。
・高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入または改善
・高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度などの導入または改善
・高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善 など
3)高年齢者無期雇用転換コース
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成を行うもの。
参考:令和4年度65歳超雇用推進助成金のご案内|厚生労働省
参考:65歳超雇用推進助成金|厚生労働省
▼『高年齢雇用継続給付金』について詳しく知りたい方はこちら
高年齢雇用継続給付〜段階的廃止の背景と企業・労働者への影響
「高年齢雇用継続給付金」は雇用保険制度に基づく給付で、65歳未満の労働者の60歳以降での賃金ダウンの補填を目的としています。 2
高年齢被保険者の特例:マルチジョブホルダー制度
2022年1月1日施行の雇用保険法の改正により、「雇用保険マルチジョブホルダー制度(高年齢被保険者の特例)」がスタートしています。
従来の雇用保険制度では、雇用保険の加入要件を「主たる事業所」のみでの労働条件で確認していました。新設の雇用保険マルチジョブホルダー制度は「複数の事業所」で勤務する65歳以上の労働者について、メインとなる2つの事業所での労働条件を合算し、雇用保険加入条件を確認できます。
上記については、本人からハローワークへ申し出し、認められれば特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
まとめ
本記事では、2017年にできた雇用保険上の被保険者区分である「高年齢被保険者」について、解説しました。「高年齢被保険者」とは65歳以上の雇用保険加入者を指し、加入に関しては一般被保険者の手続きと同じです。また、65歳より前から被保険者となっていて、65歳を迎えた場合も自動的に高年齢被保険者へ区分が変更されるため、特別な手続きは不要です。高年齢被保険者が離職する際は、退職後の状況によって、本人に「高年齢求職給付金」の案内を行うと親切でしょう。
今後、高年齢雇用安定法や高年齢者の雇用安定のための施策により、企業には70歳までの労働者の雇用確保がますます求められます。助成金なども積極的に利用し、65歳以上の高年齢被保険者が安心して働き続けられる労働環境の整備や人事制度の改善に今のうちから積極的に取り組みましょう。
資金計画に不安ならFPへ相談を
資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。
- 無料で何度でも相談できる
- 会員100万人突破
- 全国47都道府県対応
- 無理な勧誘や営業は一切なし
- 【公式】https://hokench.com/