【特別臨時給付金】年金生活者を支援するための5000円給付金案はなぜ撤回された?

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コロナ禍での生活が長引き、経済面で苦労されている人も多くいることから、年金生活者などに対し一回限りで5000円を給付する「年金生活者等に対する臨時特別給付金」を支給するという動きがありました。本記事ではこの「臨時特別給付金」が提案され、批判を受け、白紙撤回されるまでの流れを解説します。

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  • 5000円給付金(年金生活者などに対する臨時特別給付金)は年金生活者支援給付金制度とは 異なり、年金生活者などに対し一回限りで5000円を給付するというものだった
  • 臨時特別給付金は年金額の引き下げや物価上昇が背景にあった
  • 経費を含めた予算がかかりすぎることや参議院選挙目当てではないかなどの批判が高まり撤回となった

コロナ禍で登場した「5000円給付金」とは

【特別臨時給付金】年金生活者を支援するための5000円給付金案はなぜ撤回された?

長期化するコロナ禍で新たな経済対策として、年金生活者などに対し一回限りで5000円を給付する「年金生活者等に対する臨時特別給付金」を支給するという動きがありました。「年金生活者等に対する臨時特別給付金」はコロナ禍での所得が低い住民税非課税世帯を対象に10万円が支給される「臨時特別給付金」や、公的年金などの収入や所得額が一定の一定基準以下の人を対象に 、2019年10月から5000円が加算されている「年金生活者支援給付金制度」とは異なります。

自民党・公明党幹部による要請

2022年3月15日、自民党と公明党の幹事長、政調会長らが岸田文雄首相に、「5000円を年金受給者に給付してください」と年金生活者らにコロナ対策の給付金を支給するよう要請しました。財源は「新型コロナウイルス対策の予備費で対応し、一回限り支給する計画で、政府も「しっかり対応していきたい」とコメントしていたため、年金生活者などに対し臨時特別給付金を給付する案は、前向きに動き出すのかと思われました。

背景にはコロナや物価の影響があった

コロナ禍の新たな支援策として、自民・公明の与党が政府に申し入れた、年金受給者に5000円を上乗せ給付する案ですが、その背景はどのようなものだったのでしょうか。そもそも、なぜ年金受給者だけに給付しようということになったのでしょうか。

見出し4年金の仕組み上、新年度から減額されることが決まっていた

年金の支給額は、物価と現役世代の賃金の変動に応じて、その金額が変わる仕組みとなっています。 コロナ禍が長引いているため、業績が落ちた企業がたくさんあり、現役世代の賃金が下がってしまいました。そして新年度となる2022年の4月分から、それまでの年金額より0.4%引き下げられることが決まっていました。
厚生年金を受け取っている夫婦2人分の標準的な年金額は、これまで月額22万496円でしたが、それまでの年金額より0.4%引き下げられると、903円減額されることになり、21万9593円となります。そのため、この減ってしまう分を5000円で支援するという考えだったのです。

さらなる物価上昇も懸念された

原油価格の高騰などを受けて、2月以降消費者物価指数は前年同月比で0.6%と急上昇しています。2022年3月中旬になると、ウクライナ情勢の長期化が懸念され、さらなる物件の上昇が確実視されていました。物価高にともなって賃上げが行われるとしても、現役世代は比較的すぐに恩恵を享受できますが、年金はすぐに増えることはありません。そこで年金受給者への「5000円給付案」が救済措置として浮上してきたのです。

年金生活者などに対する臨時特別給付金の対象者は?

【特別臨時給付金】年金生活者を支援するための5000円給付金案はなぜ撤回された?

「年金生活者などに対する臨時特別給付金」の対象者は、年金受給者です。対象には高齢者のほか、障害年金や遺族年金の受給者も含まれます。一方で、所得が低い住民税非課税世帯向けの10万円の「臨時特別給付金」を受け取った人は除かれるので、日本全国でおよそ2600万人が該当する予定でした。

年金生活者などに対する臨時特別給付金の撤回

【特別臨時給付金】年金生活者を支援するための5000円給付金案はなぜ撤回された?

ガソリン代や電気代、輸入食料品を中心に値上げ傾向にあるなかで、年金受給者の不満に対処しようとしたのが臨時特別給付金でした。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、物価上昇によって生活を圧迫されているのは年金受給者だけではありません。また、多額の必要経費が必要になることやさまざまな批判や意見が明らかになり、早期に白紙撤回されることになりました。

必要予算の見込額が2000億円に達する

実際に年金受給者に臨時特別給付金 として5000円を支給すると、対象者はおよそ2600万人なので、総額は約1300億円と計算できます。この総額が大きいということにも批判がありましたが、給付事務費に約700億円かかり、合わせると2000億円ほどの予算が必要とされました。
総額およそ1300億円を支給するために、約700億円もの事務費をかけることは「税金の無駄遣い」とされ、臨時特別給付金に対する批判を拡大させました。

選挙対策のばらまきだと批判が出た

年金生活者などに対する臨時特別給付金の原資には、予備費が充てられることになっていました。もし臨時特別給付金を支給する話がスムーズに進んだ場合、3月中の閣議決定を経ることになります。そして実際に支給されるまでには、その後3ヶ月程度の期間が必要です。
つまり6〜7月に年金生活者の人たちの元へ届くことになりますが、この時期は参議院議員選挙の時期に重なるタイミングだったのです。そのため立憲民主党の蓮舫議員は、参議院予算委員会で「なぜ高齢者だけなのか、7月は参議院選挙がある。選挙目当てではないか」と批判しました。

国民の反応もよくなかった

年金生活者などに対する臨時特別給付金案は、国民にとって納得し得る政策だったのでしょうか。FNNが行った世論調査によると、5000円を「支給すべき」と答えた人が41.2%、「支給すべきでない」と答えた人が54.5%と、反対意見の人が多い結果となりました。
また、共同通信社による電話世論調査でも、「適切だとは思わない」と答えた人が66.0%に達しました。このように臨時特別給付金には、国民からも否定的な反応が見られました。

白紙撤回へ流れが変わる

このような批判や世論を受け、岸田文雄首相は「本当に必要なのかどうかをしっかりと検討したい」と再検討する意向を示したのです。
そして同案を政府に提起した一人である自民党の高市早苗政調会長は「もう事務的にも間に合わなくなったので、この話はなくなった」と態度を一変させました。また生活に困窮する高齢者への支援は「ゼロベースで議論する」とも発言しており、臨時特別給付金案は白紙に戻す意向を明らかにしたのです。

まとめ

新型コロナウイルス対策の予備費を活用することで、年金生活者などに対し5000円の支給をする予定だった「臨時特別給付金」は、必要予算の見込額が2000億円に達することや、実際に支給されるタイミングが参議院議員選挙の時期に重なることから、選挙対策のばらまきだと批判されました。
そして世論調査からも、国民はこの臨時特別給付金は否定的であることが明らかになり、白紙撤回という流れになりました。国民すべてが納得する制度は難しいものですが、年金受給者を対象とした臨時特別給付金はその中でも大きな注目を浴びたのではないでしょうか。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。