定年まで2年残して退職しよう!早期退職に必要な資金を徹底解説

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「定年まで2年残して退職しようと思うけど、老後資金はいくら必要なんだろう…。」

子育てが一段落し、定年退職が視野に入ってくる50代後半。会社生活を離れ、新たな人生に踏み出したいと考える人も多いはずです。

58歳で早期退職する場合、2人以上世帯で「約2,200万円」、単身世帯で「約820万円」の老後資金が必要になります。

この記事では、早期退職に必要な資金の算出方法からはじまり、早期退職のメリット・デメリットや貯蓄が足りない場合の対策などをまとめて解説します。

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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 定年まで2年残して退職しようと考える場合、2人以上世帯で「約2,200万円」、単身世帯で「約820万円」の備えが必要
  • 早期退職するメリットは「時間的自由」「ストレスからの解放」「やりがいを感じられることに打ち込める」が挙げられる
  • 早期退職するデメリットは「収入が一時的に途絶える」「保険の見直しが必要」「人によっては退屈」が挙げられる
  • 早期退職に必要な貯蓄が足りない場合「早期退職後に自分のペースで働く」「FPへ相談する」などの対策が有効

早期退職にはいくら必要?準備OKなら定年まで2〜3年残していても退職しよう

早期退職を検討する際、もっとも重要なポイントは「退職後の生活費をどう確保するか」です。

早期退職後の生活費のシミュレーションは、以下の式で概算できます。

●早期退職に必要な目安額 = (年間生活費×残りの生涯年数) – 現在の貯蓄額 – 退職金 – 年金受給額

たとえば、一般的な2人以上世帯と単身世帯それぞれの場合で概算してみると、以下のようになります。

2人以上世帯の場合

年間生活費300万円、残り生涯年数27年、貯蓄300万円、退職金2,000万円、年金受給額3,600万円とすると、必要額=2,200万円です。

単身世帯の場合

年間生活費200万円、残り生涯年数27年、貯蓄80万円、退職金2,000万円、年金受給額2,500万円とすると、必要額=820万円になります。

つまり、2人世帯であれば2,200万円、単身世帯であれば820万円程度の老後資金があれば、早期退職後も現在の生活水準を維持できる計算になります。

次の章では、この年間生活費・退職金・年金の内訳を解説していきますので、それぞれの状況にあわせて試算してみてください。

早期退職後の生活設計は慎重に行いましょう。

2人以上世帯の場合|早期退職するには約2,200万円必要

2人以上世帯が早期退職するには、おおむね2,200万円ほどの老後資金が必要です。
以下に詳細を解説します。

2人以上世帯の年間生活費は300万円

全国の勤労者世帯の平均消費支出が約300万円(総務省家計調査)であることから、2人以上世帯の年間生活費は300万円と設定しました。

一般的な残りの生涯年数は27年

厚生労働省の統計によると、日本人男性の平均寿命は81歳、女性は87歳です。
男女を平均すると84歳となるため、ここでは平均寿命をおおむね85歳と見なします。

つまり、58歳で会社を退職した場合、残りの生涯年数は平均で27年間と推計されます。

2人以上世帯の貯蓄額(中央値)は300万円

金融広報中央委員会の調査によると、50代の2人以上世帯の平均貯蓄額は1,147万円でした。
一方で、中央値は300万円となっています。

平均値は一部の高額貯蓄世帯の影響で過大に見積もられがちですので、ここでは一般的な水準を示す中央値の300万円を採用することとします。

退職金の平均は2,000万円

厚生労働省が実施した「就労条件総合調査(令和5年版)」によると、民間企業で働く人が退職時に受け取る退職金相場は、おおよそ2,000万円前後です。

年金受給額は月20万円、現在価値で3,600万円

60歳から受給を開始した場合、年金の月額は夫婦あわせて約20万円が一般的です。
これを現在価値に換算すると3,600万円ほどとなります。

現在価値の換算は以下のとおりです。

  • 年金年額 = 20万円×12ヶ月 = 240万円
  • 受給期間 = 60歳から平均寿命85歳までの25年間
  • 利回り = 2%として計算

年金の現在価値 = 240万円 × 年金現価率(25年、2%)
= 240万円 × 15.2204
= 約3,650万円
となります。

つまり、月額20万円の年金を60歳から受給開始する場合、その現在価値はおおむね3,600万円ほどと見積もられます。

老後の生活設計においては、このように年金給付を現在価値に換算し、ほかの貯蓄などと合算して総額を算出することが重要です。

よって、2人以上世帯が早期退職するには2,200万円必要

記事冒頭で解説したように、早期退職に必要な目安は以下の式で算出できます。

●早期退職に必要な目安額 = (年間生活費×残りの生涯年数) – 現在の貯蓄額 – 退職金 – 年金受給額

2人以上世帯の値で概算すると、以下のとおりです。
●早期退職に必要な目安額
 = (300万円×27年) – 300万円 – 2,000万円 – 3,600万円
 = 8,100万円 – 300万円 – 2,000万円 – 3,600万円
 = 2,200万円

となり、2人以上世帯が早期退職に必要な目安は、およそ2,200万円になります。

単身世帯の場合|早期退職するには820万円必要

単身世帯が早期退職するには、おおむね820万円ほどの老後資金が必要です。
以下に詳細を解説します。

単身世帯の年間生活費は200万円

単身世帯の平均消費支出は約200万円(総務省家計調査)と推計されていることから、年間生活費は200万円と設定しました。

一般的な残りの生涯年数は27年

2人以上世帯と同様に、平均寿命をおおむね85歳と見なします。
58歳で会社を退職した場合、残りの生涯年数は平均で27年間と推計されます。

単身世帯の貯蓄額(中央値)は80万円

金融広報中央委員会の調査によると、50代単身世帯の平均貯蓄額は1,391万円でした。
しかし、中央値は80万円です。

中央値が一般的な水準を示すため、80万円を採用します。

退職金の平均は2,000万円

厚生労働省による民間企業で働く人が退職時に受け取る退職金相場から、おおよそ2,000万円前後とします。

年金受給額は月14万円、現在価値で2,500万円

会社員の場合、国民年金+厚生年金の令和4年度の受給額平均月額は約14万円でした。
これを現在価値に換算すると2,500万円ほどとなります。

現在価値の換算は以下のとおりです。

  • 年金年額 = 14万円×12ヶ月 = 168万円
  • 受給期間 = 60歳から平均寿命85歳までの25年間
  • 利回り = 2%として計算

年金の現在価値 = 168万円 × 年金現価率(25年、2%)
= 168万円 × 15.2204
= 約2,557万円
となります。

つまり、月額14万円の年金を60歳から受給開始する場合、その現在価値はおおむね2,500万円ほどと見積もられます。

よって、単身世帯が早期退職するには820万円必要

早期退職に必要な目安は以下で算出できます。

●早期退職に必要な目安額 = (年間生活費×残りの生涯年数) – 現在の貯蓄額 – 退職金 – 年金受給額

単身世帯の値で概算すると、以下のとおりです。
●早期退職に必要な目安額
 = (200万円×27年) – 80万円 – 2,000万円 – 2,500万円
 = 5,400万円 – 80万円 – 2,000万円 – 2,500万円
 = 820万円

となり、単身世帯が早期退職に必要な目安は、およそ820万円になります。
現在の貯蓄から足りない分は、退職までに計画的に備えましょう。

早期退職するメリットとデメリット

早期退職にはさまざまなメリットとデメリットがあります。
ここでは、おもなものを説明します。

早期退職する3つのメリット

早期退職するメリットは、以下の3つです。

  1. 時間的自由が得られる
  2. ストレスから解放される
  3. やりがいを感じられることに打ち込める

1.時間的自由が得られる

会社にしばられずに自由な時間を作れます。
趣味や旅行、家族サービスなど、自分の希望する活動に多くの時間を費やせます。

2.ストレスから解放される

上司や部下の管理、残業の心配がなくなり、ストレスから開放されることも大きなメリットです。
メンタルヘルスが改善され、穏やかな生活を送れます。

3.やりがいを感じられることに打ち込める

定年退職後も仕事を続けるのとは違い、自由な時間が手に入るので、かねてから関心のあった分野に打ち込むことが可能です。
ボランティア・スキルアップなど新しい可能性が広がります。
また、まだ健康な内に経験やスキルを生かし、再就職や起業するチャンスが生まれます。

早期退職する3つのデメリット

早期退職には、デメリットがあることも事実です。
以下の3つが挙げられます。

  1. 収入源が一時的に途絶える
  2. 健康保険などの手続きが必要
  3. 退屈や無為の時間が増える

1.収入源が一時的に途絶える

退職金以外は収入がなくなるため、生活費の確保が大きな課題となります。
年金支給開始年齢までの数年間は貯蓄からの支出となるため、収入源が途絶えることで生活が苦しくなるリスクへの備えが不可欠です。

2.健康保険などの手続きが必要

会社の健康保険や雇用保険が適用外となるため、新たな加入手続きが必要です。
国民健康保険への切り替えや生命保険の見直しが欠かせません。

3.退屈や無為の時間が増える

人によっては、何をすればいいのかわからず退屈を感じ、無為な時間が増える可能性があります。
ひきこもりがちになり、健康を損なうリスクがあることを認識しておきましょう。

このように早期退職にはメリット・デメリットの両面があり、一人ひとりのライフプランにあわせて総合的に判断する必要があります。
収入の確保と有意義な過ごし方の両立が何より重要です。

早期退職に必要な貯蓄が足りない場合の2つの対策

早期退職するにあたって、必要な老後資金が不足している場合の対策として以下の2つが考えられます。

  • 早期退職後に自分のペースで働く
  • 資金計画に不安ならFPへ相談を

それぞれ解説します。

早期退職後に自分のペースで働く

定年まで会社に勤めるのではなく、早期退職した後も、自分のペースで収入を得られる働き方を見つけることがひとつの解決策です。

具体的には、起業やフリーランス、パートタイムなどの形で収入を確保し続けることで、足りない分の年金や貯蓄を補えます。

自由な時間が確保でき無理なく働けるので、ストレスを感じずに老後資金の不足分を賄えるメリットがあります。

収入源を完全に断つのではなく、自分の希望や適性に合った仕事を見つけて、定年退職時よりも緩やかなペースで働き続けることが有効な手段といえるでしょう。

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FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。

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早期退職に関するよくある質問

早期退職を検討する際によく出る疑問点を、Q&A形式でまとめます。

Q1.実際みんないくらくらい貯蓄しているの?

50代の2人以上世帯の平均貯蓄額は1,147万円、単身世帯の平均は1,391万円です。
しかし一般的な水準である中央値は2人以上世帯が300万円、単身世帯は80万円と平均を大きく下回ります。

以下の記事では、50代の貯蓄実態や独自アンケート調査結果などをまとめて解説しているので、興味がある人は読んでみてください。

Q2.早期退職して後悔する人もいる?

早期退職して後悔しないためには、しっかりと準備する必要があります。

早期退職して後悔する人の特徴は「退職後のプランが明確でない人」などが挙げられます。

以下の記事で、早期退職して後悔する人の特徴や後悔しないためにできる対策を詳しく解説していますので、興味がある人は読んでみてください。

まとめ|定年まで2年残して退職しよう!ただし、早期退職は計画的に

この記事では、以下のことがわかりました。

  • 定年まで2年残して退職しようと考える場合、2人以上世帯で「約2,200万円」、単身世帯で「約820万円」の備えが必要
  • 早期退職するメリットは「時間的自由」「ストレスからの解放」「やりがいを感じられることに打ち込める」が挙げられる
  • 早期退職するデメリットは「収入が一時的に途絶える」「保険の見直しが必要」「人によっては退屈」が挙げられる
  • 早期退職に必要な貯蓄が足りない場合「早期退職後に自分のペースで働く」「FPへ相談する」などの対策が有効

早期退職は、将来の生活設計全体に大きな影響を及ぼします。
あらゆる側面からしっかりと準備を重ね、計画的に取り組むことが何より大切です。

みずからの人生設計にあわせ、夢を実現できる最適な選択ができるよう、今一度熟考されることをお勧めします。
資金計画に不安がある場合、専門家であるファイナンシャルプランナーに相談するのも賢い選択肢でしょう。

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執筆者
松田聡子
ファイナンシャルプランナー
明治大学法学部卒業後、証券システムのITエンジニア、国内生保の法人コンサルティング営業を経て2007年よりファイナンシャル・プランナーとして独立。コンサルティングのほか、主な活動は企業型確定拠出年金導入企業へのセミナー講師、マネーサイトへの執筆など。年金・資産運用・保険などに精通、iDeCoやNISAなどの制度を活用した人生100年時代の資産形成をアドバイスしている。