早期退職のメリット・デメリットとは?成功のポイントと注意点を解説
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早期退職制度を利用して、セカンドキャリアを構築しようとする人は少なくないでしょう。心身ともに活力のある定年前に退職すれば、セカンドキャリアの計画が立てやすくなります。 しかし、早期退職についてよく知らず踏み出せないでいる人もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、早期退職のメリット・デメリットなどを解説します。
- 【この記事を読んでわかること】
- 早期退職のメリット・デメリット
- 早期退職に失敗しないためのポイント
- 再就職に重要なポイント
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早期退職とは
早期退職とは、一定の条件を満たした従業員が60〜65歳で定年を迎える前に退職することです。早期優遇退職制度とも言われます。早期退職は、従業員の自由な選択や経営状態の悪化による人員整理などを主な目的として実施されるのが一般的です。企業から通告されるリストラ(整理解雇)とは違い、従業員の申請と事業主の承諾によって成立します。
近年では、経営の立て直しを図る上場企業や大手企業を中心に、早期退職制度を導入して退職を促す企業が増加しています。終身雇用制度や年功序列制度など、これまで日本企業で主流とされてきた慣習では、市場の変化やグローバル化する社会に上手く対応できないからです。
早期退職の規定や応募条件、優遇措置は企業ごとに異なるため、利用する際は事前に確認が必要です。
早期退職のメリット4つ
早期退職は、従業員の選択の自由を1つの目的とします。ここでは、早期退職することによって得られるメリットを4つ、紹介します。
- 退職金の割増
- 再就職支援
- 独立・開業が目指せる
- 充実したセカンドライフが過ごせる
1.退職金の割増
早期退職すると、割増された退職金を受け取れる場合があります。割り増しされる退職金を割増退職金と呼びます。企業が割増退職金を支給する目的は、退職後のキャリア形成や生活を支援すると共に、退職を促進することです。
2018年の厚生労働省が実施した「就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)が対象の場合、定年退職金平均が1,983万円であるのに対して、早期退職優遇制度による退職金平均は2,326万円と300万円以上高額です。
割増額の条件は、全員一律・同額、勤続年数・年齢、定年退職と同額など、企業によってさまざまです。
2.再就職支援
優遇措置の一環として、再就職支援を行っている企業もあります。提携している職業紹介事業などを通じての就職先の紹介、あるいはグループ企業などへあっ旋などを受けられるため、自分で就職活動をして再就職先を探す労力と手間がかかりません。
通常、早期退職の応募条件には、勤務歴や年齢などが設定されます。40〜50代で退職する場合、特別なスキルや知識、人脈などがないと、通常通りの就職活動によって再就職するのは困難です。
早期退職による再就職支援を受けることにより、退職後の再就職に向けた不安を軽くできます。
3.独立・開業が目指せる
これまで培ってきたスキルや知識、人脈などを活かし、独立・開業を目指せます。60歳または65歳で独立・開業するよりも、40〜50代の方が気持ちや体力に余裕があるため、事業計画や開業資金などが揃えば実現しやすいです。
近年、生産年齢人口が減少していることによって、40〜50代は働き盛りといわれるようになりました。令和4年総務省統計局の調査によると、日本の総人口に対しての40代、50代の割合は約30%を占めます。
参考:令和4年11月報(令和4年6月確定値、令和4年11月概算値)
ただし、知識やスキル、資格の取得が難しい職種の場合、開業は困難です。一方、弁護士や公認会計士などの士業、Webデザイナーやプログラマーなどのクリエイティブ職、飲食業などに勤めている人には可能性があります。
勤務しながら開業に役立つスキルやノウハウ、資格が本人の努力次第で身につけられる職業であれば、早期退職して独立・開業を目指すのも良いでしょう。
4.充実したセカンドライフが過ごせる
早期退職によって時間に余裕が生まれ、これまでできなかったことにチャレンジできます。会社員は土日祝日に休日が限られることが多く、ルーティーンを繰り返す生活になりがちです。
東京都福祉保健局の調査によると、定年退職後に送りたいと思う生活は年齢別で割合が異なります。
20代以下 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 旅行や遊び
趣味・スポーツ |
旅行や遊び | 趣味スポーツ活動 | 地域活動、社会貢献のための活動(ボランティ) | 趣味スポーツ活動 | 地域活動、社会貢献のための活動(ボランティ) |
2位 | 旅行や遊び
趣味・スポーツ |
趣味スポーツ活動 | 働く・起業する | 趣味スポーツ活動 | 地域活動、社会貢献のための活動(ボランティ) | 趣味スポーツ活動 |
3位 | 地域活動、社会貢献のための活動(ボランティ)
家族、親族との交流 |
のんびり暮らす | 旅行や遊び | 旅行や遊び | 旅行や遊び | 旅行や遊び |
上記の表で、「働く・起業する」という項目がランクインしているのは40代だけです。このことから、40〜50代で独立・開業を目指す人は少なくないとわかります。
早期退職のデメリット3つ
退職後に後悔しないために、早期退職のデメリットを把握しておくべきです。この項目では、早期退職のデメリットを3つ、解説します。
- 収入が不安定になる
- 再就職できるとは限らない
- 年金が減る可能性がある
1.収入が不安定になる
早期退職後、再就職先が決まっていない場合、安定した収入がなくなります。その場合、退職金や貯蓄を生活費用に充てなければなりません。また、再就職できた場合も以前より高待遇で採用される保証はありません。
早期退職の退職事由は自己都合となるため、失業保険を受け取るまで時間がかかります。独立・開業する場合にも、開業資金や運転資金、経費など多くの資金が必要なうえ、事業が必ず軌道に乗るという保証はありません。こうしたリスクを考慮し、収入と支出を把握したうえで早期退職を選びましょう。
2.必ず再就職できるとは限らない
キャリアアップを図るために早期退職しても、必ず再就職できるとは限りません。再就職支援をしていない企業があるうえ、年齢が上がるほど採用されにくいからです。
厚生労働省東京労働局の調査によると、年齢別有効求人倍率は、年齢が上がるにつれて低くなります。
年齢 | 有効求人倍率(2019年4月) |
---|---|
24歳以下 | 1.05 |
25〜34歳 | 1.06 |
35〜44歳 | 1.20 |
45〜54歳 | 1.04 |
55歳以上 | 0.76 |
55〜59歳 | 0.62 |
60〜64歳 | 0.62 |
※有効求人倍率は数値が低いほど就職しにくくなる
参考:年齢別有効求人倍率の推移(19年4月分) | 東京労働局
早期退職後、再就職を目指すなら、自身のノウハウや人脈、市場のニーズを見極め、早めに行動するといいでしょう。
3.年金が減る可能性がある
早期退職後、再就職までの期間が長くなるほど、年金の受給額が減る可能性があります。在職時の給与や加入期間によって、厚生年金の受給額が変わるからです。早期退職する分、厚生年金への加入期間が短くなり納付額が減るため、受給額も減少します。また、再就職先の給与が前職より低い場合も年金が減る可能性があります。
そのため、早期退職を検討する場合は、退職金の割増や再就職支援など企業の定める優遇措置を詳しく確認しましょう。
早期退職に失敗しないための3つのポイント
この項目では、早期退職に失敗しないためのポイントを3つ、紹介します。
- 退職金の受け取り方法を確認する
- 貯蓄しておく
- 退職後の明確なキャリアプランを立てる
セカンドキャリアの構築や充実したセカンドライフを過ごすために、ぜひ確認したいポイントです。
1.退職金の受取方法を確認する
企業ごとに退職金の受け取り方は違うため、事前に確認します。受け取り方によって課税額が変わり、手元に残る金額が少なくなる可能性があります。退職金の受け取り方は3種類あります。
- 退職一時金
- 退職年金
- 退職一時金+退職年金
一時金は「退職所得」、年金は「雑所得」として課税されます。
退職金を一時金として一括で受け取れば退職所得控除を受けられ、税負担が軽くなります。一方、退職年金は、退職所得控除を受けられません。退職年金は雑所得として区分されるため、通常の所得として課税されます。また、退職一時金と退職年金を併用する企業もあります。
2.貯蓄しておく
早期退職する際は、生活に必要な資金を貯蓄しておくと安心です。再就職先がなかなか決まらない場合、生活資金を退職金や貯蓄で補う必要があるためです。
2022年10月分の総務省統計局の調査によると、2人以上世帯の消費支出は、1世帯当たり約30万円必要です。
2021年の厚生労働省の調査によると、男性の平均寿命はおよそ81歳、女性は88歳です。家族を養う立場の人が50歳で早期退職した場合、総務省統計局の調査を元におよそ30年間分の生活資金を算出すると10,800万円です。
このデータは、2人以上世帯の消費支出金額に当てはめた抽象的なものですから、この金額を全額貯蓄しなければ生活できないわけではありません。しかし、貯蓄不足により生活が苦しくなるリスクを避けるためにも、貯蓄をしておくことは非常に重要だといえるでしょう。
参考:主な年齢の平均余命
3.退職後のキャリアプランを明確にする
早期退職を検討する場合、退職後の明確なプランを立てるべきです。キャリアアップを図るために転職するなら、在籍中に就職活動を始めるとスムーズです。その際、希望する企業の調査や自身のスキルの棚卸しをするなど、転職に備えての準備が重要です。独立・開業する場合には、事業のターゲット設定や集客方法などを事前に計画します。
早期退職後のキャリアプランを明確にすると、退職後のセカンドキャリアをスムーズに築けるでしょう。
再就職を成功に導く重要なポイント3つ
早期退職後の再就職で採用されるために、次の3つのポイントを押さえるといいでしょう。
- スキルアップと資格の取得
- 雇用条件の確認
- 転籍出向の活用も検討する
それぞれについて解説します。
スキルアップと資格の取得
在職期間中に、再就職に役立つスキルや資格を身につけます。就職活動の書類審査や面接で評価対象になるのは、スキルや資格です。資格は、書類審査段階のプラス材料になることが多く、資格取得に向けた前向きな姿勢も評価される可能性があります。また、スキルや知識があれば、面接での質疑応答に自信を持って挑めます。
希望する企業に就職するのに必要なスキルや資格を事前に調べて、退職前に取得しておくといいでしょう。
雇用条件の確認
希望する企業の雇用条件を確認します。特に確認したいのが、労働条件通知書です。労働条件通知書とは、賃金や労働時間、休暇などが記載されている書類です。労働通知書は、事業者から労働者への交付が法律上義務付けられています。労働通知書は内定時にもらえるのが一般的です。
雇用条件をしっかり調べておかなければ、前職よりも給与や休日が少なくなり、後悔するケースも少なくありません。事前に提示される条件はもちろん、内定時には労働条件通知書を確認し、納得した上で就職を決断しましょう。
早期退職で成功しやすい人の特徴
早期退職に成功しやすい人の特徴は次の通りです。
- 社内評価と市場評価が共に高い
- 社内での評価は低いが社外で評価されている
- 若くして役職に就任している
- 人脈が多く信頼される
- 顧客との成約数が多く営業成績が優秀
- 早期退職後にやりたいことが明確にある
- 頻繁にヘッドハンティングされる
早期退職で成功しやすい人は、社内評価と市場評価が共に高い人です。社内評価では、人間関係の構築力、職務に関するスキルや知識などの高さが求められます。
市場評価は、第三者からの評価によって決まります。ノウハウや人脈など、企業に対して即戦力になることを証明できるスキルや経験、実績が、市場価値を高めます。国家資格やマネジメント経験など、客観的にわかりやすいスキルや実績があれば、市場評価は高くなります。
社内での評価は低いものの社外で評価されている人が早期退職に向いているのは、その企業に合っていない可能性があるためです。終身雇用や年功序列といった制度が根付いている企業では、優秀な人材であっても高く評価されない場合があります。
早期退職で失敗しやすい人の特徴
早期退職に失敗しやすい人の特徴は次の通りです。
- 社内評価は高いが市場評価は低い人
- 社内外共に評価が低い
- 専門的なスキルや知識がない
- 資格がない
このような人は、早期退職後の再就職が難しいかもしれません。
終身雇用制や年功序列制などが根付く企業の場合、勤続年数の長さを重視してキャリアアップにつながる場合も少なくありません。市場評価よりも社内評価の方が高いという不一致が生じるため、再就職が困難になる場合があります。
早期退職に成功し、起業や転職などキャリアアップを目指したいのであれば、在職中に、客観的な評価を高めておきましょう。
早期退職を利用してキャリア形成を図ろう
早期退職は、退職金の割増や再就職支援などの優遇措置が受けられる場合があります。また、早期退職によって、セカンドキャリアの形成や独立・開業、充実したセカンドライフを過ごすなど、選択肢が広がります。
ただし、十分な貯蓄や再就職先がない場合、早期退職によって年金の受給額が減ったり、生活難に陥るというリスクがあります。再就職を目指す場合には、スキルや知識を高め、必要な資格を取得しておくといいでしょう。
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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
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