COBOLエンジニアを続けるべき?気になる将来性や年収相場を解説

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古い言語の代名詞として使われることも多いCOBOL。

COBOLを採用するシステムが減っていく中で、将来に不安を抱えている現役COBOLエンジニアも多いのではないでしょうか?

COBOLエンジニアの年収は、正社員で平均525万円、フリーランスで720万円とほかの言語に比べてやや低い水準にあります。
ただし、COBOLエンジニアの減少により高スキル人材の市場価値は高いです。

本記事では、大手証券系システム会社で20年の経験を持つ筆者が、COBOLエンジニアの年収相場やキャリア、将来性などを詳しく解説していきます。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • COBOLエンジニアのおもな仕事は、COBOLで作られたレガシーシステムの改修や再構築
  • COBOLエンジニアの年収は、正社員で平均525万円とほかの言語に比べてやや低め
  • COBOLは金融やインフラ企業の基幹システムとして古くから採用されているものの、近年は減少傾向
  • COBOLの需要は減っているが、COBOLエンジニアの減少により高スキル人材の価値は高い

この記事の監修者

じょう(フリーランス)

大学卒業後、富士通グループ会社(現富士通Japan株式会社)に入社
13年勤務し、おもにプロジェクトマネージャー・ITコンサルタントとして企画支援〜構築〜運用まで幅広く対応
現在はフリーランスとして執筆業・マーケティング業に従事
保有資格:ITストラテジスト応用情報技術者Fujitsu Certified Professional Cloud、等

COBOLエンジニアの仕事内容

まずは、COBOLの特徴やCOBOLエンジニアの仕事内容を振り返ってみましょう。

COBOLの特徴

「COBOL」は、「COmmon Business Oriented Language」の頭文字をとった略称で、日本語にすると「共通ビジネス指向言語」といった意味合いになります。その名のとおり、COBOLはビジネスにおける事務処理を得意とする言語です。

COBOLは1959年にアメリカのCODASYLによって開発されました。以来60年以上にわたり企業のシステム開発に使われ続けている、現役で活躍するプログラム言語の中では最も歴史ある言語の一つです。

今でもCOBOLは使われ続けていますが、その多くは過去に構築されたシステムの維持保守となっています。現在では、新規にシステムを構築する際に、COBOLが採用されるケースはほとんどありません。とはいえ、金融機関や官公庁などの基幹システムを中心に、COBOLは今でも現役で稼働しています。

COBOLが長年使われてきたのには、おもに下記のような理由があります。

  • 文法が自然言語に近く、人間が理解しやすい
  • 小数を含む計算処理を正確に行うことができ、信頼性が高い
  • 大量のデータ処理が得意で、大規模な企業システムの構築に適している

一方で、COBOLは古い技術であるが故に下記のようなデメリットも抱えています。

  • WEBアプリケーションやモバイルアプリ、AIなど近年開発が活発な分野には向かない
  • 若者のCOBOL離れによる人材の高齢化により、エンジニア不足・高コスト化
  • 長年のメンテナンスでスパゲッティ化したコードが保守や移植の足枷に

古い技術といわれながらも長く使われているCOBOLは、いわゆる「枯れた技術」の代名詞のような言語といってよいでしょう。

技術的には古いものの、長年にわたり利用されることで言語としての不具合は改善し尽くされ、さまざまなノウハウも蓄積されているため、安定的に運用できるのが魅力です。

金融機関や官公庁など、システムの堅牢性が求められる業界で今なお多く使われているのは、COBOLの信頼性の高さ故といえます。

COBOLが無くならない理由に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、興味がある人は読んでみてください。

COBOLエンジニアの役割と業務範囲

前述のとおり、COBOLを使って新規にシステムを構築するケースは多くありません。そのため、COBOLエンジニアの仕事は、既存のCOBOLで構築されたシステムの保守や改修が中心となります。COBOLが広く使われているのは下記のような業界です。

  • 銀行
  • 証券会社
  • 保険会社
  • 官公庁
  • インフラ企業

これらの企業や組織では、本業の業務を担う基幹システムがCOBOLで構築されている場合が多くあります。COBOLエンジニアは、制度改正や税制改正、商品追加などでシステムに改修が入る場合に、下記のような業務を担うのが役割です。

  • 要件に沿ったプログラム改修の設計
  • COBOLプログラムの改修
  • 改修したプログラムのテスト
  • 改修したプログラムのリリース作業と稼働確認

経験豊富な上級エンジニアになると、事業部門との要件定義や外部設計といった上流工程や、チームやプロジェクトを取りまとめて案件を推進するマネジメントの役割も求められます。

また、既存システムの改修要件への対応のほかにも、周辺システムの構築や改修に伴う対応や、システム障害への対応などもCOBOLエンジニアの仕事です。

加えて、レガシーシステムからの脱却のために、COBOLで構築されたシステムをモダンな言語に移植する場合にも、移植元システムの有識者としてCOBOLエンジニアが求められます。

監修者コメント
現在はCOBOLシステムの維持や保守が難しくなり、他の技術への移行することが多いです。
一方で、COBOLの技術者不足から既存システムの全体像を把握できず、COBOLからの移行に失敗するケースも発生しています。
COBOLからの移行に成功するためには事前の調査や段階的な移行が不可欠であり、これを推進できる有識者の市場価値が高まっています。

COBOLエンジニアに求められる3つのスキル

COBOLエンジニアとして開発を行っていくには、下記のようなスキルが必要になります。

  • 既存のソースを読解し修正するスキル
  • 手動での開発のスキル
  • 業務知識

既存のソースを読解し修正するスキル

COBOLはレガシーシステムで広く使われているため、COBOLエンジニアが携わる開発の多くは既存プログラムの保守や改修案件です。

モダンな言語を使って開発されたシステムとは異なり、数十年前にコーディングされたプログラムを直す機会も多いでしょう。当時は構造化などのコーディングルールも徹底されておらず、現在では一般に禁止されている「GO TO文」に溢れたソースや、長年のメンテナンスでスパゲッティ化した複雑なソースも多くなります。

COBOLエンジニアは、そのようなソースを正しく読解し、既存処理のデグレード(品質低下)を起こさないように修正する高いスキルが必要です。

手動での開発のスキル

COBOLは最近の言語に比べると、開発に使えるツールやフレームワークが限られており、機能も充実していません。そのため、COBOLエンジニアはシステム開発に必要な多くの作業を手動で行う必要があります。

たとえば、モダンな言語では自動デバッグやカバレッジツールなどで効率化されているテスト工程も、COBOLの場合はケース作成やデータ作成、実行を手動で行うケースが多く、エンジニアにスキルが必要です。

そのため、COBOLエンジニアにはモダンな言語のエンジニアと比べて、さまざまな手動の作業に精通していることが求められます。

業務知識

前述のとおり、COBOLは金融やインフラ企業、官公庁などの業界で基幹システムとして多く使われています。

基幹システムとは、企業や組織の本業部分を担うシステムのことです。たとえば、金融なら口座開設や入出金、残高管理などの顧客・取引管理や帳票作成、インフラ企業なら施設管理や在庫管理といった機能が該当します。そのため、COBOLエンジニアは、携わる業界に関する用語や慣習、業務プロセス、法規制などを理解していなくてはなりません。

要件定義や設計などの上流工程はもちろん、コーディングやテスト工程においても業務を理解していることが品質向上につながります。

COBOLエンジニアの気になる収入事情

COBOLエンジニアを続けるべきかを考えるうえで重要な、収入事情を見てみましょう。
古い言語で、需要が減っているといわれるCOBOLエンジニアは、一般に年収が低めとされていますが、実態はどうなのでしょうか?

正社員COBOLエンジニアの年収相場は平均525万円

「日経XTECH」が2019年に実施した調査によると、COBOLエンジニアの平均年収は525万円でした。

言語平均年収順位
COBOL525万円11位
C/C++650万円3位
R650万円3位
Python608万円6位
C#575万円7位
Java573万円8位
PHP545万円10位
Ruby450万円14位

※順位は、調査対象15言語中の順位

調査対象となっている15言語の中では11位という結果でした。ほかの主要な言語と比べ、COBOLエンジニアの平均年収は決して高くはありませんが、著しく低いという訳でもありません。
なお、国税庁による「民間給与実態統計調査」によると、一般的な給与所得者の平均年収は443万円となっています。COBOLエンジニアの年収は、一般的なサラリーマンの平均に比べると80万円ほど高く、高年収の部類に入るといえるでしょう。

40代のCOBOLエンジニアの年収相場は平均600万円

続いて、40代以上のベテランエンジニアの年収を見てみましょう。

まずは40代です。
「TECH Street(テックストリート)」が2020年に実施した調査によると、40代のCOBOLエンジニアの平均年収は595万円です。他の主要言語との比較は下表をご覧ください。

言語平均年収順位
COBOL595万円12位
R753万円1位
C++633万円2位
Python624万円3位
C#616万円4位
Java608万円5位
C605万円8位
Ruby603万円9位
PHP586万円15位

※順位は、調査対象の21言語中の順位

調査対象となっている21言語の中では12位と全体からみるとやや低めですが、著しく低い訳ではありません。COBOLの需要は減っていく傾向にあるものの、現状ではレガシーシステムのメンテナンスを中心に安定的な需要が見込まれます。

40代といえばエンジニア歴20年になるベテランエンジニアです。COBOLを使ったレガシーシステム改修のノウハウや、豊富な業務知識は若いエンジニアにはないスキルであり、COBOLで作られたシステムを抱える企業や組織にとっては貴重な人材といえるでしょう。

ただし、新規システム開発に使われず、既存システムも別言語への移植が進んでいくCOBOLは、今後需要が先細っていくものと予測されています。今後もエンジニアを続けたい40代のCOBOLエンジニアは、新たな言語のスキルや、言語に依存しないビジネススキルの向上を図ることをおすすめします。

50代のCOBOLエンジニアの年収相場は平均620万円

次に50代を見てみましょう。同じく、「TECH Street(テックストリート)」の調査では、50代のCOBOLエンジニアの平均年収は618万円です。

言語平均年収順位
COBOL618万円4位
C++635万円1位
Java629万円2位
C621万円3位
Ruby585万円9位
Python582万円11位
R575万円14位
C#550万円16位
PHP547万円17位

※順位は、調査対象の21言語中の順位

全21言語の中では4位と上位に位置しています。同調査では50代になると年収が下がる言語も多い中、COBOLは50代でさらに年収がアップする結果となりました。レガシーシステムで使われるCOBOLは若い人材が少なく、人材が高齢化しているため、ベテランになっても現場の第一線で活躍するエンジニアも多いものと推測されます。さらに、50代ともなれば上流工程やプロジェクトを取りまとめる経験が豊富な人も多いため、大規模開発が多い基幹システムのプロジェクトで重宝されるでしょう。

今後、COBOLの需要が減っていくとみられていますが、向こう10年というスパンではまだまだ残り続ける可能性が高いでしょう。50代のCOBOLエンジニアであれば、COBOL一筋のキャリアでも定年まで需要があるかもしれません。

フリーランスCOBOLエンジニアの月収相場は平均60万円

「レバテックフリーランス」の調査によると、フリーランスのCOBOLエンジニアの月収相場は平均60万円です。月収の幅は、最低30万円台から最高95万円と、案件によって3倍程度の差があります。

言語平均月収最高月収
COBOL60万円95万円
Ruby80万円145万円
R78万円95万円
Python76万円145万円
PHP72万円165万円
C++70万円135万円
Java68万円165万円
C#67万円165万円
C66万円115万円

フリーランスのCOBOLエンジニアの月収は平均月収、最高月収ともにほかの言語と比べて低くなっています。求人・案件数もJavaが約1万件、PHPが約6千件に対して、COBOLは400件程度とフリーランス市場でのCOBOLエンジニアに対する需要の低さは明らかです。

理由としては、前述のとおり、古い言語であるCOBOLのエンジニアは40代〜50代とベテランが中心で、多くが企業に所属していることから、ほかの言語のように活発なフリーランス市場が形成されていないものと考えられます。

また、企業目線では、COBOLは企業の基幹システムに使用されている場合が多く、保守では長期間にわたってエンジニアが常駐する必要があるため、フリーランスの単発案件として取り組むことが難しいという側面もあるかもしれません。

一般にフリーランスエンジニアは、収入が安定しないリスクがある反面、高いスキルと経験があれば会社員エンジニアよりもはるかに多い収入を得られるのが魅力です。しかし、COBOLの場合はそうとも言えないため、COBOLエンジニアとしての独立を考えている方は、慎重に判断したほうが良いでしょう。

COBOLエンジニアとしての収入水準を知るためには

ここまでは統計的な数値をもとに紹介しました。具体的に、自身の経歴を踏まえた収入の目安を知りたい場合には以下のようなサービスを利用してみましょう。

  • 手軽に知りたい|市場価値診断サービス
  • 詳しく知りたい|転職エージェント

それぞれ詳しく解説します。

手軽に知りたい|市場価値診断サービス

市場価値診断サービスは、ネット上で自身のスキルや経験に関するいくつかの質問に答えると、適正年収などを提示してくれるサービスです。会員登録すると、より詳しい分析や企業からのオファーを受けられます。主なサービスに「ミイダス」「geechs job」「duda」などがあります。

詳しく知りたい|転職エージェント

より正確な自身の市場価値を知りたい方は、転職エージェントに登録すると良いでしょう。自身の詳しい経歴や希望の職種、働き方などを伝えると、豊富な企業情報の中から最適な転職先を紹介していただけます。実際の求人情報を知ることで、正確な収入水準を知ることが可能です。

収入水準は、弊社サービス「エイジレスフリーランス」でもご相談いただけます。
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COBOLエンジニアのキャリアプラン

COBOLエンジニアの働き方やキャリアアップの手段を解説します。

COBOLエンジニアの多様な働き方

COBOLエンジニアのおもな働き方には下記のようなものがあります。

  • 会社員エンジニアとして働く
  • 派遣エンジニアとして働く
  • フリーランスとして働く

会社員エンジニアは、安定した雇用や収入が魅力です。COBOLの基幹システムを抱える企業のシステム部門やシステム子会社に所属すれば、継続的にメンテナンス案件があるでしょう。

派遣エンジニアやフリーランスは案件選びの自由度が高く働き方を自身で決めやすい一方、会社員と比べて収入は不安定です。ただし、レガシーシステムで使われているCOBOLではエンジニアの需要が限られるため、案件選びや働き方を自由に選べるというフリーランスのメリットはあまり享受できないかもしれません。

また、近年のエンジニア業界ではリモートワークが可能な企業や案件が増えています。レガシーシステムでの利用が多いCOBOLでも、リモート環境を整えている企業であればリモートワークも可能です。

COBOLエンジニアがキャリアアップする手段

レガシーシステムのメンテナンスがおもな活躍の場となるCOBOLエンジニアが、キャリアアップを図っていくにはどうすれば良いでしょうか?

重要な2つの方法を紹介します。

  • ほかの言語も習得する
  • マネジメントスキルを高める

ほかの言語も習得する

新規システムの開発に使われる見込みの薄いCOBOLは、将来需要が増えていく可能性は低いでしょう。さらに今後は、COBOLで作られたレガシーシステムを別の言語に置き換えるモダナイズが加速するものと見られます。実際に最近、銀行間の決済を担う「全銀システム」がCOBOLからの脱却を打ち出しました。そのような状況で、COBOL一本で生き残っていくのは厳しい、と感じる人も多いでしょう。

COBOLエンジニアがほかの言語を学ぶなら、Javaがおすすめです。その理由は、COBOLのシステムをほかの言語に移植する場合、Javaが採用されるケースが多いことにあります。前述の全銀システムもJavaを中心にオープン化予定とされています。Javaを使えるCOBOLエンジニアとして移植プロジェクトで活躍し、移植後にはCOBOL時代を知るJavaエンジニアとして、豊富な業務知識を武器に活躍するキャリアも良いのではないでしょうか。

マネジメントスキルを身につける

制度改正や税制改正に伴う基幹システムの改修は大規模になることが多く、経験豊富なCOBOLエンジニアにはチームを束ねるリーダーやプロジェクトを推進するプロジェクトマネージャー(PM)としての役割が求められます。リーダーやPMの役割を担うには、計画の作成・管理やタスク・メンバー管理、ステークホルダーとの調整などのマネジメントスキルが必要です。

マネジメントスキルは、開発スキルとは異なり言語への依存度が低いため、リーダーやPMとしての経験は他の言語の開発でも活かせる可能性が高いでしょう。加えて、高い業務知識や上流工程のスキルを持ち合わせていれば、たとえ言語がCCOBOLから変わったとしても活躍できる場面があるはずです。

COBOLだけしかできないエンジニアは、キャリアが終わりに近づいている場合でも、COBOLだけで十分乗り切れる可能性があります。
一方で、ITエンジニアとしてのキャリアが序盤から中盤の段階であれば、COBOLに頼らない多様なスキルを身につけることが重要です。

COBOLエンジニアのキャリア戦略は、以下の記事で解説しているので読んでみてください。

COBOLエンジニアが技術を磨く方法

前述で紹介した、COBOLエンジニアに求められるスキルや、キャリアアップのためのスキルを磨く方法を解説します。

  • 業務知識を高める方法
  • ほかの言語の知識を習得する方法
  • マネジメントスキルを身につける方法

業務知識を高める方法

COBOLエンジニアが業務知識を高めるには、担当する一つひとつの開発案件で業務的な背景をしっかりと理解しながら対応することが重要です。

詳細設計やコーディング、テストなどは業務をよく知らなくてもできてしまうかもしれません。しかし、各案件で業務的な背景を一段深く掘り下げて理解することを心がけていけば、知識が積み重なって業務に対する理解が広がるでしょう。

また、ユーザーと接する機会のある方は、積極的にコミュニケーションをとることも大切です。わからないことを聞ける関係を作っておけば、業務への理解を広げるのに役立ちます。

ほかの言語の知識を習得する方法

COBOLエンジニアが忙しい仕事の合間にほかの言語を学ぶには、書籍やWEB上の学習コンテンツを活用するのがおすすめです。

人気言語なら情報が充実しているため、教材に困ることはないでしょう。最近の言語はオープンソースで、自身のPC上に開発環境を簡単に構築できるものが多いため、基礎知識を学んだあとは、実際に手を動かしながら理解を深めることもできます。

しっかりと体系的に学びたいという方は、Udemyやドットインストールなどの動画教材や、プログラミングスクールなどを活用するのも良いでしょう。

マネジメントスキルを身につける方法

マネジメントスキルを身につけるには、開発現場でマネジメントの経験を積むのがもっとも有効です。

実際に予算や要員、スケジュール、品質などを計画・管理することで実践的なスキルを身につけられます。実務でマネジメントをする立場にない場合には、上司の仕事内容を観察して知識を吸収していくのも良いでしょう。

また、マネジメントに関する知識は、資格取得を通じて身につけることも可能です。プロジェクトマネジメントの資格には、IPAが主催する国家資格の「プロジェクトマネージャー試験」や、プロジェクトマネジメントの国際標準PMBOKに基づいた国際資格である「PMP」などがあります。

COBOLエンジニアの転職ノウハウ

COBOLエンジニアの転職は大きく、引き続きCOBOLのキャリアを続けるケースと、ほかの言語のエンジニアに転職するケースに分けられます。

それぞれの場合の転職のポイントを解説します。

COBOLエンジニアとして転職する場合

COBOLエンジニアを募集する企業の多くは、レガシーシステムを抱えた企業です。

そのような企業にとって、レガシーシステムでの豊富な開発経験を持つエンジニアには高い価値があります。COBOLやメインフレームに精通したエンジニアが減っている点をメリットと受け止め、レガシーシステムを扱える貴重なエンジニアである点を十分にアピールすると良いでしょう。

転職活動の際には、自身のスキルセットを明確にすることが重要です。経験した案件の内容・規模・役割や自身の得意とする分野・強みなどをアピールできるように整理しておきましょう。

また、COBOLエンジニアを募集する企業には、レガシーシステムの刷新を見据えている企業も多いため、COBOLのほかにJavaなどの知識も備えていると転職先の選択肢が広がります。

ほかの言語のエンジニアに転職する場合

ほかの言語のエンジニアに転職する場合には、転職先で扱う新たな言語やフレームワークの知識に加えて、COBOLエンジニアとしての経験をアピールすることも大切です。

COBOLエンジニアとして得た業務知識やプロジェクト経験が活かせる求人があるかもしれません。また、要件定義や設計などの上流工程の知識や、プロジェクトマネジメント能力などは、言語やフレームワークによらず必要とされるスキルです。

プロジェクトを取りまとめて推進する役割の人材を募集する求人では、開発言語やフレームワークの知識よりも、マネジメントスキルやコミュニケーション力を評価されるケースもあります。自身のスキルセットにあった求人を選ぶと採用に近づくでしょう。

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COBOLエンジニアの求人や案件

COBOLエンジニアを募集している企業や、COBOLを使う開発プロジェクトの特徴を見てみましょう。

COBOLエンジニアを求める企業

COBOLで作られたシステムは減ってきていますが、同時にCOBOLを扱えるエンジニアも減っています。そのため、COBOLで作られた基幹システムなどを抱える企業の中には、COBOLエンジニアを募集している企業も多くあります。

COBOLエンジニアを求める代表的な企業は以下のとおりです。

  • 銀行・証券会社のシステム部門
  • システムインテグレーター(SIer)
  • 物流・流通企業

銀行・証券会社のシステム部門

COBOLを利用している代表的な企業として、銀行や証券会社があげられます。

金融の業務は複雑なため、それを支える基幹システムは大規模かつ複雑です。さらに、長年に渡ってメンテナンスを繰り返す中で、スパゲッティ化やブラックボックス化が進んでいるケースも少なくありません。

モダンな言語への刷新はリスクが高く、膨大な費用もかかるため、今でもCOBOLを使い続けているのです。金融機関の基幹システムでは、定期的に制度改正や税制改正への対応が必要なため、COBOLを採用している場合にはCOBOLエンジニアは欠かせない存在といえるでしょう。

システムインテグレーター(SIer)

システムインテグレーター(SIer)は、情報システムやビジネスプロセスの改善に携わるエンジニアやコンサルタントなどが多く所属する企業です。

SIerには、さまざまな言語を扱うエンジニアが揃っており、COBOLエンジニアを募集しているSIerもあります。SIerは多くの企業の案件を請け負うため、所属するエンジニアはさまざまな案件の開発に携われるのが魅力です。

また、SIerの競争力はエンジニアの質の高さに左右されるので、スキルアップのためのサポートが充実している企業が多いのもメリットといえるでしょう。

物流・流通企業

物流・流通企業は、商品や物資を効率的に輸送・配送することによって、消費者へ商品を届ける企業です。

物流・流通業界では、在庫管理や配送管理、顧客情報管理などを担う基幹システムで、データ処理に適したCOBOLが広く使われています。物流・流通企業で働くCOBOLエンジニアには、COBOLでの開発スキルに加えて、モノの流れを一元管理するロジスティクスの知識や現場の業務を理解するためのコミュニケーション力などが必要です。

COBOLが使われる開発プロジェクト

おもにレガシーシステムで使われているCOBOLは、新しい言語と異なり新規のシステム構築に使われることはほとんどなく、既存システムの改修がメインです。

COBOLエンジニアが関わるおもな開発プロジェクトには、下記のようなものがあります。

  • 制度や業務の変更への対応
  • 周辺システムの追加・改修に伴う対応
  • システム再構築

制度や業務の変更への対応

COBOLは企業の基幹システムで多く使われています。

基幹システムは、業務に関わる法令や税制などの変更があると、それに合わせてシステム改修が必要です。法令や税制は施行日が決められており、かつ必ず遵守する必要があるため、納期と品質の厳しい管理が求められます。

また、新たな商品を取り扱ったり、業務プロセスを改善したりする場合にも、基幹システムに手が入る場合があります。

こうした案件に対応するCOBOLエンジニアには、深い業務知識と、既存システムの仕様・構造に対する正確な理解が必要です。

周辺システムの追加・改修に伴う対応

多くの企業では、COBOLで作られた基幹システムの周りには、複数の周辺システムが構築されています。

基幹システムはコアな業務処理に専念し、新しい機能はモダンな言語で基幹システムの外に作る方が高性能・高機能・低コストを実現可能なためです。

たとえば、データウェアハウスやワークフローシステム、WEBシステムなどがあります。こうした周辺システムの新規追加や改修を行う場合、基幹システムでは新たなインターフェースを開発したり、既存のインターフェースを改修したりといった対応が必要になります。

システム再構築

COBOLで開発されたシステムの老朽化に伴う、システムの再構築もおもなプロジェクトのひとつです。

再構築には大きく、COBOLのままメインフレームからサーバーにオープン化するケースと、別の言語に移行するケースがあります。

前者のCOBOLのままオープン化する場合でも、メインフレーム向けの汎用COBOLからサーバー向けのオープンCOBOLへの移植や、データベースの変更に伴う改修などが必要です。

後者の別言語に移行する場合には、大規模な開発が必要になります。

COBOLエンジニアは現行システムの有識者として、別言語への移植を担います。その際、移行先の言語も扱えれば、仕事の幅が広がるでしょう。

COBOLエンジニアが業務委託案件を見つける方法

フリーランスのCOBOLエンジニアが業務委託案件を探すためには、おもに下記の2つの方法があります。

  • 求人サイト
  • フリーランスエージェント

求人サイト

多くの求人サイトでは、転職の求人だけでなく、フリーランスエンジニア向けの業務委託案件も多数募集されています。

COBOLエンジニア向けの業務委託案件は、JavaやPythonなどの人気言語に比べると件数は少なめです。COBOL向け案件求人サイトでは自身のスキルレベルや希望の働き方にあった案件を選んで応募し、採用されれば案件受託になります。

フリーランスエージェント

フリーランスエージェントは、開発実績やスキル、希望条件などを登録しておくと、それに適した企業や案件を紹介してくれるサービスです。

エージェントはクライアント企業と契約して独自の案件を抱えているため、求人サイトなどでは募集されていない好条件な案件を紹介してもらえる場合もあります。求人サイトでなかなか希望のCOBOL案件が見つからないという方は、フリーランスエージェントに相談してみてはいかがでしょうか。

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COBOLエンジニアの需要や将来性

最後に、COBOLエンジニアの将来性を考えてみましょう。

今後のCOBOL言語に対する需要は、残念ながら先細っていくと見るのが一般的です。現状、新規システムの構築にCOBOLはほとんど採用されておらず、既存のCOBOLシステムも、ほかの言語への移植が進んでいます。将来、COBOLの良さが見直されて採用が増える可能性もゼロではありませんが、使いやすく高機能な言語が多く登場している現状では難しいでしょう。

しかし、「COBOLの採用が減っていくこと=COBOLエンジニアの価値がなくなること」ではありません。今後COBOLシステムが増えていくことは期待できないものの、現在稼働しているCOBOLシステムのメンテナンス需要がすぐになくなることはないでしょう。COBOLは金融やインフラ企業など社会基盤となる業界の基幹システムとして、まだまだ現役で採用されています。

COBOLを扱えるエンジニアが高齢化して減っていく中で、スキルの高いCOBOLエンジニアの希少性は高く、相対的な価値は高まっていくことが期待されます。
ただし、10年以上の長期スパンで考える場合には、COBOL一本で生き残りを目指すのはリスクが高いかもしれません。ほかの言語やマネジメント方面へ舵を切ることも念頭にスキル習得を図っていくのがおすすめです。

COBOLエンジニアは続けるべき?

前述のとおり、COBOLはまだまだ現役で採用されており、当面は開発案件がなくなることはありません。しかし、COBOLシステムからほかの言語へのモダナイズの波は確実に押し寄せています。

たとえば、50代のCOBOLエンジニアであれば、COBOL一本で現役を終えられるかもしれません。仮に今の職場でCOBOLの需要がなくなっても、COBOLエンジニアの募集は年齢不問の場合が多いため、ほかの企業で経験を活かせる可能性が高いでしょう。

もし、40代以下の場合には、COBOLに頼らないスキルを身につけておくことをおすすめします。20年という長期で見た場合、COBOLシステムは限りなく少なくなっていることが予想されるためです。とはいえ、COBOLエンジニアとして身につけたシステム開発のノウハウや、業務知識、マネジメントスキルなどは、開発言語に関わらず役立ちます。プラスアルファのスキルとして、別の言語や分野にも少しずつ手を広げていくと良いでしょう。

COBOLエンジニアに関するよくある質問

現在COBOLエンジニアとして働いている人や、COBOLについて調べている人からよくある質問を紹介します。

Q1.COBOLエンジニアが不足しているのはなぜ?

COBOLの需要は減退傾向である一方で、技術者が不足している理由は「新規学習者が少ない」「技術者が高齢化し開発現場から退いている」「COBOLから他言語への移行が困難」の3つです。

以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある人は読んでみてください。

Q2.COBOLはなぜ銀行でよく使われているのですか?

金融業界では、銀行をはじめとするさまざまな企業がCOBOLを基幹システムに採用しており、証券・保険・クレジットカードなど業界全体で広く利用されています。

金融業界は詳細な数字を扱うため、COBOLの得意とする事務処理が非常に重要です。

このため、COBOLを使って正確性の高いシステムを構築することが求められています。

とくに銀行では、COBOLによって開発されたシステムやアプリケーションが業務に広く活用されています。

以下の記事では、COBOLが銀行で使われ続けている理由や今後の展望を解説していますので、読んでみてください。

COBOLは銀行だけでなく、政府機関や医療業界、航空宇宙産業でも利用されています。

以下の記事では、COBOLがどのようなシステムに使用されているのか、そしてなぜこれほど長い間使われ続けているのかについて解説しています。

まとめ

COBOLは、60年以上使われている事務処理を得意とするプログラミング言語です。

現在は、金融やインフラ企業、官公庁といった企業や組織の基幹システムなどで利用されています。COBOLエンジニアの年収相場は正社員で平均525万円と、ほかの言語のエンジニアと比べてやや低めです。

古い言語であるCOBOLは新規システムに採用されることはほとんどなく、既存システムも徐々に別言語に移植されていっています。

当面は既存システムのメンテナンスや再構築の需要が見込まれますが、長期で見ると需要が先細りしていく可能性は高いでしょう。COBOLエンジニアは、しっかりと将来のキャリアを考え、必要に応じてほかの言語や分野の知識を身につけることが大切です。

COBOLエンジニアのキャリアにお悩みの人は、エイジレスにご相談ください。

エイジレスは、「年齢が高いという理由で不採用になる」「若いというだけの理由で報酬が低い」など『年齢によるしがらみをなくす』をコンセプトに、エイジレスエージェントエイジレスフリーランスというサービスを展開しています。

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執筆者
しーそー
大手証券系システム会社での20年間のシステムエンジニア(SE)歴を経て、2022年4月よりライターの道へ。前職では主に設計・要件定義などの上流工程やプロジェクトマネジメントを経験。職歴を活かしたIT・金融関係の記事や、趣味と実益を兼ねた資産運用・仮想通貨などが得意ジャンル。2児の父として子育てにも奮闘中