COBOLはどこで使われている？長年使用されている理由や将来性を解説！

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COBOLに興味がある人の中には、「COBOLってどこで使われているの？」と思う人がいるでしょう。

COBOLは、汎用機をはじめとするレガシーシステムの事務処理用の言語であり、高速処理に向いています。
そのため、現在でも金融機関や政府機関、医療業界や航空宇宙産業を中心にCOBOLが使われています。

この記事では、COBOLが長年使われている理由にはじまり、どこで使われているかなどを詳しくみていきましょう。

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COBOLの特徴や現状

COBOL（Common Business Oriented Language）は、高級プログラミング言語の一つです。

1959年に米国のデータ組織言語協会にて、事務用の共通プログラミング言語として開発されたもので、60年以上使われている歴史ある言語です。

事務用の共通プログラミング言語として開発されたため、事務処理に向いたプログラミング言語となっています。

ただ、近年は新規開発に使われることはほぼなく、レガシーシステム（過去の技術や仕組みで構築されているシステム）の代名詞的な扱いとなっています。

金融機関や政府機関など多くの組織で使用されており、これらのシステムでは安定性と信頼性が要求されるため、COBOLの継続的なサポートとメンテナンスが必要です。

現在は、COBOLからほかの汎用性の高いプログラミング言語への移行が進んでいます。
COBOLからの移行に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので興味がある人は読んでみてください。

COBOLからの移行は失敗しやすい？｜失敗例や成功のポイントを解説

「COBOLからの移行が多いのはなぜか」「COBOLからの移行のポイントは何か」既存のCOBOLシステムを保守するには、コストがかかったりリ

COBOLが長年使い続けられてきた4つの理由

IPAの調査データ「ソフトウェア開発分析データ集2022」によると、COBOLはJAVAに続いて使用されているプログラミング言語となっています。

これは、金融機関や政府機関などの組織で昔から使い続けられてきたことが理由だと考えられます。

このようにCOBOLは昔から長年使われ続けている言語ですが、その理由はなんなのでしょうか。

ここでは、以下4つの理由を解説します。

• 安定性や信頼性が高い
• レガシーシステムへの依存性が高い
• ビジネス重視の設計となっている
• 大量データ処理が得意

それぞれみていきます。

安定性や信頼性が高い

COBOLプログラムで構築されたシステムは、長期間にわたって安定して稼働しているものが多く、信頼性の高さが実証されています。

生産性が高く計算は正確で、処理速度も速いことがCOBOLの特徴であり、これらの特徴が評価されてさまざまなシステムで利用されています。

このような特徴は、金融機関・保険会社・公共事業・航空宇宙産業など、重要なシステムでビジネスプロセスを支えるために必要な要素です。

結果、安定性が高いCOBOLは信頼できるプログラム言語として選択され、長年使い続けられています。

レガシーシステムへの依存性が高い

COBOLを使って開発されたアプリケーションやシステムを使用している多くの企業は、長期間そのシステムに依存しています。

これは、COBOLが安定性や信頼性が高いプログラミング言語であるために、ほかの言語などに乗り換える必要がなく、安定して稼働できているためです。

ほかにも依存性が高い理由として、これらのレガシーシステムを置き換えるためには、膨大なリソースと時間を要することも理由のひとつです。

このようなシステムでは、ほかの言語でのシステムの再構築を行わず、COBOLの継続的な長期間のサポートを必要としてます。

ビジネス重視の設計となっている

COBOLは、ビジネスアプリケーション向けに設計されたプログラミング言語です。

その設計思想はビジネスルールやデータ処理に適しており、長期間にわたって安定性を提供できるようになっています。

ビジネスプロセスを正確にサポートできる設計となっているため、金融機関・保険会社・公共事業・航空宇宙産業など、複雑なビジネスプロセスが必要とされる事業に数多く利用されています。

COBOLの生産性の高さ・計算の正確さ・処理速度の速さという特徴は、このような事業やサービスに適しています。

大量データ処理が得意

COBOLは事務作業の効率化を目的にして開発されたプログラミング言語であるため、大量のデータの高速処理に適しています。

浮動小数点数の型の桁数を開発者が決められるため、正確な計算処理を行うことが可能です。

COBOLが正確で高速な演算処理ができる理由のひとつとして、ファイルの使用方法があげられます。

COBOLは、1桁ずつレコードを処理する単純な順ファイルはもちろん、相対ファイル・牽引ファイル（INDEXファイル）などの特殊なファイルも使用できます。

相対ファイルや牽引ファイルの特性を活かし、膨大なデータのソートやマージなども高速で行えるため、大量データの処理が得意です。

安定性や信頼性が高く長期間多くのシステムで使用されている

ここまで、COBOLが長年使い続けられてきた理由をみてきました。

COBOLは安定性と信頼性が高く、ビジネス重視の設計となっているため、複雑なビジネスプロセスが必要とされるシステムに長年使用されています。

また、長年使い続けて膨大なシステムとなってしまったために、別言語をベースとするシステムへの移行が困難となっていることも理由のひとつです。

次に、COBOLがどんな業界で使われているかをみていきます。

COBOLはどこで使われている？代表的な4つの業界

COBOLはビジネス重視の設計となっているプログラミング言語なので、ビジネスプロセスを必要とするシステムで長年使われています。

このようなビジネスプロセスが必要な業界とは、どのような業界があるのでしょうか。

ここでは、COBOLが使われている4つの業界をみていきます。

• 金融業界
• 公共事業
• 医療業界
• 航空宇宙産業

それぞれみていきます。

金融業界

COBOLは金融業界で長期間にわたり広く使用されています。

銀行・証券取引・保険・クレジットカード処理など、広範囲な領域で主要な役割を果たしています。

このような領域では正確な処理が求められるため、COBOLの特徴のひとつである処理の正確さを活かしたシステムの構築が可能です。

多くの銀行や保険会社は、長期間にわたってCOBOLで開発されたアプリケーションやシステムで業務を運用しています。

公共事業

COBOLは公共事業でも広く使用されており、電力会社・ガス会社・水道事業者などの分野で利用されている言語です。

COBOLは、エネルギー供給・料金計算・顧客管理などの重要な業務プロセスをサポートしています。

公共事業では数多くのユーザーが利用しているため、大量のデータを取り扱う必要があります。

この大量のデータ処理に、COBOLの正確で高速な演算処理が適していることが、公共事業で長年COBOLのシステムを利用し続けている理由のひとつです。

医療業界

医療業界では、病院・医療保険会社・医療機関などでCOBOLが使用されています。

使用されている業務は、患者情報の管理・請求処理・医療診断などの健康関連の業務です。

患者情報は膨大なデータ量となり、COBOLでの大量データ処理が向いているため、長年にわたってCOBOLで構築されたシステムが使い続けられています。

航空宇宙産業

航空宇宙産業では、飛行計画・航空交通管制・機体保守などの分野でCOBOLが使用されています。

特に航空会社は、航空機の運航データを管理して、顧客予約を処理するためにCOBOLベースのシステムを利用しています。

航空で扱われるデータは、安定性や信頼性が必要とされるものが多いため、システムの安定稼働が必要です。

システムの安定稼働のために、COBOLのビジネス重視の設計で安定性の高いシステムが採用されています。

どの業界でもデータの高速処理やシステムの安定稼働が求められる

ここまで、COBOLが使われている業界をみてきました。

どの業界でも、データの高速処理やシステムの安定稼働が求められるため、COBOLのビジネス設計向けの特徴が有効に働きます。

安定稼働しているシステムであるために、システムを再構築する必要性がなく、レガシーシステムとして長年同じシステムを使い続けています。

次に、COBOLが抱えるデメリットや課題をみていきましょう。

COBOLが抱える4つのデメリットや課題

COBOLは安定性や信頼性の高いビジネスプロセスを提供できるため、レガシーシステムとはいえ多くの業界で利用されていることがわかりました。

このCOBOLには、どのようなデメリットや課題があるのでしょうか。

ここでは、4つのデメリットや課題をみていきます。

• 開発者コミュニティが高齢化してしまっている
• COBOLの専門知識を持つ人材の不足
• ウェブ開発やモバイルアプリ開発への適合性がない
• 文法が複雑で保守性が低い

それぞれ解説します。

開発者コミュニティが高齢化してしまっている

COBOLは長年使用されてきた言語であり、主要な開発者は高齢化してしまっているのが現状です。

若い世代のプログラマーにとって、ほかの数多くのプログラミング言語と比べて、COBOLは魅力的な技術には見えません。

若い世代は、COBOLなどのレガシーシステムで使うプログラミング言語よりも、ウェブ開発やモバイルアプリ開発などで使える言語を好みます。

このため、COBOLのスキルを持つ専門家は減少の一途をたどっており、COBOL人材の高齢化が課題のひとつです。

COBOLの専門知識を持つ人材の不足

先述のように、COBOLの普及が進んでいない現状から、COBOLの知識とスキルを持つ開発者が限られてしまっているという課題があります。

COBOLの普及には、COBOLを扱える新しい開発者が必要ですが、現状ではこれら開発者を育てるためのリソースが不足しています。

COBOLは自然言語に似ているため、読みやすい言語ですが習得は簡単ではありません。

COBOLを理解し、効果的にメンテナンスするためには、熟練者の指導と経験が必要となります。

ウェブ開発やモバイルアプリ開発への適合性がない

COBOLは、モバイルアプリケーションやクラウドベースのアプリケーションの開発には適していないとされています。

このような分野ではCOBOLではなく、ネイティブアプリ用の言語であったり、ウェブ開発用の言語だったりが向いているでしょう。

COBOLでは、ネイティブなライブラリやフレームワークが提供できません。

また、COBOLはモバイルデバイス上で最適に動くように設計されていないため、モバイルアプリ開発にも不向きです。

COBOLは典型的なビジネスアプリケーション開発に特化しているため、モバイルアプリの要件を満たせません。

文法が複雑で保守性が低い

COBOLの文法は自然言語に似ていますが、プログラムが長文となり複雑化してしまうデメリットがあります。

長文化して複雑となってしまうプログラム言語は、保守性が低くなります。

また、保守性の低さの理由として、COBOLの開発に関連するドキュメントの不足があげられるでしょう。

長年使われてきたレガシーシステムであるために、開発当初はドキュメント化の文化がなく、当時の開発情報が不足しがちです。

さらに、数十年にわたる改変やメンテナンスによっても、ドキュメントの不足が顕著となってしまっています。

この結果、当時のドキュメントが残っておらず、情報が不足してしまっているのが現状です。

長年使われてきたプログラミング言語であるために最先端な開発には向かない

ここまで、COBOLが抱えるデメリットや課題をみてきました。

COBOLは長年使われてきたプログラミング言語であるために、ウェブ開発やモバイルアプリ開発など最先端のシステム開発には向いていません。

また、当時のドキュメントが残っておらず開発情報が不足しており、当時の開発者の高齢化も情報不足に拍車をかけています。

次に、COBOLの今後を考えていきます。

COBOLは今後どうなる？年収・求人例・将来性を解説

COBOLは長年使われている言語ですが、新規開発での出番はなく、現行の保守運用がおもな業務となっています。

このCOBOLは、今後どうなっていくのでしょうか。

COBOLの今後を、以下3つの観点でみていきます。

• 年収
• 求人の傾向
• 将来性

それぞれ解説していきます。

【年収】COBOLの平均年収は550万円程度

大手求人サイトで「COBOL」の求人案件を10件ほどピックアップして平均年収を算出した結果、COBOLの平均年収は550万円程度となりました。

一般的な給与所得者の平均年収が433万円であることから、COBOLの平均年収はやや高水準です。

年収が一般的な給与所得者と比べてやや高水準なのは、先述した金融業界や医療業界などの大手企業からの求人が多いためであると考えられます。

ただ、RubyやPHPなどを使用するウェブ開発やモバイルアプリケーション開発では、さらに平均年収が高い傾向にあります。

このため、より多くの年収アップを狙う人は、COBOLではなくほかの言語を利用するシステム開発に携わる企業への転職を考えるべきでしょう。

【求人の傾向】保険系や金融系企業からの求人が多い

ここでは、大手求人サイトで「COBOL」で検索した際にヒットした求人案件の一例を表にしてみました（2023年9月執筆時点）。

募集内容	年収	業務内容
「保険事業開発部」汎用系Cobol	600万円～800万円	生命保険会社の業務システムの開発・保守業務を担当
COBOLエンジニア/リモート有/50代活躍中	520万円〜800万円	銀行・生保・損保、官公庁および物流系を中心に、多数の案件を受注
COBOLリーダー「PL/PM」	300万円〜700万円	金融系・業務系システム企画・開発
若手汎用機「COBOL」エンジニア	300万円〜600万円	金融系システム設計をメインに開発
COBOL「題名:長期安定」	550万円〜600万円	長年つきあいのある某生命保険会社にて開発業務を行う

大手求人サイトでの1週間以内の求人数は1,400件程度あり、COBOLを取り扱う企業からの需要があることがわかります。

ただ、業務内容は新規開発ではなく保守運用ばかりであるため、新規開発を行いたい人には不向きです。

市場動向として、COBOLの技術者は需要に対して供給が追いついていません。
COBOLの技術者不足に関しては、以下の記事で解説しているので興味がある人は読んでみてください。

COBOL技術者が不足しているのはなぜ？｜COBOLが使い続けられている理由も徹底解説！

COBOL技術者として活躍している人の中には「COBOL技術者が不足しているのはなぜなのだろう？」と思う人もいるでしょう。COBOL技術者は

【将来性】技術者の希少性が高く当面は一定の需要が見込まれる

COBOLは後継者が不足しているため、COBOLエンジニアの希少性は高いと考えられています。

医療や金融をはじめとした業界ではレガシーシステムを抱える企業が多く、保守要員に対する一定量のニーズがあるからです。

また、最近はDXの広がりでCOBOLからモダンな言語への移行需要も高く、この場合もCOBOLエンジニアが必要となるでしょう。

このように、COBOLが扱えるエンジニアは希少性が高く、当面は一定の需要が見込めます。

COBOLの将来性は、以下の記事で詳細を解説しているので興味がある人は読んでみてください。

COBOLの将来性は低い？でもCOBOLエンジニアの需要は増大中

COBOLエンジニアの中には「COBOLの将来性はどうなの？」と感じている人もいるのではないでしょうか。結論として、COBOLのプログラミン

平均年収はやや高水準で保守・運用作業は豊富だが、新規開発案件は皆無

ここまで、COBOLの将来性をみてきました。

COBOLの平均年収はやや高水準であり、求人内容として保守・運用作業が豊富にあります。

ただ、新規開発案件は皆無であるため、新しい案件にチャレンジしていきたい人には不向きです。

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COBOLエンジニアが市場価値を高めるための3つのスキル

COBOLエンジニアが市場価値を高めるためには、COBOLだけでなくさまざまなスキルが必要です。

ここでは、必要となる以下3つのスキルを解説します。

• マネジメントスキルを身につける
• COBOL以外の言語の知識も習得する
• COBOLが活用されている業界の業務知識を深める

それぞれみていきます。

マネジメントスキルを身につける

COBOLエンジニアが市場価値を高めるために、マネジメントスキルを身につけることが必要です。

COBOLエンジニアには、若手よりも長年開発を続けてきたようなベテランが多く、このような年代の人たちには企業からマネジメントスキルを求められることが多いです。

たとえば、自身の配下にメンバーがアサインされて、チーム管理を任されることもあるでしょう。

このようなときのために、マネジメントスキルを身につけておけば、COBOLエンジニアとしてさらに高評価を得られる可能性が高まります。

COBOL以外の言語の知識も習得する

COBOLエンジニアには、COBOL以外の言語の知識が必要となる場合があります。

長年使い続けられているレガシーシステムですが、新しいシステムに刷新する動きも活発です。

これは、COBOLのような古い言語のシステムでは、将来的にメンテナンスが難しいと考えてのことでしょう。

システム刷新の際にはCOBOL以外の言語が使われますが、この言語の知識も習得しておく必要があります。

COBOLからの移行先としては、Javaがよく選ばれます。

Javaは非常に汎用性が高く、さまざまな業務要件に対応できるためです。
また、国内でよく使われているプログラミング言語の中で常に上位にランクインしており、習熟した技術者を確保しやすいことも大きな要因です。

COBOL以外の言語の知識も習得できれば、システム刷新後も継続して希望する案件に関われるでしょう。

COBOLが活用されている業界の業務知識を深める

COBOLが活用されている業界の業務知識を深めることは、市場価値を高めるために有効です。

自身が関わっている業界であれば、業務知識を深めることで、その知識を活用してさらに活躍できるでしょう。

自身が関わっていない別の業界であれば、業務知識を深めておくことで、転職やフリーランスに転身する際に業務知識をアピールできるでしょう。

このように、COBOLだけでなくその業界の業務知識を深めることが、自身の市場価値を高める方法の一つです。

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まとめ｜COBOLは多くのレガシーシステムで使われている

今回は、COBOLがどのように使われているかをみてきました。

• 安定性や信頼性が高く長期間多くのレガシーシステムで使用されている 
• データの高速処理や、システムの安定稼働が求められる業界で利用されていることが多い 
• 長年使われてきたプログラミング言語なので、最先端の開発には向かない 
• 平均年収はやや高水準で保守・運用作業は豊富だが、新規開発案件は皆無 

COBOLは安定性や信頼性が高く、長期間多くのレガシーシステムで使用されている言語です。

これは、どの業界でもデータの高速処理やシステムの安定稼働が求められ、この要件をCOBOLが満たせるためです。

ただ、長年使われてきたプログラミング言語であるために、最先端の開発には向いていません。

今後もCOBOLで活躍していきたい人は、COBOL以外のスキルも磨いておくと良いでしょう。