自己都合退職の退職金相場はいくら?減額される割合相場を解説

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自己都合による退職の場合、そのほかの理由による退職と比較して退職金が大きく減額されるケースが多いです。

減額される割合は比較対象や職種によっても異なりますが、6割〜8割程度減額されることもあります。

本記事では、自己都合退職をした場合の退職金について、各職種別に詳しく解説しています。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 自己都合による退職の場合は、退職金が6割〜8割程度減額される
  • 退職金にはいくつかの種類があり、加入している退職金制度次第では次の会社で引き継ぎが可能
  • ハラスメントや、会社の責に帰すべき事由がある場合は、自己都合退職であっても「会社都合」として退職金が支払われるケースもある

自己都合で退職をする場合の退職金の扱い

自己都合退職の退職金相場はいくら?減額される割合相場を解説

会社員として勤務している人が自己都合で退職をする場合の退職金は、会社規定に基づいて支払われます。会社規定に退職金支払いに関する規定があり、その条件を満たしている場合は、それにしたがって支払いが行われるでしょう。

また、公務員として働いている人が自己都合で退職する場合は、各関係法令に基づいて支払われます。

まずは、会社員と公務員それぞれが自己都合で退職する場合の退職金の取り扱いを解説します。

会社員は「会社規定」に基づいて支払われる

会社員として勤務している人が、自己都合によって退職をした場合の退職金は、会社規定にしたがって取り扱われます。前提として、会社規定に退職金制度がある場合のみ、自己都合退職でも支払われる可能性があります。

しかし、会社によっては以下のような条件を規定している場合があり、満たしていない場合は支給されません。

  • 勤続◯年以上で退職金支給
  • 退職後に懲戒解雇に相当する事由が発覚した場合は、退職金の一部または全部を支給しない

たとえば、「勤続3年以上で退職金を支給」といった会社規定があった場合、3年以内の自己都合退職では退職金支払いはありません。また、自己都合退職であっても、退職後に懲戒解雇に相当する事由が発覚した場合は、上記条件を満たしていても退職金の支払いは行われません。

上記条件はあくまでも例であるため、実際に規定されているかどうかは勤務先の会社規定を確認してみましょう。

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公務員は条例・国家公務員退職手当法にしたがって支払われる

公務員として勤務されている人が自己都合で退職をする場合は、各市区町村条例(地方公務員の場合)もしくは国家公務員退職手当法(国家公務員の場合)にしたがって支払われます。

地方・国家公務員、いずれの場合も「勤続年数1年以上」の条件を満たしていれば、退職金を受け取れます。

なお、公務員は6か月以上1年未満の在籍期間は切り上げで「在籍期間1年」として計算するため、実際は6か月以上の勤続年数があれば退職金が支払われるでしょう。

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自己都合で退職した場合の退職金は減額されることがほとんど

自己都合退職の退職金相場はいくら?減額される割合相場を解説

自己都合で退職をする場合の退職金は、会社員・公務員いずれも減額されるのが一般的です。減額幅は会社規定や査定などによって異なるため、一概には言えません。

ただし、会社側から一方的に退職金を減額されたり、不支給決定されたりした場合は、違法となる可能性があります。そのため、自己都合で退職をし、退職金を受け取る際は以下のことに注意してください。

  • 規定に明記されていない大幅な減額は違法となる
  • 退職金不支給が違法となるケースもある

それぞれ詳しく解説します。

規定に明記されていない大幅減額は違法となる可能性も

会社規定に記載されていない大幅な退職金の減額は、違法となるケースがあります。

前提として、退職金の支払い有無は各会社で自由に決められます。また、自己都合退職時の退職金取り扱いや、減額幅なども自由に決定して良いです。しかし、会社規定に記載されていないにもかかわらず、合理的な理由なく大幅に退職金を減額をした場合は違法となる可能性があります。

退職金の減額幅が違法と判断された場合は、本来支給されるはずだった部分の支払いを請求できます。もし、「自己都合退職を理由に退職金を大幅に減額された」など不満を感じている場合は、専門家への相談を検討しましょう。

退職金不支給が違法となるケースもある退職金不支給が違法となるケースもある

自己都合退職などを理由に退職金が支払われなかった場合、違法となる場合があります。

退職金の支給有無は会社ごとに自由に決定できます。しかし、会社規定に記載している以上は、それにしたがって支払わなければいけません。

たとえば、「勤続◯年以上で退職金を支給」といった規定があり、その条件を満たしていた場合は退職金を受け取れます。万が一、自己都合退職を理由に一方的に不支給となった場合、違法となり未払い賃金の支払いを請求できます。

なお、未払い賃金(退職金の未払い)が発生していた場合、遅延損害金を合わせて請求可能です。不安・不満がある人は、専門家への相談を検討しましょう。

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自己都合退職の退職金相場

自己都合退職の退職金相場はいくら?減額される割合相場を解説

自己都合で退職をする場合は、そのほかの理由で退職をした場合と比較して、退職金支給額が6割〜8割程度減額されます。実際に減額される割合は、勤続年数や学歴、産業別によっても異なるため一概には言えません。

次に、自己都合と定年退職・会社都合退職それぞれと比較した場合に、どの程度減額されるのかを、詳しく解説します。

参考:賃金事情等総合調査 |令和3年賃金事情等総合調査 令和3年退職金、年金及び定年制事情調査

定年退職と比較すると7割〜8割減が相場

令和3年賃金事情等総合調査による定年退職の退職金相場は、1,872.9万円でした。自己都合退職の場合は、447.3万円であるため、約76%減額されて支給されていることがわかります。

参考:賃金事情等総合調査 |令和3年賃金事情等総合調査 令和3年退職金、年金及び定年制事情調査

しかし、定年退職間近で自己都合退職をした人と、勤続年数の短い人が自己都合退職をした場合では、実際に支払われる退職金に差が発生します。あくまでも「平均的に見ると7割〜8割相当の減額が見込まれる」と考えておけば良いでしょう。

会社都合と比較すると約6割減が相場

同じく、令和3年賃金事情等総合調査によると、会社都合で退職をした場合の退職金相場は1,197.2万円でした。そのため、会社都合と自己都合退職(447.3万円)で比較した場合、自己都合のほうが約63%減額されて支給される計算です。

参考:賃金事情等総合調査 |令和3年賃金事情等総合調査 令和3年退職金、年金及び定年制事情調査

同じ退職であっても、自己都合か会社都合かによって退職金支給額が倍以上変わります。また、会社からお願いをされて自己都合退職をした場合、状況次第では会社都合に変更できる場合があります。仮に、会社都合へ変更できた場合は、会社都合退職として退職金を請求可能です。

たとえば、ハラスメントによる退職や、会社の責めに帰すべき事由によって自己都合退職をした場合は、会社都合にできる可能性があります。実際に支給される退職金も大きく異なるため、退職原因を慎重に判断されたほうが良いでしょう。

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退職金の種類と受け取り方とは

自己都合退職の退職金相場はいくら?減額される割合相場を解説

退職金の種類と受け取り方には以下の4種類があります。

  • 退職一時金制度
  • 退職金共済制度
  • 確定拠出年金制度
  • 確定給付企業年金制度

退職金の種類によっては、自己都合退職後の転職先で引き継ぎができたり、個人資産への移換をできたりする場合があります。次に、退職金の種類と自己都合退職後の取り扱いについて解説します。

各企業で積み立てを行う「退職一時金制度」

退職一時金制度は、会社で退職金を積み立てて従業員が退職をする際に一時金として支払う制度です。一般的には、会社規定の「退職金規定」に明記されています。

退職一時金制度の原資はすべて会社で積み立てているため、自己都合退職の場合は一部減額されたり不支給となったりする場合があります。

退職金共済機構から支払われる「退職金共済制度」

退職金共済制度は、業種別に加入できる退職制度であり、以下の種類があります。

  • 中小企業退職金共済事業本部(中退共)
  • 建築業退職金共済(建退共)
  • 清酒製造業退職金共済(清退共)
  • 林業退職金共済(林退共)

会社が退職金原資を積み立て、従業員が退職した際に退職金共済機構から支払いが行われます。この制度の場合、自己都合退職後の転職先で同じ共済に加入していた場合は、引き継ぎが可能です。

一方、引継ぎせずに自己都合退職をしたタイミングで退職金を受け取ることも可能であり、自分の状況に合わせて選択できます。

各企業が毎月掛金を積み立てる「企業型確定拠出年金制度」

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、各企業が従業員の年金口座に拠出(積み立て)をして退職金を準備する制度です。企業型確定拠出年金の場合、積み立て途中で自己都合退職をした場合であっても、原則従業員が60歳になるまで引き出すことはできません。

そのため、この退職金制度を採用していた場合は、自己都合退職をしたタイミングで退職金を受け取ることはできません。その代わり、60歳を過ぎてから年金形式で退職金を受け取れる仕組みです。

なお、企業型確定拠出年金制度を採用している会社で自己都合退職した場合、これまでに積み立てた資産(退職金)は、個人型確定拠出年金へ移換できます。

▼退職金の受け取り方について詳しく知りたい方はこちら

企業が将来の給付額を保証する「確定給付企業年金制度」

確定給付企業年金制度(DB)は、給付額があらかじめ約束されている企業年金制度です。会社側で拠出から給付まですべての責任を負うのが特徴であり、日本国内ではもっとも多く選ばれている企業年金制度です。

確定給付企業年金制度に加入している会社を自己都合退職した場合、転職先で確定給付企業年金や企業型確定拠出年金へ引き継ぐことができます。一方で、引き継ぎせずに個人型DC(iDeCo)への移換も可能です。

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自己都合退職でも「会社都合」になるケースとは

自己都合退職の退職金相場はいくら?減額される割合相場を解説

自己都合退職をした場合、退職金の支給額が大幅に減額されてしまうことは珍しくありません。そのため、中には「自己都合で退職することに納得できない」といった人もいるのではないでしょうか。

自己都合退職であっても、実際は会社都合として扱われる事例がいくつかあります。具体的な例は以下のとおりです。

  • ハラスメントによる退職の場合
  • 会社側の責めに帰すべき事由がある場合

それぞれ詳しく解説します。

ハラスメントによる退職の場合

ハラスメントによる退職の場合は、会社都合退職となるケースが多いです。先に、自己都合で退職をした場合であっても、あとから会社都合への変更が可能であり、認められた場合は差額分の退職金の請求もできます。

職場内で行われるハラスメントにはさまざまなものがあります。たとえば、以下のような行為が挙げられます。

  • 性的な言動や行為を行う「セクシャルハラスメント(セクハラ)」
  • 上下関係や権力を元に嫌がらせを行う「パワーハラスメント(パワハラ)」
  • 妊娠や出産を理由に嫌がらせなどを行う「マタニティハラスメント(マタハラ)」

上記ハラスメントは一例です。ほかにも、嫌がらせやいじめなどの行為はハラスメントに該当する場合があります。職場で行われたハラスメントに起因して退職した場合は、会社都合退職になります。
自己都合退職に納得ができない場合やハラスメントを受けている場合は、弁護士や労働基準監督署、そのほかの総合労働相談窓口へ相談をしてください。

会社側の「責めに帰すべき事由」がある場合

会社側の責めに帰すべき事由があって退職をした場合は、会社都合退職として認められる場合があります。会社側の責めに帰すべき事由とは、具体的に以下のことが当てはまります。

  • 長時間労働
  • 休日出勤
  • 賃金・残業代の未払い
  • 事業所の移転により通勤が困難となった場合
  • 事業所の業務が法令に違反した場合

  • など

上記は一例ですが、該当した場合は会社都合退職への変更が可能です。会社都合として認められた場合は、差額の退職金を請求できます。

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まとめ

本記事では、自己都合退職をした場合の退職金について解説しました。

自己都合で退職をした場合、そのほかの退職理由と比べて退職金支給額が6割〜8割程度減額されてしまいます。減額幅はとても大きいため、退職後の生活に影響が出る可能性もあるため、退職時は慎重に検討したほうが良いでしょう。

また、自己都合退職であっても会社の責めに帰すべき事由があった場合は、会社都合として退職金の請求が可能です。先に自己都合としての退職届を提出した場合であっても、あとから変更・請求もできます。

自己都合に納得ができない人や、会社の責に帰すべき事由があって退職をした人は、会社都合への変更も検討されてみてはいかがでしょうか。

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まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。