退職金の計算方法や相場は?気になる退職事由ごとの給付金を紹介
※当サイトは人材関連サービスを展開する株式会社エイジレスが運営しています。本ページは自社および提携先のPRを含む場合があります。
勤務先に退職金制度のある人は、受取金額が気になるのではないでしょうか。一口に退職金といっても、さまざまな制度設計があり、計算方法も異なります。一般的には退職事由や勤続年数によって退職金額が決まります。この記事では、退職金の種類ごとの計算方法や退職事由による給付額の相場を紹介します。
- 【この記事を読んでわかること】
- 退職金の支給は義務ではないので退職金制度がない事業所もある
- 退職金には一時金、退職金共済、確定給付型年金、確定拠出年金などがある
- 退職一時金には定額制・基本給連動型・別テーブル制・ポイント制などの計算方法がある
- 退職金の金額は勤続年数や退職事由によって相場が変わる
資金計画に不安ならFPへ相談を
資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。
- 無料で何度でも相談できる
- 会員100万人突破
- 全国47都道府県対応
- 無理な勧誘や営業は一切なし
- 【公式】https://hokench.com/
退職金制度とは?
退職金制度とは、従業員が勤務先を退職する際に退職金を一時金や年金で支給する制度です。退職金制度の導入は労働法などで義務づけられたものではなく、支給は事業所ごとの任意です。ただし、退職金制度を導入し、その旨が就業規則等に明示されている場合は、規定にしたがって支給する義務が生じます。
退職金制度のある事業所は制度の内容を就業規則や退職金規程で明確にし、従業員に周知しなければなりません。周知の方法は、以下のいずれかとされています。
- 事業所の見やすい場所に掲示または備え付け
- 従業員に書面を交付
- 社内サーバーなどに格納
退職金制度の種類
退職金制度にはいくつかの種類があります。各事業所はいずれか1つまたは複数の退職金を組み合わせて導入しています。
退職一時金
退職時にまとまった一時金を一括で支払うのが、退職一時金です。多くの場合、「退職金」というと退職一時金を指します。事業所ごとに支給対象や支給額が定められ、その取り決めにしたがって退職者に支払われます。
退職金共済
多くの中小企業では、退職金準備に退職金共済を採用しています。一般的に中小企業はキャッシュフローに余裕がなく、運転資金と退職金の積立金を分けて管理するのが難しい場合もあります。そのようなケースでは、退職金の外部積立が有益です。代表的な退職金共済に中小企業退職金共済(中退共)や特定業種退職金共済(特退共)があります。これらの共済で退職金の外部積立を行えば、事業所が経営不振でも従業員に確実に退職金が支給されます。
確定給付型年金
退職金制度では一時金でなく、企業年金を採用している事業所もあります。確定給付型年金は企業年金の一種で、事業主と従業員の間で決めた規約に基づき、退職後に給付を受ける制度です。事業主は決められた給付についての運用のリスクを負います。従業員は決められた給付を受けられますが、その分事業主には負担の大きな仕組みです。中途退職の場合には、脱退一時金を受け取れます。
確定拠出年金
事業所の確定拠出年金は企業型確定拠出年金といい、個人型確定拠出年金(iDeCo)と区別されます。確定拠出年金とは、加入者(従業員)が自分で掛金を運用し、その成績によって将来の年金額が決まる仕組みです。企業型では掛金を事業主が負担し、個人型では加入者が負担します。
確定拠出年金では、原則60歳まで積立金の引き出しができません。そのため中途退職の場合、転職先に確定拠出年金があれば積立金を移管して継続します。転職先に確定拠出年金がない、または給与所得者でなくなる場合はiDeCoに移管することになります。
退職一時金の計算方法の種類
退職金の支払い方が一時金の場合には、いくつかの計算方法があります。事業所が採用した退職一時金の計算方法は、就業規則や退職金規程に記載されています。
定額制
定額制とは、役職や報酬額などに関わらず、勤続年数に応じて決められた退職金が支払われる方式です。勤続10年で300万円、勤続35年で2,000万円のようなわかりやすい制度なので、事業主側の導入も運用も難しくありません。
定額制は長く勤務すれば多く退職金が受け取れる、年功序列型の計算方法といえます。同じ年数勤務した人の退職金は同額になるため、従業員のモチベーションが上がらないなどのデメリットもあります。事業主としても「貢献度の高い社員に報いたい」という思いもあるでしょう。その場合は退職金規程に功労加算などを定めておけば、対応できます。
定額制は事業主に運営上の負担が少ないため、小規模な事業所に導入する場合に適しています。
基本給連動型
基本給連動型とは、退職時の基本給を基に勤続年数、退職理由を考慮して計算する方式です。一般的には、勤続年数に応じて増える支給係数と、退職事由(自己都合や会社都合)によって異なる退職事由係数を用います。
基本的な計算式は以下のようになります。
基本給連動型も勤続年数が長いほど退職金額が多くなる方式です。しかし、退職時の基本給はキャリアによって異なるため、同じ勤続年数でも退職金額が同じとはかぎりません。
基本給連動型の計算例
たとえば、以下のように支給率と退職事由係数が規定されていたとします。
勤続年数 | 支給率 |
---|---|
10年 | 5 |
20年 | 10 |
30年 | 20 |
退職事由 | 退職事由係数 |
---|---|
自己都合 | 0.7 |
会社都合 | 1.0 |
定年退職 | 1.0 |
25万円×5×0.7=87万5,000円となります。
退職時の基本給30万円の人が勤続20年で会社都合退職する場合の退職金額は
30万円×10×1.0=300万円となります。
退職時の基本給40万円の人が勤続30年で定年退職する場合の退職金額は
40万円×20×1.0=800万円となります。
別テーブル制
別テーブル制とは基本給をベースにせず、勤続年数ごとに基準額を定めて、退職時の役職による資格や等級の係数と退職事由のテーブル(表)を基に退職金を計算する方式です。
別テーブル制の計算例
たとえば、以下のように基準額・役職係数と退職事由係数が規定されていたとします。
勤続年数 | 基準額 |
---|---|
10年 | 50万円 |
20年 | 100万円 |
30年 | 300万円 |
役職 | 役職係数 |
---|---|
一般 | 1.0 |
主任 | 1.2 |
部長 | 1.8 |
退職事由 | 退職事由係数 |
---|---|
自己都合 | 0.7 |
会社都合 | 1.0 |
定年退職 | 1.0 |
50万円×1.0×0.7=35万円となります。
退職時に主任の人が勤続20年で会社都合退職する場合の退職金額は
100万円×1.2×1.0=120万円となります。
退職時に部長の人が勤続30年で定年退職する場合の退職金額は
300万円×1.8×1.0=540万円となります。
ポイント制の計算例
たとえば、以下のように退職金ポイントが設定されていたとします。ポイント単価は1万円です。
- ポイント単価:1万円
- 勤続1年ごとに加算されるポイント:20ポイント
役職 | 役職ポイント |
---|---|
一般 | 10ポイント |
主任 | 20ポイント |
部長 | 30ポイント |
退職事由 | 退職事由係数 |
---|---|
自己都合 | 0.7 |
会社都合 | 1.0 |
定年退職 | 1.0 |
(10年×20ポイント)×1万円×0.7=140万円となります。
退職時に主任の人が勤続20年で会社都合退職する場合の退職金額は
(20年×20ポイント+10ポイント)×1万円×1.0=410万円となります。
退職時に部長(主任と課長を経て)の人が勤続30年で定年退職する場合の退職金額は
(30年×20ポイント+10ポイント+20ポイント+30ポイント)×1万円×1.0=660万円となります。
退職理由ごとの退職金の相場
退職金は自己都合や会社都合といった退職理由、勤続年数などによって相場も異なります。ここでは、厚生労働省の調査データから、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者(管理・事務・技術職)の退職金相場を紹介します。
定年退職の場合
勤続年数 | 大学・大学院卒 | 高校卒 |
---|---|---|
20~24年 | 1,267 万円 | 525万円 |
25~29年 | 1,395万円 | 745万円 |
30~34年 | 1,794万円 | 928万円 |
35年以上 | 2,173万円 | 1,954万円 |
会社都合退職の場合
- 大学・大学院卒:2,156万円
- 高校卒:1,969万円
自己都合退職の場合
- 大学・大学院卒:1,519万円
- 高校卒:1,079万円
早期優遇退職の場合
- 大学・大学院卒:2,326万円
- 高校卒:2,094万円
▼『退職金の相場』について知りたい方はこちら
退職金の相場はいくら?企業規模や業種、勤続年数による違いも解説
現在の公的年金の水準では多くの人が老後の生活をまかなうことは難しく、不足分を自力で準備する必要があります。そのため、会社員にとって退職
退職一時金にかかる税金と手取り額
退職一時金には所得税・住民税がかかりますが、給与のような経常的な所得よりも手取りが多くなるように配慮されています。ここでは、退職一時金にかかる税金の計算方法を解説します。
退職所得控除とは
(支給額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額は勤続年数により、計算式が異なります。
勤続年数が20年以下 | 40万円×勤続年数 ※80万円未満の場合、80万円 |
---|---|
勤続年数が20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
勤続年数の1ヶ月単位は切り上げとなります。20年と1ヶ月の場合、勤続年数は21年です。
退職一時金の手取りの計算方法
勤続30年で退職支給額が2,000万円の人の手取額を試算してみましょう。最初に退職所得控除額を計算します。
800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
次に、課税対象額を計算します。
(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円
課税対象額250万円にかかる税率は10%、控除額は9万7,500円です。所得税を計算します。
参考:国税庁「退職金と税」
復興特別所得税は所得税の2.1%です。
15万2,500円×2.1%=3,202円(端数切り捨て)
さらに10%の住民税がかかります。
250万円×10%=25万円
所得税・住民税を合算します。
15万2,500円+3,202円+25万円=40万5,702円
支給額から所得税・住民税を差し引いた金額が手取り額です。
2,000万円-40万5,702円=1,959万4,298円
手取りに関しては、「退職金の手取りはいくら?税金の計算方法をわかりやすく解説」の記事で詳しく解説しています
▼『退職金にかかる税金』について詳しく知りたい方はこちら
退職金にかかる税金は?事前の試算で手元に残る金額を知っておこう
まとまった退職金は定年退職後の生活の支えとなりますが、規程の額を全て貰えるのでしょうか?退職金は、金額やもらい方によって税金がか
資金計画に不安ならFPへ相談を
資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。
- 無料で何度でも相談できる
- 会員100万人突破
- 全国47都道府県対応
- 無理な勧誘や営業は一切なし
- 【公式】https://hokench.com/
まとめ
退職金の支給は事業主に義務づけられるものでなく、導入する退職金制度も事業主側の事情によってさまざまです。退職金の受取額は制度設計によって大きく変わります。退職金額は生活設計に影響するので、勤務先の退職金制度がどうなっているかを早めに確認しておきましょう。