嘱託社員にボーナスは支給される?注意点や交渉のポイントを紹介

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これまで働いてきた企業を定年退職した後、再雇用を検討する人は案外多いのではないでしょうか。
嘱託社員として働ければ、再就職先に困りません。その際に気になるのは、待遇ではないでしょうか。特にボーナス支給の有無は気になるところです。

そこでこの記事では、嘱託社員のボーナス支給の有無や注意点、ボーナス支給に関する交渉のポイントについて紹介します。

  • 【この記事を読んでわかること】
  • 嘱託社員のボーナス支給の有無
  • 嘱託社員がボーナスをもらえる場合の注意点
  • 嘱託社員がボーナス支給を交渉する場合のポイント

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嘱託社員とは

書類の上に置かれている眼鏡

定年退職後、勤めていた企業と再雇用契約を交わす社員を嘱託社員と呼びます。契約社員やパートと同じように、有期労働契約に基づいて働く非正規雇用の労働者を指すのが一般的ですが、法律上の明確な定義はありません。

有期労働契約とは、企業と労働者が期間を定めて労働契約を交わすことです。契約期間は原則として最大3年とされています。なお、専門的な知識等を有する労働者、満60歳以上の労働者との労働契約の上限は5年とされています。

参考:労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等) |厚生労働省

定年退職した社員と嘱託社員として契約を交わし、正社員時代の仕事を引き続き任せる場合も少なくありません。これまでのノウハウを活かして効率的に業務を進められる上、人材不足を補えるからです。

嘱託社員と契約社員との違い

契約社員と嘱託社員は、雇用の目的や無期転換ルールに違いがあります。
定年後の再雇用を目的とする嘱託社員に対し、契約社員は専門的な能力を活かすことを目的として働きます。また、契約社員は有期労働契約から無期労働契約へ転換できますが、嘱託社員はできません。

無期転換ルールとは、同一の企業との間で有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者からの申し込みにより、無期労働契約に転換できるルールです。有期契約労働者が企業に対して無期転換の申し込みをした場合、無期労働契約が成立します。

また、法律上、契約社員に明確な定義はありません。厚生労働省の定義では、常用労働者のうち、フルタイム勤務で雇用期間の定めがある嘱託以外の者とされています。

参考:用語の説明 – 厚生労働省

嘱託社員のボーナス支給の有無

紙幣の上にあるボーナスのマーク

嘱託社員になっても、正社員の頃と同じようにボーナスの支給はあるのでしょうか。
この項目では、ボーナスの概要について改めて確認するとともに、嘱託社員へのボーナスの支給の有無について解説します。

ボーナスとは

そもそもボーナスとは、毎月の固定給とは別に支給する給与のことを指します。
健康保険法第三条では、賞与について「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労組者が労働の対価として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう」としています。

労働基準法上、企業に労働の対価である賃金の支払いは義務付けられますが、ボーナスの支給は義務付けられていません。そのため、ボーナスを支給するかどうかは任意であり、企業によります。ボーナスを支給する場合、金額や時期なども企業の判断に委ねられています。

嘱託社員へのボーナスの支給の有無は企業による

企業によって嘱託社員へのボーナス支給の有無は異なります。一般的に嘱託社員へのボーナスは支給されない、あるいは支給されたとしても、正社員に比べて少額な場合がほとんどです。

正社員に対しボーナスを支給していない企業が、嘱託社員に支給する可能性は低いでしょう。また、正社員にボーナスを支給する企業でも嘱託社員には支給しない場合もあります。とはいえ、嘱託社員や契約社員、アルバイトにもボーナスを支給している企業もわずかながらあります。

就業規則や労働契約、求人広告などにボーナスを支給する記載がある場合、正規雇用か非正規雇用にかかわらず請求できるため事前に確認しておくべきです。

嘱託社員のボーナス支給平均金額

嘱託社員と正社員ではボーナスの平均額が大きく異なります。

厚生労働省の2021年賃金構造基本統計調査では、企業規模10人以上の民間企業で働く正社員・正職員の「特別賞与その他特別支給額」の平均額が年間およそ99万円だったのに対し、嘱託社員を含む「正社員・正職員以外の雇用期間の定めがある労働者」は23万円でした。

参考:賃金構造基本統計調査令和3年賃金構造基本統計調査一般労働者雇用形態別|ファイル|統計データを探す|政府統計の総合窓口

嘱託社員がボーナスを受け取る際に注意すべきこと

差し伸べた両手

嘱託社員として働いていてボーナスの支給がある場合、在職老齢年金に注意が必要です。在職老齢年金とは、60歳以上の人が在職しながら受給できる老齢厚生年金のことを指します。

60歳以降でも厚生年金保険に加入しながら年金を受け取れますが、収入に応じて年金の支給額が減額されるうえ、収入の金額によっては年金の支給が停止される可能性があります。
在職老齢年金が減額される基準は、次の項目で解説します。

在職老齢年金制度の基準

在職老齢年金制度は、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えるか否かで変わります。

  • 47万円以下の場合:支給停止額=0円(全額支給)
  • 47万円を超える場合:支給停止額= (総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2×12

総報酬月額相当額とは、月給(標準報酬月額)と直近1年間の賞与を12で割った額を足した金額です。

総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が47万円を超えると、年金額の一部または全額が支給停止となります。給与やボーナスが多くなれば、受け取れる老齢年金額が減る可能性があるため、事前に確認しましょう。

参考:日本年金機構:令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました

同一労働同一賃金で嘱託社員のボーナス支給の可能性が高まる

握手する2人の会社員

2021年より全面施行された「同一労働同一賃金」によって、嘱託社員のボーナス支給の可能性は高まっています。

同一労働同一賃金とは、同一企業・団体の正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指す制度です。

正規雇用労働者と非正規雇用労働者間で、給与やボーナスについて不合理な待遇差を設けることを禁じています。加えて、待遇差がある場合、その理由の説明が企業側に義務付けられています。同一労働同一賃金の導入によって、今後は嘱託社員にボーナスを支給される可能性があるでしょう。

参考:同一労働同一賃金特集ページ |厚生労働省

ただし、嘱託社員になった後も正社員と同等の仕事内容や仕事量を行わなければなりません。正社員と同じボーナスや給与を求める場合、嘱託社員になった後もスキルアップに努め、従事しましょう。

ボーナスが支給されない場合の対応方法

資料を持って話す男性

この項目では、嘱託社員がボーナスをもらえない場合にどのようにすればいいのか、企業に対する対応方法を紹介します。

正社員と同等のボーナスが嘱託社員に支給される場合は多くありません。しかし、ボーナスの有無によって年収が大きく変わるため、少額でも支給してもらえるように努めるべきです。対応方法は次の2つです。

  • 企業に交渉する
  • 転職を検討する

それぞれについて解説します。

企業に交渉する

ボーナスの支給がない場合、企業に支給してもらえるように交渉してましょう。交渉次第では、嘱託社員にもボーナスを支給するように契約を変更してもらえる可能性があります。

企業にとって、自社に貢献してきた経験豊富な社員を失うのは大きな痛手です。特に、特別なポジションにいる、チームの統括を任せている、あるいは大手企業の顧客と信頼関係を築いているなど、有能な社員を失うことは、業績の低下につながる可能性があります。そうした理由から、退職者と再雇用する場合も少なくありません。

ただし、嘱託社員には賞与を支給しないとする旨が就業規則などに記されている場合、交渉しても成立する可能性は非常に低いです。事前に自己分析を行い、実績や貢献度合いを把握し、就業規則などを確認した上で交渉に挑みましょう。

ボーナス支給の交渉をする際は年収を確認すること

嘱託社員がボーナス交渉する際は、はじめに給与を確認しておきます。ボーナスが支給されるように変更されても、その分給与が調整され、総額で変わらない可能性があります。年収が同じでは意味がありません。

交渉時は、再雇用後の給与額を見せてもらい、契約内容をひと通り確認した上でボーナスの支給について相談すると良いでしょう。

転職を検討する

ボーナスが支給されない場合、転職を検討しましょう。
ボーナスの支給があるかどうかは企業によって異なるため、転職した方が収入が増える可能性があります。企業で培ってきたノウハウや人脈を活かし同業種へ転職するほか、初めての業種に挑戦するという道もあります。

ただし、転職できるかどうかは本人のスキルに左右されます。加えて、ボーナスのある企業に転職できたとしても、年収全体が増えるとは限りません。転職先の企業について詳しく調査し、その上で転職するかどうかを選択しましょう。

転職する場合には自己分析を行い、在職中から転職活動を開始するといいでしょう。

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ボーナス支給のある企業で嘱託社員として働こう

ネクタイを締める男性

嘱託社員にボーナス支給がされるかは企業によって異なります。とはいえ現状では、ボーナスが支給されない、あるいは支給されても正社員より低い金額の企業が多くを占めます。しかし、同一労働同一賃金の施行によって、これからは嘱託社員にも、正社員と同等のボーナスが支給される可能性があります。

ボーナスが支給されない場合、事前に嘱託社員の給与を確認した上で企業と交渉しましょう。または、嘱託社員にボーナスを支給している企業へ転職するのも良いでしょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。