再就職手当の概要とメリット・デメリットをわかりやすく解説

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退職後、雇用保険で失業保険の受給申請をした求職者が、早期に再就職した場合に申請できるのが「再就職手当」もしくは「就職祝い金」です。いわゆる「失業保険(基本手当)」との違いなど、よく分からず戸惑うことも多いのではないでしょうか。本記事ではメリット・デメリットを含めてわかりやすく説明します。

  • 【この記事を読んでわかること】
  • 再就職手当は雇用保険の中の給付で、求職者の早期再就職を後押しする制度
  • 失業保険の受給資格のある求職者が、失業手当の支給残日数を3分の1以上残して再就職した場合に一定の条件を満たせば申請できる
  • 再就職手当はハローワーク以外の紹介で再就職しても受給できることがある
  • 再就職手当は受給要件をすべて満たせば、正社員以外の雇用形態でも受給できる

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再就職手当の概要とメリット・デメリット

再就職手当の概要とメリット・デメリットをわかりやすく解説

再就職手当とは、失業保険(基本手当)を受けながら仕事を探している失業者が、早期に再就職をした場合(または事業を開始した場合)に申請できる給付金です。

「就職祝い金」とも呼ばれ、求職者が失業給付の満額受給を待たず、早くに安定した仕事に就くためのインセンティブとしての機能があります。

再就職手当は、再就職が早いほど、もらえる金額が大きくなるのがポイントです。

<再就職のタイミングによる再就職手当の額の違い>
支給日数を所定給付日数の
3分の2以上残して
早期に再就職した場合
基本手当の
支給残日数の
70%の額
支給額は 231,000円
・離職時の年齢が60歳未満
・基本手当の日額が5500円
・所定給付日数が90日
・支給残日数60日  の場合 ※
支給日数を所定給付日数の
3分の1以上残して
早期に再就職した場合
基本手当の
支給残日数の
60%の額
支給額は 99,000円
・離職時の年齢が60歳未満
・基本手当の日額が5500円
・所定給付日数が90日
・支給残日数30日  の場合 ※

※支給額の例は2022年10月時点の法制度に基づきます。

再就職手当のメリットとデメリット

早期再就職によって再就職手当を受給することのメリット・デメリットは下記のとおりです。

<メリット>
・早期に再就職することで、失業期間が長くなることへの不安から解消される
・早期に再就職することで、再就職先からの給与に加え、再就職手当が受給できる
・再就職手当は非課税
・再就職後、何かあって退職することになっても返金の必要はない
<デメリット>
・失業保険(基本手当)の支給残日数が3分の1以上ないと申請できない
・失業保険(基本手当)の支給残日数分は打ち切りとなる

再就職手当には、求職者が早期に生活の安定を取り戻すことができる大きなメリットがあります。

再就職手当と失業給付(基本手当)の違い

「再就職手当」と「失業保険(基本手当)」の二つは何が違うのでしょうか?

雇用保険制度には、働く意欲と能力のある労働者が、求職活動を行なっているにもかかわらず、まだ職につけていない場合に支給される「失業等給付」があります。

「失業等給付」には目的が大きく2つあり、それぞれに異なった目的を持った給付制度があります。

①失業者の生活と雇用の安定 → 求職者給付
②失業者の就職の促進 → 就業促進給付

※図は下記参照元掲載の表を元に筆者が作成
ハローワークインターネットサービス – 雇用保険制度の概要

つまり、失業し、安定した収入のない期間であっても求職活動を続けるためのサポートが「失業保険(基本手当)」。求職活動を早期に終了し、いち早く安定した職に就くことを目指す人へのインセンティブとなるのが「再就職手当」です。

再就職手当の受給条件と計算方法

再就職手当の概要とメリット・デメリットをわかりやすく解説

失業保険(基本手当)に比べて、あまり知られていない印象の「再就職手当」ですが、実は多くの求職者が活用できる制度です。受給条件と計算方法を詳しく見ていきましょう。

再就職手当の受給のための条件は8つ

以下の要件をすべて満たす場合、再就職手当の受給資格が発生します。

① 雇用保険の受給資格決定日より7日間の待期期間を満了している
② 失業手当の残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
③ 離職した会社へ再度雇用されるものではない
④ 給付制限のある人の場合は就職経路の制限を守っていること
⑤ 再就職先で1年を超えて勤務することが確実であること
⑥ 再就職先で雇用保険の被保険者になること
⑦ 過去3年以内に再就職手当を受給していないこと
⑧ 失業手当の受給資格決定の前から内定していた会社でないこと

再就職手当の受給条件① 雇用保険の受給資格決定日より7日間の待期期間を満了している

離職後、ハローワークで所定の雇用保険受給手続を行って受給資格が決定すると、そこから7日間の待機期間が発生します。この期間は「失業の状態」であることを確認する期間で、収入を得る仕事をすると、待機期間とはみなされないので注意が必要です。

この待機期間7日間を過ぎてからの再就職が受給の条件になります。

再就職手当の受給条件② 失業手当の残日数が所定給付日数の3分の1以上ある

失業保険(基本手当)の受給資格が決定すると「所定給付日数(手当を受給できる期間)」がわかります。
所定給付日数の3分の1以上を残して再就職をすることが、再就職手当の受給条件です。

再就職手当の受給条件③ 離職した会社へ再度雇用されるものではない

退職した会社へ戻ることのほか、資本・資金・人事・取引などの状況からみて、離職前の事業主と密接な関係にあるほかの事業主による採用であってもいけません。

再就職手当の受給条件④ 給付制限のある人の場合は就職経路の制限を守っていること

失業保険(基本手当)の受給には離職理由によって、給付制限が設けられます。たとえば「自己都合等」の場合、給付制限が2ヶ月あり、そのあいだは基本手当がもらえません。

給付制限期間中に再就職した場合も再就職手当の対象となりますが、待機期間終了後1ヶ月間は、ハローワークか厚生労働省が許可した職業紹介事業者からの紹介での再就職に限り受給が可能です。待機期間終了後1ヶ月を過ぎたあとは、知人の紹介や求人広告への応募なども受給の対象となります。

再就職手当の受給条件⑤ 再就職先で1年を超えて勤務することが確実であること

再就職手当は安定した職につくことを促進しているため、再就職後の雇用契約が1年未満の短期で終了する(契約更新の見込みがない)場合は、対象になりません。

契約社員や派遣社員として再就職し、雇用契約が1年または1年未満の場合は、契約更新の見込みがあるかどうかで判断されます。

再就職手当の受給条件⑥ 再就職後、雇用保険の被保険者となること

原則として、再就職先での雇用契約が雇用保険の被保険者要件を満たしていることが必要です。
短時間勤務や短期の雇用契約となる場合はあらかじめ再就職先に確認しておきましょう。

再就職手当の受給条件⑦ 過去3年以内に再就職手当を受給していないこと

3年以内に、再就職手当の支給を受けていた場合は、再就職手当の受給資格がありません。また、再就職手当と同じ「就職促進給付」のなかの「常用就職支度手当」受給があった場合も同様です。

再就職手当の受給条件⑧ 失業手当の受給資格決定の前から内定していた会社でないこと

ハローワークでの雇用保険(基本手当)受給資格確認と決定より前に内定をもらった場合は、受給対象外となります。

再就職手当とその条件については、なるべく離職より前に知っておきたいですね。

再就職手当の計算方法

基本の計算式は下記のとおりです。

①基本手当日額 × ②所定給付日数の支給残日数 × ③給付率 =再就職手当の額

ポイント!
ご自身の実際の「基本手当日額」と「所定給付日数」は「雇用保険受給資格者証」で確認できます。「雇用保険受給資格者証」は、退職後、ハローワークで求職の申し込みを行った後に実施される雇用保険説明会で交付されます。

次に①から③の用語を説明しましょう。

①再就職手当の計算に使う基本手当日額 とは

受給できる失業保険(基本手当)を日額にしたものです。

基本手当日額 = 賃金日額(失業前の6ヶ月間の給与合計額 ÷ 180(日))× 給付率

上記の式で求められ、給付率は失業者の年齢と賃金日額によって45%から80%のあいだで定められています。

また、再就職手当の計算に使う基本手当日額は、2段階の年齢区分による上限があり、毎年8月に改定されます。

詳細は厚生労働省が毎年発行する「基本手当日額」についてのリーフレットを参考にしましょう。

参考:「雇用保険の基本手当日額が変更になります|厚生労働省(令和4年8月1日から)」P2

②再就職手当の計算における所定給付日数の支給残日数とは

失業保険(基本手当)を受け取れる日数が再就職日の前日までのあいだに「残り何日あるか」です。

支給残日数=所定給付日数-再就職する日の前日までに基本手当を受給する(した)日数

また、失業保険(基本手当)の所定給付日数は、退職日までに雇用保険の被保険者であった期間と、失業者の離職時の状況などによって異なります。

一般の離職者であれば90〜150日間のあいだで保険期間によって定められています。

参考:「基本手当の所定給付日数|ハローワーク」

③再就職手当の計算に使う給付率 とは

基本手当の支給残日数の割合計算に使う給付率
所定給付日数の3分の1以上ある場合60%
所定給付日数の3分の2以上ある場合70%

2022年10月現在の給付率は上記の表のとおりですが、これまで頻繁に引き上げがされてきた経緯があります。ご自身の金額を試算される際は、厚生労働省の最新のリーフレットなどをご確認ください。

参考:「再就職手当のご案内|厚生労働省」

再就職手当と失業保険(基本手当)の受給どっちが得?

再就職手当の概要とメリット・デメリットをわかりやすく解説

再就職手当の計算例

実際の例を用い、再就職手当を計算してみましょう。

<事例 Aさん>
離職時の年齢:60歳未満(=基本手当日額の上限は6,190円※2022.8.1〜1年間)
雇用保険の被保険者期間:1年以上10年未満(=雇用保険の受給資格あり)
退職理由:自己都合退職(給付制限期間は2ヶ月)
基本手当日額:4,000円
所定給付日数が90日で、給付制限期中に再就職した場合

再就職手当の計算式に当てはめます。
①基本手当日額 × ②所定給付日数の支給残日数 × ③給付率 =④再就職手当の額

①4,000円 × ②90日※ × ③70% = ④252,000円 が再就職手当の額です

※上記の場合は、基本手当を1日も受給していませんので、支給残日数は所定給付日数と同じです。

再就職手当の額と失業保険の額の比較

次に、Aさんの事例で失業保険を満額受給した場合の金額と比べてみましょう。

Aさんの事例では、失業保険(基本手当)を満額受給すると下記のようになります。
基本手当日額(4,000円) × 所定給付日数(90日) = 360,000円

単純に金額だけを見ると、失業保険の満額受給の方が金額は大きくなります。

ただし、失業保険を満額もらうにはAさんの場合「給付制限期間2ヶ月+ 90日」の約5ヶ月の失業期間が必要です。

一方、Aさんが給付制限期間中に再就職し再就職手当をもらった場合、再就職手当+再就職先からの給与があることになります。再就職先の給与にもよりますが、5ヶ月のトータルの収入を考えると、再就職手当+再就職先からの給与が失業保険を上回ることも考えられます。

再就職手当は早期再就職をめざす人を応援する仕組み

再就職手当と失業給付をできるだけ受給するのと、どちらが得と感じるかは本人次第です。

ただし、自己都合退職の人も含め多くの退職者が申請できることや、意外とたくさん貰えることはそれほど知られていません。

どんな理由であれ失業することは、労働者の生活の安定に大きな影響を与えます。再就職手当はそんな状況であっても、早期再就職を目指す人を応援する仕組みとして機能しています。

再就職手当の受給申請手続き

再就職手当の概要とメリット・デメリットをわかりやすく解説

再就職が決まり、受給条件を満たした場合は早めに受給申請の手続きをしましょう。
再就職手当の期限は原則、再就職後1ヶ月以内です。

再就職手当の申請はハローワークで

再就職手当の手続き(1)内定先に「採用証明書」をもらう

再就職の内定を受けたら、最初に失業保険を申請・受給していることを先方の人事担当者に伝え、「採用証明書」を作成してもらいましょう。

「採用証明書」はハローワークから受け取る「受給資格者のしおり」に封入されているフォーマットが使用できるほか、必要事項が記載されていれば、そのほかの様式でも問題ありません。

再就職手当の手続き(2)就職の届出を行う

再就職が決まった場合は、原則として就職(または事業開始時)を開始する日の前日にハローワークに来所し、「就職の届出を行います(また、同時にその日までの失業の認定も受けます)。
内定先からもらった「採用証明書」を持っていきましょう。 内定先から

再就職手当の手続き(3)申請に必要な書類をもらう

再就職手当等の支給要件に該当する場合は、その際に「再就職手当支給申請書」が渡されます。

再就職手当の手続き(4)書類に再就職先から事業主の証明を受ける

再就職手当を申請する場合は「再就職手当支給申請書」に、再就職先の事業主から証明を受けましょう。

再就職手当の手続き(5)必要書類一式を提出する

その上で、以下の書類を再就職後1ヶ月以内にハローワークへ提出します(郵送も可)。
・再就職手当支給申請書(再就職先の事業主が証明を記載したもの)
・雇用保険受給資格者証
・そのほか、ハローワークなどの求める書類

再就職手当の手続き上の注意

一番大切なのは(2)就職の届け出です。これを行った後でなければ再就職手当の申請手続きはできません。また、再就職手当の支給を受けると、同一の就職を理由とする高年齢再就職給付金は受給できません。60歳以上の人は、支給を受ける前にどちらを申請するか検討しましょう。

「高年齢再就職給付金」については、下記の記事で詳しく解説しています。

再就職手当をもっと活用!ポイント4つ

再就職手当の概要とメリット・デメリットをわかりやすく解説

1. 再就職手当は正社員就職に限らず条件を満たせば申請可

これまで正社員として働いていても、再就職の際には、ほかの雇用形態での採用となることもありますよね。再就職手当は、パートタイマー、アルバイト、契約社員、派遣社員でも前述した「再就職手当の受給条件8つ」をすべて満たせば申請が可能です。

2. 再就職手当は受給不可でも「就業手当」がもらえる可能性がある

再就職手当の受給条件8つが満たせず、再就職手当が申請できない場合は「就業手当」の受給資格を確認してみてください。

貰える額が異なりますが、「就業手当」は、常用雇用等以外の形態で早期に再就職した人をサポートする手当です。

参考:ハローワークインターネットサービス – 就職促進給付

3.再就職手当はハローワーク以外の職業紹介でももらえる

離職理由による給付制限を受けた場合について、7日間の待期期間満了後1か月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職する必要があります。

ただし、それ以降の期間および給付制限を受けていない場合は、就職の経路は問われません。求人媒体やSNS経由などで就職しても再就職手当の支給要件を満たします。

4. 再就職手当の時効は2年!申請忘れはハローワークに相談を

再就職手当の申請期間は短く、原則、再就職をした日の翌日から1ヶ月となっています。
ただし、申請期限を過ぎていても、時効が完成する期間であれば、後追い申請も可能です。

時効が完成するのは再就職をした日の翌日から起算して2年を経過する日です。
申請忘れに気が付いたら、すぐにハローワークに相談しましょう。

参考:雇用保険の給付金は、2年の時効の範囲内であれば、支給申請が可能です|厚生労働省

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まとめ

退職後、再就職を目指す際にはぜひ知っておきたい「再就職手当」。受給の要件はたくさんありますが、意外と多くの求職者に当てはまる項目でもあります。制度を理解しておき、いざ退職・転職を考えるときに、自分にとってベストな選択ができるよう準備しておきましょう。

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執筆者
阿部雅子
人事/キャリアコンサルタント
人事担当として約12年強、採用から人事管理、退職までをサポート。業界はIT系スタートアップ/ブライダル/政府系研究機関等。国家資格キャリアコンサルタント。中小企業での各種雇用調整助成金の受給やコンプライアンスのための規程整備等の経験が豊富。