厚生年金はいくらもらえるのか?年収別の受給額や計算方法を解説
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会社員や公務員は厚生年金保険に加入するため、将来受給できる年金は国民年金と厚生年金の2つです。
国民年金は保険料が定額ですが、厚生年金は年収によって保険料が変動します。
そのため、実際いくら厚生年金がいくらもらえるのかは気になる人も多いでしょう。
本記事では、厚生年金と年収の関係や受給額の計算方法などを解説します。
年金や退職金など定年前後のお金の仕組みは複雑です。
一人ひとりの状況によって最適な節税方法は変わるため、個人の判断で進めると大損しかねません。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 厚生年金は年収によって変動する
- 厚生年金保険料は32等級の標準報酬月額によって決定する
- 標準報酬月額および厚生年金保険料には上限があるため、年収720万円以上は同じ
厚生年金の受給額は年収によって変わる
国民皆年金制度である日本では、65歳から年金が支給されます。公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造です。国民年金は20歳以上のすべての人が加入する年金保険であり、厚生年金は会社員や公務員が加入する年金保険です。厚生年金は年金制度の「2階」部分にあたり、国民年金に上乗せされて支払われます。国民年金として毎月支払う保険料は固定ですが、厚生年金は年収によって変動する点が特徴です。
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厚生年金額の決まり方|計算方法を解説
厚生年金額は、以下の計算式で算出できます。
会社員や公務員が加入する厚生年金は定額ではないため、年収が高いほど保険料も増加します。つまり、将来受給できる年金額も増加するのです。 対して、国民年金保険料は年齢や就業形態にかかわらず一定です。令和4年度の国民年金保険料は月額16,590円です。
標準報酬月額とは
厚生年金の計算に用いられる標準報酬月額とは、給与を一定幅で区分したものです。下記のように、8万8,000円の1等級から65万円の32等級に分けられます。
※令和3年度版
標準報酬 | 報酬月額 | |
---|---|---|
等級 | 月額 | |
1 | 88,000 | 〜93,0000 |
2 | 98,000 | 93,000〜101,000 |
3 | 104,000 | 101,000〜107,000 |
4 | 110,000 | 107,000〜114,000 |
5 | 118,000 | 114,000〜122,000 |
6 | 126,000 | 122,000〜130,000 |
7 | 134,000 | 130,000〜138,000 |
8 | 142,000 | 138,000〜146,000 |
9 | 150,000 | 146,000〜155,000 |
10 | 160,000 | 155,000〜165,000 |
11 | 170,000 | 165,000〜175,000 |
12 | 180,000 | 175,000〜185,000 |
13 | 190,000 | 185,000〜195,000 |
14 | 200,000 | 195,000〜210,000 |
15 | 220,000 | 210,000〜230,000 |
16 | 240,000 | 230,000〜250,000 |
17 | 260,000 | 250,000〜270,000 |
18 | 280,000 | 270,000〜290,000 |
19 | 300,000 | 290,000〜310,000 |
20 | 320,000 | 310,000〜330,000 |
21 | 340,000 | 330,000〜350,000 |
22 | 360,000 | 350,000〜370,000 |
23 | 380,000 | 370,000〜395,000 |
24 | 410,000 | 395,000〜425,000 |
25 | 440,000 | 425,000〜455,000 |
26 | 470,000 | 455,000〜485,000 |
27 | 500,000 | 485,000〜515,000 |
28 | 530,000 | 515,000〜545,000 |
29 | 560,000 | 545,000〜575,000 |
30 | 590,000 | 575,000〜605,000 |
31 | 620,000 | 605,000〜635,000 |
31~ | 650,000 | 635,000〜 |
参考:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
なお、標準報酬月額は基本給に残業代や通勤手当、家族手当などが含まれた税引き前の給与です。4〜6月の報酬月額をもとに、毎年9月に標準報酬月額が改定されます。
標準報酬月額からみる厚生年金保険料
標準報酬 | 全額 | 折半 | |
---|---|---|---|
等級 | 月額 | 18.300% | 9.150% |
1 | 88,000 | 16,104 | 8,052 |
2 | 98,000 | 17,934 | 8,967 |
3 | 104,000 | 19,032 | 9,516 |
4 | 110,000 | 20,130 | 10,065 |
5 | 118,000 | 21,594 | 10,797 |
6 | 126,000 | 23,058 | 11,529 |
7 | 134,000 | 24,522 | 12,261 |
8 | 142,000 | 25,986 | 12,993 |
9 | 150,000 | 27,450 | 13,725 |
10 | 160,000 | 29,280 | 14,640 |
11 | 170,000 | 31,110 | 15,555 |
12 | 180,000 | 32,940 | 16,470 |
13 | 190,000 | 34,770 | 17,385 |
14 | 200,000 | 36,660 | 18,300 |
15 | 220,000 | 40,260 | 20,130 |
16 | 240,000 | 43,920 | 21,960 |
17 | 260,000 | 47,580 | 23,790 |
18 | 280,000 | 51,240 | 25,620 |
19 | 300,000 | 54,900 | 27,450 |
20 | 320,000 | 58,560 | 29,280 |
21 | 340,000 | 62,220 | 31,110 |
22 | 360,000 | 65,880 | 32,940 |
23 | 380,000 | 69,540 | 34,770 |
24 | 410,000 | 75,030 | 37,515 |
25 | 440,000 | 80,520 | 40,260 |
26 | 470,000 | 86,010 | 43,005 |
27 | 500,000 | 91,500 | 45,750 |
28 | 530,000 | 96,990 | 48,495 |
29 | 560,000 | 102,480 | 51,240 |
30 | 590,000 | 107,970 | 53,985 |
31 | 620,000 | 113,460 | 56,730 |
31 | 650,000 | 118,950 | 59,475 |
参考:令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和3年度版)
厚生年金保険料は定率であり、平成29年9月で引き上げが終了しています。そのため、現在の厚生年金保険料率は18.3%の固定です。また、保険料は会社と折半で負担するため、実際に給与から天引きされる厚生年金保険料は折半分となります。
年収に比例して厚生年金受給額が増えるわけではない
標準報酬月額が定められていることで、保険料には上限があります。最大となるのは32等級であり、給与から天引きされるのは折半額の59,475円です。つまり、報酬月額63万5,000円以上の人は、それ以上月収・年収が上がっても支払う保険料は同一です。そのため年収が多いからといって、比例して将来受け取れる厚生年金額が増えるわけではありません。
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年収720万円以上は厚生年金の受給額が一定
前述したように、月収63万5,000円以上は等級32で固定されます。そのため月収が月収63万5,000円以上であっても保険料は上がらず、将来の厚生年金受給額も一定です。つまり、より高月収・高年収を目指すことでは、将来受け取れる厚生年金額を増やすことはできません。
賞与に係る厚生年金保険料も上限あり
賞与も厚生年金保険料の対象となります。厚生年金保険料の対象となる賞与は標準賞与額といい、税引き前の賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てたものです。1回の支給につき上限は150万円となり、150万円以上の賞与があっても150万円までが厚生年金保険料の対象です。なお、対象となるのは年3回以下で支給される賞与となります。4回目以降に支給された賞与は標準賞与額ではなく、標準報酬月額の対象です。
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実際にいくらもらえてる?最新の厚生年金受給額
では、実際に厚生年金はいくらもらえているのでしょうか。ここでは、厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、最新の厚生年金受給額をみていきます。
【年齢別】厚生年金受給額
令和2年度末時点の厚生年金平均月額は、下記のとおりです。
年齢 | 厚生年金保険(第1号):平均年金月額 |
---|---|
60 | 90,838 |
61 | 59,575 |
62 | 60,436 |
63 | 78,770 |
64 | 80,636 |
65 | 145,337 |
66 | 145,703 |
67 | 143,386 |
68 | 141,979 |
69 | 140,036 |
70 | 143,775 |
71 | 147,105 |
72 | 146,331 |
73 | 145,724 |
74 | 145,467 |
75 | 147,519 |
76 | 148,172 |
77 | 149,924 |
78 | 152,159 |
79 | 154,467 |
80 | 157,097 |
81 | 158,604 |
82 | 160,356 |
83 | 160,851 |
84 | 161,719 |
85 | 162,711 |
86 | 162,887 |
87 | 161,929 |
88 | 162,660 |
89 | 163,514 |
90歳以上 | 161,506 |
参考:厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
厚生年金の受給額は、年齢が上がるにつれて受給額が増える点が特徴です。受け取れる年金の総額は、上記に国民年金額がプラスされます。なお、65歳未満は繰上げ制度の利用者であるため受給額が低くなっています。
厚生年金受給額の推移
高齢化が進む日本では厚生年金受給者が年々増加し、その傾向は今後も続きます。対して、直近5年間ではわずかながら厚生年金受給額が減少傾向にあります。
平成28年度 | 145,638 |
平成29年度 | 144,903 |
平成30年度 | 143,761 |
令和元年度 | 144,268 |
令和2年度 | 144,366 |
参考:厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
令和2年度末時点での厚生年金の平均月額は14万4,000円です。
【年収別】厚生年金の受給額
厚生年金の受給額は、「平均標準報酬月額✕5.769/1,000✕加入月数(480か月)」で計算できます。ここでは、下記条件で年収別に厚生年金の受給額を算出します。
・平成15年4月以後、40年間厚生年金に加入
・年収は40年間変動なし
年収 | 標準報酬月額 | 厚生年金受給額(年) | 厚生年金受給額(月) |
---|---|---|---|
240万円 | 20万円 | 約55万円 | 約4.6万円 |
360万円 | 30万円 | 約83万円 | 約7万円 |
492万円 | 41万円 | 約113万円 | 約9.4万円 |
600万円 | 50万円 | 約138万円 | 約11.5万円 |
1,000万円 | 65万円 | 約179万円 | 約15万円 |
上記では賞与なしで計算しているため、賞与ありの場合は受給額がアップします。一方、20〜60歳の満期で厚生年金に加入している計算となるため、「学生時代に免除していた」「会社員でない時期があった」などして満期加入していない場合は受給額が減少します。 将来受給できる厚生年金を増やしたい場合、厚生年金保険の加入期間を長くする、現役時代の年収を上げることが有効です。
共働き家庭は厚生年金受給額も高くなる
共働きの場合、夫婦で厚生年金が受給できます。たとえば夫の年収が600万円、妻の年収が240万円の場合、上記受給額表を元に計算すると、夫婦合わせて受給できる厚生年金は月額約16.1万円です。対して、妻が専業主婦の場合、厚生年金保険料を支払うのは夫の収入に対してのみです。そのため、夫の年収が600万円の場合、同じく上記受給額表を元にみると世帯で受給できる厚生年金額は約11.5万円です。
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老後のためにも厚生年金と年収の関係を把握しておこう
厚生年金と年収の関係や受給額の計算方法を紹介しました。65歳から受け取れる厚生年金は、国民年金に上乗せされて支給されます。厚生年金は年収に応じて保険料が変動しますが、年収が高くなるからといって無制限に厚生年金保険料が上がるわけではなく、標準報酬月額の上限以上は支払う厚生年金保険料や受給できる厚生年金額が一律となります。 老後のライフプランニングのためにも、厚生年金はどのくらい受給できるのかを知っておきましょう。
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