年金をもらいながら働く場合、確定申告しないとどうなる?確定申告の要件やメリットを解説

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年金をもらいながら働いている人には、自分が確定申告をしなければいけないのか気になっている人もいるでしょう。

年金などの個人収入がある場合、ほとんどのケースで年末調整とは別に確定申告する必要があります。

この記事では、年金をもらいながら働く場合に確定申告しないとどうなるか、確定申告が必要となる条件やメリットなどをまとめて解説します。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 年金をもらいながら働く場合、確定申告しないと追徴課税のリスクがある
  • 会社で行われる年末調整は給与所得のみの計算。年金など個人の収入については確定申告が必要
  • 年金をもらいながら働く場合、ほとんどのケース(年間の所得20万円超)で確定申告が必要となる
  • 確定申告は面倒だが、各種控除を利用することで払い過ぎた税金が返ってくる可能性がある

年金をもらいながら働く場合、確定申告しないと追徴課税のリスクがある

年金と給与をあわせて一定額を超える収入がある場合、確定申告を行うことが義務づけられています。

しかし確定申告を怠ると追徴課税を受けるリスクがあり、具体的には無申告加算税が課される可能性があります。
無申告加算税とは、申告不備に対する制裁措置として課される加算税のことです。

無申告加算税の税率は、納付すべき金額に対して以下のとおりの割合を乗じて計算します。

  • 50万円までの部分は15%
  • 50万円を超え300万円までの部分は20%
  • 300万円を超える部分は30%

たとえば、申告漏れの所得に対する所得税額が10万円だった場合、無申告加算税は1.5万円(10万円×15%)が上乗せされる決まりです。

このように、確定申告を怠れば、元々の所得税額に加えて高額の加算税が課されるリスクがあります。

年金と給与をあわせて一定額を超える収入があり、確定申告が必要な場合は必ず期限内に申告を行うようにしましょう。

次の章から、年金をもらいながら働く場合に確定申告が必要となるケースを、わかりやすく解説していきます。

年金をもらいながら働く場合も、所得20万円超は確定申告が必要

年金受給者には、確定申告が不要な一定の範囲があります。
これを「確定申告不要制度」と呼び、制度の範囲内であれば確定申告は不要です。

以下の4つの視点から見ていきましょう。

  • 年金受給者の確定申告不要制度とは?
  • 年金をもらいながら働く場合に、確定申告が必要なケース
  • 年金をもらいながら働いていても、確定申告が不要なケース
  • 注意点|確定申告が不要でも住民税の申告が必要なケース

それぞれ解説します。

年金受給者の確定申告不要制度とは?

確定申告不要制度の範囲は、以下の2つの条件を満たす場合です。

①公的年金等の収入合計が400万円以下
②公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下

年金受給者の確定申告不要制度とは

公的年金等とは、国民年金・厚生年金・確定拠出年金などを指します。
また、雑所得以外とは、給与所得・不動産所得・配当所得・生命保険の満期返戻金などです。

年金をもらいながら働く場合に、確定申告が必要なケース

前述の確定申告不要制度の「範囲外」であるケースでは確定申告が必要になります。

具体的には、以下のとおりです。
①公的年金等の収入合計が400万円を超える場合
②公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円を超える場合

とくに注目したいのが、②の「雑所得以外の所得金額が20万円を超える場合」です。
年金とあわせて給与などの収入があり、合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。

給与の場合、給与所得控除(55万円)を受けられるため、給与額面が75万円未満であれば、給与所得は20万円以下となり確定申告不要制度の範囲内です。

[給与所得の計算]
給与額面 – 給与所得控除 = 給与所得
例:給与額面(75万円) – 給与所得控除(55万円) ≦ 給与所得(20万円)※制度の範囲内

厳密には、年金にかかる税金のみ支払う必要があります。
年金にかかる税金は、年金支給時に源泉徴収されているので、別途確定申告を行う必要はありません。

しかし、75万円を超える給与があれば、確定申告不要制度の対象とはならず確定申告が必要です。

年金をもらいながら働いていても、確定申告が不要なケース

会社で行われる年末調整は給与所得のみの計算です。
年金など個人の収入については調整されませんので、基本的には確定申告が必要になります。

ただし年金収入については、下記の金額以下であれば公的年金等控除の範囲内となり、給与をもらっていても確定申告は必要ありません。

  • 65歳以上:年金収入が110万円以下
  • 65歳未満:年金収入が60万円以下

※公的年金等控除を引くと年金の所得は「0」となり、給与は年末調整の対象のため確定申告が不要となる

このように、公的年金控除の範囲内であれば、給与をもらっていても確定申告は不要です。

注意点|確定申告が不要でも住民税の申告が必要なケース

確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。

年金以外の所得が20万円を超えれば確定申告が求められますが、20万円以下であっても住民税の申告が必要です。

住民税は国税とは別に、自治体が課す地方税です。
住民税は自治体によって異なるため、くわしい申告方法はお住まいの自治体のお問合せください。

ここまでは、年金をもらいながら働く場合の確定申告について解説してきました。

確定申告は、手間がかかる面倒な手続きだと思われがちですが、実は大きなメリットもあります。
次に、確定申告を行うメリットを見ていきましょう。

確定申告を行うメリット|税金が返ってくる場合がある

確定申告を行うメリットは、必要以上に払った税金を還付してもらえる可能性があることです。

給与所得者の場合、原則として会社で年末調整が行われます。
しかし、この年末調整では考慮されない経費などがあり、過剰に税金を払っている場合があるのです。
そういった場合、確定申告で精算し、差額を還付してもらえます。

具体的には、以下のような経費が該当します。

  • 医療費控除
    高額な医療費を支払った場合、その一部が控除の対象となる
  • 住宅ローン控除
    新居や住宅リフォームのための住宅ローンの利息部分を一定期間、控除できる
  • 雑損控除
    災害や盗難などで資産に損失があった場合に控除が受けられる
  • 寄附金控除
    寄付金や、ふるさと納税で支出した金額が一部控除される
  • 寡婦(夫)控除
    年の途中で離婚や死別した場合にも一定額が控除される

このように、さまざまな経費が確定申告で控除の対象となり、支払い過ぎた税金の一部が還付される可能性があります。

会社で年末調整される給与収入のみならず、年金収入なども含めて精算するのが確定申告です。
節税メリットを逃さないためにも、確実に申告を行うことをおすすめします。

年金をもらいながら働く場合に、確定申告する具体的な方法

年金を受給しながら働いている場合の確定申告の具体的な方法について、以下のステップにまとめて解説します。

  1. 収入の確認
  2. 控除額の計算
  3. 必要書類の準備
  4. 申告書の作成
  5. 申告と納税
  6. 住民税の申告

それぞれ解説します。

1.収入の確認

年金受給者が働いて得た収入と年金収入をあわせて、総収入を確認します。

公的年金等の収入合計が400万円以下で、雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合、確定申告不要制度が適用されることがあります。

2.控除額の計算

給与所得控除や公的年金等控除を計算し、所得を算出します。

65歳以上の場合、年金収入が110万円以下であれば所得は0円となり、確定申告は不要です(65歳未満は60万円以下)。

3.必要書類の準備

確定申告には源泉徴収票、医療費の領収書、住宅ローンの年末残高証明書など必要な書類を準備します。

4.申告書の作成

国税庁のe-Taxソフトまたは確定申告書Bを使用して申告書を作成します。

所得や控除を正確に記入し、計算します。

5.申告と納税

e-Taxでオンライン申告を行うか、税務署に直接提出します。

6.住民税の申告

確定申告を行った場合は住民税の申告は不要ですが、確定申告不要の場合でも住民税の申告が必要になることがあります。

これらのステップを踏むことで、年金を受給しながら働いている人も適切に確定申告を行えます。
確定申告を行うことで、過払い税金の還付を受けられる場合もありますので、自身の状況に応じて申告を検討しましょう。

税務署やファイナンシャルプランナーに相談することもひとつの手段です。

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年金をもらいながら働く場合に、よくある質問

年金をもらいながら働く人からよくある質問を紹介します。

Q1.年金をもらいながら働く場合、確定申告をしないとバレる?

確定申告をしないとバレるリスクがあり、無申告は推奨できません。
具体的には以下のようにバレる可能性があります。

【給与所得者の場合】

  • 会社から税務署へ給与支払い状況が提出されている
  • 年末調整時に給与以外の所得も申告が求められる
  • 保険年金課から公的年金の受給状況が提出されている

【事業所得者や不動産所得者の場合】

  • 取引先から支払い状況が提出されている
  • 借入れや売買による資金の動きが追跡できる

つまり、収入があればなんらかの形で税務当局にその情報が行き渡るため、無申告がバレる可能性があるのです。

さらに、バレた場合には罰則が課されます。
無申告加算税だけでなく、過少申告加算税などを追徴課税されるペナルティを受けることも考えられます。

このように、確定申告は法的な義務があり、収入があればバレるリスクが高いのが実情です。
リスクを避けるためにも、期限内に必ず申告を行うことが賢明でしょう。

Q2.年末調整をしていれば確定申告は不要ですか?

年末調整は給与収入に対する所得税と住民税の源泉徴収額を正しく計算するための手続きです。
しかし、年金などの個人的な収入については年末調整の対象外となります。

つまり、給与以外の収入がある場合は、年末調整をしていても確定申告が必要になる可能性があります。

確定申告が必要かどうかの詳細については、本記事の「年金をもらいながら働く場合に確定申告が必要なケース」を参考にしてください。

Q3.満額の年金をもらいながら働く方法

満額の年金を受給しながら就労を続けることは可能ですが、収入が一定額を超えると年金の一部または全額の支給が停止されてしまう可能性があります。

収入によっては年金支給額が影響を受けるため、就労と年金受給のバランスの考慮が重要です。
以下の記事でくわしく解説していますので、興味のある人は読んでみてください。

まとめ|年金をもらいながら働く場合、確定申告が必要なケースが多い

この記事をとおして、以下のことがわかりました。

  • 年金をもらいながら働く場合、確定申告しないと追徴課税のリスクがある
  • 会社で行われる年末調整は給与所得のみの計算。年金など個人の収入については確定申告が必要
  • 年金をもらいながら働く場合、ほとんどのケース(年間の所得20万円超)で確定申告が必要となる
  • 確定申告は面倒だが、各種控除を利用することで払い過ぎた税金が返ってくる可能性がある

年金収入のみの方は、確定申告は基本的に不要です。年金からはすでに所得税が源泉徴収されているためです。

一方、年金以外に給与収入やその他の所得がある場合は、ほとんどのケースで確定申告が義務づけられます。複数の所得を合算し、適切に申告して納税する必要があるからです。

確定申告の期限を忘れずに済ませるよう、心がけましょう。

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執筆者
松田聡子
ファイナンシャルプランナー
明治大学法学部卒業後、証券システムのITエンジニア、国内生保の法人コンサルティング営業を経て2007年よりファイナンシャル・プランナーとして独立。コンサルティングのほか、主な活動は企業型確定拠出年金導入企業へのセミナー講師、マネーサイトへの執筆など。年金・資産運用・保険などに精通、iDeCoやNISAなどの制度を活用した人生100年時代の資産形成をアドバイスしている。