確定拠出年金と退職金とを別々の年に受け取った場合を徹底解説【知らないと大損】

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退職が近づくと、「退職金をどのように受け取るべきか」と悩む人も多いでしょう。

実は確定拠出年金と退職金とを別々の年に受け取った場合、受け取るタイミングによって税金が大きく変わります。

この記事では、確定拠出年金と退職金に適用される優遇税制について具体例をあげながらわかりやすく解説します。

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  • 確定拠出年金と退職金とを別々の年に受け取った場合、受け取る時期によって税金が大きく変わるため、制度理解により節税が可能
  • 確定拠出年金の受け取り方法は、「一時金」「年金」「一時金と年金」があるが、一般的には一時金で受け取る方が税金が抑えられる
  • もっとも節税できるのは「確定拠出年金を先取りし、5年後以降に退職金を受け取る」ケース。ただし、受け取り間隔が5年未満の場合は税金が高くなるため要注意

結論|確定拠出年金と退職金とを別々の年に受け取った場合、損しない対策が必要

確定拠出年金と退職金を受け取る時期によって、支払う税金が大きく変わってくるため、注意が必要です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo)などの確定拠出年金では、一時金で受け取るか年金として受け取るかを選べます。

しかし、その受け取り順やタイミングを誤ると、多額の税金を支払わされてしまう可能性があります。

とくに、退職所得に適用される「退職所得控除(退職金の5年ルール)」を利用できるかどうかによって、支払う税金に大きな差が生まれるので要注意です。

適切に節税し老後に備えるために、確定拠出年金と退職金の賢い受け取り方法を理解しておく必要があります。

適切な知識を持って対策を立てれば、確定拠出年金と退職金の受け取り時に大きな損をすることはありません。

次の章では、まず確定拠出年金とはどのような制度なのかを見ていきましょう。

確定拠出年金とは|加入者みずからが年金資産を運用する制度

確定拠出年金は、事業主や個人が掛金を拠出し、加入者自身がその掛金を運用して将来の給付額が決まる年金制度のことです。

具体的には、以下の2種類があります。

  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)

企業型確定拠出年金(企業型DC)

企業の退職金制度の一つとして整備されてきた制度です。
掛金は企業が拠出し、運用は従業員自身が行います。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

iDeCoは60歳未満の人なら誰でも加入でき、掛金と運用はすべて個人負担となります。
2017年の法改正で、企業型DCとiDeCoの併用が可能になりました。

企業型・個人型いずれの確定拠出年金も、受け取り方法は「一時金」「年金」「一時金と年金の組み合わせ」の3つです。

ほとんどのケースで、年金で受け取るより一時金で受け取る方が優遇税制が受けられ、所得金額が大きく減額されるため節税できます。

ただし、一時金の額が退職所得控除額を大きく上回る場合は、税額が大きくなってしまうので注意が必要です。

確定拠出年金を一時金で受け取る場合、退職前で受け取るのか、退職後に受け取るのかなどのタイミングで大きく税額が変わってしまいます。
受け取り開始時期は、企業型、個人型ともに60歳から75歳までの間です。

年金受け取りの場合は、公的年金と合算されるため、所得が多くなれば所得税や住民税、社会保険料の負担も重くなるというデメリットにも注意が必要です。

このように確定拠出年金にはさまざまな選択肢がありますので、受け取り方法や時期を慎重に検討する必要があります。

ここまでは、確定拠出年金の概要をお伝えしてきました。
次では、確定拠出年金と退職金に適用される優遇税制を見ていきましょう。

確定拠出年金と退職金に適用される優遇税制とは

確定拠出年金と退職金は、受給時に退職所得控除による所得税の優遇処置を受けられます。
これにより、税負担を軽減できます。

以下の3つの視点から見ていきましょう。

  • 退職所得控除の適用
  • 退職金にかかる税金の計算方法
  • 退職金にかかる税金計算の具体例

退職所得控除の適用

退職金は、退職所得控除を引いた残りが退職所得となり、この金額に対して税金が課せられる仕組みです。

企業型と個人型の確定拠出年金は、一時金として受け取る場合、いずれも退職金と同様に退職所得控除が適用されます。

また、年金として受け取る場合は、所得として扱われ公的年金控除の適用が可能です。

多くの場合、年金として受け取るよりも一時金として一括で受け取る方が税金額が小さくなります。
そこでこの記事では、一時金として受け取る場合についてくわしく見ていきましょう。

退職金にかかる税金の計算方法

次の章で確定拠出年金と退職金の受け取りパターンごとに具体的なシミュレーションを行います。
その前に、この章で退職金にかかる税金の計算方法を理解しましょう。

退職金に課税される税金の計算手順は以下のとおりです。

1.退職所得控除額を確認する
勤続20年以下の場合: 40万円×勤続年数(上限80万円)
勤続20年超の場合: 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

2.退職所得を計算する
退職所得 = (収入金額 – 退職所得控除額) × 1/2

3.税金を計算する
所得税 = 退職所得 × 所得税率 × 1.021 住民税 = 退職所得 × 10%(概算)

退職金にかかる税金計算の具体例

ここでは、以下のケースで計算してみましょう。

・退職金:2300万円
・勤続年数:40年

1.退職所得控除額を確認する
退職所得控除額 = 800万円 + 70万円×(40年-20年) = 2200万円
よって、退職所得控除は2200万円になります。

2.退職所得を計算する
退職所得 = (2300万円 – 2200万円) × 1/2 = 50万円
つまり、例の場合だと退職金額が2200万円までは非課税で、残りの100万円のうち半分の50万円が課税対象と扱われます。

3.税金を計算する
所得税 = 50万円 × 5% × 1.021 = 約2.6万円
住民税 = 50万円 × 10% = 5万円
納付総額 = 約7.6万円

よって、このケースの場合、納付する税金は約8万円です。

確定拠出年金と退職金の賢い受け取り方法

確定拠出年金と退職金の優遇税制を理解するために、もっとも節税できるケースを考えてみましょう。

確定拠出年金と退職金を一時金で受け取る場合、以下の3パターンがあります。

  1. 退職金を先に受け取り、後で確定拠出年金を受け取る
  2. 退職金と確定拠出年金を同時に受け取る
  3. 確定拠出年金から先に受け取り、退職金を後で受け取る

それぞれ具体的にシミュレーションします。

1.退職金を先に受け取り、後で確定拠出年金を受け取る

このパターンでは、税金面で優遇されにくいルールがあります。

前年以前の19年以内に受け取った別の退職金がある場合、勤続年数の重複はのぞいて計算するという「19年ルール」です。
この19年ルールにより退職所得控除をフル活用できなくなってしまいます。

退職金を受け取ってから確定拠出年金を受け取るまでの期間が20年以上ある場合、確定拠出年金の加入年数と退職金に関わる勤続年数が退職所得控除の計算に両方とも適用され、理論上は退職所得控除をフル活用できます。

しかし、このように退職金を受け取ってから20年以上もあけて確定拠出年金を受け取れる人は非常に稀です。

そもそも確定拠出年金の受給上限75歳で受け取る場合でも、退職金を55歳までに受け取らなければならず、このパターンは現実的ではありません。

2.退職金と確定拠出年金を同時に受け取る

同時に受け取る場合、退職所得控除をフルに活用できず、税金が高くなるため推奨されません。
たとえば、以下のケースでシミュレーションします。

・確定拠出年金:500万円、加入年数:15年
・退職金:2300万円、勤続年数:40年

上記を前章で解説した「退職金にかかる税金の計算方法」に当てはめると、退職所得控除は2200万円となり、課税対象の退職所得は300万円になります。

この場合、納付する税金は約51万円です。

確定拠出年金と退職金を同時に受け取ると、退職所得控除をフル活用できないため税金が高くなってしまいます。
どの程度高くなっているのかを、次のパターンと比較してみましょう。

3.確定拠出年金から先に受け取り、退職金を後で受け取る

このパターンがもっとも節税効果が高いです。

ただし、確定拠出年金の受け取りから退職金の受け取りまで5年以上の間隔をあけることが重要です。
5年ルールを活用することで、退職所得控除をフルに活用し、税金を大幅に削減できます。

例として、「2.退職金と確定拠出年金を同時に受け取る」と同じケースでシミュレーションしてみましょう。
・確定拠出年金:500万円、加入年数:15年
・退職金:2300万円、勤続年数:40年

まず、確定拠出年金を受け取る際の税金を計算します。

退職所得控除は、勤続年数(加入年数)が20年以下の場合以下の式が適用されます。
40万円×勤続年数(加入年数)
40万円×15年=600万円
よって、
退職所得=(収入金額:500万円-退職所得控除:600万円)×1/2
▲50万円となり、退職所得がマイナスになるため、所得税と住民税はいずれも「0」となります。

退職金の受け取り時の退職所得控除は2200万円となり、課税対象の退職所得は50万円になります。
この場合、納付する税金は約8万円となり、「2.退職金と確定拠出年金を同時に受け取る」ケースの約51万円と比較して43万円の節税が可能です。

注意|確定拠出年金を受け取った5年未満に退職金を受け取るケース

直前の解説では、確定拠出年金の受け取りから退職金の受け取りまで5年以上の間隔をあける例を解説しました。

一方で、確定拠出年金と退職金の受け取り間隔が5年未満の場合は、税金が高くなるため注意が必要です。

参考として、確定拠出年金を受け取った5年未満に退職金を受け取るケースをシミュレーションしてみましょう。
確定拠出年金と退職金は、ほかのケースと同じとします。
・確定拠出年金:500万円、加入年数:15年
・退職金:2300万円、勤続年数:40年

退職金控除は、(40年-15年-20年)×70万円+800万円
=1,150万円です。

退職所得は、(2800万円-1150万円)×1/2
=825万円となります。
この場合、納付する税金は約211万円にものぼります。

以上の結果から、「3.確定拠出年金から先に受け取り、退職金を後で受け取る」のケースがもっとも節税できる方法です。

ただし、確定拠出年金を受け取ってから5年以上あけて退職金を受け取る必要があるので注意が必要となります。

もっとも節税できる「確定拠出年金先取り、退職金は5年後以降」の方法は理論上は節税メリットが大きいものの、以下の前提であることを理解しておくことも重要です。

  • 勤めている企業が、例示したタイミングで確定拠出年金と退職金を受け取れる制度となっている
  • 自分が希望するタイミングで退職できる
  • 確定拠出年金を先取りするため、運用期間が短くなる

制度内容を理解し、自分にとってどのような選択肢が適しているのかを決める必要があります。

確定拠出年金と退職金の理解を深めつつ専門家のサポートを受けて検討しよう

確定拠出年金と退職金の仕組みは複雑で、一人ひとりの状況によって最適な受け取り方法は異なってきます。
ここまでの解説では、わかりやすさを優先してある程度単純化した例を用いてきました。

しかし実際には、以下のような個別の事情も加味する必要があります。

  • 退職時の年齢
  • 勤務年数
  • 退職金受取額
  • 確定拠出年金の運用額
  • 公的年金の受給開始時期
  • 退職後の就労予定の有無
  • その他の年金資産の状況
  • 税制優遇措置の改正動向

こういった個人の置かれた具体的な状況を勘案すると、最適な受け取り方法は一人ひとり異なってくるでしょう。

そのため、確定拠出年金と退職金の基本的な仕組みと節税のポイントは押さえておきつつ、実際に受け取りタイミングが近づいた時点で専門家に相談することをおすすめします。

ファイナンシャル・プランナー(FP)や税理士などの専門家は、個々の状況を総合的に勘案したうえで、最適なタイミングとプランを一緒に検討してくれるでしょう。

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まとめ|確定拠出年金と退職金の仕組みを理解して賢く節税しよう!

この記事では、以下のことがわかりました。

  • 確定拠出年金と退職金とを別々の年に受け取った場合、受け取る時期によって税金が大きく変わるため、制度理解により節税が可能
  • 確定拠出年金の受け取り方法は、「一時金」「年金」「一時金と年金」があるが、一般的には一時金で受け取る方が税金が抑えられる
  • もっとも節税できるのは「確定拠出年金を先取りし、5年後以降に退職金を受け取る」ケース。ただし、受け取り間隔が5年未満の場合は税金が高くなるため要注意

確定拠出年金と退職金は、老後の大切な資金源です。
これらの制度の仕組みを理解し、賢くタイミングを計ることで、最大限の節税効果を得られます。
自分のライフプランや財務状況に合わせて、最適な受け取り方を選ぶことが大切です。
専門家のアドバイスを受けながら、賢い節税方法を見つけ出しましょう。

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執筆者
松田聡子
ファイナンシャルプランナー
明治大学法学部卒業後、証券システムのITエンジニア、国内生保の法人コンサルティング営業を経て2007年よりファイナンシャル・プランナーとして独立。コンサルティングのほか、主な活動は企業型確定拠出年金導入企業へのセミナー講師、マネーサイトへの執筆など。年金・資産運用・保険などに精通、iDeCoやNISAなどの制度を活用した人生100年時代の資産形成をアドバイスしている。