退職金を分割支給で受け取るときは控除を使って税負担を減らすのが鍵
※当サイトは人材関連サービスを展開する株式会社エイジレスが運営しています。本ページは自社および提携先のPRを含む場合があります。
退職金を分割支給で受け取る場合、どのような点に気をつけたらいいのか気になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、退職金を分割支給で受け取るメリットや、公的年金等控除制度を使った税負担の軽減方法を解説します。
退職金や確定拠出年金など、定年前後のお金の仕組みは複雑です。
一人ひとりの状況によって最適な節税方法は変わるため、個人の判断で進めると大損しかねません。
そのため、お金を損しないポイントはおさえておきつつ、実際に退職するタイミングが近づいたら専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。
- 無料で何度でも相談できる
- 会員100万人突破
- 全国47都道府県対応
- 無理な勧誘や営業は一切なし
- 【公式】https://hokench.com/
- 【この記事を読んでわかること】
- 加入している退職金制度によって分割支給の可否は異なる
- 退職金を分割支給で受け取ると公的年金等控除の対象となり税金が免除される
- 退職金のほか国民年金なども控除の対象となるため控除額を超えると税金が発生する
- 退職金額や勤続年数によっては一括受取した方が節税効果が高いこともある
分割支給で受け取れる退職金は3種類
退職金にはさまざまな種類がありますが、分割支給で受け取れる退職金は以下の3種類が挙げられます。
退職金の種類 | 特徴 |
---|---|
確定給付企業年金 | 企業が拠出・運用・管理・給付までの責任を負う年金制度。給付内容があらかじめ定まっているため給付額は安定している。積立金は企業の外部に保全される点が退職一時金と異なる。 |
企業型確定拠出年金 | 企業が掛金を拠出して従業員が年金資産を運用する制度。運用成果によって給付額は変動する。60歳になると一括受給か分割支給を自由に選択して受け取りを開始できる。 |
中小企業退職金共済 | 中小企業のための国の退職金制度。事業主が掛金を拠出して共済が一定の利率で運用する。納付月数が43ヶ月以上になると退職金が掛金総額を上回る。退職日年齢が60歳以上であれば分割支給が可能。 |
給付額が安定している確定給付企業年金は旧退職金制度からの移行者が大半を占め、新規導入する企業は減少しています。一方、新規加入者が増加しているのが企業型確定拠出年金で、給付額は運用成績によって変動するのが特徴です。また中小企業退職金共済は中小企業の従業員のための退職金制度で、契約者数はほぼ横ばい状態が続いています。
参考:「企業年金・個人年金制度の現状等について‐厚生労働省」
参考:「加入脱退状況年度別グラフ(被共済者)‐中小企業退職金共済事業本部」
なお、上記の退職金はそれぞれ併用も可能なため、複数の退職金制度に加入している人もいるでしょう。上記3種類のいずれかに加入していれば退職金を分割支給で受け取れるため、まずは自分が加入している退職金制度を確認してみてください。分割支給で受け取れる人は、次で解説する分割支給のメリットをみてみましょう。
>>老後資金のお悩みはファイナンシャルプランナーへの無料相談がおすすめ
退職金を分割支給で受け取る2つのメリット
退職金を分割支給で受け取ると、さまざまな面でメリットがあります。分割することで安定的な収入を確保し、浪費を防止するほか、税金や受給額の面でもメリットがあるので以下で紹介します。
公的年金等控除の対象となり税負担を軽減できる
分割支給で受け取る退職金は公的年金等控除という控除制度の対象になるため、控除額を超えない金額に対しては税金が免除されます。本来、分割支給で受け取る退職金は雑所得に分類されるため、課税対象となり税金を支払わなければなりません。しかし、控除制度を利用することで税負担を軽減できます。詳しくは後ほど詳しく解説します。
運用成績によっては受給額が増える可能性がある
分割支給で受け取ることで、未受給の退職金原資は引き続き運用されるため、運用成績によっては将来受け取る退職金額が増える可能性があります。受取時に退職金額が確定する一括受給にはない特徴で、年金を受け取りながら運用がおこなえるのはうれしいポイントです。
ただし、企業型確定拠出年金は受給額が大きく増える可能性もある代わりに、運用成績が悪いと減少する可能性もあるため、自己責任で運用をおこなうことが大切です。また、確定給付企業年金や中小企業退職金共済は一定の利率で安定的に運用されますが、利率は今後低下する可能性もあることは留意しておきましょう。
このように、公的年金等控除の利用や運用の内容次第で、分割支給で受け取る退職金は増やせます。とくに公的年金等控除は受取の前に概要をしっかり理解しておくと自分で控除内に収められるため、次で詳しくみていきます。
>>老後資金のお悩みはファイナンシャルプランナーへの無料相談がおすすめ
退職金の分割支給で利用できる公的年金等控除
退職金の受取額が公的年金等控除の控除額内に収まれば、分割支給で受け取るメリットが大きくなります。以下で公的年金等控除を理解し、退職金を分割支給で受け取るかどうかの参考にしてください。
対象は退職金のほか国民年金なども含まれる
公的年金等控除の対象となる収入は、退職金だけではありません。退職金を含む以下の年金が公的年金等控除の対象となります。
- 国民年金法、厚生年金保険法、公務員などの共済組合法などの規定による年金
- 過去の勤務により会社などから支払われる年金
- 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金
- 外国の法令に基づく保険または共済に関する制度で1)に掲げる法律の規定による社会保険または共済制度に類するものに基づいて支給を受ける年金
つまり、65歳になると国から支給される国民年金や厚生年金も、公的年金等控除の対象になるということです。
控除額は年齢や収入額によって異なる
公的年金等控除の控除額は、対象者の年齢や収入額によって異なります。たとえば、年金や退職金を合わせた金額が以下の場合、税金はかかりません。
- 65歳以上:公的年金などの年間収入が110万円以下
- 65歳未満:公的年金などの年間収入が60万円以下
上記の範囲内に収めれば、退職金を分割支給で受け取っても課税されません。しかし、超過した場合には超過分が雑所得として課税されるため、税金を支払う必要があります。退職金を分割支給で受け取るかどうかを考えるときは、税金の有無を判断材料のひとつにしましょう。
確定申告は基本的に必要なし
もし退職金が公的年金等控除の控除額を超えた場合、超過分に対しては確定申告をして税金を納める必要があります。しかし前年度の公的年金などの収入が400万円以下で、そのほかの収入が20万円以下の場合には、基本的に控除額を超えていても所得税の確定申告をする必要はありません。
ただし、医療費控除や社会保険料控除などの所得控除を利用して所得税の還付を受ける場合は納め過ぎた税金が返ってくるため、退職金の有無に関わらず確定申告をおこないましょう。
>>老後資金のお悩みはファイナンシャルプランナーへの無料相談がおすすめ
分割支給で受け取る退職金を控除内に収める3つの方法
退職金を分割支給で受け取る場合、受取額が大きくても工夫次第で公的年金等控除の控除内に収められます。以下を参考に退職金を控除内に収めましょう。
1.退職金を受け取る前に年金額や退職金額を確認しておく
まずは収入が控除内に収まるのかを確認するため、国民年金や退職金の年額を把握しておきましょう。国民年金は満額を納めていれば、令和5年時点で67歳以下の人は年間795,000円もらえます。日本年金機構のホームページで調べると、自分の年金額を確実に調べることができるため一度確認してみてください。退職金の金額は、各退職金制度の担当者に問い合わせましょう。
参考:「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額‐日本年金機構」
2.公的年金の受け取りを先延ばしにする
年金や退職金の総額が控除額を超えそうな場合は、公的年金の繰り下げ受給も検討しましょう。年金の繰り下げ受給とは、65歳から受け取れる公的年金の受取を、66歳以降75歳までのあいだに繰り下げることです。以下の条件に当てはまらなければ、年金の繰り下げ受給ができます。
- 65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までのあいだに、障害給付や遺族給付を受け取る権利があるとき
- 66歳に達した日以後の繰下げ待機期間中に、他の公的年金の受給権(配偶者が死亡して遺族年金が発生した場合など)を得た場合
公的年金を受け取らない期間は控除枠を広く使えるので、税金を支払わなくてもいい可能性が高くなります。1ヶ月繰り下げるごとに0.7%年金額が増えるメリットもあります。繰り下げの申請をするときは、年金事務所または年金相談センターで手続きしましょう。
3.分割受取と一括受取を併用する
退職金制度によっては受取方法を分割と一括で併用できるため、退職金が控除枠を超えないように調整できます。分割支給の退職金は公的年金等控除、一括支給の退職金は退職所得控除の対象です。それぞれで使える控除が異なるため、混同しないようにしましょう。ただし、控除額によっては一括受取した方が節税効果が高い場合もあるため、一括受取の概要も合わせて確認しておきましょう。
>>老後資金のお悩みはファイナンシャルプランナーへの無料相談がおすすめ
一括支給で受け取った方が良い場合もある
退職金は分割支給で受け取れますが、場合によっては一括支給を選択した方が良いこともあります。以下で、一括受取を検討すべき場合を解説します。
勤続年数が長く退職金や公的年金の受取額が多い場合
一括受取する退職金に対しては退職所得控除という控除枠が利用できますが、勤続年数が長いほど税負担が軽くなります。退職所得控除の計算式は以下のとおりです。
- 勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
- 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
参考:「退職金と税‐国税庁」
退職金から上記の退職所得控除を差し引いた残りから、さらに1/2された金額が課税対象となります。たとえば、勤続年数が30年の人が退職金を一括受取する場合の控除額は、800万円+70万円×(30年‐20年)=1,500万円となり、1,500万円までなら税金がかかりません。
一方でもし退職金1,500万円を65歳から10年間分割支給で受け取った場合、1年に受け取る退職金額は150万円で、さらに国民年金もプラスされます。公的年金等控除で税金がかからない「65歳以上で公的年金などの年間収入が110万円以下」の条件には当てはまらず、課税の対象となります。
このように、勤続年数が長く退職金や公的年金の金額が多い場合は、退職所得控除を利用した方が節税効果が高い場合が多いです。会社に長く勤めている人は、分割支給だけではなく一括受取も並行して検討しましょう。
住宅ローンなどの返済が残っている場合
住宅ローンや子どもの学費など、大きな金額の返済が残っている場合は退職金を一括受取した方が良い場合もあります。退職金を分割支給で受け取って長期的に返済するよりも、一括受取で一気に返済した方が支払う金利の総額が減るからです。老後生活に支障が出ない範囲で退職金を返済に充てると、晩年も安心して過ごせるでしょう。
>>老後資金のお悩みはファイナンシャルプランナーへの無料相談がおすすめ
まとめ
- 加入している退職金制度によって分割支給の可否は異なる
- 退職金を分割支給で受け取ると公的年金等控除の対象となり税金が免除される
- 退職金のほか国民年金なども控除の対象となるため控除額を超えると税金が発生する
- 退職金額や勤続年数によっては一括受取した方が節税効果が高いこともある
退職金を分割支給で受け取りたい場合は、まず自分が利用している退職金制度を確認しましょう。分割支給で受け取る場合は公的年金等控除の対象となり、65歳以上で公的年金などの年間収入が110万円以下なら受取時に税金はかかりません。ただし、国民年金なども控除の対象に入るため、退職金だけでなく年金も考慮して計算する必要があります。また、場合によっては一括受取した方がメリットが大きいこともあるため、分割受取と一括受取の両方を比較検討することが大切です。
▼関連する記事はこちら
確定申告書の控えをもらっていない・紛失した場合の再発行方法を解説
確定申告書の控えは、個人事業主やフリーランスの所得証明となる重要な書類です。近年では、e-Taxでの電子申告も可能になったため、控え
▼関連する記事はこちら
役員退職金を準備する6つの方法と法人保険が選ばれる理由
一般的な退職金とは異なり、経営者は自分の退職金を自分で準備する必要があります。しかし、準備の方法を誤ると、自分の退職金の支払いが会社の
資金計画に不安ならFPへ相談を
資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル 』への相談がおすすめです。
- 無料で何度でも相談できる
- 会員100万人突破
- 全国47都道府県対応
- 無理な勧誘や営業は一切なし
- 【公式】https://hokench.com/