確定申告書の控えをもらっていない・紛失した場合の再発行方法を解説
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確定申告書の控えは、個人事業主やフリーランスの所得証明となる重要な書類です。近年では、e-Taxでの電子申告も可能になったため、控えをもらっていない、あるいは税務署の窓口や郵送での手続き後にもらった控えを紛失してしまうこともあるでしょう。この記事では、こうしたケースで確定申告書を再発行する方法を解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 確定申告の提出方法によって控えの受け取り方は異なる
- 確定申告書の控えを確認・再発行するには3つの方法がある
- 確定申告書の控えを開示・閲覧請求する際の注意点
- 確定申告の控えが必要になるケース
確定申告書の提出方法によって控えの受け取り方は異なる
確定申告書は、管轄する税務署窓口への直接提出や郵送、e-Taxを活用した提出によって実施します。それぞれの、提出方法によって確定申告の控えの受け取り方やタイミングは異なります。
- 税務署で直接提出するとその場で控えを受け取る
- e-Taxの場合はデータで控えを受け取る
- 郵送の場合は控えを返送してもらえる
3つのパターンについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
税務署で提出するとその場で控えを受け取れる
確定申告書を税務署の窓口で提出すると、正式に受け付けたことを証明する「収受日付印」が押された控えをその場で受け取ります。そのため直接提出の場合は、提出と控えの2つの用紙を準備して提出します。
e-Taxの場合はデータで控えを受け取る
オンラインで確定申告を行うe-Taxは、用紙ではなくデータで控えを受け取ります。実物で控えを受け取っていないため、e-Taxで申告した人には控えをもらっていないと勘違いする人も少なくありません。用紙で控えが必要な場合は、データを印刷して利用するといいでしょう。ただし、「収受日付印」はないため、受信通知データと申告データの2点が控え証明として必要になります。
確定申告書をデータから印刷して利用する場合、複写されていないため、控えの用紙も併せて印刷するか原本のコピーを取る必要があります。
郵送の場合は控えを返送してもらえる
確定申告書は控えが複写になっているため、原本と切手を貼った返信用の封筒を同封し、送付することによって控えを返送してもらえます。返送された控えには、収受日付印が押されているため証明として活用できます。
確定申告書の控えを確認・再発行するための3つの方法
確定申告書の控えを確認・再発行するための方法を3つ解説します。
- 税務署での閲覧請求
- 郵送・税務署窓口での開示請求
- e-Taxによる申告書等情報取得サービスの利用
1.税務署窓口での閲覧請求
確定申告書を提出した所轄の税務署に訪問すると、過去に提出した確定申告書をその場ですぐに閲覧できます。e-Taxで提出した場合も閲覧可能です。ただし、閲覧請求した確定申告書はメモしたり、カメラで撮影はできるものの、その場ですぐに紙面の控えはもらえません。
本人が閲覧請求をする際は、事前に運転免許証や健康保険証、住民基本台帳カードなどの本人確認書類を用意し、税務署窓口で「申告書等閲覧申請書」を提出します。
閲覧は本人以外に代理人も行えます。代理人が閲覧する場合は委任状が必要になるほか、申告書等閲覧申請書や代理人の本人確認書類、印鑑登録証明書(委任状の実印に対するもの)が必要です。印鑑登録証明書は、申請日前30日以内に発行されたものに限られる点に注意しましょう。
2.郵送・税務署窓口での開示請求
開示請求とは、確定申告書の控えを受け取る方法です。郵送または所轄税務署の窓口で本人か代理人が「保有個人情報開示請求書」を提出し、後日、確定申告の控えを受け取れます。開示請求後、控えを受け取るまでには一定の期間がかかります。
本人が窓口で開示請求の手続きを行う場合は、保有個人情報開示請求書とともに、本人確認書類や1件につき300円の収入印紙、または現金を併せて税務署の窓口に提出します。郵送の場合は、これに加えて、住民票の写しや返信用の切手が必要です。
また閲覧と同様、代理人が開示請求する場合は委任状が必要になるほか、保有個人情報開示請求書や代理人の本人確認書類、印鑑登録証明書(委任状の実印に対するもの)が必要になることを覚えておきましょう。
3.e-Taxによる申告書等情報取得サービスの利用
e-Taxの申告書等情報取得サービスを利用すれば、提出方法を問わず確定申告書の控えをPDF形式で取得できます。e-Taxの利用にはマイナンバーカードが必要ですが、手数料がかからないうえ、オンライン上で申告書などを取得できる便利な手法です。ただし、取得できるのは、令和2年以降の直近3年分の所得税及び復興特別所得税確定(修正)申告書、青色申告決算書、収支内訳書のみとなります。
利用するには、パソコンやスマホなどでe-Taxにログインして、作成した閲覧申請データを送信します。手順は以下をご参照ください。
- 申告書等の閲覧を申請する
- 所得税申告書等情報の閲覧
- 対象年度などを選択
- 電子署名の付与
- 送信
申請後、e-Taxのメッセージボックスに返信が届くと、添付されたPDFファイルをダウンロードできます。Web版のe-Taxソフトは、電子申請等証明書の交付ができます。電子データを受け入れてくれる提出先であれば、電子申請等証明書の交付申請を利用するのもいいでしょう。
確定申告書の控えを開示・閲覧請求する際の注意点
確定申告書の控えを再発行する際は次の3点に注意しましょう。
- 確定申告書の控えが再発行されるまでの期間
- 保有個人情報開示請求書の種類
- 代理人請求には委任状が必要
確定申告書の控えが再発行されるまでの期間
郵送や税務署窓口で確定申告書の控えを開示請求してから再発行されるまでには、一定期間がかかる点に注意しましょう。開示請求があった日から30日以内に開示等の決定を行い、その後に申出書の提出や対象文書の送付に移るのが一般的な流れです。
参考:開示請求等の手続|国税庁
再発行までの期間は明確にされていませんが、一般的には1ヶ月程度とされています。必ずしも提出用の控えが必要ではなく、収入額や所得額など確定申告書の内容を確認したい場合は閲覧請求するといいでしょう。控えが必要な場合は、1ヵ月以上前の早期から余裕をもって申請しましょう。
保有個人情報開示請求書の種類
保有個人情報開示請求書は2種類あります。提出書類として再発行する場合は間違えないように注意してください。1つは通常の保有個人情報で、もう1つは特定個人情報です。両者はマイナンバー記載の有無が異なります。
マイナンバーの記載がある申告書の提出を求められた場合は、特定個人情報用の「保有個人情報開示請求書」を間違えないように再発行しましょう。
代理人請求には委任状が必要
閲覧請求と開示請求は、共に代理人が実施できます。代理人が申請する場合は、納税者本人が記載した委任状が必要になります。加えて、委任状に押印した本人の印鑑を証明するための印鑑登録証明書と代理人の本人確認書類も必要です。
確定申告書の控えが必要なケース
確定申告書の控えは、次のようなケースで必要になることがあります。
- 融資を受ける場合
- 奨学金を受ける場合
- 子どもが保育園に入所する場合
それぞれ解説します。
融資を受ける場合
住宅や自動車などを購入する際のローンや事業融資の審査では、源泉徴収票の代わりに確定申告書の控えの提出を求められることがあります。
会社員であれば、12月の年末調整後に勤務先で源泉徴収票がもらえます。源泉徴収票には1年間の収入と納付した所得税額が記載されているため、融資を受ける際などの証明にできますが、個人事業主やフリーランスには源泉徴収票がありません。そのため、代わりに確定申告書の控えで証明する必要があります。
ただし、確定申告書の控えがあっても、業績が悪い場合は融資が難しいと判断されることがあることに加えて、融資を受ける場合は、過去2年分の確定申告書の提出を求められることもあります。
奨学金を受ける場合
奨学金とは、研究や就学を援助するための資金を給付、または貸与する制度です。子どもが奨学金を受ける場合、確定申告書の控えを求められることがあります。自己資金だけで就学が困難なのかを確かめるためです。
融資と同様、会社員の場合は源泉徴収票などで確認できますが、個人事業主やフリーランスの場合は、確定申告書の控えで判断されます。子どもの就学に備えて奨学金を受ける予定がある場合は、事前に準備しておきましょう。
子どもが保育園に入所する場合
確定申告書の控えは、子どもが保育園に入所する場合の判断基準として必要です。保育所へ入所は優先事項が定められており、中には親の就労に関しての事項もあります。加えて、保育料は住民税の所得割課税額によって算出されます。ちなみに、保育料は地方自治体によって異なる点に注意が必要です。
子どもの保育園の入所を検討する個人事業主やフリーランスは、過去分の確定申告書の控えを準備しておきましょう。
確定申告書の控えをもらっていない場合は余裕をもって開示請求しよう
個人事業主やフリーランスにとって確定申告書の控えは、就労や所得などを証明する重要な書類です。住宅ローンや自動車ローン、奨学金などの審査時、または子どもの保育園の入所時などに提出を求められることもあります。
閲覧請求に時間はかかりませんが、控えが必要な場合には開示請求が必要です。開示請求には、時間がかかることを想定して余裕を持って早めに取得しましょう。
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