フリーランスは増えすぎ?急増の背景と成功するためのヒント
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フリーランスは時間や場所が自由な働き方として、近年ますます人気を集めています。「増えすぎ」との声も聞こえますが、実際どのくらいいるのでしょうか。これから参入したい人向けに、急増の背景、フリーランスの実態、成功するためのヒントをまとめます。
- 【この記事を読んでわかること】
- フリーランスは増加しているが、必ずしも増えすぎているとはいえない
- フリーランス急増の背景には働き方の変化や価値観の変化がある
- フリーランスはIT関連分野や新しい働き方の影響で今後も需要が高まる
- 急増するフリーランス業界の中で成功するには基本ステップを大切に
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フリーランスは増加しているが増えすぎているとはいえない
日本のフリーランス人口は年々増加していますが、海外に比べるとその割合はまだ少なく、現時点では増えすぎているとはいえません。
今後の労働人口減少やIT人材の不足を背景に、企業のフリーランス労働力へのニーズは強く、市場は成長傾向にあります。
どのような人をフリーランスと呼ぶのかや、公的統計から近年のフリーランスの人口を見てみましょう。
参考:政策課題分析シリ-ズ 17 日本のフリーランスについて|内閣府政策統括官
参考:フリーランス実態調査結果|内閣官房日本経済再生総合事務局
フリーランスの定義
「どのような人をフリーランスと呼ぶか」には明確な定義がありません。
政府の各省庁間でも違いがあり、民間企業による調査等においてもフリーランスの定義はさまざまです。
内閣官房・内閣府・中小企業庁では、フリーランスの定義を下記のとおりに定めています。
- 自身で事業等を営んでいる
- 従業員を雇用していない
- 実店舗を持たない
- 農林漁業従事者ではない
※法人の経営者を含む
この定義には「主たる収入をフリーランスで立てている人(本業フリーランス)」、「主たる収入は他にありフリーランスによって副収入を得ている人(副業フリーランス)」の両方を含みます。
フリーランスの人口
フリーランスの人口に関するデータは、公的な統計がこれまでなく、2019年に内閣府が出した試算が初めてのものです。
それによると、フリーランスの人口試算は2019年時点で341万人(本業228万人/副業112万人)でした。
翌年の2020年に内閣官房が関連省庁連携で再度調査を行い、2020年のフリーランスの人口試算は462万人(本業214万人/副業248万人)となりました。
本業フリーランスが14万人の減となった一方、副業フリーランスが136万人の増(前年比2.2倍)となり、副業者の急増が目立ちます。
2019年末から本格化した新型コロナウイルスの影響で、一部の本業フリーランスが廃業に追い込まれ、代わりに在宅でできる分野における副業フリーランスが増えたことが原因と見られます。
労働人口に占めるフリーランスの割合
米国の公的データとの比較が可能な「本業フリーランス」に関して、労働人口に占める割合を紹介します。
本業フリーランス数の全就業者に占める割合(2018)6.9%
日本:
本業フリーランス数の労働力人口に占める割合(2019)2.7%
本業フリーランス数の労働力人口に占める割合(2020)3.1%
日本の2020年のデータは、本業フリーランス人口が微減したものの、同時に労働力人口も前年比18万人減となりました。その結果、労働人口に占めるフリーランスの割合が前年比増となりました。
2020年時点で、本業フリーランスの日本の労働人口に占める割合は、2018年の米国データの4割程度です。
フリーランス先進国の米国では、一説には、広義のフリーランス(本業・副業・パラレルワーカー等を含む)は労働人口の34%に上ると言われています。
日本の労働市場・労働環境は米国のトレンドを追いかける動きを見せると言われているため、今後も本業・副業を含めたフリーランス人口の増加が予想されています。
参考:総務省統計局 労働力調査(基本集計)2020年
参考:内閣府経済財政諮問会議「2030年展望と改革タスクフォース」第1回会議資料
日本のフリーランスが増えている現状がわかったところで、次はどうしてフリーランスが増えているのか見てみましょう。
フリーランスが増えすぎていると言われる背景には社会の変化がある
フリーランスの全体数は増加傾向にあり、政府関係省庁が連名でフリーランスに関するガイドラインを発表するなど、働き方の一つとして存在感を増しています。
近年のフリーランス増加の背景には以下のような社会の変化が考えられます。
- 働き方改革と働き方の多様化
- 副業・兼業推進の動き
- フリーランス向けサービス事業者の増加
- リモートワークの普及によるスキマ時間の活用
- 働き方に対する価値観の変化
それぞれについて説明します。
参考:「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」|経済産業省
働き方改革と働き方の多様化
「働き方改革」は、少子高齢化による労働人口の現象を少しでも食い止めるため、政府が推進している日本人の働き方を変える試みです。
従来の働き方は、正規雇用で残業を含めた長時間労働をこなすという固定的な働き方が主流でした。
さまざまな事情により、それができない人は就労をあきらめるか、非正規雇用となり正規雇用労働者との待遇格差に悩みつつ働くという状況が続きました。結果とし、て少子化や人手不足を助長する背景になったと考えられています。
働き方改革では「長時間労働の抑制」や「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」などに関する法改正が行われました。これに対応して大手企業を中心に、画一的でない、多様な働き方を導入する動きが広がっています。
この一連の動きによって労働者の就労イメージや就労機会にも変化が生じ、これまでパートタイマーとして外で働いていた主婦層が在宅フリーランサーになったり、会社員を退職後にフリーランスになる人が増えたと考えられています。
副業・兼業推進の社会的動き
副業フリーランス増加のきっかけとなったのが、国の副業・兼業推進施策です。
働き方改革の一部として、厚生労働省は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成しました。2022年7月には改訂版も発表し、実質的に労働者の副業・兼業を後押しする施策となっています。
ガイドラインは企業や働く人に向けて、現行の法律のもとで副業に取り組むポイントを解説した内容です。これを受けて副業に関するルールを定め、社員が副業しやすい環境を作る企業などが増加しました。
副業を許可している企業は、従業員にとっては複線的なキャリア形成ができると考えられていて、就職先としても人気があります。
フリーランス向けサービス事業者の増加
フリーランス向けの各種サービスを行う事業者がここ数年で増加したことも、フリーランス増加に繋がっています。
フリーランス向けのサービスには、下記のようなものがあります。
- シェアオフィス、コワーキングスペース
- クラウドソーシングサービス、スキルマーケットサービス
- クラウド会計ソフト、アプリケーション
シェアオフィスやコワーキングスペースは、時間単位で借りることができるオフィススペースのレンタルサービスです。自分で事務所を契約しなくとも、必要な時だけ利用して、打ち合わせスペースなどのオフィス設備を使用できます。
クラウドソーシングサービスやスキルマーケットは、仕事を探す人と仕事を依頼したい人のマッチングを行います。これらのサービスではスキルやサービス等の宣伝・仕事の受注・納品・支払いまでがインターネット上で完了するのが特徴です。
また、クラウド会計ソフトやアプリケーションでは、確定申告に必要な経理・書類作成ができます。特別な知識がなくとも簡単に書類が作成でき、個人でも利用できる安価な料金設定が魅力です。
上記のようなサービスの普及で、従来必要だった初期投資や手間がほとんど不要になりました。インターネットとパソコン一つあれば、仕事ができるようになり、フリーランスの新規参入ハードルを下げたと言われています。
リモートワークの普及によるスキマ時間の活用
新型コロナウイルスの猛威は、従来の「オフィスに出社して仕事をする」という働き方に大きな変化をもたらしました。
介護や医療、一次産業などの一部の業界をのぞき2020年頃から多くの会社でリモートワークが導入され、出社せずに働く仕組みが浸透しました。
出社せずに働くことで、通勤時間や拘束時間が短縮され、スキマ時間にフリーランスとして副業を始める人材が増えたことが指摘されています。
働き方に対する価値観の変化
労働者の働き方の価値観が変化してきたことも、フリーランス増加に影響しているとみられています。
近年では仕事とプライベートの両立、仕事のやりがいやワークライフバランスの重視、といった新たな価値観を持つ人が増えています。
内閣府の調査では現在フリーランスである人が、フリーランスという働き方を選択した理由の一位は「自分の仕事のスタイルで働きたいため(57%)」で、2位は「働く時間や場所を自由にするため(39%)」でした。
自分の働き方の価値観に合わせて働けるため、フリーランスになる人が増加していると考えられます。
参考:フリーランス実態調査結果|内閣官房日本経済再生総合事務局
日本人の働き方の変化などを受けて増えているフリーランスですが、どんな分野で活躍しているか、次に説明します。
フリーランスは今後もIT関連分野で増加が見込まれている
フリーランスは、今後特にIT関連の職種において更なる増加が見込まれています。
IT関連の職種であれば、今はまだまだ需要に供給が追いついておらず、活躍の場も広いため、新規参入フリーランスにもチャンスがあります。
IT関連でフリーランスの増加が見込まれる理由は大きく2つです。
- IT化・DX化によるIT系職種の需要増加
- プロジェクトベースという新しい働き方の登場
それぞれについて説明します。
IT化・DX化によるIT系職種の需要増加
情報技術の活用による業務改善を行うIT化や、データとデジタル技術を活用して、製品・サービス・組織などのさまざまな変革を行うDX化では、デジタル技術を操るIT系人材の起用が必須です。
少子高齢化社会を見据えた日本では、あらゆる企業がIT化・DX化に取り組んでいますが、そのためのIT系人材の育成が需要に追いついていないという状況です。
その人材不足の解消手段の一つとして、本業・副業を問わずフリーランスとして活動しているIT人材を起用する動きが高まっています。
IT系の仕事は多額の初期投資や資格・免許などが不要で、リモートワークとも親和性が高く、誰でもどこに住んでいても仕事ができます。
高単価の仕事が多く、今後もますます需要が高まるとみられているため、本業フリーランスとしても成り立ちやすいのが魅力です。
プロジェクトベースという新しい働き方の登場
フリーランス先進国のアメリカでは、フリーランスのプロジェクトベースの業務請負が進んでいます。
これは、プロジェクトごとにインターネット上で必要なメンバーを集めてチームを作り、プロジェクトが終了するとチームも解散するという働き方です。
システム・アプリケーション開発や大きなデザインプロジェクトなど、IT関連のプロジェクトで始まった新しい動きです。プロジェクトマネージャー・ITエンジニア・デザイナーなどプロジェクトに必要なメンバーのほぼ全員がフリーランスになることもあります。
プロジェクトは短期から長期までさまざまな案件があり、フリーランスは自分のスキルや稼働時間数に合わせて、主体的にプロジェクトを選んでいきます。
プロジェクトベースの働き方は、企業にとっては人件費という固定費の削減につながり、日本でも今後導入の動きが広がるとみられています。IT系フリーランスは、このような働き方の変化も増加の後押しになるでしょう。
フリーランス需要が高まり、活躍の場が広がる一方で、間違った理解・憧れを持ってフリーランスになる人もいます。次の章ではフリーランスの実態を説明します。
フリーランスへの間違った憧れが今後増えすぎの原因になるかもしれない
フリーランスという働き方に対するイメージは近年大きく改善し、下記のような憧れを持つ人が多いのも増加の原因になっています。
- 会社から解放される
- 自由に働ける
- 自分の力で稼げる
しかし、実際にフリーランスとして働くのはそんなに甘くはありません。
それぞれの憧れについて実態を説明します。
会社から解放される
会社員として、業務指示にしたがって働く人にとっては、自分に命令をする存在がないフリーランスは自由でストレスが少なく見えるかもしれません。
しかし、会社という組織に所属しないということは、会社組織に守ってもらえなくなることを指します。取引先とのトラブルも自分の力で解決しなければならず、さまざまな専門家を要する組織の力を利用することもできません。
会社員は、会社と雇用関係にある労働者だからこそ労働法や雇用保険が適用されますが、フリーランスには残業という概念もなければ、無料の定期健康診断も失業保険もありません。
フリーランスは、会社という肩書きがなくなる分、業務上の責任を個人で負う覚悟と高い自己管理能力が求められる働き方です。
自由に働ける
多くのフリーランスは、働く時間や場所に融通が利きます。会社でアサインされる仕事と異なり、自分でやりたい仕事を選ぶこともできます。決められた時間に、決められた場所で就業する会社員からしたら自由でストレスのない働き方に見えるかもしれません。
一方、フリーランスの実態として、好きな場所で好きなように働いているわけではありません。働く場所や環境は自己責任で用意しなければならず、必要な収入を得るためにはやりたくない仕事も取りに行く場合もあります。
会社員として決まった月給やボーナスがもらえるわけではないため、自分が出した成果の分しか収入にならず、その中から仕事に使用する備品費・光熱費などの経費をやりくりします。
会社員と違うスタイルで働くことは事実ですが、会社員とは違った制約があることも知っておきましょう。
自分の力で稼げる
フリーランスは組織の力でなく、自分の力で稼げる働き方であることは間違いありません。しかし、内閣府の調査では、収入に満足しているフリーランスは約4割と半分以下にとどまっています。
同調査では、フリーランスとして働く上での障壁を「収入が少ない・安定しない」と回答した人も6割ほどいました。多くのフリーランスが、自分の成果に対して満足する収入を得ていないと感じていることがわかります。
フリーランスの市場では、誰でも担いやすい業務は価格競争にさらされ、通常価格よりも単価が落ちる傾向にあります。反対に高単価の仕事とは、専門性や実績、難易度の高いスキルが必要とされる業務です。
フリーランスが十分と感じる収入を得るには、自分に相当の専門性や実績がある分野で仕事をするか、ハイスキルの習得が必要です。
参考:フリーランス実態調査結果|内閣官房日本経済再生総合事務局
フリーランスには会社員とは違う大変さや難しさがあることがわかったところで、次の章では「フリーランスとして成功する基本」を説明します。
フリーランスが増えすぎても成功する5つの基本
今後も増加する傾向があるフリーランスの市場にこれから新規参入して成功するには、基本に忠実に、やるべきことを着実に進めましょう。
フリーランスのスタートアップの基本は下記のとおりです。
- 需要のある業界を選ぶ
- スキルを身につけ、実績を作る
- 評価と信頼を獲得する
- 情報発信する
- 必要な事務手続きを適切に行う
それぞれについて説明します。
需要のある業界を選ぶ
これからフリーランスを目指す際、どのような業界でどんな仕事をするのかは、重要なポイントです。今の自分の持っているスキル・得意分野が活かせる仕事が、フリーランスの市場と合っているとは限りませんし、希望するだけの年収が得られる見込みがあるかもわかりません。
参入したいフリーランスの業界について、需要の程度・よくある仕事の内容・単価などをマッチングサイトやクラウドソーシングサイトで調査してみましょう。
これからの需要の伸びが期待できるIT業界などに、未経験から参入を目指すことも一つの手です。IT系のスキルを身につけ、これまでの自分の専門と掛け合わせたサービスを展開することもできます。人材不足の業界なので、比較的経験が浅くとも簡単な仕事から案件を獲得し、徐々にスキルアップすることは可能です。
スキルを身につけ、実績を作る
活動したい業界が決まったら、そこで目指す仕事をするために必要なスキル・実績を把握し、それに向けた自己研鑽・スキルアップを行いましょう。
すでにスキルや実績がある人は、それらをわかりやすく提示するためのポートフォリオや自分のWebサイトなどを作りましょう。クラウドソーシングサービスやマッチングサイトのマイページの内容を充実させることも必要です。
簡単な案件や知人の紹介などの案件から仕事を開始して実績を積めば、公募案件などを受注しやすくなり、より多くの仕事につなげられるでしょう。
評価と信頼を獲得する
フリーランスとして継続的に仕事を受注できるようになったら、次に大切なのは評価と信頼を獲得することです。受注案件が多くともクライアントからの評価が悪ければ、次の仕事にはつながりませんし、新しい仕事も入ってきません。
納期と成果物の質を守り、クライアントと適切なコミュニケーションをとってお互いに気持ちのよい取引を心がけることで、フリーランスとしての評価と信頼が高まります。
高い評価を受けるフリーランスにはクライアントの方から業務依頼の問い合わせが来るため、単価交渉もしやすく、自分の価値を高めるチャンスにもなります。
情報発信する
仕事が安定してきたら、SNSやWebサイトなどで積極的に情報発信するのも大切です。業務用のアカウントを作成し、情報を定期的に発信することで、営業活動の代わりにもなります。
収入が不安定と言われるフリーランスですが、中長期スパンの契約、しかも顧客との直接契約の仕事が複数あると安定した月収が見込みやすいと言われています。
クラウドソーシングやマッチングサイトでは、単発・短期の案件が主流です。みずからの情報発信という別のチャンネルを設けて、クライアントから直接オファーを受けられる環境を持っておき、高待遇の仕事のチャンスを逃さないようにしましょう。
必要な事務手続きを適切に行う
フリーランスは経理手続きや、払うべき税金を確定・納付する確定申告などをみずから行わなければなりません。確定申告は税金を支払うためだけでなく、経費などを申告することで、節税対策にもなります。
本業の場合と副業の場合で必要な事務手続きは変わってきますが、自分の場合に何が必要なのか、知識をつけましょう。必要な事務手続きを適切に行うことで、補助金や助成金の申請ができたり、副業として扶養内で働き続けられたりします。また、節税の結果として手取りのアップにもつながり、事業の継続への励みとなるでしょう。
フリーランスにおすすめの案件探し方法
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まとめ
- フリーランス人口は増加しているが、必ずしも増えすぎているとはいえない
- フリーランス急増の背景には働き方の変化や就業価値観の変化がある
- フリーランスはIT関連分野や新しい働き方の影響で今後も需要が高まると予想される
- フリーランスとして成功するにはスタートアップの基本を大切にすることが大事
フリーランスは、新しい働き方として注目が集まっています。内閣府がフリーランスに行った調査では、その継続意思を聞いたところ、約8割が「フリーランスとして働き続けたい」と回答しています。急増しているフリーランスですが、今後もますます日本社会で、その存在感を増していくでしょう。
参考:フリーランス実態調査結果|内閣官房日本経済再生総合事務局
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