退職金に有効な税金対策は3つ!節税で手取り金額を増やす方法を解説

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退職金はある程度まとまった資金が支給されるため、税額も高額になりがちです。ただ、本記事で解説している税金対策を行うことで、納税額を抑えられる可能性があります。

この記事では、退職金に有効な3つの税金対策について詳しく解説しています。これから退職金受け取り予定の方、少しでも納税額を抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。

退職金や確定拠出年金など、定年前後のお金の仕組みは複雑です。
一人ひとりの状況によって最適な節税方法は変わるため、個人の判断で進めると大損しかねません。

そのため、お金を損しないポイントはおさえておきつつ、実際に退職するタイミングが近づいたら専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 退職金は一般的に一括受取のほうが節税効果は大きい
  • 退職所得の計算方法と課税所得の例
  • 年金型式が税金対策につながることもある
  • ふるさと納税で住民税を軽減できる
  • そのほかの所得がある場合は損益通算を活用する
  • 退職所得に対する所得控除が大きいため退職金の税金は意外と安い

退職金の税金対策①:退職金の受け取り方法を工夫する

退職金の受け取り方法には、全額一括で受け取る方法と毎月◯万円ずつ◯年のように年金形式で受け取る方法があります。退職金の受け取り方法によって、所得の種類や控除が異なります。

一般的に見ると一括で受け取った場合のほうが控除額が大きく、税金対策としては有効です。しかし、年金形式で受け取ったほうが税金対策につながる場合もあります。

実際は個別具体的に判断されるため、一概に〇〇のほうが良いとは言い切れません。まずは、退職金の税金対策として有効な受け取り方法を詳しく解説します。

一般的に「一括受け取り」のほうが節税効果は大きい

退職金を一括で受け取る場合、所得控除額が大きくなるため納税額が抑えられる可能性が高いです。

まず、退職金を一括で受け取る場合は「退職所得」という所得区分になります。退職所得は、老後の生活資金や功労金といった意味で支払われていることから、以下のように所得控除を受けられます。

【退職所得控除額の計算方法】

勤続年数20年以下の部分×40万円=A (80万円に満たない場合は80万円)
勤続年数20年超の部分×70万円=B

A+B=退職所得控除額

【退職所得の計算方法】

収入金額−退職所得控除額× 1/2=退職所得の金額

たとえば、勤続年数40年で退職金が4,000万円の場合、以下のように退職所得金額を算出します。

【退職所得控除】

20年×40万円=800万円
20年×70万円=1,400万円

800万円+1,400万円=2,200万円

【退職所得の計算式】

4,000万円−2,200万円×1/2=1,100万円

よって、勤続年数40年の人が退職金を4,000万円受け取っていた場合、1,100万円に対して所得税が課税されます。そのため、とても大きな税金対策となり得るでしょう。

また、実際に課税される所得税は以下のとおりです。

【退職所得に対する所得税額】

1,100万円×33%−1,536,000円=2,094,000円

なお、退職金を受け取るときまでに退職金支払者(会社等)に対して、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、源泉徴収によって課税関係が終了します。よって、確定申告は必要ありません。

退職所得の受給に関する申告書を提出していない方は、一律20.42%の源泉徴収が行われるため、確定申告によって課税関係が終了します。

「年金形式」が税金対策につながるケースもある

退職金を年金形式で受け取ったほうが税金対策につながるケースもあります。ただ、実際は公的年金の支給額や退職金の金額によって異なるため、「〇〇の人はどちらが税金対策になる」ということは一概にいえません。

退職金を年金形式で受け取った場合、所得区分は「雑所得」になります。そのため、そのほかの雑所得(公的年金等)と合算して翌年に所得税が課税されます。

たとえば、退職金4,000万円を20年間の年金払いで受け取る場合、毎年受け取れる金額は200万円です。そのほかに公的年金として毎年240万円程度受け取っていたとしましょう。

【200万円(退職金)+240万円(公的年金)=440万円(雑所得)】

公的年金等に係る雑所得の早見表(令和2年分以降)
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1000万円以下
年金を受け取る人の年齢(a)公的年金等の収入金額の合計額(b)割合(c)控除額
65歳未満(公的年金等の収入金額の合計額が600,000円までの場合は所得金額はゼロになります)
600,001円から1,299,999円まで100%600,000円
1,300,000円から4,099,999円まで75%275,000円
4,100,000円から7,699,999円まで85%685,000円
7,700,000円から9,999,999円まで95%1,455,000円
10,000,000円以上100%1,955,000円
65歳以上(公的年金等の収入金額の合計額が1,100,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります。)
1,100,001円から3,299,999円まで100%1,100,000円
3,300,000円から4,099,999円まで75%275,000円
4,100,000円から7,699,999円まで85%685,000円
7,700,000円から9,999,999円まで95%1,455,000円
10,000,000円以上100%1,955,000円

画像出典:国税庁|公的年金等の課税関係

公的年金等の税率は上記のとおりであるため、計算式は以下のようになります。

【雑所得として受け取った場合の雑所得】

440万円×75%−275,000円=3,025,000円

※公的年金受給開始基準である65歳以上で計算

上記のとおり、3,025,000円が雑所得金額になります。この金額から基礎控除や配偶者特別控除など各種控除を行った金額に対して以下の税率をかけて所得税を計算します。

所得税の速算表
課税される所得金額税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

画像出典:国税庁|所得税の税率

そのため、退職金の額が少ない方や公的年金の繰下げ受給を検討していて、雑所得の金額が少ない場合は、納税額が少なくなる可能性があります。実際には、各世帯ごとに細かく計算を行った上で、どちらが節税効果があるのかを判断しなければいけません。

▼退職金の受け取り方について詳しく知りたい方はこちら

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退職金の税金対策②:ふるさと納税で住民税負担額を軽減する

ふるさと納税は住民税の税額控除を受けられる上に、所得税の所得控除を受けられるため、税金対策として有効です。また、納税地から返礼品を受け取れるため、お得に税金を納められるのもメリットです。

次に、退職金の税金対策として有効になり得るふるさと納税について、詳しく解説します。

ふるさと納税は「住民税の前払い」をする制度

ふるさと納税とは翌年に支払う住民税の一部を年内に、ほかの地域に納税する制度です。ふるさと納税による節税効果は見込めませんが、納税した地域からお礼の品(返礼品)を受け取れるのがメリットです。

たとえば、ふるさと納税でほかの地域に10万円を納税した場合、2,000円を差し引いた98,000円が翌年の住民税から全額税額控除されます。その上で、納税した10万円の3割程度のお礼の品を受け取れる制度です。

つまり、ふるさと納税で10万円を支払った場合は、3万円相当の返礼品をお得に受け取れるということです。

ただ、退職金を一時金として受け取る場合はふるさと納税を利用できません。あくまでも、年金形式で受け取る方のみが利用できる制度なので注意してください。

ふるさと納税は所得税の所得控除も受けられる

ふるさと納税で支払った税金は、2,000円の自己負担額を除いて全額が所得控除の対象になります。

たとえば、ふるさと納税で10万円を支払った方であれば、98,000円をその年の所得から差し引けるということです。結果的に、所得税や住民税が抑えられることになるため、若干の節税効果に期待ができるでしょう。

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退職金の税金対策③:そのほかの所得がある場合は損益通算を活用する

退職所得や給与所得のほかに、以下の所得がある方は損益通算をすることで税金対策になる場合があります。

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得

上記いずれかの所得で赤字が発生した場合は、退職所得から赤字分を差し引くことができます。たとえば、不動産投資を行っている方がその年の不動産所得が100万円の赤字だった場合、退職所得から100万円を差し引くことができます。

仮に、純粋に計算した退職所得の金額が200万円だった場合、所得税額は125,000円です。しかし、不動産所得の赤字分を損益通算することによって、退職所得を100万円にすれば、所得税額は5万円になります。

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退職金の税金は意外と安い?その理由とは

退職金の税金は給与所得などの税金と比較すると、とても安いです。なぜなら、退職所得に対する所得控除が大きいためです。また、所得控除のほかにも退職金はさまざまな部分で優遇されています。

次に、退職金の税金が意外と安い理由について、以下のとおり解説します。

  • 税制面で大きな優遇措置があるため
  • 退職金は分離課税で計算するため税率が低くなる
  • 退職金には社会保険料がかからないため

税制面で大きな優遇措置があるため

退職金は退職後に受け取るお金であることから、賃金の後払いやこれまでの功労金、老後資金などさまざまな意味合いが込められています。そのため、給与所得などと比較して大きな所得控除を受けられるようになっています。

たとえば、勤続年数40年の方が退職金4,000万円を一時金として受け取った場合の退職所得は、2,094,000円です。約2,800万円が所得控除を受けられるということです。

これだけ大きな優遇措置を受けられる所得はほかにありません。よって、退職所得はそもそも所得金額が安くなるように優遇されており、実際に納税する税金も抑えられるようになっています。

退職金は分離課税で計算するため税率が低くなる

退職金は分離課税で計算できるため、税率を低く抑えられるようになっています。分離課税とは、ほかの所得とは分離をして所得金額を計算することです。

実際、退職金をもらった方の多くはその年の給与ももらっているはずです。もし、退職所得が総合課税だった場合、「退職所得+給与所得=◯◯万円」の◯◯万円に対して所得税などが課税されます。

日本の税制度は超過累進税率を採用しているため、所得金額が増えれば増えるほど税率が上がる仕組みです。そのため、たとえば退職所得200万円、給与所得が200万円だった場合の所得税は「400万円×20%−427,500円=372,500円」が納税する所得税額になります。

しかし、分離課税である退職所得は単体で計算されるため、「200万円×10%−97,500円=125,000円」です。仮に、退職所得と給与所得以外に所得がない場合は、翌年の所得税額は25万円で済みます。

このように、退職所得はその性質上、さまざまな優遇を受けられるため納税額を抑えられます。

退職金には社会保険料がかからないため

退職金を一時金で受け取る場合は、社会保険料がかかりません。そのため、受け取れる手取り金額が増えるのもメリットです。

ただし、退職金を年金形式で受け取る場合は、実際に受け取った金額に対して社会保険料が発生するので注意してください。

もし、退職金を年金形式で貰おうと考えているのであれば、税金面のみならず社会保険料負担額なども考慮した上で、どちらのほうがお得なのか確認したほうが良いでしょう。

▼退職金と税金について詳しく知りたい方はこちら

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まとめ

今回は、退職金の税金対策を解説しました。

退職金はまとまった資金を受け取れるため、税金も高額になるのではないだろうか?と考えている方も多いでしょう。しかし実際は、退職金の大部分が所得控除を受けられるため、課税所得はとても少なくなります。

その上で、少しでも納める税金を抑えたいと考えている人は、退職金の受け取り方法の工夫やふるさと納税、損益通算を活用されてみてはどうでしょうか。

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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。