SASエンジニアの仕事内容を徹底解説!IT経験者が知りたい年収は?
※当サイトは人材関連サービスを展開する株式会社エイジレスが運営しています。本ページは自社および提携先のPRを含む場合があります。
SASは世界中の多くの企業で使われている、統計解析・データ分析向けのソフトウェア・言語です。高い専門性を持つSASエンジニアは、高年収の職種といわれています。
本記事では、SASエンジニアの仕事内容や年収相場、キャリアアップ方法、将来性などについて詳しく解説します。SASエンジニアへの転職・転向に興味のあるIT経験者の方は、ぜひご覧ください。
- 【この記事を読んでわかること】
- SASエンジニアの仕事は、SASを使って統計解析やデータ分析を担うこと
- SASエンジニアの年収相場は、正社員で平均590万円と一般のITエンジニアに比べて高収入
- キャリアアップには、SASの活用スキルに加えて、統計解析・データ分析の専門知識や業務知識が重要
- アナリティクス分野は今後も高い成長性が見込まれ、SASエンジニアの将来性は高い
おすすめの転職エージェント
転職エージェントは大手1社と、特化型1~2社の活用がおすすめです!
- 大手:業界や職種にこだわらず自分に合った転職先を幅広く探る
- 特化型:希望する業界や職種への転職を専門的にサポートしてもらう
さまざまな転職エージェントがありますが、結論として以下から選んでおくと、希望に沿った求人を逃すリスクを軽減できるでしょう。
大手転職エージェント
≫リクルートエージェント
支援実績No1の総合型。年代や職種を問わずまず登録しておくべきエージェントです。
【公式】https://www.r-agent.com/
特化型エージェント
≫社内SE転職ナビ
社内SE特化。業界最大級の社内SE求人数を保有しています。
社内SEはホワイトな求人も多いためおすすめです。
【公式】https://se-navi.jp/
≫ウズカレIT
IT未経験からの転職に特化。就職/転職支援のみならずIT学習のサポートを無料で受けられます。
【公式】https://uzuz-college.jp/
≫エイジレスエージェント
年齢不問求人/ハイクラス転職に特化。SIer・コンサル・大手SESなどの求人を多数保有しています。
約80%が平均年収150万円アップの実績あり。
【公式】https://agent.ageless.co.jp
SASエンジニアの仕事を知る
SASエンジニアとは、「SAS」と呼ばれる統計解析ソフトウェアを使ってデータ分析や統計処理、プログラミングなどを行う技術者のことです。
SASエンジニアの仕事をよく知るために、以下の項目を詳しく解説します。
- SASの特徴
- SASエンジニアの役割と業務範囲
- SASエンジニアに求められるスキル
それぞれ見ていきましょう。
SASの特徴
SASとは、米SAS Institute社が開発・販売しているビッグデータ解析・マーケティング分析などに用いられる商用ソフトウェアです。また、SASのソフトウェアで用いられるプログラミング言語のこともSASと呼びます。
SASは「statistical analysis system」の略称で、日本語にすると「統計解析システム」です。その名の通り、SASは1960年代に2人の統計学者によって統計解析用のメインフレーム向けソフトウェアとして開発されました。その後、UNIXに移植されて大学や研究機関などで広く使用されるようになり、さらにWindowsへの移植によってより多くのユーザーを獲得しています。現在ではクラウドにも対応し、統計解析に限らず、データマイニングやマーケティング分析、臨床試験データの解析など幅広い分野で活用されている言語・ソフトウェアです。
SASと同じく統計解析やデータマイニングの分野で使われる言語・ソフトウェアに下記のようなものがあります。
- R言語
- Python
- SPSSソフトウェア
SASはRやPythonのようなオープンソースに比べると、ライセンス費用が高額なため、企業によっては導入が難しい場合もあります。また、SASはデータ分析に特化しており、一般的なプログラミング言語に比べると汎用性に欠ける点がデメリットです。
一方で、SASはビッグデータの処理やセキュリティ面での信頼性が高く、金融や医療などの分野で広く利用されています。SAS独自の手法や関数が豊富で、効率的にデータ分析が行える点もメリットです。
また、SASにはSAS Enterprise Guide(EG)という、プログラミングせずにGUIで簡単に操作できる機能も備わっています。EGを使うことで、SAS言語が使えないビジネスアナリストやデータサイエンティストでも統計解析やデータ分析の作業が可能です。ただし、SAS言語が扱えたほうが、より高度なカスタマイズが可能になります。
SASエンジニアの役割と業務範囲
SASエンジニアの役割は、SASを使って下記のような業務を行うことです。
- データ処理
- データ分析
- システム開発・運用
- レポーティング
データ処理
SASエンジニアは、データ処理のためのプログラムを作成することがおもな業務の一つです。具体的には、データの集計、加工、整形、クレンジング、抽出、変換などの処理を行い、分析やレポーティングに必要な形式に変換します。また、データベースやデータウェアハウスとの連携や、ETL処理の開発・改善も行います。データ処理は、分析やレポーティングの前段階となる重要なプロセスであり、SASエンジニアの能力が求められる作業です。
データ分析
SASエンジニアは、データ分析のためのモデル構築やアルゴリズム開発に携わることもあります。データ分析には、回帰分析、クラスタリング、主成分分析、時系列分析、機械学習などの手法が用いられ、それぞれに適切なモデルの構築が必要です。SASは、これらの分析手法に特化したライブラリを持っており、SASエンジニアはそれを駆使して高度な分析を行います。
システム開発・運用
SASエンジニアは、SASシステムを用いたシステム開発や運用に携わることがあります。SASシステムは、大量のデータ処理や高度な分析を行えるため、金融機関や保険会社などの大企業で採用されることが多く、その導入や運用のサポートが求められます。また、SASシステムの改善やカスタマイズ、移行作業などもSASエンジニアの仕事の一つです。
レポーティング
SASエンジニアの仕事にはレポーティング業務も含まれます。レポーティングとは、分析結果を分かりやすく可視化することです。具体的には、分析結果をグラフやチャート、表などにまとめ、分析レポートを作成します。分析レポートは、企業が経営戦略やマーケティング戦略を策定するための非常に重要な情報です。
SASエンジニアに求められるスキル
SASエンジニアとして業務を行うには、下記のようなスキルが求められます。
- SASプログラミングのスキル
- 統計解析・データ分析の知識
- データベースの知識
SASプログラミングのスキル
SASプログラミングは、膨大なデータを効率的に処理し、必要な情報を抽出することができます。また、SASは、多様なデータ形式に対応しており、データの前処理や欠損値の処理なども可能です。SASエンジニアは、これらの機能を駆使して、より高度なデータ分析やレポート作成を行うことが求められます。
統計解析・データ分析の知識
統計解析・データ分析は、ビジネスの意思決定をサポートするためのスキルで、SASエンジニアには、統計手法やデータから意義のある情報を引き出す仮説検証スキルなどが求められます。ただし、高度な数学的知識は必須ではありません。
データベースの知識
データベースの知識は、SASエンジニアにとって欠かせません。データベースは、SASが処理するデータを保管し、管理するための基盤です。そのため、エンジニアはデータベースの構造や運用、クエリの実行方法を理解していることが大切です。
SASエンジニアの気になる収入事情
SASエンジニアになった場合、どのような収入を得られるのでしょうか?
正社員、フリーランス、未経験の3つに分けて、それぞれの収入相場を紹介します。
正社員SASエンジニアの年収相場は平均590万円
「求人ボックス」のデータによると、SASエンジニアの平均年収は592万円です。同サイトではSAS関連でいくつかの職種の年収相場も確認できましたので、あわせて紹介します。
職種 | 平均年収 |
---|---|
SASエンジニア | 592万円 |
臨床試験 統計解析 SAS | 633万円 |
SAS データ解析 | 649万円 |
SASプログラミング | 673万円 |
上記より、SASを扱う職種の中でも、より高い専門スキルを持っているほうが高収入であることが見て取れます。
一般的なITエンジニアの平均年収がおよそ500万円なので、SASを扱うエンジニアは総じて高収入といえるでしょう。
続いて、同じデータ分析を扱うほかの言語・ソフトウェアエンジニアの年収相場の比較を見てみましょう。需要の違いを見るために、執筆時点の求人数も入れています。
言語/ソフトウェア | 平均年収 | 求人数 |
---|---|---|
SAS データ解析 | 649万円 | 936件 |
データ分析 Python | 678万円 | 12,137件 |
データ分析 R言語 | 695万円 | 11,980件 |
SPSS データ分析 | 698万円 | 579件 |
SASは、R言語やPython、SPSSと比べると30〜50万円ほど年収が低くなっています。より高年収を目指す場合には、これらの言語・ソフトウェアの習得も視野に入れると良いでしょう。
参考:求人ボックス(SASエンジニア)/ (SAS 臨床試験)/ (SAS データ解析)/ (SAS プログラミング)/ (ITエンジニア)/ (データ分析 Python)/ (データ分析 R言語)/ (SPSS データ分析)
フリーランスSASエンジニアの月収相場は平均69万円
「フリーランススタート」のデータによると、フリーランスのSASエンジニアの月収相場は平均69.1万円です。月収の幅は28万円〜180万円と大きく、スキルによって高い収入を得ることも可能です。なお、本データは求人数が200件台と少なく、その時々の求人状況により大きく変わる可能性があるため、参考程度とお考えください。
次に、同じデータ分析を扱うほかの言語・ソフトウェアエンジニアの年収相場との比較を見てみましょう。
言語/ソフトウェア | 平均年収 | 最低 | 最高 |
---|---|---|---|
SAS | 69.1万円 | 28万円 | 180万円 |
R言語 | 75.7万円 | 38万円 | 200万円 |
Python | 71.2万円 | 1万円 | 200万円 |
正社員と同じく、R言語やPythonのエンジニアと比べると平均月収、最高月収とも低くなっています。
参考:フリーランススタート(SAS)/ (R言語)/ (Python)
未経験のSASエンジニアの年収相場は350〜400万円程度
「フリーランススタート」のデータによると、フリーランスのSASエンジニアの実務経験年数ごとの月収相場は下記のとおりです。
経験年数 | 月収相場 | 年収換算 |
---|---|---|
1年未満 | 35万円 | 420万円 |
1〜2年 | 42万円 | 504万円 |
2〜3年 | 60万円 | 714万円 |
3〜5年 | 70万円 | 840万円 |
5年以上 | 84万円 | 1,008万円 |
上記データと正社員の年収分布から、未経験のSASエンジニアの年収相場は350万円〜400万円程度と推測されます。エンジニアの転職やフリーランスの市場では、実務実績でスキルを評価するのが一般的です。経験が浅い間は年収が高くありませんが、上の表を見て分かるとおり、フリーランスの場合3年以上経験を積むと平均年収が2倍にアップしていることがわかります。収入アップのためには、転職先や案件の発注元にアピールできる実績を積むことが大切です。
参考:フリーランススタート
SASエンジニアとしての収入水準を知るためには
ここまでは統計的な数値をもとに紹介しました。具体的に、自身の経歴を踏まえた収入の目安を知りたい場合には以下のようなサービスを利用してみましょう。
- 手軽に知りたい|市場価値診断サービス
- 詳しく知りたい|転職エージェント
それぞれ詳しく解説します。
手軽に知りたい|市場価値診断サービス
市場価値診断サービスは、ネット上で自身のスキルや経験に関するいくつかの質問に答えると、適正年収などを提示してくれるサービスです。会員登録すると、より詳しい分析や企業からのオファーを受けられます。主なサービスに「ミイダス」「geechs job」「duda」などがあります。
詳しく知りたい|転職エージェント
より正確な自身の市場価値を知りたい方は、転職エージェントに登録すると良いでしょう。自身の詳しい経歴や希望の職種、働き方などを伝えると、豊富な企業情報の中から最適な転職先を紹介してくれます。実際の求人情報を知ることで、正確な収入水準を知ることが可能です。
収入水準は、弊社サービス「エイジレスフリーランス」でもご相談いただけます。
エイジレスフリーランスは、年齢不問の求人のみを扱い、キャリアコンサルタントがひとりひとりの経験やスキルに合わせて企業・案件を紹介するサービスです。
SASエンジニアのキャリアを考える
SASエンジニアになった場合の働き方やキャリアアップの手段を紹介します。
SASエンジニアの多様な働き方
SASエンジニアとして働く場合、企業やビジネスのデータ分析や統計解析、データベース管理などの専門スキルを持っていることが求められます。
SASエンジニアのおもな雇用形態は下記のとおりです。
- 会社員エンジニア
- 派遣エンジニア
- フリーランス
それぞれの特徴を解説します。
会社員エンジニア
会社員エンジニアとして働く場合、SASエンジニアとしての専門スキルだけでなく、企業やビジネスに関する基礎知識やビジネスマナーなどが求められます。会社員エンジニアは、社内での教育制度やキャリアアップの機会があり、長期的なキャリア形成を図ることが可能です。
派遣エンジニア
派遣エンジニアとして働く場合、SASエンジニアとしての高い専門スキルが求められます。さまざまな企業のプロジェクトに参画できるため、フレキシブルな働き方やスキルアップの機会があることがメリットです。一方、常に異なるプロジェクトに参加するため、コミュニケーション能力やプロジェクトマネジメント能力も必要となる場合があります。
フリーランスエンジニア
フリーランスとして働く場合、SASエンジニアとしてのスキルだけでなく、営業力や契約の交渉能力、経理などのビジネススキルも求められます。また、自分自身が事業主となるため、自己責任が高く、自分自身でビジネスを展開していく力が必要です。
SASエンジニアとしてのスキルを活かして働く場合、雇用形態によって異なるメリットやデメリットがあります。自分のライフスタイルや働き方に合わせて、適切な雇用形態を選択することが重要です。
SASエンジニアがキャリアアップする手段
SASエンジニアがより市場から評価されるエンジニアとなるための方法を解説します。
- 資格を取得する
- 業務に関する知識を高める
- コミュニケーションスキルを磨く
資格を取得する
SASエンジニアとしての価値を高めるには、SAS社が主催する「SAS認定資格」の取得がおすすめです。資格取得に向けた勉強を通じて、身につけた知識を確認できます。また、SAS認定資格はSASエンジニアを求める企業に認知度が高く、高度な資格を持っていれば転職や案件獲得などで有利に働くでしょう。
SASではプログラミング、統計解析、データ管理、機械学習、ビジネス分析など多くの分野の資格試験を実施しています。自身の得意分野や目指したい分野の資格取得を目指すと良いでしょう。なお、日本語に対応している試験は一部のみですので、受験の際には注意しましょう。
業務に関する知識を高める
SASエンジニアとしてのキャリアアップには、単にSASのスキルを高めるだけでなく、自身が従事する業界や業務に関する知識を高めることも大切です。たとえば、金融関係の分析業務であれば、金融商品や金融市場の知識が該当します。また、製薬会社での勤務であれば、医薬品の開発プロセスや規制に関する知識を身につける必要があるでしょう。業務に関する知識を高めることで、単なるデータ処理の技術者に留まらず、ビジネス課題を解決できる価値の高いSASエンジニアになることが可能です。
コミュニケーションスキルを磨く
SASエンジニアとしてのキャリアアップには、優れたコミュニケーションスキルも欠かせません。SASエンジニアは多くの場合、開発者やデータサイエンティスト、ビジネス関係者など、さまざまなステークホルダーと協力してプロジェクトを進めます。プロジェクトの中心的な役割を担うには、それらステークホルダーに要件や分析結果などをわかりやすく伝えることが重要です。
また、英語などの語学力も必要になる場合があります。グローバルに展開する企業では、外国人ステークホルダーとのやりとりも発生するため、ビジネスレベルの英語力を持っていると有利な場面も多いでしょう。
未経験のSASエンジニアが技術を磨く方法
SASでの業務経験がないSASエンジニアが技術を身に着けるための、3つの方法を見てみましょう。
- SAS公式のチュートリアルやトレーニングコースで学ぶ
- SASを使ってみる
- 実務経験を積む
SAS公式のチュートリアルやトレーニングコースで学ぶ
SASの公式サイトには、初心者向けのチュートリアルから、高度なテクニックを学べるトレーニングコースまで、幅広い学習コンテンツが用意されています。SASの豊富なツールを初めて使う場合には、まずは公式サイトで基礎からしっかりと学習するのがおすすめです。なお、英語のコンテンツや学生のみ利用できるものも多いため、利用時には注意しましょう。
参考:SASチュートリアル
SASを使ってみる
SASの技術力を磨くには、知識の習得だけでなく実際にSASを使ってみることも重要です。SASでは「SAS OnDemand for Academics」という、学習目的で無償利用できるクラウド方式のSASソフトウェアが用意されています。「for Academics」と付いていますが、学生以外でも学習目的の個人であれば利用可能です。世界中の民間企業や研究機関で使用されている最新リリースを実際に使って、身につけた知識の確認や実践力の向上につなげましょう。
実務経験を積む
SASの知識や操作スキルを身につけたら、実務経験を積んでいきましょう。SASエンジニアの求人の中には、数は多くはありませんが、データベースの開発経験やほかの言語での開発経験があればSASでの実務経験は不問というものもあります。まずは、そのような未経験可の求人や案件を探して実務経験を積むのがおすすめです。実務を通してSASの活用スキルや統計解析、データ分析の専門知識を高めていけば、SASエンジニアとしてのキャリアアップが図れるでしょう。
SASエンジニアの転職ノウハウ
SASエンジニアは、JavaエンジニアやPythonエンジニアといった汎用性の高いプログラミング言語のエンジニアと異なり、SASを使った統計解析やデータ分析分野に特化した専門性の高いエンジニアです。SASエンジニアとして十分な実務実績がある場合には、それを転職希望先に十分アピールしましょう。
ここでは、SASエンジニアとしての実務実績がない、または浅い場合の転職のポイントを紹介します。
- エンジニアとしての実績を整理する
- 自身のスキルレベルにあった転職先からキャリアアップを目指す
- 転職エージェントを活用する
エンジニアとしての実績を整理する
エンジニアの転職市場では、実務実績が重視されます。まずは、転職希望先企業にアピールする材料を洗い出すため、エンジニアとしての実績を整理しましょう。過去に参画したプロジェクトの内容や規模、役割などの案件情報から、扱える言語、リーダー・マネジメント経験などのスキルまで、できるだけ詳細に整理することが重要です。求人によっては、SASエンジニアとしての実務経験がなくても、データベースの知識や、プロジェクトを率いた経験などがあれば評価してくれるケースもあります。企業が求める人材と自身の持つスキルを重ね合わせて、アピールできるポイントを探しましょう。
自身のスキルレベルにあった転職先からキャリアアップを目指す
SASエンジニアとしての実務経験のない状態からSASエンジニアへ転職する場合、まずは未経験可の求人から実務経験を積んでいくことが大切です。そこでSASエンジニアとしての実績を重ね、社内でキャリアアップを目指す道や、再度経験者向けの求人に挑戦して収入アップを図る道もあるでしょう。自身のスキルレベルを冷静に見つめ、着実に実務経験を積み重ねていくことが重要です。
転職エージェントを活用する
実際に転職活動を行う際には、転職エージェントを活用すると良いでしょう。転職エージェントは、転職のプロがカウンセリングや企業の紹介、転職にかかるさまざまな調整や手続きをサポートしてくれるサービスです。SASエンジニアのような専門性の高い職種でも、転職エージェントなら独自のコネクションで好条件の求人案件を持っている場合があります。求人サイトなどで一から探す場合と比べて、効率的に転職活動を進められ、より自身に適した企業に出会える可能性が高まります。
SASエンジニアの求人や案件
SASエンジニアは、どのような企業や開発プロジェクトで活躍しているのかを見てみましょう。
SASエンジニアを求める企業
SASは膨大なデータを使って統計解析やデータ分析を行う分野の企業で広く利用されています。SASエンジニアを求める、代表的な企業を3つ見てみましょう。
- 医療関連企業
- 金融機関
- データ分析企業
医療関連企業
SASの代表的な活用分野として挙げられるのが、医療分野です。医療分野では大量に発生するデータをSASで分析し、医療研究や新薬開発などに活用している企業が多くあります。たとえば、製薬会社での臨床試験データの分析や、医療機器メーカーでのデバイスの評価や分析などが挙げられます。医療業界のSASエンジニアには、SASの高い専門性に加えて、医療分野の知識も必要です。
金融機関
金融機関もSASの代表的な利用企業のひとつです。金融機関ではリスク管理、データマイニング、顧客分析などさまざまな業務でSASによるデータ分析が活用されています。たとえば、信用リスクや市場リスクの予測モデルの開発や、データウェアハウスに蓄積された膨大な取引履歴の解析、マーケティングキャンペーンの効果分析などが挙げられます。金融機関でSASエンジニアとして活躍するには、SASの活用スキルに加えて、金融商品の知識、リスク管理の知識、金融取引データの理解などが必要です。
データ分析企業
SASは、データ分析を専門とする企業でも広く利用されています。データ分析企業は、クライアントからのデータ分析依頼に対して、専門技術を活用して高度な分析を提供している企業です。たとえば、顧客データ分析、商品分析、顧客属性の分析、市場動向分析などを行います。データ分析企業の主な業務内容は、データの前処理やクレンジング、データ分析、分析結果の可視化、分析ツールの開発・運用などです。データ分析企業で働くSASエンジニアには、データ分析に関する幅広い専門知識が求められます。
SASが使われる開発プロジェクト
続いて、SASの公式サイトより、実際にSASが使われた3つのプロジェクト事例をピックアップして紹介します。
- 国立がん研究センター:最先端のがん治療研究
- りそな銀行:住宅ローンのリスク分析
- 村田製作所:生産現場における歩留り改善
国立がん研究センター:最先端のがん治療研究
国立がん研究センターは、日本のがん医療の拠点として最先端の研究をおこなっている機関です。同センターでは、SASを扱えるスタッフが集計したデータをモニタリングレポートに仕上げる際、従来は手作業が発生していました。この課題を解消するため導入されたのが、「SAS BI Server」「SAS Add-in for Microsoft Office」です。SASプロシジャを実行するだけで集計結果を導き、Excelシートへロードできるようになったことで、業務効率や作業の精度を大幅に向上させることに成功しました。
りそな銀行:住宅ローンのリスク分析
りそなグループの中核となる「りそな銀行」は、住宅ローンに強みを持つ大手銀行です。住宅ローンは長期間にわたる貸し出しであるため、その間に変化する顧客の状況を、データを用いて分析することが求められます。同行では、SASを用いて億単位のレコード数を持つビッグデータを高速に分析することで、顧客一人ひとりのリスク状況を高精度に把握し、リスクに見合った貸出金利の提案を実現しました。
村田製作所:生産現場における歩留り改善
村田製作所は、電子回路に欠かせないセラミックコンデンサーの製造で、世界トップシェアを誇る電子部品メーカーです。同社では、工場施設で計測・管理するセンサーデータを含めたビッグデータをより効率良く活用し、生産現場の歩留りを改善することが求められていました。そこで、分析を行う前のデータ準備作業を効率的にするため、「SAS Quality Lifecycle Analysis」が導入されました。結果、データを作り込む時間の大幅削減に成功し、業務や現場の知見を十分に取り込む分析に専念できるようになったのです。
参考:SAS「ユーザー事例」
SASエンジニアが業務委託案件を見つける方法
フリーランスのSASエンジニアが業務委託案件を見つける2つの方法を紹介します。
- 求人サイト
- フリーランスエージェント
求人サイト
求人サイトでは、正社員の求人だけでなくフリーランス向けの業務委託案件も探すことができます。多くの案件が掲載されているため、自身のスキルレベルや希望の働き方にあった案件を探すことが可能です。応募すると企業と直接やりとりができ、スキルや条件面で合意すれば業務委託契約を結べます。ただし、案件探しから応募、契約手続きまで自身で行わなくてはならないため、手間と時間がかかる点がデメリットです。
フリーランスエージェント
フリーランスエージェントは、登録した経験やスキル、希望条件などをもとに、企業からの案件を紹介してくれます。エージェントは案件探しだけでなく、契約手続きや条件交渉なども代行してくれるため、フリーランスは仕事に専念できる点がメリットです。一方、エージェントから紹介を受けた案件にはマージン(手数料)が発生しますが、手間と時間を節約できて、質の高い案件に出会えれば十分価値があるのではないでしょうか。
SASエンジニアの案件をお探しの方は、弊社の「エイジレスフリーランス」にご相談ください。
エイジレスフリーランスは、年齢不問の求人のみを扱い、キャリアコンサルタントがひとりひとりの経験やスキルに合った企業・案件を紹介します。
SASエンジニアの将来性
最後に、SASエンジニアの将来性について考えてみましょう。
結論としては、いま注目のビッグデータを活用した統計解析、データ分析の分野で活躍できるSASエンジニアの将来性は高いと見込まれます。
SASの公式サイトによると、2020年のフォーチュン500企業のうち91%がSASを使っているとされています。フォーチュン500とは、年に1回発表されるアメリカの総収入上位500社のランキングです。SASは名だたる大企業で利用されていることが信頼性の高さを表しているといえるでしょう。
また、同じく公式サイトには、アドバンスドアナリティクス市場でSASの市場シェアは30.8%を占め、競合他社の約2倍に達するとの記載もあります。IDCのレポートによると国内のアナリティクス市場は、2026年まで年平均20%ほどの成長率で伸びると予測されています。このような成長分野でトップシェアを握るSASは、将来においても高い需要が期待できるといえるでしょう。
参考:IDC「国内アナリティクス/AIプラットフォーム市場予測を発表」
ただし、データ分析や統計解析の分野ではSAS以外に、より汎用性の高いオープンソースのPythonやR言語が台頭してきているのも事実です。すぐにSASの現在のシェアが奪われる可能性は低いものの、将来的にSASを脅かす存在になる可能性は否定できません。現状に甘んじることなく、最新の技術動向にもアンテナを張ることが大切です。
今からSASエンジニアを目指すべき?
下記の点から、SASエンジニアへの転職や転向は将来性のある選択といえるでしょう。
- SASは統計解析・データ分析の分野でトップシェアを持ち、多くの企業で利用されている
- SASが得意とするアナリティクス市場は今後も高い成長率が見込まれる
- SASエンジニアの収入水準は一般のITエンジニアと比べて高い
市場価値の高いSASエンジニアになるには、SASを使った統計解析やデータ分析のスキルに加えて、携わる業界の業務知識やステークホルダーとのコミュニケーション能力、語学など高い専門性が求められます。常にスキルアップや技術・業界の最新動向のキャッチアップを忘れないようにしましょう。
まとめ
SASは、SAS Institute社が提供するデータ分析の分野で高いシェアを持つソフトウェア・言語です。正社員のSASエンジニアの平均年収はおよそ590万円と、一般のITエンジニアに比べて高収入が期待できます。
SASエンジニアは、SASの活用スキルに加えて、統計解析・データ分析の知識や携わる業界の業務知識などの高い専門性が求められる職種です。
ビッグデータ活用の広がりにより、アナリティクス分野は今後も高い成長性が見込まれています。統計解析やデータ分析に関する高い専門性を持つSASエンジニアへの需要も引き続き高いでしょう。
▼エンジニアに関連する記事はこちら
COBOLエンジニアを続けるべき?気になる将来性や年収相場を解説
古い言語の代名詞として使われることも多いCOBOL。 COBOLを採用するシステムが減っていく中で、将来に不安を抱えている現役C
PHPエンジニアを目指すIT経験者が知りたい年収や仕事内容を解説
PHPは、WEB開発の分野で人気の高い言語です。世の中の多くのWEBアプリケーション開発に利用され、開発や保守を担うPHPエンジニア
おすすめの転職エージェント
転職エージェントは大手1社と、特化型1~2社の活用がおすすめです!
- 大手:業界や職種にこだわらず自分に合った転職先を幅広く探る
- 特化型:希望する業界や職種への転職を専門的にサポートしてもらう
さまざまな転職エージェントがありますが、結論として以下から選んでおくと、希望に沿った求人を逃すリスクを軽減できるでしょう。
大手転職エージェント
≫リクルートエージェント
支援実績No1の総合型。年代や職種を問わずまず登録しておくべきエージェントです。
【公式】https://www.r-agent.com/
特化型エージェント
≫社内SE転職ナビ
社内SE特化。業界最大級の社内SE求人数を保有しています。
社内SEはホワイトな求人も多いためおすすめです。
【公式】https://se-navi.jp/
≫ウズカレIT
IT未経験からの転職に特化。就職/転職支援のみならずIT学習のサポートを無料で受けられます。
【公式】https://uzuz-college.jp/
≫エイジレスエージェント
年齢不問求人/ハイクラス転職に特化。SIer・コンサル・大手SESなどの求人を多数保有しています。
約80%が平均年収150万円アップの実績あり。
【公式】https://agent.ageless.co.jp