フリーランスと個人事業主はどう違う?税金の種類や節税について解説

※当サイトは人材関連サービスを展開する株式会社エイジレスが運営しています。本ページは自社および提携先のPRを含む場合があります。

フリーランスと個人事業主は厳密には同じ意味ではなく、フリーランスが税務署に開業届を出すと個人事業主となります。フリーランスは確定申告や納税などを自分で行わなければならないため、不安になる人も多いでしょう。 今回はフリーランスと個人事業主の違いや、フリーランスにかかる税金、節税のための青色申告について解説します。

フリーランスにおすすめの案件探し方法

フリーランスエージェントは、それぞれ保有している案件が異なるため、2〜3社に登録しておくと収入が途絶えるリスクを軽減できます。
迷った場合は、実績が豊富な『Tech Stock』や、年齢不問/ハイクラス案件特化の『エイジレスフリーランス』がおすすめです。

Tech Stock 
20年目の実績があるフリーランス案件紹介サイト。これまでに築いた信頼により月80万円をこえる高単価案件も多数あります。
スキルアップや税務関連のサポートなど、フリーランス向け福利厚生サービスも利用可能なため、まだどこにも登録していない人でも安心して利用できます。
【公式】https://tech-stock.com/

エイジレスフリーランス
年齢不問/上流商流のハイクラス案件に特化したエージェント。
SIer・コンサル・大手SESなどの案件を多数保有しており、ユーザーからの評判が良く誠実な対応も強みです。
【公式】https://freelance.ageless.co.jp/

  • 【この記事を読んでわかること】
  • フリーランスは会社に属さずに個人で仕事をする人
  • 個人事業主は開業届を出した人の税法上の呼び方
  • フリーランスにかかる最大の税金は所得税で、青色申告をすると節税につながる
  • 青色申告をするには開業届の提出が必要

フリーランスと個人事業主の違い

男性

最初に、フリーランスと個人事業主との違いと、フリーランス・個人事業主と自営業者の違いについて解説します。

フリーランスとは働き方の一種

フリーランスとは会社や団体に雇用されずに、独立した個人の立場で仕事を請け負う人を指します。フリーランスとは働き方の一種で、仕事内容にかかわらず案件ごとに契約を結ぶという働き方をします。

フリーランスとして思い浮かべることが多い職種にライターやエンジニア、デザイナーなどがありますが、会社と雇用契約を結んでいれば会社員です。仕事単位の請負契約を結ぶ人は、フリーランスに該当します。

個人事業主は税務上の区分

個人事業主とは税法上の区分で、税務署に開業届を提出して事業を行っている個人のことです。フリーランスが開業届を提出すれば、個人事業主となります。個人事業主の業種はさまざまで、飲食業・小売業・開業医・士業などがあります。

一般的に、店舗を持って事業を営む人や開業医・税理などの士業をフリーランスとは呼びません。そのため、個人事業主のすべてがフリーランスに該当するわけではありません。

自営業との違い

フリーランス・個人事業主と似た言葉に自営業があります。自営業は、雇用されずに自ら事業を営む人の総称です。必ずしも個人とは限らず、法人を設立して従業員を雇っていない「一人社長」なども自営業者に含まれます。

フリーランスにかかわる4つの税金

TAX

フリーランスなどの個人事業主が支払う税金には、次の4つがあります。

  1. 所得税
  2. 住民税
  3. 消費税
  4. 個人事業税

以下では、それぞれの内容について確認していきます。

1.所得税

所得税は、フリーランスなどの個人が得た所得に対して支払う国税です。所得は収入そのものとは異なり、収入からかかった経費を差し引いた「儲け」に相当する部分を意味します。

所得税は以下の表の通り、所得金額が多いほど税率が高くなる累進課税という仕組みです。また、すべての個人事業主が課税対象となります。個人事業主の場合、前年1年分の所得に対して翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行って納税します。

課税所得金額 税率 控除額
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

参考::国税庁「所得税の税率

2.住民税

住民税は地方自治体に納める地方税です。住民税には、都道府県に納付する「道府県民税(都民税)」と、市区町村に納付する「市町村民税(特別区民税)」の2種類があります。住民税は所得に対して課される「所得割」と、居住することについて課される「均等割」から構成されます。

住民税の標準税率は所得割が所得金額の10%(都道府県6%、市区町村4%)、均等割は5,000円です。条例により、独自の税率を定めている自治体もあります。

住民税は確定申告の内容によって各自治体が税額を計算し、納付書を送付します。納付書は6月上旬に届き、年4回の分割または一括払いで納付します。

3.消費税

消費税は消費全般に対して広く課される国税で、個人事業主は前々年の売上が1,000万円を超えた場合に課されます。開業から2年以内は消費税の納税義務が基本的にありませんが、特定期間と呼ばれる前年の1月1日から6月30日までの売上が1,000万円を超えた場合、その期間から課税事業者となり、納税義務が発生します。

消費税の申告・納付期限は、課税対象期間の翌年の3月31日です。

インボイス制度とは

2023年10月1日から、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が始まります。仕入れにかかった消費税を控除するには、適格請求書発行事業者が発行したインボイスの保存等が求められます。

消費税の免税事業者は適格請求書発行事業者として登録できないため、取引先は支払った消費税の仕入額控除ができません。そのため、取引先は、これまでより多く消費税を支払うことになります。

取引先が課税事業者である場合、フリーランスがインボイスを発行できなければ、取引の停止た条件の変更をされる可能性があります。フリーランス側は、課税事業者としてインボイスを発行できるようにするか、免税事業者のまま事業を継続するか、検討する必要があります。

4.個人事業税

個人事業税は、事業内容と所得に応じて課される都道府県税です。フリーランスの業種が個人事業税の法定業種に該当し、年間の事業所得が290万円を超えると課税されます。事業税の対象者には毎年8月頃に都道府県税事務所から納付書が届き、8月と11月の年2回に分けて納税します。なお、個人事業税は、経費として計上できます。

個人事業税の税率は業種・自治体によって異なります。以下は東京都の例です。

区分 事業の種類

第1種事業(37業種)

税率:5%

物品販売業・運送取扱業・料理店業・遊覧所業・保険業・船舶定係場業・飲食店業・商品取引業・金銭貸付業・倉庫業・周旋業・不動産売買業・物品貸付業・駐車場業 ・代理業・広告業・不動産貸付業・請負業・仲立業・興信所業・製造業・印刷業・問屋業・案内業・電気供給業・出版業・両替業・冠婚葬祭業・土石採取業・写真業・公衆浴場業(むし風呂等)・電気通信事業・席貸業・演劇興行業・運送業・旅館業・遊技場業

第2種事業(3業種)

税率:4%

畜産業・水産業・薪炭製造業

第3種事業(28業種)

税率:5%

医業・公証人業・設計監督者業・公衆浴場業(銭湯)・歯科医業・弁理士業・不動産鑑定業・歯科衛生士業・薬剤師業・税理士業・デザイン業・歯科技工士業・獣医業・公認会計士業・諸芸師匠業・測量士業・弁護士業・計理士業・理容業・土地家屋調査士業・司法書士業・社会保険労務士業・美容業・海事代理士業・行政書士業・コンサルタント業・クリーニング業・印刷製版業

第3種事業(2業種)

税率:3%

「あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業」・装蹄師業

参考::東京都主税局「個人事業税

フリーランスの節税対策

計算

売上からの手残りを少しでも多くするため、節税は非常に重要です。ここでは、フリーランスが支払う税金の多くを占める、所得税の節税について解説します。

1.経費や控除の有効活用

売上に対して差し引ける経費や控除が多いと、所得税の節税につながります。所得税は以下の計算式で求めます。

課税される所得金額=売上金額-必要経費-各種控除
所得税額=課税される所得金額×税率-課税控除額

課税される所得金額が少ないほど税率も低くなり、税額を抑えられます。まずは差し引ける経費や控除の漏れがないかを見直しましょう。

経費にできる支出

売上を上げるためにかかった以下のような費用は、経費として計上できます。

旅費交通費 電車代、タクシー代など
広告宣伝費 ネット広告代、チラシ作成費など
消耗品費 使用可能期間が1年未満か10万円未満のパソコンの購入費、事務用品費など
接待交際費 取引先との食事代、贈答品代など
水道光熱費 事務所の水道料金、電気代など
通信費 インターネット代、携帯電話代、切手代など
地代家賃 オフィスの賃料、駐車場代など
租税公課 固定資産税、自動車税など
給料賃金 従業員に支払う給与
福利厚生費 従業員の健康診断費用など
損害保険料 事業用の自動車の自動車保険、賠償責任保険の保険料など

自宅を事務所として使用している場合、家賃や水道光熱費、通信費、固定資産税なども、業務で使用した分については「家事按分」をすれば、経費にできます。自動車関連費用も、業務に使用した分は経費として計上できます。

経費にできる税金

経費にできる税金とは、「租税公課」として計上できます。経費にできる税金は事業にかかわる以下の種類に限られます。

  • 個人事業税
  • 消費税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 印紙税

など

所得控除

所得控除は、所得税の算出の際に所得から一定の金額を差し引くことです。所得控除には、次のような種類があります。要件に当てはまる場合は、申告時に適用します。

社会保険料控除 健康保険、国民年金、国民年金基金などの保険料の全額
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金の全額
生命保険料控除 民間の生命保険、介護医療保険、個人年金などの保険料の一定額
地震保険料控除 火災保険などに加入していて支払った地震保険料(5万円まで)
配偶者控除 同一生計の配偶者がいる場合、本人と配偶者の所得に応じて受けられる控除
基礎控除 年間所得2,500万円以下の全納税者に適用される控除
雑損控除 災害や盗難などで損害を受けた場合に一定金額が控除される
医療費控除 世帯で年間10万円以上の医療費がかかった場合に10万円を超えた部分の医療費を最高200万円まで控除
寄附金控除 「ふるさと納税」など自治体や国などに寄附をした場合に受けられる控除

税額控除

税額控除とは算出された所得税額から、一定の金額を控除するものです。住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は、税額控除に該当します。

税額控除は税額から直接差し引く分、所得控除よりも大きな節税効果を期待できます。

2.青色申告をする

フリーランスなど個人事業主の確定申告には、白色申告と青色申告の2種類あります。このうち青色申告は、最高65万円の青色申告特別控除が受けられます。白色申告で受けられるのは38万円(2020年分以降、所得2,400万円以下の場合は控除額48万円)の基礎控除のみですから、青色申告は節税効果が高いです。

青色申告のメリットについては、詳しく後述します。

3.短期前払費用の特例を活用

短期前払費用の特例とは、1年以内の前払費用について支払った事業年度での経費算入を認める特例です。通常、年払いなどで支払った費用はサービスを受ける期間のものとして計上するのがルールです。

例えば、2023年の9月から2024年の8月分として年払いした保険料などは、2023年の9月分から12月分までしか2023年の経費にできません。しかし、以下の要件を満たす場合、全額を当期の費用としての計上が可能です。

  • 継続的にサービスを受ける
  • 実際に料金を支払っていて、1年以内にサービスの提供を受ける
  • 今後も継続して前払をする
  • 商品の仕入や製造など売上に対応する費用ではない

青色申告と白色申告のメリット・デメリット

考える

フリーランスなど個人事業主は、青色申告か白色申告のどちらかの方法で確定申告を行わなければなりません。ここでは、それぞれの違いをメリット・デメリットから解説します。

青色申告のメリット

青色申告で適用要件を満たした人は、大きな税制優遇を受けられます。

最大65万円の青色申告特別控除

青色申告をすると、「青色申告特別控除」として10万円、55万円、65万円のいずれかの控除が受けられます。以下の条件を満たすと、65万円の特別控除が受けられます。

  • 複式簿記で記帳している
  • 申告書に貸借対照表と損益計算書を添付する
  • 申告書に控除適用金額を記載し、確定申告期限(3月15日)までに申告書を提出する
  • e-Taxもしくは電子帳簿保存を行って確定申告をする

最長3年の赤字の繰越

青色申告では事業の収支が赤字だった場合に、損失分を翌年以降3年にわたって繰越せます。繰越した年の利益(黒字)と過去の赤字を相殺して税負担を軽減できます。

家族への給与を経費にできる

青色申告では、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出し一定の要件を満たすと、家族への給与を経費に計上できます。

少額減価償却資産の特例が利用できる

青色申告では、購入した30万円未満の減価償却資産(パソコンなど)を一度に経費にできる特例があります。 減価償却とは、購入した固定資産の費用を耐用年数で分割して計上する会計のルールです。本来は10万円以上20万円未満の資産は3年で償却することになっています。

しかし、青色申告をする場合、30万円未満の資産であれば、全額その年の経費にできます。この特例を利用して、黒字の年に業務に使用するパソコンなどの30万年未満の資産を購入すると、節税につながります。

青色申告のデメリット

青色申告の選択を検討する場合、事前にデメリットも知っておきましょう。

申請書の提出が必要

青色申告をするには、青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。青色申告承認申請書を提出しなければ、白色申告を行うことになります。

複式簿記での記帳が必要

55万円または65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記で記帳する必要があります。会計ソフトを使ってこまめに記帳する習慣をつければ、簿記の知識が浅くても対応できることが多いです。

白色申告のメリット

白色申告では、事前に申請書類を提出する必要はありません。白色申告は決算書ではなく簡単な記帳による収支内訳書の提出で済むため、青色申告に比べて手間がかかりません。

白色申告のデメリット

白色申告では青色申告特別控除のような大きな所得控除がありません。また、年間の収支が赤字の場合でも青色申告のように繰越はできず、その年の所得がゼロになるだけです。

青色申告と開業届

書類

フリーランスが青色申告を行うには、税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出する必要があります。

青色申告と開業届の関係

青色申告をするには、開業届を提出しなければなりません。税法上の個人事業主は事業開始から1カ月以内に開業届を提出することになっていますが、提出しなくても罰則はありません。

しかし、青色申告のために青色申告承認申請書を提出するには、開業届の提出が前提となっています。開業届と青色申告承認申請書は同時に提出しても構いません。青色申告承認申請書の提出漏れを防ぐため、開業届と青色申告承認申請書を一緒に提出するとよいでしょう。

開業届を出さないとできない青色申告以外の手続き

青色申告のほか以下のような手続きをするには、開業届の提出が必要です。

  • 各種給付金申請
  • 小規模企業共済への加入
  • 屋号付き口座の開設
  • 法人用クレジットカードの作成

書類の提出方法

開業届と青色申告承認申請書の用紙は、税務署の窓口で受け取ることができます。また、国税庁のWEBサイトからダウンロードすることもできます。

青色申告承認申請書には簿記方式を選択する欄があります。55万円または65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記の選択が必要です。

開業届と青色申告承認申請書の提出方法は、税務署への持参、郵送、e-Taxの3通りです。

届出の期限

開業届は開業から1カ月以内に提出しなければなりませんが、開業日が提出日の1カ月以上前でも受け付けてもらえます。

青色申告承認申請書は青色申告しようとする年の3月15日までの提出が必要です。ただし、その年の1月16日以後に事業を開始する場合は、事業を始めてから2カ月以内に提出すればよいとされています。

2023年の1月1日に開業した人が3月15日までに開業届と青色申告承認申請書を提出すると、2023年分の申告を青色申告でできるようになります。開業日から届出までに2カ月以上空いてしまうとその年は青色申告ができない点に注意しましょう。

まとめ:フリーランスは青色申告で節税しよう

開業

青色申告は最高65万円の青色申告特別控除など、フリーランスにとって大きな節税メリットがあります。複式簿記による記帳が条件ではありますが、会計ソフトを利用すれば特に難しくはないでしょう。

事業開始のタイミングで開業届とともに青色申告承認申請書も提出しておくことをおすすめします。

▼関連する記事はこちら

フリーランスにおすすめの案件探し方法

フリーランスエージェントは、それぞれ保有している案件が異なるため、2〜3社に登録しておくと収入が途絶えるリスクを軽減できます。
迷った場合は、実績が豊富な『Tech Stock』や、年齢不問/ハイクラス案件特化の『エイジレスフリーランス』がおすすめです。

Tech Stock 
20年目の実績があるフリーランス案件紹介サイト。これまでに築いた信頼により月80万円をこえる高単価案件も多数あります。
スキルアップや税務関連のサポートなど、フリーランス向け福利厚生サービスも利用可能なため、まだどこにも登録していない人でも安心して利用できます。
【公式】https://tech-stock.com/

エイジレスフリーランス
年齢不問/上流商流のハイクラス案件に特化したエージェント。
SIer・コンサル・大手SESなどの案件を多数保有しており、ユーザーからの評判が良く誠実な対応も強みです。
【公式】https://freelance.ageless.co.jp/

アバター画像
執筆者
松田聡子
ファイナンシャルプランナー
明治大学法学部卒業後、証券システムのITエンジニア、国内生保の法人コンサルティング営業を経て2007年よりファイナンシャル・プランナーとして独立。コンサルティングのほか、主な活動は企業型確定拠出年金導入企業へのセミナー講師、マネーサイトへの執筆など。年金・資産運用・保険などに精通、iDeCoやNISAなどの制度を活用した人生100年時代の資産形成をアドバイスしている。