FIREとは?早期退職との違いと実現条件や注意点を解説
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大手企業で早期退職制度が実施される中、近年ではFIREという言葉を耳にする機会が増えています。FIREとは、経済的自立を実現して早期退職することです。早期退職の対象となる40〜50代の方の中には「自分もFIREできないか」と考える人も少なくないはずです。この記事では、FIREの概要や早期退職との違いなどを解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- FIREと早期退職の違い
- FIRE達成に必要な条件
- FIREのメリット・デメリット
- FIREの注意点
FIREとは
FIREとは、経済的に自立し早期退職するライフスタイルのことです。FIREとは「Financial Independence,Retire Early」の略称です。また、経済的自立(Financial Independence)と早期退職(Retire Early)を組み合わせた造語でもあります。
FIREでは投資の運用益で一定の収入を確保します。そして、毎月の給与を得なくても生活資金を補える状態を作った上で早期退職します。早期退職後は、趣味や旅行、ボランティア活動など、好きなことをして自由に生活するのがFIREの醍醐味です。
FIREの背景
FIRE発祥の地は、生活や働き方など個人の自由を重視するアメリカです。アメリカは元々投資をする人が多く、終身雇用制からの脱却が早かったため、新しい生活スタイルであるFIREが普及しやすかったという背景があります。
近年、日本企業でも早期退職制度を実施し、組織を改革する動きが見られるようになりました。日本でもメンバーシップ型からジョブ型への転換など企業のあり方や働き方が見直されると共に、FIREを検討する人が増えています。
FIREと早期退職との違い
FIREと早期退職の大きな違いは、退職するまでの資金の作り方と、老後の資金への考え方にあります。
早期退職の場合、退職後は貯蓄や退職金を切り崩しながら生活します。そのため、手元にまとまった資金が必要です。一方、FIREは、投資の運用益で生活資金を賄い、貯蓄や退職金、投資の元手などは減らさずに生活します。
FIREを実行する人の多くが、退職以前より始めた資産運用から得る収益によって生活費を補えるようになった段階で退職しています。確保すべき投資額は人によって異なりますが、ある程度の生活資金を確保できれば、誰でもFIREを実行できます。
早期退職後、貯蓄や退職金だけで生活資金を全て補うのは難しい場合がありますし、貯蓄や資金を切り崩しながら生活することに不安を覚える人は少なくありません。一方、FIREでは、適度に節約しながら投資で得た利益を生活費に充てます。そのため、高所得者でなくてもFIREを実現できる可能性が高いです。
FIREの実現に必要な条件
FIREを達成するには、投資で一定の利益を得る必要があります。投資で利益を得るには、元手となる資金と運用益が重要です。この項目では、FIRE達成に必要な資金や利率について解説します。
必要な資金は年間支出の25倍
FIREを実現するには、年間支出のおよそ25倍の資金が必要だといわれています。毎月の家のローンや家賃、光熱費、食費などを含む生活費が20万円の場合、6,000万円(年間240万円×25倍)あればFIREを達成できます。
これは、アメリカの大学の資産運用に関する研究結果「4%ルール」に基づいた算出方法です。
4%ルールとは
4%ルールとは、年間生活費の25年分の資産を年4%の運用益が出るように運用し続け、FIRE達成後の生活費をこの運用益で回すという考え方です。年間支出25倍の資金を4%で運用した場合、運用益だけで生活費が補えます。6,000万円の資金を年4%で運用すれば、1年間に必要な生活費=240万円の資金を生み出せます。
ただし、4%はあくまで目安です。当然ながら、資金は多いに越したことはありません。山口大学の研究によると、4%という数値は、過去のアメリカの恵まれた投資環境から生み出されたものであるため、日本を含む他国に必ずしも当てはまらないとしています。
年利4%で運用した場合のFIREに必要な資産額を、次の表にまとめています。
月の支出 | 年間の支出 | FIREに必要な資産額 |
10万円 | 120万円 | 3,000万円 |
15万円 | 180万円 | 4,500万円 |
20万円 | 240万円 | 6,000万円 |
25万円 | 300万円 | 7,500万円 |
30万円 | 360万円 | 9,000万円 |
35万円 | 420万円 | 10,500万円 |
40万円 | 480万円 | 12,000万円 |
FIREの実現のためにすべきこと
FIREを実現するためには、まとまった資金が必要です。この項目では、FIREの実現に向けた資金構築をするのに重要なポイントを2つ、紹介します。
収入や支出を把握する
FIREを目指すなら、まず、毎月の収入や支出を把握することが重要です。必要な生活資金がわかれば、余剰分を投資に回せます。
総務省統計局の2022年10月分の家計調査によると、二人以上世帯の消費支出は1世帯当たり298,006円、実収入は1世帯当たり568,282円となりました。
参考:月次結果(概要及び統計表)(PDF:197KB):総務省統計局
数ヶ月〜1年間などの一定期間、家計簿をつければ月々の収支がわかり、効率的な資金運用ができるようになります。家計管理アプリなどを使用すると毎月の生活費が把握しやすくなるため、無駄な支出を減らすにのにもおすすめです。
実際にFIREを想定した生活を送り、家計簿をつけると、退職後のリアルな生活費を把握できます。また、退職後は、社会保険料や健康保険料などが変わります。その点も踏まえて計算しましょう。
資産形成をする
把握した収支を基に計画的な資産形成を始めます。貯金のみで資産を増やしていくのは難しいため、リスクを考慮した上で投資を検討しましょう。
つみたてNISAやiDeCo、不動産投資信託(REIT)など、近年ではさまざまな投資方法があります。いずれも、スマホやパソコン、タブレットで手軽に取引できて便利です。他にもさまざまな投資方法がありますが、リスクを伴うこともあるため、注意が必要です。
厚生労働省は、副業や兼業を第2の人生の準備として有効とすると共に、希望する働き方を選べる必要性を掲げて促進しています。
参考:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」パンフレット(令和3年10月3日改定版):厚生労働省
本業の収入だけでは投資に回す資金が少ない場合、副業や兼業によって収入を増やせればFIREの実現の近道になります。
FIREを実現するメリット3つ
FIREの実現によって次の3つのメリットが得られます。
- 場所にとらわれずに生活できる
- セカンドライフが楽しめる
- 金融知識が身につく
それぞれについて紹介します。
1.場所にとらわれずに生活できる
FIREが実現できれば、好きな場所で生活できます。資産の運用益で生活できるため、一定の企業に務めて通勤しなくても済むからです。首都圏のような物価が高い地域から引っ越し、豊かな自然が溢れるローカルでの暮らしや、憧れの海外生活も実現できます。
企業に勤めている間は通勤しなければならない場合もあるため、居住する場所が限定されます。近年、リモートワークが浸透しつつありますが、職種によっては住む場所が制限されます。
FIRE実現後は好きな地域に住み、理想の生活を送りましょう。
2.セカンドライフを楽しめる
FIRE実現後は、趣味や旅行など、今まで自分がやりたかったことをしながら生活できます。在職中にはできなかったゴルフやテニスなどのスポーツ、キャンプや釣りなどのアウトドア、国内外の旅行など、時間に余裕ができることで、理想の生活に近づけます。
生活のために仕事をしていた場合、FIREの実現によってストレスから解放されるのも魅力です。一方、仕事が好きな人ならば、培ったノウハウや人脈を活かし、FIRE実現後に起業するのも良いでしょう。
このように、早期にリタイアできれば、セカンドライフの選択肢も広がります。
3.金融の知識が身に付く
FIREを実現する過程で、金融知識が身につきます。FIREを実現するには家計の見直しや調整、NISAやiDeCoなどによる投資を行う必要があります。金融知識は、FIRE後の資金管理にも非常に重要です。
FIREが実現できなかったとしても、身につけた金融知識は無駄になりません。金融知識があれば、無駄な支出の削減や効率的な資産運用ができ、豊かな暮らしをするのに役立ちます。
FIREのデメリット3つ
FIREにはデメリットもあります。デメリットを十分に把握した上で、FIREを目指すかどうか検討しましょう。この項目では、以下のデメリットを解説します。
- 安定した収入がなくなる
- 退職金が満額でもらえない可能性がある
- 年金の受給額が減る可能性がある
安定した収入がなくなる
FIRE後は勤め先からの給与を得られなくなるため、安定した収入がなくなります。ウイルスによるパンデミックや地政学的なリスクによって経済状況が悪くなれば、資産運用も難しくなります。収入は資金の運用益がメインになるため、安定した収入を得られる確実な保証はありません。
企業に勤めている時は、日々の仕事に時間を取られる代わりに安定した収入を得られました。FIREの実現後は会社員の頃のような安定した収入を得られません。投資のリスクなどを考慮して、FIREを実行するかどうかを検討しましょう。
退職金が満額でもらえない可能性がある
FIREを実行する場合、退職金を満額でもらえない可能性があります。
退職金の計算方法は各企業が採用する退職金制度によって異なりますが、一般的には、勤務年数や役職、基本給を基準に算出します。そのため、早く退職するほど退職金が少なくなる可能性が高いです。
ただし、そもそもすべての企業が退職金制度を導入しているわけではありません。また、退職金制度があっても、勤務年数や役職、基本給に関係なく、会社への貢献度合いを評価して退職金の金額を決定する企業もあります。
満額あるいは通常よりも多くの退職金をもらいたければ、企業の希望退職制度や早期退職制度の利用を検討すべきでしょう。希望退職や早期退職では、退職金が割り増しされる場合があります。
年金の受給額が減る可能性がある
FIREの実行が早くなるほど、年金の受給額が減る可能性があります。厚生年金は、在職時の給与や加入期間によって受給額が変わるからです。早期退職すれば厚生年金への加入期間が短くなり、納付額の減少に比例して、年金の受給額も減ります。
退職後、再就職しなければ、構成年金の加入期間が短くなる分、年金の受給額も減少します。受け取れる年金が減少する分を見越して、FIRE後の収入を算出しましょう。
資金計画に不安ならFPへ相談を
資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。
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FIREの3つの注意点
FIREを実行する前に、次の3つの注意点を把握しておきましょう。
- 年4%の運用益が出るようで資金運用できるとは限らない
- イレギュラーな出費
- 再就職しづらくなる
1.年4%の運用益が出るよう資金運用できるとは限らない
そもそも投資にはリスクが伴います。場合によっては年4%の運用益が出るように資金を運用できない場合もあります。年4%という数字は、過去のアメリカの状況から算出された数値で、日本の現状に合わない可能性があるからです。
投資によって年4%の運用益を出すのが前提となるFIREは、金融知識や運用経験が必要です。知識や経験がなければ、経済状況の悪化などに対応できず、資金を減少させてしまう可能性もあります。
投資で安定した利益を出し続けなければ、退職後に安心して生活を送るのは難しいでしょう。FIREを実現する前に確かな金融知識を身につけることが必要です。
2.イレギュラーな出費
FIRE達成後、生活費以外の予期せぬ出費が発生する可能性があります。事故や病気、介護、天災などによる予期せぬ出費があれば、生活資金が足りなくなるためです。
令和3年に統計局が実施した家計調査によると、生活費にかかる支出は、食料費、その他の消費支出、交際費、交通・通信費(自動車のガソリン代や携帯電話代など)の順で多いことがわかりました。1世帯当たり1ヵ月間の支出合計金額は、231,485円です。用途別支出金額は次の表にまとめています。
用途 | 金額 |
食料 | 62,531円 |
その他の支出 | 44,183円 |
交通・通信 | 32,309円 |
教養娯楽 | 21,899円 |
住居 | 19,668円 |
高熱・水道 | 17,930円 |
保険医療 | 11,896円 |
家具・火事用品 | 9,720円 |
教育 | 7,690円 |
被服および履物 | 7,255円 |
支出合計 | 231,485円 |
収支計画を立てる段階で、将来に渡り予期せぬ出費があることを想定し、その分の資金も準備しておきましょう。
3.再就職しづらくなる
早期にリタイアすると再就職しづらくなります。ブランクがある人材を、即戦力として評価しない企業もあるからです。
仕事から遠ざかっている時間が長くなるほど本来の能力が発揮できない可能性があります。特に50代以降の場合、企業に即戦力として貢献できる資格やスキル、経験がなければ、再就職は難しいでしょう。
中途社員の募集をする場合、企業が求めるのは即戦力になる人材です。そのため、FIRE実行後も自分のスキルを磨き続けておきましょう。
資産を形成するおすすめの方法3つ
資産形成する方法はさまざまです。この項目では数多くある資産形成方法の中から、代表的かつ毎月の積立による堅実な投資方法を3つ、紹介します。
- つみたてNISA
- iDeCo
- 不動産投資信託(REIT)
1.積立NISA
つみたてNISAは、長期的な資産形成を行いたい投資の未経験者や初心者をサポートする目的で開始した制度です。
少額から投資でき、年間40万円までの投資の場合、分配金や譲渡益に課税されないのがメリットです。最長で20年間運用できるため、毎月コツコツ資産形成したい人に向いています。ただし、投資できるのは限られた投資信託のみのため、自分で自由に商品を選びたい人には不向きです。
投資の初心者の場合、まずはつみたてNISAから投資を始めて、慣れた後、別の商品を購入するのも良いでしょう。FIREを目指すなら、できるだけ早い時期から積み立てを始めるといいでしょう。
2.iDeCo
iDeCoとは、私的年金制度の1つです。任意で加入し、掛金の拠出や運用の全てを自分で行います。掛金は全額所得控除されます。また、運用益は非課税のため、効率よく資産形成できます
国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に年金の給付を受けられます。公的年金との違いは、掛金とその運用益との合計額を基に給付を受け取れる点にあります。運用できるのは20〜65歳までです。
iDeCoは、60歳になった時点から受け取れます。受け取れるのは、掛金の合計額と運用益を合わせた金額です。一時払いと年金、年金と一時金の組み合わせの3つの受け取り方法から選択できます。一時払いの場合は積立金額と運用益を一括で、年金の場合は定期的に受け取ります。併給の場合は、一部を一時金で残りを年金で受け取ります。
ただし、基本的に60歳になるまで資金を引き出せません。資金に余裕のない人には不向きです。
iDeCoもつみたてNISAも、コツコツと資産を形成したい人に向いています。そのため、資金に余裕があればつみたてNISAと併せて購入を検討しましょう。
3.不動産投資信託REIT(リート)
不動産投資信託と呼ばれるREIT(リート)は、投資家から集めた資金を不動産投資の専門家が運用して得た利益を分配する金融商品です。投資の対象となるのは、商業施設やマンションなどの不動産です。賃貸料として得る収入や売買益などを運用益とします。
実際に不動産を購入し、売買するのには、資金はもちろん、不動産に関する知識や経験も必要です。REITは、不動産投資のプロの運用の元、間接的に不動産のオーナーになり成果を享受できるため、現物の不動産投資より低リスクかつ少額で投資できるというメリットがあります。利回りや換金率も比較的高いとされる投資法です。
比較的高い利回りの安定した収益を得られるため、FIRE後の投資にも向いています。
FIREの実現が難しい場合は「サイドFIRE」を検討しよう
デメリットや注意点を把握した上でFIREの実現が困難な場合、サイドFIREも視野にいれましょう。
サイドFIREとは、資産運用で得た利益と労働収入を併せて生活する暮らし方です。フルタイムで働くのではなく、それぞれの生活に合わせて時間に余裕を持って働き副収入を得ます。副業で一定の収入が見込めるなら、支出額の25倍の資金を準備せずともサイドFIREは可能です。
月5万円の安定収入があれば、FIRE後の資金が6000万円必要な人も4500万円まで抑えられます。完全なFIREは困難でもサイドFIREは実行できる可能性があります。
早期に資産形成してFIREを実現しよう
FIREが実現できれば、場所にとらわれず理想のセカンドライフが過ごせます。早期退職後、資産を削りながらの生活に不安を覚える人は、FIREを実現するために早いうちから資産形成に取り組みましょう。FIREが難しい場合は、サイドFIREがおすすめです。
サイドFIREを目指すにあたり、自身の余裕のある範囲で働きたい、またはこれまでの経験やスキルを活かしながら働きたい場合は株式会社エイジレスにご相談ください。
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