定年退職後、失業保険を受給しながら扶養に入れるのかを解説

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近年、定年退職後も働く高齢者が増加しつつあります。
そこで、定年退職後は失業保険が受けられるのか、また失業保険を受けながら家族の扶養に入れるのかを気にしている人は多いでしょう。

失業保険や扶養は手続きが必要であるため、あらかじめ仕組みを理解することが大切です。本記事では、定年退職後の失業保険と扶養について詳しく解説します。

失業保険や退職金、年金など定年前後のお金の仕組みは複雑です。
一人ひとりの価値観や状況によって最適な受け取り方法は変わるため、個人の判断で進めると節税に失敗し大損しかねません。

そのため、お金を損しないポイントはおさえておきつつ、実際に退職するタイミングが近づいたら専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 定年退職後でも失業保険が受給できる
  • 失業保険を受給しながら扶養に入るには条件がある
  • 定年退職後、失業保険受給と扶養どちらが得かは人によって異なる
  • 扶養に入らず失業保険を受給する場合は加入できる健康保険が選択できる

【定年退職後】失業保険受給中でも扶養に入ることができる

【定年退職後】失業保険受給中でも扶養に入ることができる

定年退職後に失業保険を受給していても、扶養に入ることが可能です。まずは、定年退職後に扶養に入るための条件を確認します。

定年退職後に扶養に入るための条件

扶養には「税制上」と「社会保険上」の2種類があります。税制上の扶養とは所得税の控除であり、社会保険上の扶養とは社会保険料の免除です。さらに詳しくいえば、税制上の扶養に入れば配偶者控除や配偶者特別控除などの所得控除が適用され、納税者自身の所得税や住民税が免除されます。一方、社会保険上の扶養に入ることで、年金保険料や健康保険料といった社会保険料が免除されます。
各種扶養に入るには、下記条件を満たすことが必要です。

【税制上】扶養に入る条件【税制上】扶養に入る条件 【社会保険上】扶養に入る条件
  • 配偶者か6親等内の親族・3親等内の姻族である
  • 納税者と同一の生計
  • 所得合計が年間48万円以下(給与所得のみの場合は年間103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与支払いを受けていない、白色申告者の事専従者でない(自営業でない)
  • 被保険者と同一の生計である直系尊属、配偶者(事実婚含む)、子、孫、兄弟姉妹である
  • 所得合計が年間130万円未満かつ被保険者の年間収入の1/2である

条件を満たせば失業保険を受給しても扶養に入れる

失業保険を受給中でも、条件を満たせば扶養に入ることができます。条件は、扶養者との関係性とご自身の年間所得です。基本的には生計をともにしている配偶者または子どもであり、年間所得103万円以下であれば税制上と社会保険上両方の扶養に入れます。ただし、社会保険上の扶養はご自身の年間所得条件をクリアしていても、被保険者の年間週の2分の1に満たない場合は扶養に入れません。
また、失業保険受給中の収入は基本的に失業手当のみとなるため、所得は失業手当の年間受給額に値します。

高年齢求職者給付金を受給する場合の扶養について

失業保険の一種に、高年齢求職者給付金があります。高年齢求職者給付金を受給中、あるいは受給予定の方は、基本的に扶養に入ることが可能です。というのも、高年齢求職者給付金は健康保険組合によっては退職金扱いにされるケースがあるからです。この場合、扶養に入る条件の収入に含まれないため、収入条件の壁にぶつかりません。そのため、失業保険ではなく高年齢求職者給付金を受給する人は、扶養に入ることでメリットが大きいといえます。

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定年退職後、失業保険受給中は扶養に入れないケースもある

定年退職後、失業保険受給中は扶養に入れないケースもある

定年退職し、失業保険を受給しても条件を満たせば扶養に入れることは上記で説明しましたが、扶養に入れないケースもあるため要注意です。

失業保険受給中は社会保険上の扶養に入れない可能性がある

失業保険受給中、社会保険上の扶養に入れない可能性があります。社会保険上の扶養では失業保険で支給される手当が収入扱いとなるため、年間支給額が130万円以上になると扶養に入れません。
失業保険の日額で支給されるため、年間130万円以上となるのは基本手当日額3,612円以上、65歳以上で5,000円以上です。
ハローワークの雇用保険受給資格証に基本日額手当が記載されているため、扶養に入ることを検討している人はまず失業保険の基本日額手当を確認しましょう。

失業保険を受給するまでは扶養に入ることが可能

失業保険により年間収入が130万円以上が確定していても、失業保険を受給するまでの期間だけ扶養に入ることが可能です。なぜなら、失業保険の受給開始までは無収入となるからです。
失業保険の手当は自己都合退職で7日+2ヶ月、会社都合退職では7日後に支給が開始されます。しかし、支給開始後すぐに手元に入るわけではなく、会社都合退職で約1ヶ月後に口座に振り込まれます。定年退職は会社都合退職となるため、およそ1ヶ月間は扶養に入ることが可能です。

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【3つの選択肢】失業保険受給と扶養のメリット・デメリット

【3つの選択肢】失業保険受給と扶養のメリット・デメリット

定年退職後は、下記3つの選択肢があります。

  1. 失業保険を受給しながら扶養に入る
  2. 失業保険受給まで扶養に入る
  3. 失業保険を受給せずに扶養に入る

ここでは、各選択肢のメリット・デメリットを解説します。

①失業保険を受給しながら扶養に入る

メリット デメリット
  • 税金、社会保険料の負担がない
  • ハローワークでの求職活動が必要

失業保険の手当額などが扶養に入る条件をクリアしていれば、失業保険を受給しながら扶養に入れます。年間収入は失業手当分のみで年間130万円以下となりますが、国民年金保険料や国民健康保険料の負担がない点が最大のメリットです。ただし、失業保険受給中はハローワークで求職活動しなければならないため、ハローワークに通うというのがデメリットと感じる人もいます。しかし、頻繁に通うわけではないため、扶養に入るメリットの方が大きいでしょう。

②失業保険受給まで扶養に入る

メリット デメリット
  • 失業保険を受給するまでの間は税金、社会保険料の負担がない
  • 手続きが面倒

失業保険受給後は扶養に入れなくとも、受給開始まで入ることでその間の社会保険料の負担がなくなります。一方、定年退職後に扶養に入るための手続きや、失業保険の受給開始後に扶養を外れる手続きが必要となる点は少し手間がかかります。たとえば1ヶ月で手当の支給が開始した場合は、すぐに扶養を外す手続きをしなくてはなりません。また、失業保険の受給期間が終了し、再度扶養に入る場合もまた手続きが発生します。受給開始まで期間が空く場合は、扶養に入った方がお得です。

③失業保険を受給せず扶養に入る

メリット デメリット
  • 税金、社会保険料の負担がない
  • 失業保険が受け取れない
  • 働く場合は収入を調整する必要がある

定年退職後、すぐに扶養に入ることで退職後から社会保険料の負担がなくなります。失業保険の手当額が年間130万円以下であれば失業保険を受給しながら扶養に入れますが、130万円を超える人が扶養に入る場合は失業保険の受給ができません。また、扶養に入って年金を受給しながら働く場合は、扶養から外れないよう収入を調整する必要があります。

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定年退職後、失業保険の受給と扶養どちらが良いか

定年退職後、失業保険の受給と扶養どちらが良いか

定年退職し失業保険の受給を予定している人のなかには、扶養条件である年間所得130万円をわずかに超えてしまうといった状況の人もいるでしょう。この場合、失業保険を受給するか、扶養に入るかのどちらかを選択しなければなりません。この場合、どちらを選ぶべきでしょうか。

失業保険の受給がおすすめな人

失業保険の手当額が、扶養に入った場合に免除される社会保険料額を大きく上回る人は失業手当の受給がおすすめです。ここでは、失業保険の基本手当日額3,700円の場合で考えてみます。
失業保険の基本手当日額3,700円となる場合、退職前の賃金日額はおよそ4,600円と計算できます。(給付率80% と考えて3,700円÷0.8=4,625) およそ4,600円、30日間で考えた月収はおよそ38,000円、年収はおよそ1,656,000円です。

次に、この収入で扶養に入った場合に免除される国民年金保険料と国民健康保険料を算出します。2022年の国民年金保険料は月額​​16,590円、国民健康保険料は前年の所得で計算されます。新宿区の国民健康保険料 概算見表から算出した年収1,656,000円の保険料は、介護分あり40〜64歳区分で12,592円です。扶養に入ることで免除される社会保険料はおよそ29,182円と考えられます。

一方、失業保険で支給される1ヶ月分の手当は3,700円×30日間でおよそ111,0000円です。支払うべき社会保険料を差し引いても、手元に残るのは81,818円。扶養に入って得られるメリット額が29,182円と考えると、失業保険を受給した方がメリットが大きいといえます。

参考:厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」

参考:東京都新宿区「令和3年度 国民健康保険料 概算早見表(給与・年金)」

扶養に入るのがおすすめな人

定年退職後、65歳から年金が受給できます。定年後は休養したい、特別働く意思はないなどする年金収入が年間130万円以下の人は、失業保険を受給せずに扶養に入ることがおすすめです。失業保険は給付期間が決まっているものであり、受給中は認定のためにハローワークに出向く必要があります。

一方、年金は生きている限り継続的に受給でき、かつハローワークに行く必要もありません。そして扶養に入れば社会保険料が免除されるため、差し引かれるものなくそのまま年金が受け取れます。たとえば、年金収入が年間120万円の場合、月10万が手元に入るということです。
扶養に入らず失業保険を受給した方が金額的にメリットがあっても、失業保険は最低90日間、最大150日間のみ受け取れるものです。もちろんその間だけ失業保険を受給するのも良いですが、扶養に入らずに受け取る失業保険の手当額よりも、扶養に入って受け取る年金収入の方が上回るのであれば失業保険を受給せずに扶養に入るメリットの方が大きいでしょう。

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定年退職後、扶養に入らず失業保険を受給する場合の健康保険の選択肢

定年退職後、扶養に入らず失業保険を受給する場合の健康保険の選択肢

失業保険を受給することで扶養に入らない場合は、ご自身で国民健康保険に加入する必要があります。基本的に健康保険は、会社員以外が加入する「国民健康保険」か退職した会社の社会保険を引き継ぐ「任意継続」のどちらかです。どちらにもメリット・デメリットがあるため、ポイントを押さえた上で選択しましょう。

国民健康保険は高額になる可能性がある

国民健康保険料は前年度の収入で計算されるため、収入が高いほど高額になります。退職して無職状態になっても、高額な国民健康保険料を支払わなければならない点はかなりのデメリットです。ただし、高額なのはその1年間だけとなるため、当年の収入が低くなれば翌年度の保険料はそれだけ下がります。
また国民健康保険料には上限があり、令和4年度の上限は「基礎分65万」「後期高齢者支援分20万円」「介護納付分17万円」を合わせた年102万円です。どんなに収入が多かったとしてもそれ以上にはならないため、1年間分の支払い能力があれば問題ないでしょう。

前年度の収入が高い人は任意継続がおすすめ

退職した会社で加入していた社会保険を引き継ぐ任意継続は、退職後20日以内に手続きすることで有効になります。任意継続のデメリットは、保険料が在職中のように会社とは折半にはならない点です。しかし保険料の上限が決まっているため、前年度の収入が高い人は国民健康保険よりもお得になるケースがあります。また、福利厚生サービスや介護給付、人間ドックの補助などがついてくるなどのメリットも受けられます。さらに、任意継続中も家族を扶養に入れることも可能です。
一方、任意継続は加入したら2年固定で途中解約できません。反対に、最長でも2年しか加入できない保険といえます。

特例退職被保険者制度の活用もあり

特例退職被保険者制度とは、定年退職して厚生年金などを受けている人が後期高齢者医療制度に加入する75歳まで、会社員時代と同じ健康保険が継続できる制度です。
利用条件は健康保険組合によって異なり、下記は一例です。

  • 当健康保険組合の被保険者であった期間が20年以上もしくは40歳以降に10年以上あること。
    ※任意継続被保険者の期間は含まれません。
  • 老齢厚生年金の年金請求の手続きを行い、受給権を有する方。
  • 後期高齢者医療制度の適用を受けていない方。
  • 日本国内に住民登録している方。

参考:SMBC日興証券グループ健康保険組合「特例退職被保険者(特退)のご案内」

75歳まで退職前とほぼ同じ保険料で同じ待遇が受けられ、かつ家族も扶養に入れられる点がメリットです。しかし、特例退職被保険者制度が利用できる健康保険組合は少なく、必ずしも利用できるとは限らない点がデメリットです。

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定年退職後、条件を満たせば失業保険を受給しつつ扶養に入れる

定年退職後、条件を満たせば失業保険を受給しつつ扶養に入れる

条件を満たせば、定年退職後に失業保険を受給しながら扶養に入ることが可能です。しかし、国民年金保険料や国民健康保険料が免除される社会保険上の扶養は、失業保険の基本手当日額3,612円以上になると年間収入130万円以上の扱いとなるため扶養に入れません。そのためわずかにでも年間130万円を超えてしまう人は、失業保険か扶養のどちらかを選択する必要があります。その場合は年金収入や扶養に入ることで免除される社会保険料などを加味して、メリットの大きい方を選びましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。