定年退職の失業保険 支給額の計算方法を詳しく解説

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「定年退職を控えてるけど、失業保険の金額はいくらもらえるのか」
「失業保険の計算方法は難しそう」
そう考えている人も、多いのではないでしょうか。

定年退職後の失業保険は、65歳未満と65歳以上で制度が変わります。
この記事では、65歳未満と65歳以上に分けて失業保険の計算方法をわかりやすく、具体例を挙げて解説していきます。

失業保険や退職金、確定拠出年金など、定年前後のお金の仕組みは複雑です。
一人ひとりの状況によって最適な節税方法は変わるため、個人の判断で進めると大損しかねません。

そのため、お金を損しないポイントはおさえておきつつ、実際に退職するタイミングが近づいたら専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 定年退職は基本的に自己都合退社になり、65歳未満は給付日数の90日・120日・150日にあてはめて計算する
  • 65歳以上は高年齢求職者給付金の計算方法となり、給付日数は30日・50日にあてはめて計算する

定年退職後の失業保険の計算方法とは?【65歳未満と65歳以上の違い】

定年退職の失業保険 支給額の計算方法を詳しく解説

失業保険は65歳未満と65歳以上では、受給金額と制度が変わります。

  • 65歳未満は失業保険の基本手当
  • 65歳以上は高年齢求職者給付金

上記のように65歳を境に、もらえる制度が異なります。

雇用保険(失業保険)では、誕生日の前日に歳を取ります。そのため、65歳未満とは65歳になる誕生日の前々日までに退職した人が利用対象です。
受給金額は、雇用保険に加入していた期間などによって異なりますが、失業手当の基本手当の方が多くなります。

失業保険の基本手当と高年齢求職者給付金では、お金の受け取り方や計算方法が異なるためそれぞれ解説していきます。

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【65歳未満】基本手当が支給される失業保険の計算方法

定年退職の失業保険 支給額の計算方法を詳しく解説

65歳未満の人は、失業保険の基本手当を受け取れます。基本手当の対象者は、以下のとおりです。

  • 雇用保険の被保険者期間が過去2年間で12ヶ月以上あること
  • 就職する意思と就職できる能力があり、仕事を探しているにもかかわらず、就職が困難であること

基本手当の待機期間

ハローワークで失業保険の手続きを済ませたあとは、7日間の待機期間に入ります。

待機期間は失業保険が支給されない期間となりますが、アルバイトなどの収入を得ることは禁止されているため、期間中は無収入で過ごさなくてはなりません。

ただし、7日間の待機期間経過後は、週20時間未満の範囲でパートやアルバイトができます。パートやアルバイトを始める場合にはハローワークに申告しましょう。

待機期間終了後10日前後には雇用保険説明会があり、その後通常であれば給付制限期間が設けられています。

しかし定年退職者に限っては、失業保険をもらうまでの2ヶ月間の給付制限期間はありません(5年以内3回目の退職からは3ヶ月)。

※給付制限とは給付金がもらえない期間のことです。

基本手当の所定給付日数

所定給付日数とは、給付金がもらえる期間のことです。所定給付日数は退職理由によって異なり、自己都合退職と会社都合退職に大きく分けられます。

定年退職では基本的に自己都合退職となりますが、会社都合退職となる場合もあります。 それぞれの所定給付日数は、以下のとおりです。

自己都合退職の場合

雇用保険加入期間/退職時の年齢1年未満1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
65歳未満90日120日150日

会社都合退職の場合

雇用保険加入期間/退職時の年齢1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満180日210日240日
35歳以上45歳未満240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

基本手当の支給時期

初回の失業認定日が決まり、振り込まれたあとは、4週間ごとに失業認定を受けます。認定が終わると、1週間〜10日後に失業保険が振り込まれます。

その後は所定給付日数が満了になるか、再就職先が決まり失業保険の受給が打ち切りになるまで上記を繰り返します。

失業保険の基本手当の計算方法

失業保険の基本手当
雇用保険に加入していた期間支給される金額
1年以上10年未満1年以上10年未満
10年以上20年未満基本手当日額×120日
20年以上基本手当日額×150日

上記は60歳〜64歳までの、失業保険の基本手当です。

基本手当日額は1日あたりにもらえる金額ですが、基本手当を出すには、賃金日額を出さなくてはなりません。

以下のような人を例に、計算手順を順番に解説していきます。

  • 60歳求職中
  • 雇用保険期間は1年間
  • 退職前6ヶ月の月給は40万

①賃金日額の計算

賃金日額を出すには退職前6ヶ月の給与の総額を180で割ります。
給与とはいわゆる額面上の金額になり、残業代通勤手当、住宅手当などの各種手当が含まれます。また、ボーナスは含まれません。

賃金日額には上限額と下限額が設定されており、失業保険の基本手当の設定額は以下のとおりです。

上限額15,970円
下限額2,574円

上限額を上回る、あるいは下限額を下回る場合は上記の上限額と下限額の賃金日額となります。

計算式:(40万×6ヶ月)÷180日=13,333円(1円未満は切り捨て)

②基本手当日額の計算

賃金日額が出たら、次に基本手当日額を計算します。基本手当日額を出すには、賃金日額に給付率をかけます。

給付率は、以下のとおりです。

賃金日額給付率基本手当日額
2,574円以上5,030円未満80%2,059円~4,023円
5,030円以上11,140円以下80%~45%4,024円~5,013円
11,140円超15,970円以下45%5,013円~7,186円
15,970(上限額)超7186円(上限額)

賃金日額が13,333円の場合は、45%に該当します。

計算式:基本手当日額=13,333円×45%=5,999円

45%に該当する場合は5,013円~7,186円の範囲となりますが、今回の例では範囲内のため、5,999円が適用されます。

③支給額の計算式

例では雇用保険期間1年以上としているため、計算式は以下のとおりです。

5,999円×90日=539,910円

上記が失業保険の基本手当給付金となり、一括で支給されるわけではなく、28日ごとに該当日数に応じてもらえます。

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【65歳以上】高年齢求職者給付金が支給される失業保険の計算方法

定年退職の失業保険 支給額の計算方法を詳しく解説

65歳以上が受け取れる高年齢求職者給付金とは、いわゆる失業保険の基本手当の代わりになる給付金です。

高年齢求職者給付金は一括で受け取れる特徴があり、再就職した場合でも条件を満たしていれば何度でも受け取れます。

たとえば65歳で一度、高年齢求職者給付金を受給したとします。

その後に就職をして再度、70歳で失業した場合であっても、条件を満たしていれば高年齢求職者給付金をもらえます。

高年齢求職者給付金の対象者は以下のとおりです。

  • 退職時に会社から「雇用保険被保険者証」を渡されている65歳以上の人
  • 雇用保険の加入期間が退職前の1年間に通算して6か月以上ある人
  • 失業状態である人

ほかにも、年金と同時に支給が可能です。

?高年齢求職者給付金の受給期間は1年間ですが、失業保険とは違い、受給期間の延長制度がありません。そのため、高年齢求職者給付金は退職後すぐに申請しましょう。

高年齢求職者給付金の待機期間

高年齢求職者給付金の待機期間は、記事の上部「基本手当の待機期間」と同様に、ハローワークで失業保険の手続きを済ませたあとは7日間の待機期間があります。

7日間の待機期間はパートやアルバイトなどで収入を得ることはできません。
ただし、7日間の待機期間経過後は、週20時間未満の範囲でパートやアルバイトができます。パートやアルバイトを始める場合にはハローワークに申告しましょう。

7日間の待機期間後に給付制限期間があり、自己都合退職した場合は2ヶ月の給付制限です(5年以内3回目の退職からは3ヶ月)。

高年齢求職者給付金の所定給付日数

所定給付日数とは、給付金がもらえる期間のことです。
所定日数は、以下のとおりです。

被保険者であった期間1年未満1年以上
支給日数30日分50日分

高年齢求職者給付金の支給時期

高年齢求職者給付金の支給時期は、所定の手続きが終わり認定されると、指定した口座に一括支給されます。

高年齢求職者給付金の計算方法

高年齢求職者給付金
雇用保険に加入していた期間支給される金額
6ヶ月以上1年未満基本手当日額×30日
1年以上基本手当×50日

上記は定年退職、もしくは自己都合退職した場合の支給額です。
基本手当日額は前述した「失業保険の基本手当の計算方法」と同様です。

以下のような人を例に、計算手順を解説します。

  • 65歳求職中
  • 雇用保険期間は1年
  • 退職前6ヶ月の月給は40万円

①賃金日額の計算

賃金日額は記事の上部「失業保険の基本手当の計算方法①」と同様の内容となります。

賃金日額には上限額と下限額が設定されており、高年齢求職者給付金の設定額は以下のとおりです。

上限額13,520円
下限額2,577円

上限額を上回る、あるいは上限額を下回る場合は、上記の上限額と下限額の賃金日額となります。

計算式:(40万×6ヶ月)÷180日=13,333円(1円未満は切り捨て)

②基本手当日額の計算

賃金日額が出たら、次に基本手当日額を計算します。
基本手当日額を出すには賃金日額に給付率をかけます。

給付率は以下のとおりです。

賃金日額給付率
2,577円以上~4,970円未満80%
4,970円以上~12,240円以下50%~80%
12,240円以上~13,520円以下50%
13,520超~上限額で計算

また、基本手当日額にも上限額と下限額が設定されており、設定額は以下のとおりです。

上限額6,760円
下限額2,061円

賃金日額が13,333円の場合、給付率50%に該当します。

計算式:基本手当日額=13,333円×50%=6,666円

③支給額の計算式

例では雇用保険期間1年以上としているため、計算式は以下のとおりです。

計算式:6,666円×50日=333,300円

上記が高年齢求職者給付金の給付金となり、一括でもらえます。

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まとめ

失業保険の計算をすると、65歳未満が受給できる基本手当の方が多くもらえるため、「65歳になる前に退職したほうがいいのではないか」と思われた人も多いのではないでしょうか。

しかし状況によっては、定年退職を早めることによってボーナスをもらえない場合や、あるいは退職金を減額されてしまう場合も考えられます。

そのため、退職時期は慎重に検討し、会社の規定をよく確認する必要があるといえます。

また65歳未満の人は、年金がストップされる可能性もあるため、年金と失業保険の受給額を比較、検討しておきましょう。

失業保険の基本手当と高年齢求職者給付金はともに、受給しながら週20時間未満までパートやアルバイトができます。

制度を利用しつつ今後の生活も計画的に過ごすとよいのではないでしょうか。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。