定年延長なら退職金はどうなる?押さえておきたいポイントを解説

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改正高年齢者雇用安定法の施行により定年年齢を引き上げる企業は増加傾向にあります。

そこで気になるのは「定年延長になった場合、退職金の支給はどうなるのか?」という点です。

そこで本記事では、定年延長や退職金についての基本的な考え方、定年延長になった場合に想定される退職金の支給パターンなどを解説します。

退職金や確定拠出年金など、定年前後のお金の仕組みは複雑です。
一人ひとりの価値観や状況によって最適な節税方法は変わるため、個人の判断で進めると大損しかねません。

そのため、お金を損しないポイントはおさえておきつつ、実際に退職するタイミングが近づいたら専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 定年延長によって退職金の支給がどう変化するかは企業によって対応が異なる
  • 定年延長となった場合でも、60歳で退職一時金が支払われるケースもある

定年延長とは

定年延長とは

2021年に施行された高年齢者雇用安定法により、政府は定年年齢を65歳未満としている事業主に対し、定年年齢を60歳未満とすることを禁じ、さらに以下のいずれかの措置をとることを義務付けました。

  • 定年を65歳まで引き上げる
  • 65歳までの継続雇用制度を導入する
  • 定年制を廃止する

つまり、すべての企業において65歳定年制が義務付けられたのではなく、雇用継続制度を導入していれば定年年齢が60歳でも問題はないのです。近年、メディア報道により「定年が65歳に延長される」と思い込んでいる人も少なくありませんが、定年を引き上げているケースや、継続雇用制度を導入しているケースなど企業によって定年年齢は異なります。自身の勤め先がいずれの措置をとっているか不明な場合は確認をしておきましょう。

継続雇用制度とは

先に紹介した3つの措置の1つである継続雇用制度には「再雇用制度」と「勤務延長制度」の2種類があります。65歳未満での定年制を設けている企業は、この2つのどちらかの制度を導入する必要があります。

再雇用制度

再雇用制度は正規雇用されていた人を定年年齢で一度退職扱いとし、その後、再度雇用するという制度で、これまでの定年制度に再雇用がプラスされるイメージです。

なお、再度雇用をする際は正規雇用ではなく、契約社員やパートタイマーといった雇用形態になります。業務委託契約は雇用契約ではないため再雇用制度の対象外です。 再雇用制度では原則として雇用期間の空白を作らないことが求められるため、定年退職日の翌日からの雇用となります。

勤務延長制度

勤務延長制度は、定年退職日以降もこれまでと同じ雇用形態を維持する制度で、基本的には仕事内容や役職、賃金なども大きく変わることがありません。定年制は据え置きのまま、勤務期間のみが延長されるイメージです。
勤務延長制度の場合、定年退職日を過ぎても状況が大きく変化することがないため、雇用する側にとっても雇用される側にとっても負担が少ないといえます。

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退職金制度は企業独自の制度

退職金制度は企業独自の制度

退職金制度とは、一般的に従業員が定年退職を迎えた際に雇用主が退職金を支払う制度のことをいいます。
しかし、退職金制度は法律で定められているものではなく、企業が独自に定めている制度です。そのため、退職金制度がない企業も存在します。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると、退職金制度を導入している企業の割合は全体の80.5%。つまり、全体の約20%の企業では退職金制度が存在しないのです。
なお、退職金制度にはおもに次の4種類があります。

参考:「平成30年就労条件総合調査|厚生労働省」

退職一時金制度

退職一時金制度は、退職する際に退職金が一括で支給される制度です。支給対象となる条件や支給時期は、企業の退職規定によって定められていますが、多くの場合、支給額は次のいずれかの方法で算出されます。

給与連動型

退職時の基本給や固定給などに対して、勤続年数や退職理由によってあらかじめ定められている支給率をかけて支給額を決める方法です。退職時の役職が支給額に影響する場合もあります。

退職金別テーブル型

勤続年数や退職時の役職や退職理由に応じて支給額を決める方法です。勤続年数によって基準額が定められており、そこに退職時の役職や退職理由に応じた係数をかけ合わせて算出します。

勤続年数定額型

勤続年数によって支給額を決める方法です。勤続年数だけが考慮され、会社への貢献度や役職などは加味されません。

ポイント制

勤続年数や役職、会社への貢献度、スキルなどをポイント化し、ポイントの累計数にポイントごとの単価、さらに退職理由ごとの係数などをかけ合わせて支給額を決める方法です。人事評価制度の評価に基づいて算出されることもあります。

このように、退職金一時金制度では、企業が支給額を自由に決められるというメリットがある反面、企業が計画的に退職金を積み立てておく必要があります。しかし、退職金の積み立てについては義務ではないため、業績悪化や倒産などにより企業が資金を十分に準備できない場合には退職金が支払われない可能性もあります。

退職金共済制度

退職金共済制度は、企業が外部機関と契約を結んで掛金を拠出し、外部機関が労働者に退職金を支払うものです。退職金制度のない中小企業が多く加入する制度で、企業側が計画的に退職金の準備をすすめられるほか、企業が倒産した場合でも従業員が退職金を受け取れるなどのメリットがあります。最も一般的なものとしては、中小企業向けの「中小企業退職金共済制度」があり、掛金については一部国からのサポートが受けられます。

確定給付企業年金制度

確定給付企業年金制度は、企業が外部機関に掛金を積み立てて運用し、その資産が退職金として支給されるものです。税制上、掛金を損金扱いにできるというメリットから日本で最も多く利用されている企業年金制度です。
従業員が受け取れる給付額はあらかじめ決められており、たとえ運用実績が悪い場合でも穴埋めは企業側が行います。多くの場合、退職金の受け取りは一括給付だけではなく年金としても受け取ることが可能です。

確定拠出年金制度(企業型DC)

確定拠出年金制度は「企業型DC」とも呼ばれ、企業が毎月掛金を積み立てて、従業員自身が資金を運用する制度です。掛金は企業が負担するものの、掛金の金額や運用方法は従業員が自由に管理できるという特性から、資産が減少した場合でも企業には補填をする義務がありません。そのため、企業側のリスクを減らす目的で導入する企業が増えています。なお、この制度は年金の補完制度という意味合いが強いため、原則として60歳になるまでは退職金として支給されません。

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定年延長になると退職金の支給日や金額はどうなるのか

定年延長になると退職金の支給日や金額はどうなるのか

定年を延長する場合、退職金制度を設けている企業は退職金の支給についても検討する必要があります。また、雇用される側も定年延長によって支給される退職金に影響があるのかをきちんと確認しておく必要があります。
先にご紹介したとおり、退職金制度と一口にいってもその種類はさまざまです。退職一時金制度を導入している場合でも、支給金額の決定方法は企業によって異なります。
そのため、定年延長した場合に退職金に影響があるのかというのはケースバイケースといえます。しかし、一般的に退職金は勤続年数の影響を受けることが多いため、仮に勤務延長制度によって役職から退いたとしても、退職金の金額が減額されることは少ないでしょう。
一方、退職金が支給される時期については、次のどちらかになることが考えられます。

60歳で退職一時金を受け取る(打ち切り支給)

まず1つは「打ち切り支給」といって、定年が延長されてもある時期に退職一時金が支給されるパターンです。たとえば、定年年齢が60歳から65歳に延長されたり、勤務延長制度が導入されても、60歳で退職一時金を受け取るというものです。
退職金はその金額の大きさから、住宅ローンの支払いや子どもの学資などのライフプランに組み込まれていることが多いため、打ち切支給であればそのような人が不利益を被ることがありません。

ただし、定年を延長した期間に対しての退職金の支給がある場合には、税制上「退職所得」ではなく「一時所得」となり、税金の額に大きな差が生じます。つまり、打ち切り支給の場合は定年を延長した期間に対しては退職金の支給がないことが前提となります。

退職まで支払いが延長される

もう1つは、延長後の定年年齢に退職金が支払われるパターンです。仮に定年年齢が60歳から65歳に延長された場合であれば、退職金も65歳に支給されることになります。
この場合、給付額については、以下の3種類が考えられます。

  • 定年延長前の定年年齢での支給額と同じ「据置型」
  • 定年延長前と同じ給付額で給付のカーブを変える「スライド型」
  • 定年延長分給付額が上がる「増加型」

また、確定拠出年金制度(企業型DC)を採用している企業の場合は、資格喪失年齢を定年延長前の年齢のままなのか、定年延長後の年齢になるのかにも注意が必要です。確定給付企業年金制度を採用している企業の場合も制度設計に変更が生じるかもしれません。

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定年延長のメリット・デメリット

定年延長のメリット・デメリット

定年延長は退職金の支給時期や支給額に影響を与える可能性がありますが、ほかにもさまざまな影響があると考えられます。定年延長の際には、退職金だけでなく、次のようなメリット・デメリットを把握した上でライフプランをシミュレーションすることが大切です。

メリット1:経済面での不安が軽減される

60歳で定年を迎える場合、年金の受給開始年齢である65歳までの5年間は無収入になってしまう人も少なくありません。定年年齢が延長された場合は無収入の期間がなくなったり短くなるため、経済面での不安が軽減されます。年収によっては生涯賃金が数千万単位で増える可能性も十分にあるでしょう。

メリット2:年金の受け取り額が増える

会社に勤めている人の場合は、定年を延長した期間だけ納める厚生年金保険料の金額が増えるため、将来受け取れる厚生年金の金額も増加します。
また、定年年齢が70歳延長される場合、年金受給の繰り下げを行うことで65歳から年金を受給する場合と比べ1ヶ月ごとに0.7%年金受給額が増額します。給与所得のみで生活ができる場合、定年退職するまで年金受給を繰り下げるのもひとつの手です。

メリット3:環境を変えずに働き続けられる

定年後も働きたいと考えている人の場合、定年後は新たに働く場所を探す必要があります。転職経験がない人、あるいは転職回数が少ない人であれば、数十年ぶりの就職活動となり、就職活動から採用後、新しい仕事に慣れるまでの長期間にわたり心身ともに大きな負担を感じる可能性があります。
定年が延長される場合は、これまでの生活スタイルを変えることなく働き続けることが可能です。

メリット4:社会とのつながりが持てる

現役時代は仕事を通じて多くの人とのつながりがあった人でも、定年退職によって社会との接点がなくなり自宅に引きこもりがちになることがあります。特に、仕事一筋で頑張ってきた人にとって、働く機会が失われることは大きなストレスです。
気力、体力ともに充実している人であれば、定年延長によって引き続き社会とのつながりが持て、活躍の場を確保・維持することができます。

デメリット1:退職金の受け取りが遅くなる可能性がある

退職金制度は企業によって異なります。そのため、企業によっては定年延長と同時に退職金の支給も定年延長後のタイミングに変更となる可能性があります。退職金でローンを完済したり繰り上げ返済する予定だった人は、返済計画の見直しを迫られることもあるでしょう。返済時期が先延ばしになれば、当然その分多くの利息を支払うことになります。

デメリット2:健康面が不安な場合もある

健康面に何らかの不安があり「定年まではなんとか頑張ろう」と考えていた人であれば、定年が延長されることで身体的な辛さを感じる可能性があります。また、定年を迎える日まで仕事へのモチベーションやパフォーマンスを維持できるか、家族への負担がかからないかといった不安を抱える人も少なからずいるでしょう。

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定年延長は退職金の支給時期も含めて検討を

定年延長は退職金の支給時期も含めて検討を

高年齢者雇用安定法によって定年年齢を60歳未満とすることは禁じられましたが、必ずしもすべての人が65歳定年制になるわけではありません。また、退職金制度は法律で定められている制度ではないため、定年延長が退職金の金額や支給時期にどのように影響するかも企業により異なります。
定年延長は退職金の支給時期を含めライフプランを大きく左右するものです。勤務先の定年が延長される場合は、退職金制度についてもきちんと確認しておくことが大切です。

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漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。