老後の住み替えは必要?住まいの選択肢や資金計画のポイントを解説
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厚生労働省の「令和3年簡易生命表」によると、2021年における日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳と過去最高記録を更新。そんな長期化する老後に備え、今、住み替えについて考える人も増えています。
そこで本記事では、老後の住み替えを考える際のポイントをご紹介します。
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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 老後の住み替えは「子どもの独立」「定年」「住まいの老朽化」のタイミングで検討する
- 老後の住まいの選択肢は大きく4種類ある
- 老後の住み替えに失敗しないためには早めの資金計画が必要
老後の住み替えを考えるべき3つのタイミング
住み替えは、たとえ住み替え先が近くとも遠くとも、日々の生活に大きな変化をもたらすものです。そのため、老後の住み替えは、どのタイミングで検討・実行するかが非常に重要です。タイミングを誤ると、かえって生活がしづらくなったり、経済面での負担が増えてしまう可能性もあります。
老後の住み替えについて検討する際は、次の3つのタイミングの「先」に視点を置き、「その(タイミングの)後にどのように暮らしたいか」をイメージしてみましょう。
子どもが独立するタイミング
子どもがいる場合は、次のような条件のもとで住まいを選ぶことが少なくありません。
- 子どもが成長しても窮屈に感じない広さがある
- 子ども部屋にできる部屋がある
- 子どもの学区内あるいは通学しやすい距離である
しかし、子どもが独立し夫婦2人となると、このような条件のもとで暮らす必要がなくなります。そして、以下の点が気になってくるようであれば、子どもが独立するタイミングでの住み替えを前向きに検討すべきでしょう。
- 部屋を持て余すことが無駄に感じる
- 2人で暮らすには広すぎて掃除や移動に負担を感じる
- 現在の場所で暮らすメリットが感じられない
たとえば4LDKから2LDKなど、ファミリー向けの住宅から2人暮らし向けのコンパクトな間取りの住宅に住み替えることで、住宅にかかる費用を抑えられます。
定年を迎えるタイミング
通勤しやすい場所であることを優先的に考えて住まいを選んでいた人の場合、定年を迎えることで住みやすさの条件が変ってくる可能性があります。たとえば、それまでは駅が近いことがメリットだった場合でも、定年退職して会社に行くことがなくなれば、スーパーやコンビ二など買い物できる場所が近い方がメリットに感じるかもしれません。
仕事のために都会で暮らしていたという人であれば、自然豊かな地方に移住をすることも
可能になります。
また、家で過ごす時間が増えるため、趣味を楽しむための部屋が欲しい、軽い運動やガーデニングができる庭が欲しいといった希望が出てくることもあるでしょう。
退職金が受け取れる人の場合、退職金の一部を住み替え資金に充てることもできます。
現在の住まいが老朽化してきたタイミング
現在の住まいが老朽化してきたタイミングに住み替えを検討する人も少なくありません。
戸建ては一般的に築20年を経過すると売却時の建物評価額がゼロになるため、築20年を過ぎたあたりから立て替えやリフォームを検討する人が増えるのです。
家が老朽化してきても愛着にある家に長く住み続けたいと考えるのであれば、リフォームをすることでバリアフリー化にも対応できるでしょう。ただし、老朽化の程度によってはかえってリフォームの方が高くついてしまう可能性もあるため注意が必要です。
マンションの場合は、管理状態や立地などにもよりますが、一般的に築10年を過ぎたあたりから急激に売却価格が下がり、築25年を過ぎるとさらに価値が下がるといわれています。「老朽化してきたら売却して住み替えよう」と考えているのであれば、事前に不動産業者に相談をし、売却価格を参考にすることをおすすめします。
老後の住み替えの選択肢は大きく4つ
現役時代は仕事や子どものことを考えて住まいを選ぶことが多く、自身の健康を意識して選ぶことは少ないでしょう。しかし、老後の住まいを選ぶ場合は、「自動車の運転ができなくなったら」「足腰が弱ってきたら」など、何よりも自身の健康を踏まえた上での住みやすさが重要です。選択肢としては、おもに以下の4つが挙げられます。
戸建てから集合住宅へ住み替える
子育て世帯がマンションから戸建てに住み替えるケースは多いですが、老後を見据えた場合の住み替えでは、戸建てから集合住宅へダウンサイジングをして住み替えるケースが多くみられます。
戸建てから集合住宅へ住み替えるメリットの一例としては次の点があります。
- ワンフロアで生活できるため身体への負担が少ない
- 物件の管理やメンテナンスを管理会社に任せられる
- 戸締りがしやすくセキュリティ面での安心度が高い
- 鉄筋コンクリート造であれば気密性が高く住戸の温度差が少ない
- 駅前など利便性が高い場所に多く建っている
- 比較的戸建てよりも売却しやすい
駅から遠い場所に住まいがあり自動車を利用することが多い人は、駅や繁華街から近い場所に引っ越すことで自動車を手放すことができるかもしれません。
一方、戸建ての生活に慣れていると、近隣の住戸からの生活音が気になったり、庭や駐車場がないことに不便さを感じる可能性もあります。また、集合住宅の場合、ローンを完済しても、修繕費や管理費は毎月発生するため、経済面での注意が必要です。
シニア向け住宅やサ高住へ住み替える
老後の住み替えでは、近い将来介護が必要になった場合のことも考えておく必要があります。「子どもの世話にはなりたくない」「万が一のときに備えて見守りがほしい」と考えるのであれば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やシニア向け住宅がおすすめです。
サービス付き高齢者向け住宅では、バリアフリー化された賃貸住宅内で見守りサービスや生活相談サービスを受けることができます。シニア向け住宅は賃貸のものもありますが、分譲の場合は自分の資産として相続が可能です。これらのメリッㇳをまとめると以下のとおりです。
- バリアフリー構造になっており生活しやすい
- 自分に必要なサービスだけを利用できる
- 有料老人ホームよりも自由度が高い
- 同年代の人と知り合える可能性が比較的高い
- 物件の管理やメンテナンスが不要
なお、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やシニア向け住宅は、年齢制限(下限)が設けられていることがほとんどです。また、介護度が上がると住み替える必要があります。物件の選択肢も限られているため、希望する地域に住むことができない可能性もあるでしょう。
二世帯住宅へ住み替える(子どもと同居)
子どもが独立している場合は、二世帯住宅に住み替え、子どもと同居するという選択肢もあります。子ども夫婦が共働き、あるいはひとり親家庭として子どもを育てている場合は子どもの育児をサポートすることもできるでしょう。二世帯住宅への住み替えにはほかにも次のようなメリットがあります。
- お互いの状況が把握しやすく安心感がある
- 介護が必要になった時に頼れる可能性がある
- 孫がいる場合は成長過程を間近で見られる
- 住宅ローンを子世帯と一緒に組める
ただし、二世帯住宅の需要は限られているため、将来売却が必要になった場合はスムーズに売却できない可能性もあります。また、長期にわたり安定して子世帯と良好な関係が築けるとも限らないため、より慎重に検討する必要があるでしょう。
建て替えやリフォームをして住み替える
住み替えは必ずしも今の住まいと異なる場所に住むことだけを指すわけではありません。今の住まいを建て替えたりリフォームして住み替えることもできます。
建て替えやリフォームによるメリットとしてはおもに次の点が挙げられます。
- 今と同じ生活圏内で生活を続けられる
- 自分好みにプランニングできる
- 愛着のある家を手放さずに済む
- 土地や部屋を探す手間がかからない
多層階住宅の場合、建て替えやリフォームによって一部のフロアをアパートや店舗などの賃貸物件にすることで家賃収入が得られる可能性もあるでしょう。
一方、建て替え時やリフォーム時に仮住まいを用意する手間がかかったり、後々の相続について考える必要があるなどのデメリットもあります。
老後の住み替えに向けた資金計画のポイント
老後の住み替えでは、現役世代ほど資金を工面するための時間がなく、「生活事情が変わったから住み替える」「これから時間をかけてコツコツとローンを返済する」といったことが容易ではありません。そのため、事前に資金計画をしっかりと行うことが非常に重要です。
ここからは、老後の住み替えに向けた資金計画のポイントをご紹介します。
タイミングが早ければ住宅ローンも利用可能
住み替えのための資金が足りない場合は住宅ローンを利用することになりますが、60代でも健康かつ安定収入がある場合には住宅ローン審査に通る可能性があります。ただし、返済期間が短い分借入できる金額が少なくなる傾向があり、フルローンを組むことも難しいでしょう。住宅ローンの利用を前提として老後の住み替えを検討するのであれば、なるべく早く動き始めることをおすすめします。
二世帯住宅を建てる場合は、親子で一緒に借入・返済をする「ペアローン」や、子どもに返済を引き継ぐ「親子リレーローン」などの利用も検討してみましょう。
新居の検討は現在の住まいの査定額を知ってから
現在の住まいが持ち家の場合は、現在の住まいを売却し、そのお金を新居の資金に充てることができます。とはいえ、購入価格が売却価格を下回ることは往々にしてあるため、まずは早めに現在の住まいを査定に出すところから始めましょう。
とくに戸建ての場合は、地価が物件価格に大きく影響するため、「いずれは住み替えをしたい」と考えているのであれば、年単位で早い段階から地価をチェックしておくことをおすすめします。
現在の住まいを査定に出し、売却金額の目安が分かってから住み替え先の検討を始め、売却と住み替えのタイミングがなるべく同時期になることが理想的です。
退職金や貯金にはなるべく手をつけない
老後は誰もが必ずしも何事もなく平穏無事に過ごせるとは限りません。収入に対して想像以上に生活費がかかる可能性や、一度は住み替えたものの、介護が必要になったり住み心地が悪かったりして、再度住み替えが必要になる可能性もゼロではないでしょう。
退職金や貯金の一部を老後の住み替えに充てることは問題ではありませんが、予期せぬ事態が起こった際に対処できるよう、退職金や貯金にはなるべく手をつけない方が安心です。
そのためには、まずは年金受給額をはじめとする老後の収支をシミュレーションし、現時点で無駄な支出がないか、必要に応じてライフスタイルの見直しも行います。住み替えの資金より老後の生活資金を確保することが先決です。
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老後の住み替えは「老後になる前」から検討を
老後の住み替えは誰にでも必要というわけではありません。ただ、住宅ローンや資金の確保など、実際に「老後」になってから動き始めるのでは手遅れとなる可能性があります。老後の住み替えについて少しでも関心がある場合は、まずどのような老後を送りたいかを考えるところから始めましょう。
そして、経済的にゆとりがある状態で住み替えを行うために、老後の収支だけではなく、現在の働き方の見直しや、「老後も働く」という選択肢も視野に入れてみることをおすすめします。
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資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
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