高齢者の生きがいとは?調査データから見える必要性と7つのヒント

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定年後や子どもの独立後、「生きがい」について考える高齢者は少なくありません。多くの高齢者たちは一体どのようなことに生きがいを感じ、日々を過ごしているのでしょうか。 本記事では、高齢者の生きがいにはどのようなものがあるのかについてや、生きがいを持つことの重要性、生きがいを持つためのヒントなどをご紹介します。

  • 【この記事を読んでわかること】
  • 高齢者の70%以上は生きがいを感じている
  • 生きがいを感じる時の第1位は「家族との団らん」
  • 生きがいを感じている人は健康状態が良いとも感じている
  • 生きがいを見つけたい人は生きがいを感じている人たちの「生きがい」そのものを真似してみる

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生きがいを感じている高齢者は70%以上

高齢者の生きがいとは?調査データから見える必要性と7つのヒント

内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書」では、65歳以上の男女を対象に「生きがいを感じる程度について」という調査を行っています。この調査によると、65歳以上の高齢者のうち、22.9%の人が生きがい(喜びや楽しみ)を「十分感じている」、49.4%の人が「多少感じている」と答えており、70%以上の高齢者が生きがいを感じていることがわかります。
なお、同じく内閣府では「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」において、60歳以上の男女4000人に対して「自分の日常生活に満足しているか」という質問も行っています。この質問では、14.1%の人が「満足している」、61.7%の人が「まぁ満足している」と回答。合計すると現在の生活に満足している人は75.8%にものぼり、平成26年の同調査と比較しても7.6%上昇しているのです。
さらに、同調査において、配偶者あるいはパートナーがいる人は14.5%が「(日常生活全般に)満足している」と回答しているのに対し、結婚したことがない人は8.2%とやや低い傾向があることもわかっています。

参考:「令和4年版高齢社会白書(全体版)『第3節〈特集〉高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』|内閣府」
参考:「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(全体版)『2.ふだんの生活』|内閣府」

生きがいを感じる時第1位は「家族との団らん」

高齢者の生きがいとは?調査データから見える必要性と7つのヒント

日々生きがいを感じながら過ごしている高齢者が意外に多いと感じた人もいらっしゃるかもしれません。では、生きがいを感じている高齢者は、いったいどのようなことに生きがいを感じているのでしょうか。
先ほどご紹介した内閣府の「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」で生きがい(喜びや楽しみ)を「十分感じている」「多少感じている」と答えた人たちは、その内容について次のように回答しています(複数回答)。以下は、回答の多かった上位10項目です。

  • 孫など家族との団らんの時(55.3%)
  • おいしい物を食べている時(54.8%)
  • 趣味やスポーツに熱中している時(53.5%)
  • 友人知人と食事、雑談している時(52.6%)
  • テレビを見たり、ラジオを聞いている時(43.2%)
  • 旅行に行っている時(39.8%)
  • 夫婦団らんの時(34.5%)
  • 他人から感謝された時(31.7%)
  • 仕事に打ち込んでいる時(30.9%)
  • 収入があった時(24.8%)

回答結果の中には「家族の団らん」や「夫婦団らん」といった項目があります。これらは先ほど紹介した、結婚したことがない人よりも配偶者あるいはパートナーがいる人の方が「(日常生活全般に)満足している」と答えた人の割合が高くなることと関係しているのかもしれません。

参考:「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(全体版)『2.ふだんの生活』|内閣府」

生きがいと仕事や社会活動との関係性

高齢者の生きがいとは?調査データから見える必要性と7つのヒント

先ほど紹介した「生きがいを感じる時」の多くがそうであったように、高齢者の生きがいでは、余暇を楽しむといったような、趣味的なイメージのものが多くみられました。しかし、中には「他人から感謝された時(31.7%)」「仕事に打ち込んでいる時(30.9%)」「収入があった時(24.8%)」など、何らかの社会活動をしていると思われる項目もあります。
内閣府の「令和4年版高齢社会白書」では、生きがいを感じる程度について「収入の伴う仕事の有無別」と「社会活動への参加の有無別」でも調査を行っており、その結果は以下のとおりです。

収入の伴う仕事をしている収入の伴う仕事はしていない1年間に社会活動に参加した活動または参加したものはない
生きがいを十分感じている27.7%20.8%30.1%16.1%
多少感じている53.6%47.5%54.6%45.6%
あまり感じていない11.8%20.8%10.4%27.6%
まったく感じていない1.8%3.1%0.5%5.4%
不明・無回答5.2%7.9%4.4%5.3%

この結果を見ると、収入の伴う仕事や、何らかの社会活動をしている人ほど生きがいを強く感じていることがわかります。生きがいは親しい人との関わりや趣味的なものだけに限らず、仕事や社会活動によっても得ることができるといえるでしょう。

参考:「令和4年版高齢社会白書(全体版)『3.社会活動の参加について』|内閣府」

生きがいは健康にも影響する

高齢者の生きがいとは?調査データから見える必要性と7つのヒント

生きがいを持つことは、健康にも影響を与えることがわかっています。内閣府の「令和4年版高齢社会白書」では、65歳以上の男女における現在の健康状態と生きがいを感じる程度の関係性の調査結果も公表されています。

現在の健康状態生きがいを感じる程度
十分感じている多少感じているあまり感じていないまったく感じていない不明・無回答
良い52.5%38.4%5.0%0.4%3.7%
まぁ良い29.4%58.3%6.8%0.5%5.0%
普通20.1%53.8%17.5%1.3%7.3%
あまりよくない11.2%44.2%29.4%5.2%10.1%
良くない3.1%29.6%38.8%17.3%11.2%

上記のデータを見ると、生きがいがある人ほど健康状態が良い、あるいは健康状態が良い人ほど生きがいを感じる割合が高くなっていることがおわかりになるでしょう。
生きがいがあるからこそ「元気で居続けたい」と健康的な生活を心がけたり、心身の状態が良好だからこそ生きがいを感じたりしやすくなるのかもしれません。

参考:「令和4年版高齢社会白書(全体版)『4.健康について』|内閣府」

生きがいを見つける7つのヒント

高齢者の生きがいとは?調査データから見える必要性と7つのヒント

高齢者の約7割以上は生きがいを感じながら日々過ごしていることがわかりました。しかしその一方で約3割程度の人は生きがいを感じていないことも事実です。では、生きがいを感じれない人はどのようにして生きがいを見つければ良いのでしょうか。
当然ながら、生きがいは「今から生きがいを持とう」と思って持てるものではありません。しかし、何もしない状態のままでは、生きがいを持つきっかけが生まれることもありません。
そこで、生きがいを見つけるためのきっかけづくりとしておすすめしたいのが、生きがいを感じている人たちの「生きがい」そのものを真似してみるという方法です。ここからは、多くの人が「生きがいを感じる時」として挙げたものをヒントにした生きがいの探し方を7つご紹介します。

①家族と過ごす時間を増やしてみる

これまで仕事に追われて家族(あるいは配偶者やパートナー)と過ごす時間をあまり持てなかったという人は、家族と過ごす時間を増やすことで生きがいを見つけることができるかもしれません。長い時間をともにする家族との時間に生きがいを見つけられることは素晴らしいことです。
家族と過ごす時間を増やすためには、まず自分が毎日何に時間を使っているのかを書き出し、把握することから始めましょう。家族と過ごす時間の割合が少なければ、ほかの時間を減らす必要があります。それぞれの時間に優先順位をつけることで減らしやすい時間が見えてくるはずです。
家族と過ごす時間は、外出や団らんだけではなく、一緒に料理を作ったり、部屋の片づけをしたりするなど家事を通じて作ることも可能です。家族の形はその家その家でさまざまなので、「距離を詰める」ということばかりに集中するのではなく、あくまでも「心地の良い距離感」を意識しましょう。

②おいしいものを食べてみる

食事は基本的に毎日とるもの。だからこそ食べることに生きがいを感じられるようになれば、毎日が非常に豊かなものになります。また、好きな食べものや食べものの好みというのは誰にでもあるものなので、比較的生きがいを見つけやすいといえます。
食べたことのないものや、あまり詳しくないジャンルのメニューに挑戦してみる方法も良いですが、まずは自分の好きな食べ物を深堀りしてみましょう。
最近ではいわゆる「お取り寄せグルメ」の種類も豊富です。インターネットの口コミやランキングを参考に、自宅で楽しめる「おいしいもの」探しをしても良いですし、食材選びからこだわり、自分で「おいしいもの作り」を楽しむ方法もあります。
気になったお店がある場合は、それをきっかけに友人や知人を誘ってみましょう。食べものだけではなく、時間や空間まで楽しむことができるかもしれません。

③友人や知人と交流してみる

定年後や子どもの独立後、同年代の友人や知人であれば時間の調整もしやすくなっているはずです。疎遠になっている友人や知人がいるのであれば、思い切って連絡をとってみましょう。
これまで自分から積極的に行動するタイプではなかった人や、相手と長いあいだ連絡を取っていないという人の場合、連絡することに不安や緊張を覚えるものです。しかし、それまでの相手との関係が険悪なものでないのであれば、過度に心配する必要はないでしょう。思いがけぬあなたからの連絡に相手が喜んでくれるかもしれません。
ただし、自分の都合ばかり押し付けたり、しつこく連絡をしたりすることは禁物です。「近くまで行くから、久しぶりに会って話さない?」といったように、飾らず、素直な自分の言葉で誘ってみましょう。

④旅に出てみる

何十日、何百日と旅を続けることは容易ではありませんが、旅行を生きがいにして日々の生活を楽しんでいる人も少なくありません。
家族や夫婦で旅行をするのも良いですが、一人旅もおすすめです。一人旅はその行程をすべて自分で決めて、自分で行動をするため、自然と「自分と向き合う時間」を作ることができます。近場であっても普段の生活圏とは違う場所に身を置くことで、思いがけず大胆な行動に出られたり、自分が本当にやってみたいと思うことが見えてきたりすることがあります。
旅はさまざまな景色を見たり、違う文化に触れたり、食べ慣れないものを食べたりとさまざまな出会いをもたらしてくれるものです。
最近では交通機関やホテルなどではシニアを対象にした割引やプランも多く提供されています。そのようなお得なサービスも活用しながら旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

⑤仕事を探してみる

先に紹介したとおり、生きがいは趣味的なものだけではありません。かつて仕事に生きがいを感じていた人であれば、再び仕事をすることで生きがいを感じられるかもしれません。仕事であれば、生きがいだけではなく収入を得ることもできます。
現役時代は「生活のため」「出世のため」などプレッシャーが伴うことが多かった仕事も、シニアであればもう少し心身ともに緩やかな働き方を選ぶことができるでしょう。
なお、シニアの仕事の探し方としては次のような方法が挙げられます。

  • 勤務していた会社の再雇用制度
  • ハローワーク
  • シルバー人材センター
  • シニア向け就職エージェント
  • シニア向け求人サイト
  • 友人・知人からの紹介

これまでのキャリアを活かすことも、新しい仕事にチャレンジすることもできますが、いずれにしても、シニアの就職活動では待遇面にはこだわりすぎないことが大切です。待遇よりも働く目的を重視することが、生きがいを感じやすい仕事探しにつながります。

⑥勉強をしてみる

学ぶことも生きがいを感じるきっかけになるかもしれません。比較的時間に余裕のあるシニア世代であれば、さまざまなスタイルで勉強をすることが可能です。
興味のある分野があればその分野を学ぶことが一番ですが、「何かを勉強してみたいけど、これといったものがない」というのであれば、昔学んでいたことを学び直してみる方法も良いのではないでしょうか。
なお、シニア向けの勉強方法には、次のようにさまざまなものがあります。

  • 大学の公開講座や聴講生制度
  • 自治体主催の講座
  • 地域のサークル
  • 地域の教室カルチャーセンター
  • 通信教育
  • 各種オンライン講座
  • テレビ講座やラジオ講座

テレビ講座やラジオ講座であれば、数百円のテキスト代のみで学習をすることができます。費用だけではなく時間の面でも継続しやすい方法を選ぶことをおすすめします。

⑦社会活動をしてみる

地域のボランティア活動やイベントなどの社会活動に参加することが生きがいにつながることもあります。実際に、先にご紹介したデータでも仕事と並んで社会活動に参加した人は生きがいを感じやすいことがわかっています。
また、社会活動を通して外出する機会が増えたり、地域の人や若い世代との交流が生まれたりすることもあるでしょう。
なお、社会活動は次のような場所で見つけることができます。

  • 役所の掲示板やチラシ
  • 地域のコミュニティセンター
  • ボランティアセンター
  • ボランティアサイト

ボランティアセンターは、NPO法人や社会福祉協議会、大学などが運営しているものです。また、地域の介護施設がボランティアを募集しているケースもあります。
ボランティア活動の中には謝礼や交通費が支払われるものもありますが、基本的に仕事のように報酬が発生するわけではありません。自分が無理なく参加でき、なおかつ活動の理念に共感できるものを選びましょう。

生きがいは大きくなくても、ひとつでなくてもいい

高齢者の生きがいとは?調査データから見える必要性と7つのヒント

心身ともに健やかに生きていくためにも、生きがいを持つことは大切です。しかし、生きがいはあくまでも概念のひとつに過ぎず、「生きがいがなければいけない」というわけではありません。また、生きがいというと「これがなければ生きていけない」といった、何かひとつの壮大なものをイメージしがちですが、小さな生きがいがいくつもあっても構わないのです。
「生きがいがない」と悩んでいる人も、今まさに生きがいについて考えていることがすでに大きな一歩といえます。今回ご紹介した7つのヒントを参考に、肩の力を抜いて、小さなことから始めてみましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。