退職金にかかる住民税の負担は大きくはない!計算方法や納付方法を一挙解説
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退職金を受け取ったら住民税額が高くなるのではと心配かもしれませんが、退職金にかかる住民税は控除によって税金が優遇されているため、大きな心配には及びません。
注意したいのは、退職によって支払い方法が変わる点です。退職後の住民税における納付方法や納付における注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
退職金や確定拠出年金など、定年前後のお金の仕組みは複雑です。
一人ひとりの状況によって最適な節税方法は変わるため、個人の判断で進めると大損しかねません。
そのため、お金を損しないポイントはおさえておきつつ、実際に退職するタイミングが近づいたら専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 退職金には独自の控除があり税金(住民税・所得税)が優遇されている
- 退職金を一時金・年金の両方で受け取ったり、確定申告をしたりすると退職金にかかる住民税を安く抑えられる場合がある
- 退職後の住民税は納付書にて一括か年4回の分割払い
- 在職中は毎月の給料天引きだったため1回の請求額が高くなってしまう
退職金にかかる税金(住民税・所得税)には控除によって優遇されている
退職金には所得税・住民税が課税されますが、単独で税処理され(分離課税)、かつ退職金所得控除という独自の控除が適用されることによって税負担が軽減されています。
なぜなら、退職金は長きにわたる勤務への労いや老後資金としての意味合いがあるからです。
退職所得金額を求める計算式は以下のとおりです。
退職手当額から控除する「退職所得控除額」の計算方法
勤務年数 | 退職所得控除額の計算方法※ |
---|---|
20年未満の場合 | 年数×40万円 |
20年以上の場合 | (年数ー20年)×70万円+800万円 |
※勤続年数に1年未満の端数があるときは、たとえ1日でも1年として計算
たとえば、31年3ヶ月勤務した人が退職金2,000万円を受け取った場合、課税退職所得は180万円となります。
課税退職所得金額=(2,000万円ー1,640万円)×1/2 =180万円 |
この場合の所得税・住民税の合計は27万円であり、退職金の手取り額は1,973万円となります。
このことから、退職金そのものには税負担が小さくなるよう配慮されていることがわかるでしょう。
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退職金にかかる住民税の計算方法
退職金にかかる住民税の計算方法は、以下のとおりです。
※市町村民税(特別区民税)6%、道府県民税(都民税)4%
先ほどと同じケースで考えてみましょう。
31年3ヶ月勤務した人が退職金2,000万円を受け取った場合、課税退職所得は180万円であり、退職時に納める住民税は18万円となります。
退職金にかかる住民税=180万円×10% =18万円 |
この住民税18万円は、退職金を受け取る際に勤務先で計算し源泉徴収されるため、確定申告をしたり別途納付する必要はありません。
ただし、源泉徴収してもらうには「退職所得の受給に関する申告書」をあらかじめ提出する必要があります。
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退職金に住民税がかからないケースもある
退職金所得控除が退職手当額を超えた場合は、所得税・住民税はかかりません。
たとえば、39年勤務した人が退職金2,000万円を受け取った場合、退職所得控除金額が退職手当金を超え、課税退職所得金額は0円となります。
退職所得控除額 =(39-20) × 70万円 + 800万円 = 2,130万円 課税退職所得金額 =(2,000万円-2,130万円) × 1/2 = 0万円 市町村民税 = 0万円 ×6% = 0円 道府県民税 = 0万円 ×4% = 0円 |
なお、以下の「源泉徴収のための退職所得控除額の表」では、勤続年数ごとの退職所得控除額をすぐに確認できます。
勤続年数 | 退職所得控除額 (単位:千円) |
勤続年数 | 退職所得控除額 (単位:千円) |
||
---|---|---|---|---|---|
一般退職の場合 | 障害退職の場合 | 一般退職の場合 | 障害退職の場合 | ||
2年以下 | 800 | 1,800 | 24年 | 10,800 | 11,800 |
3年 | 1,200 | 2,200 | 25年 | 11,500 | 12,500 |
4年 | 1,600 | 2,600 | 26年 | 12,200 | 13,200 |
5年 | 2,000 | 3,000 | 27年 | 12,900 | 13,900 |
6年 | 2,400 | 3,400 | 28年 | 13,600 | 14,600 |
7年 | 2,800 | 3,800 | 29年 | 14,300 | 15,300 |
8年 | 3,200 | 4,200 | 30年 | 15,000 | 16,000 |
9年 | 3,600 | 4,600 | 31年 | 15,700 | 16,700 |
10年 | 4,000 | 5,000 | 32年 | 16,400 | 17,400 |
11年 | 4,400 | 5,400 | 33年 | 17,100 | 18,100 |
12年 | 4,800 | 5,800 | 34年 | 17,800 | 18,800 |
13年 | 5,200 | 6,200 | 35年 | 18,500 | 19,500 |
14年 | 5,600 | 6,600 | 36年 | 19,200 | 20,200 |
15年 | 6,000 | 7,000 | 37年 | 19,900 | 20,900 |
16年 | 6,400 | 7,400 | 38年 | 20,600 | 21,600 |
17年 | 6,800 | 7,800 | 39年 | 21,300 | 22,300 |
18年 | 7,200 | 8,200 | 40年 | 22,000 | 23,000 |
19年 | 7,600 | 8,600 | 41年以上 | 22,000千円に、勤続年数が40年を超える1年ごとに700千円を加算した金額 | 23,000千円に、勤続年数が40年を超える1年ごとに700千円を加算した金額 |
20年 | 8,000 | 9,000 | |||
21年 | 8,700 | 9,700 | |||
22年 | 9,400 | 10,400 | |||
23年 | 10,100 | 11,100 |
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退職金にかかる住民税を少しでも安く抑える方法
退職金にかかる税金は控除によって優遇されているとはいえ、少しでも退職金にかかる住民税を抑えたいという気持ちもあるでしょう。
退職金にかかる住民税を少しでも安く抑える方法は、以下のとおりです。
- 退職金を一時金・年金の両方で受け取る
- 確定申告をする
①退職金を一時金・年金の両方で受け取る
退職金は、一時金として退職時に一括で受け取ることが一般的ですが、会社によっては退職後に年金形式(分割)でも受け取れます。
受け取り方によっては、分類される所得の種類や適用される控除、課税方式が異なります。
一時金受取と年金受取それぞれの違いは以下のとおりです。
一時金受取 | 年金受取 | |
---|---|---|
所得 | 退職所得 | 雑所得 |
適用される控除 | 退職所得控除 | 公的年金控除 |
課税方式 | 分離課税(申告分離課税) | 総合課税 |
なお、退職金の受け取り方を選択できない場合でも、iDeCoや確定拠出年金がある場合には一時金受取・年金受取・併用受取を選択できます。
退職金は優遇された控除を適用できるので、退職金控除を最大限活用した上で、退職金が退職所得控除に収まらない場合は、収まる範囲だけ「一時金」、残りは「年金」で受け取るなど、うまく活用すれば節税効果を期待できます。
たとえば、勤続年数が35年で退職金が2,000万円の場合を考えてみましょう。
2,000万円のうち1,850万円を一時金として退職所得控除を利用
残りの150万円を年金形式で受け取り公的年金等控除を活用
ただし年金受取にした場合、公的年金の受取額や受取期間など条件によっては税金や社会保険料が上がり、手取り額が減ってしまう可能性もあるので、退職金を受け取る前に試算しておくと良いでしょう。
②確定申告をする
退職金を一時金で受け取る場合は、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、原則的に確定申告をする必要はありません。
しかし下記のケースでは、確定申告をすると多く払いすぎた税金の還付を受けられる可能性があります。
- 年の途中で退職し、年内に再就職しない場合
- 各種控除を受ける場合
会社に所属しているあいだ毎月源泉徴収される金額は、あくまでも税金の見込み額であるため、実際より多く徴収されていることが一般的であり、年末に精算をおこないます(年末調整)。
しかし、年の途中で退職し、年内に再就職しない場合は、会社にて年末調整を受けることができないため、確定申告をする必要があります。
また、確定申告をすると各種控除を受けることが可能であり、所得税や住民税を節税する効果があります。
申告できる控除は15種類あり、国税庁のHPで確認が可能です。
確定申告をする場合は、退職する会社から源泉徴収票を受け取る必要があるので、確実に受け取り、無くさないように注意しましょう。
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退職後の住民税の納付方法
退職後は住民税の納付方法が変わります。
以下の2点を理解しておきましょう。
- 退職後は特別徴収から普通徴収になる
- 退職日によって残りの住民税の納付方法は変わる
退職後は特別徴収から普通徴収になる
会社に所属している間は「特別徴収」といい、年額の住民税を12回に割った金額を給与から天引きする形で会社が市町村へ納めていました。
しかし、退職後は銀行やコンビニなどで自ら納める必要があります。
これを「普通徴収」といいます。
支払い方法は自治体によって異なるので、必ず確認し、支払いが滞らないよう適切な支払い方法を選択しましょう。
退職日によって残りの住民税の納付方法は変わる
1年の途中で退職した場合、退職日によって住民税の納付方法(特別徴収か普通徴収)が異なります。
- 1月1日〜5月31日に退職した場合
- 6月1日〜12月31日に退職した場合
- 退職前に次の職場が決まっている場合
それぞれの納付方法を説明します。
1月1日~5月31日に退職した場合
1月1日〜5月31日までに退職する場合、退職月の給与や退職金から、5月分までの住民税が「特別徴収(一括徴収)」されます。
ただし、もし退職月の給与と退職金の合計よりも住民税のほうが多い場合には、「普通徴収」に切り替わり、自分で納付する必要があります。
6月1日~12月31日に退職した場合
6月1日〜12月31日までに退職する場合、退職月の住民税は会社が「特別徴収(給与から天引)」します。
しかし、退職月の翌月以降の住民税は、「普通徴収」に切り替わり、自治体から納付書が送付され、自分で納付する必要があります。
なお、会社に申請すれば、退職する月から翌年の5月分までの住民税を、退職月の給与や退職金から一括徴収してもらうことも可能です。
退職前に次の職場が決まっている場合
6月1日〜12月31日までに退職する場合でも、退職前に次の就職先が決まっている場合は、転職先の会社で「特別徴収」を継続できます。
その場合は、何月までを前職の会社、何月以降は次の会社、など支払いの引き継ぎに間違いがないよう気をつけましょう。
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退職後の住民税納付の注意点
退職後の住民税納付については、以下の3つの注意点が挙げられます。
- 支払い回数が少ないため1回の請求額が高額になる
- 滞納すると延滞税が取られる恐れがある
- 支払いが難しい場合は早めに相談する
支払い回数が少ないため1回の請求額が高額になる
退職後は納付方法が変わり、一括または4回の分割払いになるため、1回の請求額が高額になることに注意しましょう。
ここまで解説したように、退職金にかかる住民税は優遇されており、税負担はそこまで大きくはありません。
その点を留意した上で、退職金や貯蓄の一部を退職直後と翌年分の住民税分として確保しておきましょう。
滞納すると延滞税が取られる恐れがある
前述したように、会社に所属しているあいだ給与から源泉徴収されていた住民税は、退職すると普通徴収に変わり、自分で納める必要があります。
今まで支払う手間がなかった分、うっかり支払いを忘れてしまう可能性もあります。
支払い期日を守れない場合は延滞税がかかってしまうため、住民税の納付書が届いたら、早めに支払いましょう。
なお普通徴収の場合、6月、8月、10月、1月に納めるようになっているので納付書は4枚に分かれていますが、期日前であれば早めに支払うことが可能です。
一方、支払期日をすぎてしまった場合、コンビニでは納付書を用いた支払いができません。
ただし、支払期日をすぎてしまった場合でも、金融機関もしくは役所であれば納付書を用いて支払うことが可能です。
支払いが難しい場合は早めに相談する
退職後の住民税の支払いが難しい場合は、滞納してしまう前に市町村に早めに相談しましょう。
なお、住民税は1月1日に住民税がある市町村に納める税金なので、仮に引っ越しをしていた場合は、以前住んでいた市町村に相談する必要があるので注意しましょう。
支払いが難しい理由や現段階で納税できる金額などを相談した上で、さらに分割した支払いや納付猶予をしてもらえる可能性もあります。
一方で相談せずに滞納が続いてしまうと、差し押さえ処分を受けてしまう恐れもあるので注意しましょう。
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退職金そのものにかかる住民税は実は少ない
ここまで解説してきたように、退職金にかかる住民税と退職後に支払う住民税は分けて考えるべきであり、退職金そのものにかかる住民税の
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