年金受給者でもふるさと納税できる?節税効果や注意点を解説

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ふるさと納税とは自治体に寄附金を納め、その自治体から返礼品が受け取れる仕組みです。
返礼品がもらえるだけでなく、所得税・住民税の還付・控除が受けられます。

では、年金を受給していてもふるさと納税できるのでしょうか。

本記事では、年金受給者のふるさと納税に関する節税効果や寄附金上限額、注意点などを解説します。

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  • 【この記事を読んでわかること】
  • 年金受給者のふるさと納税は人によって得・損するケースがある
  • 年金受給者がふるさと納税する場合、寄附金には上限がある
  • 寄附金上限額は計算で求められる
  • 年金受給者のふるさと納税には3つの注意点がある

年金受給者も納税できる!ふるさと納税とは

年金受給者でもふるさと納税できる?節税効果や注意点を解説

近年、節税対策の1つとして注目されているふるさと納税は、年金受給者でも節税効果が得られます。
まずは、ふるさと納税とは何かをふまえて、年金受給者がふるさと納税で得・損するケースを解説します。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税とは、地方自治体へ寄附金を納める制度です。「ふるさと」といっても生まれ故郷である必要はなく、興味のある自治体や応援したい自治体、ほしい返礼品にあわせてお好きな自治体が自由に選択できます。

ふるさと納税が節税対策と言われる理由は、翌年に所得税・住民税が控除されるからです。しかし、寄附金から自己負担額2,000円を差し引いた額が控除される仕組みであり、ふるさと納税による控除=翌年の税金の前払いであるため、正確には節税対策とはいえません。とはいえ、ふるさと納税する意味がないわけではなく、たとえば、シャインマスカット約2kgを寄附金20,000円で提供している自治体にふるさと納税したとします。納税した20,000円のうち18,000円分が控除控除対象額となるため、2,000円でシャインマスカットが受け取れることになります。

返礼品は高級食材や生活雑貨、家電や旅行など、有形商材から無形商材まで多種多様です。

年金受給者がふるさと納税で得・損するケース

年金は雑所得に分類されるため、一定以上の受給額があると所得税・住民税の課税対象となります。そのため、年金受給者でもふるさと納税をすることで2,000円の自己負担で返礼品を受け取りつつ、翌年の所得税・住民税が控除されます。しかし、年金受給者がふるさと納税する場合、年金受給額によって損するケースがある点は要注意です。

ふるさと納税で得する年金受給者

ふるさと納税で得するのは、下記いずれかに該当する年金受給者です。

・65歳未満で年金収入108万円を超える
・65歳以上で年金収入158万円を超える

なお、住民税の課税対象となるのは、年金収入が自治体の規定額を上回る場合です。次で解説する寄附金上限額も関係しますが、基本的に所得税の課税対象となる年金収入がある場合には、ふるさと納税の恩恵が受けられます。

ふるさと納税で損する年金受給者

反対に、65歳未満で108万円以下、65歳以上で158万円以下の年金収入となる人はふるさと納税でメリットが得られません。
ふるさと納税のメリットは自己負担額2,000円で返礼品を受け取り、「納付額−2,000円」分が税金の控除対象となる点です。そのため、そもそも控除対象となる税金が発生しない場合、寄附金額すべてが自己負担額となってしまいます。

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年金受給者のふるさと納税の寄附金上限額

年金受給者でもふるさと納税できる?節税効果や注意点を解説

ふるさと納税は寄附すればするほど、その分が控除されるわけではありません。控除額には上限があり、上限額を上回る寄附金を納めてしまうと、超過分は自己負担額となります。そのためふるさと納税で最大限得するには、寄附金上限額を理解した上で納税することがポイントです。

年金受給者の寄附金上限額の目安表

年金受給者の寄附金上限額は、65歳未満か65歳以上か、夫婦で暮らしているか一人暮らしかによって異なります。

年金収入額/年65歳未満65歳以上
夫婦ひとり夫婦ひとり
100万円0円0円0円0円
150万円約3,000円約11,000円0円0円
200万円約11,000円約20,000円約4,000円約12,000円
250万円約20,000円約28,000円約15,000円約24,000円
300万円約29,000円約37,000円約27,000円約36,000円
350万円約38,000円約46,000円約38,000円約46,000円
400万円約47,000円約58,000円約47,000円約58,000円
450万円約61,000円約69,000円約61,000円約69,000円
500万円約71,000円約79,000円約71,000円約71,000円

65歳未満で100万円以下、65歳以上で150万円以下の年金収入となる場合、2,000円を超えた寄附金額がすべて自己負担です。つまり、ふるさと納税のメリットが受けられません。 また上限額を超えて寄附した場合も、超過分が自己負担となるためふるさと納税で得られるメリットが少なくなってしまいます。

年金受給者のふるさと納税上限額の計算方法

寄附金上限額は、下記計算からも算出できます。

住民税所得割額×課税所得に応じた割合+2,000円

課税所得に応じた割合は、課税所得額によって下記のように変動します。

課税所得金額寄附金上限額の計算式
〜195万円以下住民税所得割額×23.559%+2,000円
195万円超〜330万円以下住民税所得割額×25.066%+2,000円
330万円超〜695万円以下住民税所得割額×28.744%+2,000円
695万円超〜900万円以下住民税所得割額×30.068%+2,000円
900万円超〜1,800万円以下住民税所得割額×35.520%+2,000円
1,800万円超〜4,000万円以下住民税所得割額×40.683%+2,000円
4,000万円超住民税所得割額×45.398%+2,000円

※国民健康保険控除、介護保険料などの社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除など所得控除は考慮されていません。

住民税所得割額は毎年6月頃に届く「住民税課税決定通知書」内の「都道府県税の税額控除前所得割額」と「市民税の税額控除前所得割額」の合計、または「課税所得×10%」で算出できます。
なお、これらの数値は目安となるため、正確な金額を把握したい場合は税理士などの専門家に確認することがおすすめです。

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年金以外の所得があってもふるさと納税できる

年金受給者でもふるさと納税できる?節税効果や注意点を解説

年金以外に給与所得や不動産所得などがあっても、ふるさと納税できます。むしろ年金収入だけの人よりも、年金以外の所得がある人の方がふるさと納税の恩恵は大きいでしょう。 ただし、同じように寄附金上限額があるため、損しないためにも上限額の目安を把握しておくことがポイントです。

年金以外の所得がある場合の寄附金上限額の計算方法

年金以外の所得がある場合、下記手順で寄附金上限額を計算します。

  1. 所得金額を算出
  2. 課税所得金額を算出
  3. 住民税所得割額を算出
  4. 「住民税所得割額×課税所得に応じた割合+2,000円」で上限額を算出

所得は、以下のように必要経費や各種控除を差し引いた額です。

公的年金公的年金収入−公的年金控除
民間の個人年金年金収入−必要経費
給与所得不動産収入−必要経費(−白色または青色申告控除)
不動産所得給与収入−給与所得控除

算出した所得金額から社会保険料控除や配偶者控除などの所得控除を差し引いた額が、課税所得金額です。そして住民税所得割額は「課税所得金額×10%」または「住民税課税決定通知書」から算出できます。
年金収入がある人との違いは、年金収入以外の所得を算出し、かつ所得合計からもろもろの控除を差し引かなければならない点です。計算の手順は増えますが、基本の計算式は年金収入のみの人と同様です。

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節税するなら!ふるさと納税した年金受給者は申告が必要

年金受給者でもふるさと納税できる?節税効果や注意点を解説

ふるさと納税は、ただ納税するだけで自動的に税額控除を受けられるわけではありません。控除を受けるには、「ワンストップ特例制度」または「確定申告」のどちらかで申告が必要です。

ワンストップ特例制度が利用できる人

ワンストップ特例制度とは、自治体に申告書を送るだけで対象額が控除される制度です。ワンストップ特例制度が利用できるのは、下記条件に該当する人です。

・確定申告や住民税申告が必要がない
・1年間でふるさと納税した自治体が5つ以下

必要書類を寄附先の自治体に送付することで、自治体が寄附者の納税地である市区町村に連絡し、翌年に税額が控除されます。なお、複数の自治体に寄附した場合、すべての自治体に書類を提出しないとワンストップ特例制度が適用されません。

ワンストップ特例制度の利用方法

ワンストップ特例制度は、翌年1月10日までにふるさと納税したすべての自治体に下記書類を提出します。

・ワンストップ特例制度の申請書
・本人確認書類

本人確認書類はマイナンバーカードの写し、または提出先の自治体が公的書類と認める書類2点以上の写しとなります。
申請書と本人確認書類を寄附先の自治体に送付するだけの簡単な手続きですが、提出期限があるため要注意です。

確定申告が必要な人

下記条件に該当する人はワンストップ特例制度が利用できないため、確定申告が必要です。

・年金収入が400万円を超える
・年金以外の所得がある
・1年間でふるさと納税した自治体が6つ以上

給与所得者で年金収入や自治体数がワンストップ特例制度の利用条件を満たしていても、勤務先で年末調整がされない、自営業や個人事業主で年間20万円以上の所得がある人は確定申告が必要です。

確定申告の方法

確定申告は、e-Taxによる電子申告、または申告書を税務署へ直接提出・郵送します。ふるさと納税した自治体から「寄附受領証明書」が届くため、記載金額を確定申告書Bの第二表「24.寄附金控除」と最下部「住民税・事業税に関する事項」の「寄附金控除」に記入しましょう。
初めての確定申告で不安な人は「国税庁 確定申告書作成コーナー」 や税務署の無料相談窓口などを利用することがおすすめです。

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年金受給者がふるさと納税する際の注意点

年金受給者でもふるさと納税できる?節税効果や注意点を解説

年金受給者は、下記ポイントに注意してふるさと納税しましょう。

収入によってふるさと納税の恩恵が受けられない

収入が公的年金のみの場合、65歳未満で年100万円以下、65歳以上で150万円以下の人はふるさと納税しても控除がありません。ふるさと納税がメリットを発揮するのは、所得税や住民税の課税対象となる収入がある場合です。

寄附金上限額の超過分は自己負担になる

所得金額に応じて寄附金には上限があります。上限額以内でふるさと納税した場合は、自己負担額2,000円を除いた寄附金が還付や控除の対象です。上限額を超過した分は自己負担額となるため、最大限ふるさと納税のメリットを得るには、自身の収入と寄附金上限額を把握する必要があります。

寄付金上限額が低くなるケースがある

年金受給者が受けられる控除は、社会保険料控除や生命保険料控除、医療費控除などさまざまです。ふるさと納税で受けられる控除には限度があるため、受けている控除が多いほど寄附金上限額が低くなるケースがあります。

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年金受給者のふるさと納税から申告までの流れ

年金受給者でもふるさと納税できる?節税効果や注意点を解説

ここでは、ふるさと納税してから控除を受けるまでの流れを紹介します。

①自治体を選ぶ

まずは、ふるさと納税する自治体を決めます。自治体は自由に選ぶことができ、もらいたい返礼品から選ぶことも可能です。「さとふる」 「ふるなび」 「ふるさとチョイス」 など各種ふるさと納税サイトを利用して寄附先を選択しましょう。

②寄附金を納める

寄附先の自治体・返礼品を決めたら、実際に寄附金を納めます。納付方法はクレジットカードやコンビニ払い、Pay-easy決済やコンビニ払いなどさまざまです。利用するふるさと納税サイトによっても異なります。

③返礼品・証明書を受け取る

寄附金を納めると、自治体から返礼品と寄附金受領証明書が届きます。返礼品によっては一定期間後に届くものもあり、先に寄附金受領証明書だけが届くケースもあります。寄附金受領証明書は、ワンストップ特例制度や確定申告で必要になるため、失くさないよう保管しましょう。

④ワンストップ特例または確定申告を行う

ワンストップ特例制度を利用する人は翌年1月10日までに、確定申告する人は翌年2月16日〜3月15日の間で手続きしましょう。ワンストップ特例制度は、寄附先の自治体すべてに申請書と本人確認書類を送付しなければなりません。送付漏れがあると控除が無効となるため、要注意です。

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年金受給者でもふるさと納税で節税できる!仕組みを理解しよう

年金受給者でもふるさと納税できる?節税効果や注意点を解説

ふるさと納税のメリットは、自己負担額2,000円で返礼品がもらえ、自己負担額を差し引いた寄附金額が翌年の所得税・住民税で控除されることです。そのため、年金受給者でも所得税や住民税の課税対象となる一定以上の収入がある場合に、ふるさと納税の恩恵が受けられます。ふるさと納税のメリットを得るには、寄附金上限額や寄附後の手続きなど、仕組みを理解しましょう。

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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。