SAPエンジニアとは?仕事内容・年収・必要スキルなども解説
※当サイトは人材関連サービスを展開する株式会社エイジレスが運営しています。本ページは自社および提携先のPRを含む場合があります。
SAPエンジニアを目指す中で、具体的にどのような業務内容か詳しく知りたいという人も多いのではないでしょうか?本記事では、SAPエンジニアの仕事内容からはじまり、年収や将来性、必要なスキルなどをまとめて解説します。
- 【この記事を読んでわかること】
- SAPエンジニアは、その名のとおりSAP社のERP製品を専門的に扱い、企業の業務プロセス改善を支援するITエンジニア
- SAPエンジニアの正社員の平均年収は612万円とITエンジニア職の中でも高年収
- 従来のSAP製品サポート終了による特需「2027年問題」により、SAPエンジニアの需要は非常に高まっている
- SAPエンジニアに求められるスキルは「SAP製品のスキル」「ユーザー業務の知識」「ABAPでのコーディングスキル」
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SAPエンジニアとは|SAP製品を専門に扱うエンジニア
SAPエンジニアとは、その名のとおりSAP社のERP製品を専門的に扱うITエンジニアのことです。
ERP製品を導入するには技術力だけでなく、企業の業務に対する深い知識も求められます。
SAPエンジニアの役割
SAPエンジニアは、SAP製品の導入や運用を通じて業務効率化や生産性向上、内部統制やコスト削減など企業のビジネス課題そのものを改善する役割が期待されています。
SAP製品は業務プロセスの効率化を目指すソフトウェアであり、導入には技術力だけでなくその企業の業務に関する深い知識が必要です。
そのため、SAPエンジニアはSAPソフトウェアの設定やカスタマイズ、運用支援などだけでなく、クライアントのビジネス課題解決の視点も重要となります。
SAPエンジニアとSAPコンサルタントとの違い
SAPエンジニアと混同される職種としてあげられるのが、SAPコンサルタントです。
両者は基本的な業務範囲が異なり、上流工程をSAPコンサルタント、下流工程をSAPエンジニアが担当します。
SAPコンサルタントは顧客の補佐として、企画などの上流工程をメイン業務として担います。そのため、SAPコンサルタントは経営者視点に立って将来的な企業運営まで考えることが必要です。
一方で、SAPエンジニアは、設計や開発・テストなどの下流工程を中心に導入作業を担当します。
要件として定義された機能を、SAP製品の導入を通して実装するのがSAPエンジニアの役割です。
ただし、企業によってはSAPコンサルタントとSAPエンジニアを細かく区別せずに、まとめてSAPエンジニアと総称されることがあるため注意が必要です。
次では、もう少し詳しくSAPエンジニアの仕事内容をみていきましょう。
SAPエンジニアの仕事内容|SAP製品の導入・運用サポート
SAPエンジニアは企業の業務要件に合わせて、SAP製品が提供する多彩な機能の中から必要な機能を抽出して適用します。
SAPがおもに対応する領域は企業の基幹システムであり、大規模ながら高い品質が求められるため、SAP製品の導入はウォーターフォールモデルが選択されます。アジャイル開発のように、スピーディーにユーザーのフィードバックを取り入れながら開発する柔軟な手法をとることは非常に稀です。
ここでは、SAPエンジニアの仕事内容を工程ごとにみていきましょう。
なお、No1企画工程はSAPコンサルタントがメインとなり、No2要件定義工程より後はSAPエンジニアが主担当となります。
No | 工程 | 仕事内容 |
---|---|---|
1 | 企画 | 導入目的の明確化、製品の選定 |
2 | 要件定義 | 業務分析を通してユーザーが求める機能を把握 |
3 | 設計 | 要件定義をもとにパラメータ・アドオン設計 |
4 | 開発 | パラメータ設定、アドオン開発 |
5 | テスト | 設定・開発内容に対して不具合がないことを検証 |
6 | トレーニング・移行 | 顧客へ製品の利用方法を指導、導入したSAPシステムをリリース |
7 | 運用保守 | リリース後の運用サポート、モニタリングやアップデート |
1.企画
企画工程はユーザーが主担当ですが、SAP製品の導入を検討する際には専門知識が必要なため、SAPコンサルタントが補助として参画します。
企画工程で行う業務は、企業の経営・情報戦略とリンクしたシステムの「導入目的」や「適用範囲」の明確化です。
その後、候補となる各ベンダーに対してFRI(情報提供依頼書)・RFP(提案依頼書)を送り、回答をもらった上で検討を重ねて目的や範囲に適切な製品を選定します。
2.要件定義
要件定義より後の工程をメインで担当するのがSAPエンジニアです。
要件定義では、「Fit & Gap」といわれる作業を中心に進めて、ユーザーから現行業務をヒアリングしたうえでSAPのプロセスと差異がないかを分析していきます。
現行業務とSAPのプロセスで不一致がある場合は、「業務をSAPのプロセスにあわせる」「SAPをアドオン開発して業務にあわせる」かのいずれかを検討します。
業務をSAPのプロセスにあわせる場合、ToBe業務プロセスを変更する必要があるためユーザーの訓練が必要です。しかし、SAPで定義されたグローバル標準のプロセスに業務を変革できます。
SAPをアドオン開発して業務にあわせる場合、アドオン開発により費用や開発工数が増加しますが、ToBe業務の変更は必要ありません。
すべてのギャップの対応方針が決定したら、新業務プロセスとしてまとめることができます。
3.設計
設計工程では、要件定義のアウトプットをもとに行うのが、SAPのパラメータとアドオン開発する機能の設計です。
SAPのパラメータ設計では、後続の開発工程で実装する機能を設計ドキュメントにまとめてユーザー含めて認識合わせを行います。
ユーザーはおもに、設計内容が業務要件を満たしているか、ロジックに誤りがないかを確認します。
SAPは多くの業界のグローバル標準に対応していますが、その分設定項目が非常に多く、さらに適用する分野の業務知識も必要になるためSAPエンジニアのような専門性を持つ人材でないと設計作業は対応できません。
また、アドオン開発する機能は、機能概要をまとめた基本設計とプログラムでの実装レベルでシステムの内部構造を定義する詳細設計を行います。
4.開発
設計工程のアウトプットをもとに、SAPへのパラメータ設定やアドオン開発機能を実装します。
SAPへのパラメータ設定は、サーバーにインストールされたSAP製品に対してパラメータを設定する作業です。このパラメータ設定の作業を、企業によってはカスタマイズ・コンフィグレーションと呼びますが意味は同じです。
また、開発工程でアドオンを実装します。SAPは「ABAP」という独自のプラグラミング言語が使用されているため、アドン開発もABAPでコーディングする必要があります。
5.テスト
テスト工程で実施するのは「システム観点のテスト」「業務観点のテスト」の大きく2つです。
システム観点のテストは、ベンダーが主担当となります。
開発したアドオンの動作確認や、要件定義工程で取りまとめた新業務プロセスをベースにテストシナリオを作成し、SAP標準機能・アドオン開発機能が問題なく動作するかを検証します。
業務観点のテストは、受入テストと呼ばれるユーザーが主担当となる検証作業です。
受入テストでは、新業務プロセスをベースに作成したテストシナリオや、実際の業務に合わせてSAPシステムを使用して問題なく業務が行えることを検証します。
6.トレーニング・移行
新業務プロセスの説明とSAPシステムの使用方法を、説明会やマニュアル配布を通じてユーザーへ指導します。
上記のようなトレーニングは一般的には顧客担当者が行うため、SAPエンジニアは顧客担当者への事前レクチャーを実施します。
トレーニング完了後、現行システムから新システムへのデータ移行を行い、いよいよ本稼働です。
7.運用保守
本稼働後はユーザーからの問い合わせに備えて、滞りなく業務を行えるように運用サポートを実施します。
また、モニタリングやアップデートなどによりシステムの安定稼働を支援します。
次では、SAPエンジニアの年収を見ていきましょう。
SAPエンジニアの年収は平均612万円
SAPエンジニアは非常に需要が高く高年収な職業です。
以下の3つの観点から解説します。
- 正社員のSAPエンジニアの年収相場は612万円
- フリーランスのSAPエンジニアの年収相場は948万円(79万円/月)
- 派遣社員のSAPエンジニアの年収相場は682万円
正社員のSAPエンジニアの年収相場は612万円
弊社が大手求人サイトを調査したところ、正社員募集での平均年収は612万円です。
国税庁による民間給与所得者の平均年収は443万円であり、SAPエンジニアは一般の給与所得者と比べて年収が高いことがわかります。
ご参考までに、未経験のSAPエンジニアの年収は362万円〜428万円ほどと見込まれます。
※SAPエンジニアの平均年収612万円から、未経験のSAPエンジニアの年収を平均年収の6〜7割と推定
フリーランスのSAPエンジニアの年収相場は948万円(79万円/月)
弊社が大手フリーランスサイトを調査したところ、平均月収は約79万円で、12ヶ月間稼働した場合のフリーランスでの年収期待値は約948万円です。
フリーランスであれば年収1,000万円以上も夢ではありません。
エイジレスフリーランスのSAPエンジニアの求人例は以下のとおりです。
SAPエンジニア(PMO):90万円/月
一定規模のSAPプロジェクトでPMO経験を有すること
SAPエンジニア(運用保守):90万円/月
SAP Basisの運用経験を有すること
派遣社員のSAPエンジニアの年収相場は682万円
弊社が大手求人サイトを調査したところ、派遣社員のSAPエンジニアの平均月収は約57万円で、12ヶ月間勤務した場合の年収期待値は約684万円です。
正社員の平均年収612万円を上回っていますが、需要が高く専門性が求められる職種では正社員の給料を上回るケースもあります。
※上記の正社員情報フリーランス情報・派遣社員情報はともにランダムに求人情報を抽出し、求人募集の平均を算出
詳しくは次の章で解説しますが、現在SAPには「2027年問題」という特需があり、しばらくSEPエンジニアのニーズは高く高年収が期待できるでしょう。
次では、SAPエンジニアの将来性を解説します。
SAPエンジニアの将来性は高く、現在の需要も高い
SAPエンジニアの将来性は高く、現在の需要も非常に高いです。
おもな理由は以下の2つです。
- 大手求人サイトでのSAPエンジニアの募集数が1年で2.5倍に増加
- SAPの2027年問題
ひとつずつ解説します。
大手求人サイトでのSAPエンジニアの募集数が1年で2.5倍に増加
大手求人サイトのSAPエンジニアの募集数は増加傾向にあり、2022年4月と2023年5月を比較すると約2.5倍に増加しています。
※大手求人サイトが公開しているグラフデータや実際の求人数を数値化して算出
SAPの2027年問題
非常に需要が高いSAPエンジニアですが、そのニーズは2027年に向けてさらに高まると予想されます。
その理由としては、現在多くの企業で利用されている「SAP ERP 6.0」が2027年に標準サポートを終了するためです。
「SAP ERP 6.0」を導入している企業数はSAP公式では非公開ですが、国内に2,000社以上あるといわれています。
これらの企業が一斉に対応を迫られることから「2027年問題」と呼ばれています。
なお、対象の企業は「次期製品SAP S4/HANAへの移行」「ほかのERPサービスへ移行」「追加料金を支払って現行のSAP ECC 6.0を継続利用」のいずれかの対応が必要です。
SAP製品は企業の基幹システムであり、その移行作業は大規模なものになるでしょう。そのため、SAPエンジニアに対する需要が高まることが見込まれています。
ほかにも、SAPエンジニアの将来性が高いという理由として「クラウドサービスの普及により導入の選択肢が拡大」「デジタル化の取り組みが加速」「国内企業のグローバル化への対応」などがあげられます。
SAPエンジニアの将来性に関して、以下の記事で詳細に解説しています。興味がある人は読んでみてください。
▼SAPエンジニアの将来性を詳しく知りたい人はこちら
SAPエンジニアの将来性は高い!需要状況と年収を解説します
SAPエンジニアの仕事は製品に依存するため、将来性が不安な人も多いのではないでしょうか?SAPエンジニアはオワコンとの声もありますが、
次では、SAPエンジニアに必要なスキルを解説します。
SAPエンジニアに必要な3つのスキル・知識
SAPエンジニアとして活躍するために必要となる、代表的なスキル・知識は以下の3つです。
- SAP製品に関する専門スキル
- ユーザーの業務に関する知識
- プログラミング言語「ABAP」のスキル
SAP製品に関する専門スキル
SAPエンジニアは大前提として、SAPの機能や構造、導入方法などの製品知識が不可欠です。
SAPはさまざまな業務に対応する製品があり、SAPエンジニアはそれぞれの機能や構造などを理解することでユーザーのニーズに応えるソリューションの提供が可能となります。
また、トランザクションコードというSAP内で特定の処理を行うコマンドを使いデータ登録や更新、帳票の作成などを行います。
このようなSAP製品に関する専門スキルがないと、標準機能で実現できる処理をわざわざアドオン開発してしまうなど、無駄な作業が発生してしまうので非常に重要なスキルです。
ユーザーの業務に関する知識
SAP製品を導入する企業の目的のひとつに業務効率化があります。そのため、SAPエンジニアにはユーザーの業務知識が必要となります。
特に要件定義工程で行うFit & Gapでは、ユーザーがふだんどのように業務を行なっているかを理解してSAPのプロセスとの差異がないかを分析するので、ユーザーの業務に関する知識が不可欠です。
業務知識がないと「ユーザーが○○という業務を行うためにはSAPの△△という機能を使う必要があり、□□というパラメータを有効にしなければならない」という実装イメージに結びつけることができなくなります。
このため、SAPエンジニアにはユーザーの業務知識が求められます。
プログラミング言語「ABAP」のスキル
SAPエンジニアには、「ABAP」というプログラミング言語のスキルが必要です。
ABAPはSAPシステムの開発のみで使用される言語で、習得しているエンジニアは少ないといわれています。
Fit & Gap分析で現行業務とSAPのプロセスに差異があり、ToBe業務をSAPシステムをあわせる方針とした場合、アドオン開発が必要になります。
アドオン開発はABAPを使用して行われるため、SAPエンジニアにとってABAPでのコーディングスキルは不可欠です。
SAPエンジニアはABAPのスキルを身につけることで仕事の幅を広げられるでしょう。
次では、SAPエンジニアのキャリアパスを解説します。
SAPエンジニアの3つのキャリアパス
SAPエンジニアには多岐にわたるキャリアパスがありますが、代表的なものは以下の3つです。
- SAPエンジニアからプロジェクトマネージャーを目指す
- 経験を積んだ後、SAPコンサルタントへ
- 経験を積んだ後、フリーランスとして独立
それぞれ解説します。
SAPエンジニアからプロジェクトマネージャーを目指す
SAPエンジニアとして専門性を保有しており、さらにリーダーシップを発揮してプロジェクトを推進できる人はプロジェクトマネージャーの道があります。
経済産業省によると、プロジェクトマネージャーの平均年収は892万円で、IT関連職種でもコンサルタントに次ぐ高年収です。
SAPはそのニーズの高まりから多くのプロジェクトが立ち上がります。
さらに、SAPは企業の基幹システムであるためプロジェクト規模が大きくなることが多く、複数人のプロジェクトマネージャーでプロジェクト体制を構築するケースも珍しくありません。プロジェクトマネジメントのスキルさえあれば、実現する期待値が高いキャリアパスでしょう。
プロジェクトマネージャーは難易度が高くプレッシャーを感じることもありますが、プロジェクトの成功をチーム全員で共有したいという価値観の人にとっておすすめのキャリアパスです。
参考:「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果|経済産業省」
経験を積んだ後、SAPコンサルタントへ
経済産業省によると、ITコンサルタントの平均年収は929万円でIT関連職種の中では最も高年収です。
SAPコンサルタントになるには、コンサルティングファームに転職するなどの方法があります。
最近のコンサルティングファームは、企画支援などの上流工程だけでなく、導入までのすべての工程をまとめて対応するビジネスモデルを展開しています。
そのため、SAPエンジニアからSAPコンサルタントとして活躍する実現性は高いです。
SAPコンサルタントはSAP製品や業務知識のみでなく、企業経営に関する知識や高い問題解決スキルも求められます。
論理的思考力を磨きつつ、責任が大きく高年収な仕事をしたい人に適したキャリアパスです。
参考:「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果|経済産業省」
経験を積んだ後、フリーランスとして独立
SAPエンジニアは、フリーランスとして独立するキャリアパスもあります。
前述しましたが、SAPエンジニアの大手フリーランスサイトでの平均月収は約79万円で、年収に換算すると期待値は約948万円です。
SAPに対するニーズは高いのですが、SAPが提供するトレーニングは高額であるため未経験者がその知識やスキルを身につけるのはハードルが高いです。
参入障壁が高いため、SAPエンジニアは独立しやすいといえます。
フリーランスであれば、さまざまな案件の中から伸ばしたいスキルの案件にチャレンジできるのでスキルアップしやすい環境で働けます。
さらに、最近ではリモート対応可能なSAP関連の案件も増加傾向です。
フリーランスは、柔軟な働き方を望み、自己管理能力が高い人に向いているキャリアパスです。
フリーランスにおすすめの案件探し方法
フリーランスエージェントは、それぞれ保有している案件が異なるため、2〜3社に登録しておくと収入が途絶えるリスクを軽減できます。
迷った場合は、実績が豊富な『Tech Stock』や、年齢不問/ハイクラス案件特化の『エイジレスフリーランス』がおすすめです。
①Tech Stock
20年目の実績があるフリーランス案件紹介サイト。これまでに築いた信頼により月80万円をこえる高単価案件も多数あります。
スキルアップや税務関連のサポートなど、フリーランス向け福利厚生サービスも利用可能なため、まだどこにも登録していない人でも安心して利用できます。
【公式】https://tech-stock.com/
②エイジレスフリーランス
年齢不問/上流商流のハイクラス案件に特化したエージェント。
SIer・コンサル・大手SESなどの案件を多数保有しており、ユーザーからの評判が良く誠実な対応も強みです。
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SAPエンジニアにおすすめの4つの資格
SAPエンジニアにおすすめの資格を、「未経験からの転職に役立つ」「年収アップを狙える」という観点から4つに絞って紹介します。
- 未経験に役立つ1:応用情報技術者試験
- 未経験に役立つ2:SAP認定コンサルタント資格(アソシエイト)
- 年収アップに役立つ1:SAP認定コンサルタント資格(スペシャリスト・プロフェッショナル)
- 年収アップに役立つ2:プロジェクトマネージャー
未経験に役立つ1:応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、IT技術の知識を幅広く問う国家資格で、IT技術にとどまらず管理・経営まで幅広い知識が身につきます。
実施時期は4月と10月の年2回で、午前と午後の2部構成でどちらも試験時間は150分となっています。
国家試験である情報技術者試験の試験区分レベル1〜4の中では「レベル3」に位置づけられており、合格率は25%前後です。
また、ITに関する基礎知識を持つ人なら200時間程度で合格できるといわれています。
SAPエンジニアに特化した資格ではありませんが、IT技術にとどまらず幅広い知識が身につくので、顧客と多くの接点があるSAPエンジニアの業務に役立ちます。
参考:「応用情報技術者試験|独立行政法人 情報処理推進機構」
未経験に役立つ2:SAP認定コンサルタント資格(アソシエイト)
SAP認定コンサルタント資格は、SAP社が公式にSAPに関する知識を保有していると認定する資格制度です。
アソシエイト・スペシャリスト・プロフェッショナルの3つに分類されますが、未経験者であれば基本的なスキルを問われる「アソシエイト」の受験をおすすめします。
SAP認定コンサルタント資格は以下の3つの分野に分けられ、各分野内にアソシエイト試験があります。
分野 | 対象者 | 認定スキル |
---|---|---|
アプリケーションコンサルタント | SAPコンサルタント向け | 業務プロセスの効率化スキル |
デベロップメントコンサルタント | プログラマーやエンジニア向け | アプリケーション開発スキル |
テクノロジーコンサルタント | インフラエンジニア向け | SAPパッケージ導入スキル |
7割程度の正解率が合格ラインとなっており、SAP製品の未経験者にはやや難しいと感じる難易度です。
実務経験の有無により大幅に変わりますが、30時間から40時間が目安となります。なお、SAP未経験の大学生が40時間ほどで合格した事例もありました。
SAP認定コンサルタント資格を保持しているとグローバルにその知識を証明できます。就職や転職において有利に働くことは間違いないでしょう。
年収アップに役立つ1:SAP認定コンサルタント資格(スペシャリスト・プロフェッショナル)
SAP認定コンサルタント資格のアソシエイトの上位認定が「スペシャリスト・プロフェッショナル」です。
2023年7月時点で提供されているSAP認定資格はアソシエイトが132種類に対して、スペシャリストが10種類、プロフェッショナルが5種類でした。
スペシャリスト認定資格は、アソシエイト認定の内容に加えてより具体的な知識・スキルをカバーしています。
また、プロフェッショナル認定資格は、実際にプロジェクトや業務に関する実践的で深い知識が求められます。
スペシャリスト認定やプロフェッショナル認定は、対象分野での専門家としてみなされるため年収アップにつながる可能性が高いでしょう。
年収アップに役立つ2:プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャー試験は、プロジェクトマネジメント業務を担当する高度なIT人材を認定する国家資格です。
実施時期は10月の年1回で、試験は午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱの4部構成となっています。
国家試験である情報技術者試験の試験区分レベル1〜4の中では「レベル4」の最高難易度に位置づけられており、近年の合格率は15%前後です。
プロジェクトマネージャーの実務経験がある人であれば60時間から120時間の勉強時間で合格できるといわれています。
SAPエンジニアのニーズは非常に高く、加えてプロジェクトマネジメントができる人材はさらに市場価値が上がり年収アップが見込まれます。
参考:「プロジェクトマネージャ試験|独立行政法人 情報処理推進機構」
次では、SAPエンジニアに向いている人の特徴を解説します。
SAPエンジニアに向いている人の3つの特徴
SAPエンジニアに向いている人の特徴を3つ紹介します。
- ユーザー業務への関心が高い
- 問題解決力が高い
- 継続的に学習意欲を持つことができる
ユーザー業務への関心が高い
SAPを導入する企業は、業務プロセス改善による効率化を求めているので、SAPの導入を担うエンジニアは技術的なことだけでなくユーザー業務に対する深い理解が必要です。
業務知識を身につけるためには、ユーザー業務への関心を持って知識を蓄積する必要があります。
ユーザー業務への関心を持たずにSAP製品の導入を行う場合、ユーザー業務とSAPの機能をマッチングできずに、結果としてユーザーは不満を抱くことでしょう。
ユーザー業務への関心が高い人ほどSAPエンジニアに適正があります。
問題解決力が高い
SAPエンジニアは、ユーザー業務への関心だけでなく、そのユーザーが抱えている問題を見抜いて改善策を提案するスキルが必要です。
問題解決力がないと、問題の対応方針の検討をユーザーのみに委ねてしまうことになり、信頼を損ねます。
そのため、本質的な問題を定義する分析力や、ユーザーを巻き込みながら最適な改善策を提案するスキルなどの問題解決力が高い人がSAPエンジニアに向いているでしょう。
継続的に学習意欲を持つことができる
SAPは市場の変化に対応するために、常に進化し続けています。
そのため、継続的にSAP製品やビジネス面での変化をキャッチアップできない場合、ユーザーのニーズに応えられない可能性があります。
継続的な学習意欲を持つ人はSAPエンジニアに向いているでしょう。
次では、未経験からSAPエンジニアになるためのステップを解説します。
未経験からSAPエンジニアになるための3つのステップ
未経験からSAPエンジニアになるためのステップは、以下の3つです。
- ITに関する基本的な知識・スキルを身につける
- 各モジュールのどれかに精通できるポジションに身を置く
- SAPを扱うポジションへ異動する
1.ITに関する基本的な知識・スキルを身につける
SAPエンジニアは売り手市場とはいえ、ITに関する基本的なスキルを習得していないとSAPエンジニアになることは難しくなります。
現在ITエンジニアとして活躍しているのであれば問題ありませんが、まずはITエンジニアとして働ける企業で経験を積み、ITに関する基本的な知識・スキルを習得しましょう。
2.各モジュールのどれかに精通できるポジションに身を置く
SAP未経験の場合は、SAPがカバーする領域のどこかに専門性を持っていないとSAPエンジニアになることは厳しくなります。
そのため、まずは「財務会計・管理会計・販売管理・購買管理/在庫管理・生産計画/管理」などいずれかの代表的なモジュールにひもづく部署で働ける企業で経験を積み、専門性を身につけましょう。
3.SAPを扱うポジションへ異動する
SAPは、書籍やネットなどの情報を通して即戦力になることは難しく、独力で未経験からSAPエンジニアになるハードルは高いです。
そのため、未経験からSAPエンジニアになるためには、転職を通じて企業に勤めながらSAPの実務経験を積むことがメインルートになります。
未経験からSAPエンジニアになるにはハードルがあるのは事実ですが、一方でそのハードルをクリアすると市場ニーズが高く活躍の場が広がっています。
次では、SAPエンジニアが活躍する企業の実例を見ていきましょう。
SAPエンジニアが活躍する企業の実例3つ
SAPエンジニアが活躍する企業をみていきましょう。
実際にSAPエンジニアを募集している求人情報から、キャリアパスとしておすすめの企業を紹介します。(※2023年7月時点の求人情報より)
NECソリューションイノベータ株式会社
NECソリューションイノベータは、官公庁や産業をおもな顧客としたメーカー系のSIerです。
市場のDX化推進の取り組みが加速しており、SAPのクラウド化ニーズの高まりに応えるためSAPエンジニアを求めています。年収は経験やスキルによって異なり、500万円から700万円です。
大手SIerでは協力会社を取りまとめてプロジェクトを推進するため、プロジェクトマネージャーなどゼネラリストとしてキャリアを広げることも期待できます。
アクセンチュア株式会社
アクセンチュアは世界最大級の経営コンサルティングファームで、コンサルティングとIT技術の活用による業務変革の推進が中核事業です。
SAP需要の高まりからSAPエンジニアを積極採用しており、年収は500万円から1,500万円と幅が大きく、実績やスキルによって評価されます。経験を積んでパートナークラスまで昇格した場合、年収数億円を目指すことも可能です。
アクセンチュアでは上流工程とマネジメント業務に特化できることが特徴です。さらに、SAPを中核に据えながらも新しいテクノロジーへと仕事の幅を広げていくことができます。
コニカミノルタ情報システム株式会社
コニカミノルタ情報システムは、コニカミノルタグループ唯一の情報システム会社です。
コニカミノルタグループは現在、経営基幹システムの抜本的な再構築を推進しており、SAPエンジニアの採用を強化しています。
求人情報によると、年収は550万円から800万円ほどです。
コニカミノルタ情報システムでは、グループ各社に戦略的なIT活用に関して情報化構想・企画フェーズから取り組むことができ、IT戦略からシステム導入や運用まで幅広く活躍する場があります。
次では、キャリア形成を支援するサービスを紹介します。
SAPエンジニアの独立や転職はエイジレスにお任せください
独立や転職はエージェントの活用がおすすめです。
「エイジレス」では現在SAPエンジニアとして就業されている人や、これからSAPエンジニアを目指したい人向けに、キャリア相談や独立時の案件紹介をさせていただいています。
転職希望者向けの「エイジレスエージェント」は、以下の3点が特徴です。
- 年齢不問の案件のみの取り扱い
- 企業との信頼関係があることによる高い面談/内定率
- 年収大幅アップでの内定実績多数
「エイジレスエージェント」をご活用いただくと、前の章でご紹介した企業の案件があれば転職まで丁寧にサポートいたします。また、上記企業以外の案件の取り扱いも豊富です。
フリーランス向けの「エイジレスフリーランス」は、以下がおすすめポイントです。
- 年齢不問の案件のみの取り扱い
- 高単価案件が豊富、上流商流の案件も多数取り扱っている
- 40代以上のベテランIT人材の大幅年収アップ事例多数
エイジレスのサービスはすべて年齢不問の求人のみを扱っているため、年齢に不安がある人でも安心してご利用いただけます。
まとめ|「2027年問題」の特需によりSAPエンジニアは売り手市場!
この記事を通して、以下4つのことがわかりました。
- SAPエンジニアは、その名のとおりSAP社のERP製品を専門的に扱い、企業の業務プロセス改善を支援するITエンジニア
- SAPエンジニアの正社員の平均年収は612万円とITエンジニア職の中でも高年収
- 従来のSAP製品サポート終了による特需「2027年問題」により、SAPエンジニアの需要は非常に高まっている
- SAPエンジニアに求められるのは「SAP製品のスキル」「ユーザー業務の知識」「ABAPでのコーディングスキル」
SAPエンジニアは、「2027年問題」の特需に加えて、クラウド技術の発展やデジタル化やグローバル化の加速により今後はさらに需要が高まることが見込まれます。
SAPエンジニアへのキャリアチェンジや、SAPエンジニアとしてのキャリアアップを考えている人にとってこの上ないチャンスです。
キャリアプランのお悩みを抱えているという人は、お気軽に「エイジレス」にご相談ください。
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