厚生年金の受給に必要な加入期間は?満たせてない時の対処法もあわせて解説
※当サイトは人材関連サービスを展開する株式会社エイジレスが運営しています。本ページは自社および提携先のPRを含む場合があります。
将来厚生年金を受け取るには、加入期間の条件を満たすことが必要です。加入期間の条件を満たせないと厚生年金だけでなく、国民年金も受け取れなくなってしまいます。そこで今回は、厚生年金の受給に必要な加入期間についてわかりやすく解説します。あわせて、加入期間が満たせずに厚生年金が受け取れない時の対処法なども紹介しています。
- 【この記事を読んでわかること】
- 厚生年金の受給には、年金保険の加入期間が10年以上必要
- 加入期間の扱いは、転職などで変わってくる
- 加入期間を満たせない場合、追納や任意加入制度の利用で対処できる
ライフプランが不安ならFPへ相談を
ライフプランや資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
将来に漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。
まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル 』への相談がおすすめです。
- 無料で何度でも相談できる
- 会員100万人突破
- 全国47都道府県対応
- 無理な勧誘や営業は一切なし
- 【公式】https://hokench.com/
厚生年金を受給するには10年以上の加入期間が必要
厚生年金は年金保険の加入期間が10年以上あれば、原則65歳より受給できます。この条件は国民年金にも相当するものであり、そもそも10年以上の資格期間を満たせないと厚生年金だけでなく、国民年金も受け取れません。
これまでは25年以上が必要だった
年金受給に必要な保険加入期間が10年以上となったのは、平成29年8月1日からです。それ以前は国民年金と厚生年金を受給するにあたって、必要な加入期間は原則25年以上でした。必要な加入期間が15年も短縮した背景には、下記のような年金制度の課題があります。
加入期間を10年以上に変更した背景
厚生年金は給料から天引きされるため強制的に保険料が納付されますが、国民年金保険料は納付者がみずから支払う必要があります。そのため、なんらかの理由で保険料の納付を滞納する人も多く、それゆえに受給に必要な条件が満たせずに無年金者が発生するといった課題がありました。
加入期間を10年以上に引き下げた結果、25年以上の加入期間はないが10年以上の加入期間はある約64万人の高齢者が年金を受給できるようになったのです。この法改正は「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のため国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」として平成28年11月24日に公布、平成29年8月1日に施行しました。
厚生年金の加入期間とは|10年未満はどうなる
年金の加入期間とは年金保険料を納めていた期間のことを指します。加入期間を理解するには、資格期間とは何かを把握しておくことが必要です。あわせて、ここでは加入期間が10年未満だとどうなるかについてもみていきます。
年金の資格期間とは
年金の加入期間とは、資格期間と同義です。厚生年金を受給するには、国民年金の受給資格期間を含み10年以上が必要です。その上で厚生年金保険の加入期間に応じて、国民年金に上乗せする形で厚生年金が支払われます。資格期間は、下記3つの期間の合算で計算されます。
- 国民年金保険料を納付した期間、免除された期間
- サラリーマンの期間(船員保険を含む厚生年金保険や共済組合等の加入期間)
- カラ期間(年金制度に加入していなくても資格期間に加えられる期間)
参考:厚生労働省「年金を受けとるために必要な期間が10年になりました」
カラ期間は、以下のようにさまざまな期間が対象となります。
- 昭和61年3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間
- 平成3年以前に、学生であるために国民年金に任意加入しなかった期間
- 昭和36年4月以降海外に住んでいた期間
なお、カラ期間は加入期間に含まれますが、年金額の計算には反映されません。
国民年金を含め10年以上の加入期間があれば厚生年金が受給可
前述したとおり、厚生年金は国民年金を含み年金保険加入期間が10年以上必要です。厚生年金保険に10年以上加入していれば国民年金に乗じて厚生年金が受給でき、国民年金の加入期間が10年以上あれば厚生年金の加入期間が10年未満でも厚生年金は受け取れます。つまり、ベースとなるのは国民年金の加入期間であるため、厚生年金を受け取るのに厚生年金保険に10年以上加入しなければならないわけではありません。極端にいえば、厚生年金の加入期間が1ヶ月でも、国民年金の加入期間が10年以上あれば厚生年金が受給できます。ただし、厚生年金は加入期間に応じて受給額が上がるため、加入期間が少ないほどもらえる厚生年金額も少なくなります。
正確な厚生年金の加入期間はねんきんネットで確認できる
会社員または公務員として働いていた期間は、給料から厚生年金保険料が天引きされます。そのあいだは厚生年金の加入期間として扱われるため、10年以上会社員または公務員として働けば必然的に国民年金および厚生年金受給に必要な加入期間が満たせます。会社員または公務員として働いていた期間から厚生年金の加入期間を把握できますが、正確な加入期間は「ねんきんネット」 で確認可能です。ねんきんネットでは、将来受給できる年金見込み額なども確認できます。
【ケース別】厚生年金の加入期間の扱い
20歳から60歳までのあいだに会社員または公務員として働いた期間は、厚生年金の加入期間の対象です。しかし、そのあいだに転職や退職などさまざまな状況が発生するでしょう。その際、厚生年金の加入期間がどう扱われるのかは気になるポイントの1つ。ここではケース別に、厚生年金の加入期間の扱いを解説します。
①転職
転職した場合、転職先で厚生年金の加入期間が継続します。入社時に年金手帳やマイナンバーカードを提出・提示することで、会社側が手続きしてくれます。そのため、転職者本人が厚生年金加入のためにみずから手続きする必要はなく、自動的に転職先で厚生年金保険に加入します。
②会社員から自営業
会社員から自営業になる場合、厚生年金には加入できません。そのため、厚生年金加入者である第2号被保険者から国民年金加入者である第1号被保険者へと切り替わります。会社間の転職とは異なり、国民年金への切り替えは市役所などでご自身での手続きが必要です。
なお、自営業へ切り替えた時点で厚生年金への加入期間が10年未満であっても、国民年金の加入期間が10年以上あれば、会社員時代に納めた分の厚生年金が将来受給できます。その後、また会社員に戻る場合は以前の厚生年金の加入期間に継続され、下記ケースの場合も同様です。
③家族・配偶者の扶養に入る
退職し、家族や配偶者の扶養に入る場合も国民年金へと切り替わります。この場合は自営業と同じ第1号被保険者ではなく、第3号被保険者となります。扶養に入る場合、扶養者が事業主を経由して日本年金機構へ「被扶養者(異動)届」の提出が必要です。扶養に入っても加入期間10年以上の条件を満たしていれば、将来会社員として働いていた分の厚生年金が受け取れます。
④無職期間
なんらかの理由で無職期間が発生する場合でも、国民年金への加入は必須です。家族や配偶者の扶養に入れる場合は第3号被保険者に、扶養に入れない場合は第1号被保険者となります。収入がなくても国民年金保険料の支払い義務が生じますが、難しい場合には免除や納付猶予が受けられます。免除期間や納付猶予期間はカラ期間となるため加入期間として合算できますが、年金額には反映されません。無職以前に厚生年金への加入期間があれば、国民年金を含めて10年以上の加入期間があることで将来厚生年金が受け取れます。
加入期間別にみる厚生年金の受給額
厚生年金は加入期間に応じて、国民年金に上乗せして支払われる年金です。そのため、加入期間が長いほど受け取れる厚生年金額も高くなります。厚生年金受給額は「平均標準報酬月額✕5.769/1,000✕加入月数(480か月)」で計算できます。
ここでは、「令和3年賃金構造基本統計調査」における男女一般労働者の賃金から加入年数別に厚生年金額を表にまとめます。
※賞与なし、加入期間中に給料が変わらないものとして計算
加入期間 | 男性:33.7万円 標準報酬月額:34万円 | 女性:25.3万円 標準報酬月額:26万円 |
---|---|---|
5年 | 約12万円(月額:約1万円) | 約9万円(月額:約0.75万円) |
10年 | 約24万円(月額:約2万円) | 約18万円(月額:約1.5万円) |
20年 | 約47万円(月額:約4万円) | 約36万円(月額:約3万円) |
30年 | 約71万円(月額:約6万円) | 約54万円(月額:約4.5万円) |
40年 | 約94万円(月額:約8万円) | 約72万円(月額:約6万円) |
参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
参考:令和3年度 標準報酬月額・保険料額表
実際の受給額は、上記額に国民年金額が上乗せされます。なお、賞与や加入期間中の昇給などに応じて厚生年金額は変動するため、上記は参考として押さえましょう。
ライフプランが不安ならFPへ相談を
ライフプランや資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。
将来に漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。
まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル 』への相談がおすすめです。
- 無料で何度でも相談できる
- 会員100万人突破
- 全国47都道府県対応
- 無理な勧誘や営業は一切なし
- 【公式】https://hokench.com/
加入期間が10年未満で厚生年金が受け取れない時の対処法
厚生年金保険ヘの加入歴があっても、国民年金を含む加入期間が10年未満だと厚生年金が受け取れません。ここでは、加入期間が10年未満で厚生年金が受け取れない時の対処法を紹介します。
遡って追納する
国民年金保険料は、過去2年間までであれば追納できます。そのため、加入期間10年を満たすために2年以下の期間が必要であれば遡って納付することで厚生年金が受け取れます。
また学生納付特例や保険料の免除、納付猶予などを利用していた場合、追納が承認された月の前10年以内の免除期間に限り追納可能です。
国民年金任意加入制度を利用する
年金は、原則60歳未満までが加入する制度です。一方、任意加入制度を利用すれば、60歳以降でも年金保険に加入できます。そのため、60歳以降で加入期間が10年未満である、期限が過ぎてしまい追納できなかった人でも加入期間の条件を満たすことが可能です。ただし、任意加入するには下記条件を満たす必要があるため注意しましょう。
- 日本国内に住所を保有する60歳以上65歳未満の方
- 老齢基礎年金(国民年金)の繰上げ支給を受けていない方
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
- 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
- 日本国籍を有しない方で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する方ではない方
高齢任意加入制度を利用する
前述した任意加入制度は、60歳以上65歳未満の人が対象です。そのため、65歳以降で加入期間が10年未満となり厚生年金を受け取れない人は、高齢任意加入制度を利用することで加入期間が満たせます。なお、高齢任意加入制度は、70歳未満までが対象です。
厚生年金は国民年金を含め加入期間10年以上で受給できる
本記事では、厚生年金受給に必要な加入期間を解説しました。厚生年金を受給するには、ベースとして国民年金の受給資格期間を満たさなくてはいけません。そのため、厚生年金の加入期間が10年未満であっても、国民年金を含め10年以上の加入期間があれば加入期間に相当する厚生年金が国民年金に上乗せして支給されます。もちろんのこと、厚生年金に10年以上加入していれば厚生年金の受給条件を満たしています。
正確な厚生年金の加入期間は「ねんきんネット」で確認できるため、将来加入期間が満たない事態にならないよう、確認してみましょう。どれだけ厚生年金が受給できるか算出するためにも加入期間を押さえてみてください。