年金の前納はどのくらいお得になる?メリットとデメリットを詳しく解説
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「年金の前納はどのくらいお得になるのか」
「お得に支払ったあとでデメリットはないのか」
このように国民年金の前納について考えてはいませんか。
年金の前納制度を利用することにより保険料の納付が割引になります。
お得な年金の前納制度ですが、メリットとデメリットもあるため、よく理解してから利用するとよいでしょう。
- 【この記事を読んでわかること】
- 年金の前納とは保険料の納付が割引になる制度
- 前納の割引額は支払う機関や支払い方法によって異なるが、一番割引が大きいのは2年前納
- 年金の前納で割引されても将来もうらう年金は減らない
- 年金の前納には申込期限がある
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年金の前納とは保険料が割引となる制度
国民年金には、3つの区分があります。
第1号被保険者 | 自営業や学生等 |
---|---|
第2号被保険者 | 会社員や公務員等の厚生年金加入者 |
第3号被保険者 | 扶養されている配偶者 |
上記のうち第1号被保険者に該当する人は、自分で国民年金保険料を納める必要があります。
国民年金保険料には前納制度があり、利用すると保険料の割引が受けられます。
年金の前納を利用するには、事前に申し込みや前納専用の納付書で支払う手続きが必要です。
年金の前納の支払い方と割引額
年金の前納は一定期間の保険料を前もって納めると保険料が割引となりますが、割引額はまとめて支払う期間や、支払い方法によって異なります。
年金の前納期間は、以下のとおりです。
2年前納 | 4月からよく翌年3月までの24ヶ月分 |
---|---|
1年前納 | 4月から翌年3月までの12か月分 |
6ヶ月前納 | 4月から9月、10月から翌年3月までの各6ヶ月分 |
年金の前納の支払い方法には3つあり、令和4年度の前納額は以下のとおりとなります。
口座振替 | ||
---|---|---|
2年前納 | 38万1,530円(1万5,790円割引 | 38万2780円(1万4540円割引) |
1年前納 | 19万4,910円(4,170円割引) | 19万5,550円(3,530円割引) |
6ヶ月前納 | 9万8,410円(1,130円割引) | 9万8,730円(810円) |
通常は口座振替にすると割引額が高くなりますが、クレジットカードのポイント還元を考えると、クレジットカード払いの方が割引となる金額が高くなります。
年金を前納するメリットとデメリット
年金の前納は国民年金保険料の割引を受けられるため、メリットのみに注目されがちですが、デメリットも理解した上で利用するとよいでしょう。
年金を前納する3つのメリット
年金を前納するメリットは、国民年金保険料が割引になる点が最もメリットといえますが、掘り下げて3つのメリットを解説します。
年金の前納はクレジットカードがお得な場合がある
年金の前納の割引額が最も高くなる支払い方法は口座振替ですが、クレジットカードにはポイント還元があるため、実際には口座振替よりも多くの割引や還元を受けられる場合があります。
2年前納を1%還元のクレジットカードで支払った場合にどのくらいお得になるのかを見てみましょう。
- 2年前納額38万2780円(割引額1万4540円割引)を1%還元のクレジットカード払い
- ポイント還元数は38万2780円=3827P
- 割引総額は割引額1万4540円+3827P=1万8367円
このように口座振替の1万1,579円割引と、ポイント還元を加味したクレジットカード払いの1万8367円では、クレジットカード払いの方がお得なこともあります。
ただし、以下の場合にはクレジットカードで国民年金の支払いができない場合があります。
- 契約中のクレジットカードの利用限度額をオーバーしてしまう場合
- 対象外のクレジットカードの場合
スムーズに支払いができるように、事前にカード会社に確認すると安心です。
年金の前納をしても将来もらう年金に影響はない
年金の前納をしてしまうと支払う金額が少なくなるため、将来もらう年金が減ってしまうのではないか、と考える人も少なくありません。
年金の前納は将来もらう年金に影響がなく、割引がされた場合も受給額は変わらないため、安心して前納制度を利用できます。
年金の前納は所得控除の対象となる
控除が適用されると、支払わなくてはならなかった税金が減り、節税につながります。
年金の前納をした場合、前納した年分の控除対象にできます。
13か月以上分を前納した場合は、以下のどちらか一方の選択が可能です。
- 前納した年に全額を控除する
- 各年分の保険料に相当する額を複数年にわけて控除する
年金を前納する2つのデメリット
年金の前納はメリットのみではなく、デメリットも存在します。
よく理解した上で、前納制度を利用するとよいといえます。
年金の前納は一部クレジットカードが対象外になっている場合がある
年金の前納ではクレジットカード払いがお得になる可能性がありますが、中には年金支払いが対象外となっているクレジットカードや、ご自身の契約内容によって利用できないケースもあります。
ほかにも年金支払いの場合は、ポイント還元率が下がってしまうカードもあるため、ご自身のクレジットカードが対象になっているか、還元率はどのくらいかなどの確認が必要です。
年金の前納には申込期限がある
年金の前納を利用するには、事前に申し込みが必要です。
申込期限に遅れてしまうと、その年は前納で支払えなくなってしまうため、早めに準備しておきましょう。
事前の申込方法と期限は、次で詳しく解説します。
また、各種申出書は年金事務所の窓口に備えつけていますが、日本年金機構HPでもダウンロードが可能です。
参考:日本年金機構
年金の前納の事前申込方法と期限
口座振替の場合
「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書兼国民年金保険料口座振替依頼書」に必要事項を記入し、口座をお持ちの金融機関または年金事務所に提出します。
2年前納 | 2月末まで |
---|---|
1年前納 | 2月末まで |
6ヶ月前納 | 4月分~9月分は2月末まで 10月分~翌3月分は8月末まで |
現金払いの場合
「国民年金保険料2年前納納付書発行事前受付申出書(兼納付書作成処理票)」を年金事務所に提出します。
2年前納 | 3月末まで |
---|---|
1年前納 | 4月上旬に送付される前納用の納付書を使用 |
6ヶ月前納 | 4月上旬に送付される前納用の納付書を使用 |
年金の前納を還付請求できるケース
年金の前納をしたあとで、自身の状況に変化があった場合には、還付請求できるケースがあります。
還付できるおもなケースは、以下のとおりです。
- 重複して納付した場合
- 厚生年金に加入した場合
- 外国籍を取得して海外に移住した場合
- 死亡した場合
- 国民年金保険料免除の対象者となった場合
上記の内容で還付ができますが、還付を受けるには手続きが必要です。
還付手続きの期限は2年の時効となり、期限が過ぎてしまうと還付を受ける権利はなくなってしまいます。
早めに手続きを行いましょう。
就職が決まった場合の還付金請求
就職が決まり、勤め先で厚生年金の加入手続きをすると、自動的に厚生年金に切り替わります。
就職前に年金を前納していた場合には、還付請求の手続きをすると還付が受けられます。
ただし、厚生年金加入後から2年間となるため、還付期間に注意が必要です。
重複している分は厚生年金加入後に、年金事務所から保険料の還付の案内が届きます。
案内にしたがって手続きをすると、重複した保険料が戻ってきます。
年金の前納は控除対象となるため節税になる
国民年金は社会保険料控除のひとつとなり、確定申告時や年末調整で申請すると、支払わなくてはならなかった所得税を減らせます。
2年前納した年の場合では、年末が近づくと3枚つづりの控除証明書が自宅に届きます。
控除証明書を利用して支払った年に全額控除するか、分割して1年ずつ控除するか選択が可能です。
年金の前納は所得が高いほど節税効果がある
所得税は、所得が高いほど適用される税率も高くなります。
そのため、所得が一定ではない場合や翌年以降に収入が多くなる場合は、所得が上がるタイミングで全額控除すると、節税効果が大きくなります。
一方で、所得が一定の場合は3枚つづりの控除証明書を1枚ずつ使用し、毎年控除を受ける方が節税効果があるといえます。
なぜなら全額控除をしてしまうと、控除した次の年には控除できないため、納税額が増えてしまう可能性があるからです。
今後の所得を予測し、全額控除するか分割して控除するか、よく検討するとよいでしょう。
まとめ
年金の前納を利用すると大きな割引が受けられるため、お得な制度です。
ほかにも控除対象となる点などメリットが多くありますが、デメリットもあるためよく確認してから利用しましょう。
前納はお得ですが、一時的に大きな出費となります。自身の生活に合った納付方法でお得に国民年金を支払いましょう。
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