定年退職後の健康保険をお得に切り替える方法とは?手続き方法と注意点も解説

※当サイトは人材関連サービスを展開する株式会社エイジレスが運営しています。本ページは自社および提携先のPRを含む場合があります。

定年退職をすると、それまで勤務先で加入していた健康保険の保険証は無効となるため、どの健康保険に加入するかを自分で決める必要があります。しかし、選択する健康保険によっては経済的負担が大幅に増えることもあります。
そこで本記事では、定年後の健康保険をお得に切り替える方法や各保険への加入手続き方法、注意点を紹介します。

  • 【この記事を読んでわかること】
  • 定年退職後の健康保険には4つの選択肢があること
  • 最もお得(0円)な方法は家族の扶養に入る方法であること
  • 最初から国民健康保険に入ると損をする可能性があること
  • 定年退職後の健康保険を切り替える際の手順

資金計画に不安ならFPへ相談を

資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。

老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。

保険チャンネル

  • 無料で何度でも相談できる
  • 会員100万人突破
  • 全国47都道府県対応
  • 無理な勧誘や営業は一切なし
  • 【公式】https://hokench.com/

定年退職後の健康保険は4つから選択

定年退職後の健康保険をお得に切り替える方法とは?手続き方法と注意点も解説

定年退職後に再雇用として働いたり正社員として再就職したりする場合には、これまでと同様、勤務先の健康保険に加入できます。
しかし、定年退職後に働く予定がない場合や、フリーランスとして働く場合には、75歳の後期高齢者医療制度の被保険者になるまでのあいだ、何らかの健康保険に加入する必要があります。その場合、加入できる健康保険の選択肢としては大きく次の4つが挙げられます。

  • 定年退職した会社の健康保険を任意継続する
  • 国民健康保険に加入する
  • 家族の健康保険の扶養に入る
  • 特例退職被保険者制度を利用するなど

以下では、それぞれの選択肢を解説します。

定年退職する会社の健康保険を任意継続する

定年退職するまで加入していた健康保険は「健康保険任意継続制度」という制度により、以下の条件を満たせば退職後も退職日の翌日から最長2年間継続して加入できます。

  • 退職日までの保険加入期間が継続して2ヵ月以上ある
  • 退職日の翌日から20日以内に申請手続きを行う

任意継続による加入を行えば、それまで扶養となっていた家族も継続して同じ健康保険に加入することが可能です。また、傷病手当金などの保険給付も受けられます。
ただし、任意継続を行った場合はそれまで会社との折半(労使折半)だった保険料が100%自己負担となります。保険料も原則として2年間変わらないため注意が必要です。

国民健康保険に加入する

国民健康保険は各市町村と自治体が運営する健康保険制度です。加入には制限がなく、自営業者やフリーランス、学生などが多く加入しています。無償の健康診断や付加給付はありません。
保険料は、前年の所得をベースに算出されますが、仮に同じ所得であっても自治体によって保険料は異なり、財政状態のよくない自治体では保険料が割高になる傾向があります。
また、国民健康保険には在職時に入っていた健康保険のような被扶養者という概念がありません。つまり、定年退職するまでは被扶養者であった配偶者も個別で加入する必要があるため、世帯全体の保険料が増えることが予想されます。

家族の健康保険の扶養に入る

族が勤務先の健康保険に加入している場合は、所定の条件を満たすことで被扶養者として家族と同じ健康保険に加入することが可能です。被扶養者になるための条件は健康保険によって異なりますが、一般的には次のような加入条件が設けられています。

  • 3親等以内の親族
  • 被保険者(健康保険に加入している人)により生計が維持されている
  • 年収130万円未満かつ、被保険者の年収の2分の1未満(60歳以上または障害厚生年金受給者の場合は180万円未満)

家族の健康保険の扶養に入る場合は、退職日の翌日より5日以内に被保険者となる家族の勤務先で手続きを行います。健康保険によってはより細かな条件が設定されているケースもあるため、事前に被扶養者となれるかの確認をしておく必要があるでしょう。

特例退職被保険者制度を利用する

勤務する会社が大企業の場合は、退職者向けに特例退職被保険者制度が運営されていることがあります。特例退職被保険者制度では、75歳まで会社員時代とほぼ同じ給付やサービスが受けることができ、家族が被扶養者の場合は定年退職後も引き続き扶養に入ることが可能です。加入条件は健康保険組合により異なりますが、多くの場合、次のような条件が設けられています。

  • 健康保険組合の加入歴が20年以上である
  • 労連厚生年金の受給資格を持っている

保険料の計算方法は健康保険組合により異なるものの、標準報酬月額(全従業員の平均月収)に所定の税率をかけて計算されるケースが一般的です。

定年退職後の健康保険をお得に切り替える方法

定年退職後の健康保険をお得に切り替える方法とは?手続き方法と注意点も解説

これまでは何気なく加入を続けていた健康保険も、定年退職後は自分で選択しなければなりません。自動的に保険料がお得な健康保険に切り替わるわけではないため、選択した健康保険によっては大幅に支出が増える可能性もあります。
そこで、ここからは健康保険をお得に切り替える方法の一例をご紹介します。

家族の扶養に入れば保険料は0円

定年退職後に加入する健康保険の中で最も保険料を抑えられる方法は家族の扶養に入る方法です。家族の扶養に入った場合、被扶養者には保険料の負担がありません。
ただし、家族が加入する健康保険の被扶養者となるためには、先にご紹介したような条件を満たす必要があります。
たとえば「協会けんぽ」の場合、収入が年間180万円を超えると扶養には入れません。年収には失業給付や年金収入も含まれるため基本的に退職した年に条件を満たすケースは少ないと考えられます。年収180万円未満の場合でも、被保険者の収入の2分の1を超える収入がある場合にも扶養には入れません。
一方、家族の被扶養者になれる場合には、保険料が0円になるうえ、加入する健康保険組合が提供するサービスも受けることができます。配偶者や子どもの扶養に入ることに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、条件をクリアできるのであれば入っておくことをおすすめします。

1年目は「任意継続」を検討する

家族の健康保険の被扶養者になれず定年退職する会社に特例退職被保険者制度がない場合は、先に紹介した「任意継続」または「国民健康保険への加入」を選択することになります。
任意継続の場合は最長でも2年までしか加入できないため「最初から国民健康保険でいい」と考える方もいるかもしれません。しかし、国民健康保険の保険料は前年の所得をベースに計算されるため、定年退職後の1年目は任意継続を選択した方がお得になる可能性があります。

  1. 退職時の収入をもとにした国民健康保険の保険料(計算方法は自治体に確認)
  2. 退職前の保険料の2倍の金額(会社に確認)

このように、上記の2つの金額を退職前に比較したうえで、金額の低い方へ加入することをおすすめします。なお、任意継続の場合も保険料は退職時の給与をもとに算出されますが、負担額には上限が定められているため、任意継続の方がお得になるケースが多いようです。

再就職という選択肢

定年退職後のライフプランが明確になってない方や、新たなライフスタイルの中で働きたいと考えている方であれば、定年退職後に再就職をし、再就職先の社会保険に加入する方法もおすすめです。
正社員として現役時代のようにバリバリと働くことに抵抗がある方も、次のような条件を満たせば正社員でなくとも社会保険に加入できます。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 1年以上の雇用が見込まれる
  • 月額賃金が88,000円以上
  • 学生でない
  • 雇用元の企業の従業員が501人以上

定年退職後も働きたいと考える人が増加傾向にある昨今、健康保険への加入をきっかけに、新たなキャリアプランを検討してみるのもよいでしょう。

定年退職時の手続き方法とタイミング

定年退職後の健康保険をお得に切り替える方法とは?手続き方法と注意点も解説

定年退職時には退職金の受け取りや年金の受給、失業手当などさまざまな手続きが必要です。健康保険は、退職後決められた期日までに手続きを済ませる必要があり、期日を過ぎると加入できないケースもあります。
ここからは定年退職時の手続きをスムーズにすすめるために、各健康保険の手続き方法とタイミングを紹介します。

定年退職する会社の健康保険を任意継続する場合

定年退職する会社の健康保険を任意継続する場合には、退職日の翌日から20日以内に加入している健康保険組合または協会けんぽで加入継続の手続きを行います。手続きにはおもに次の書類が必要です。

  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
  • 退職日が確認できる書類(退職証明書の写しなど)
  • 被扶養者現況申立届(被扶養者がいる場合のみ)
  • 被扶養者との続柄を証明できる書類(戸籍謄本など)

手続きについては会社の担当者より案内がこない場合もあります。任意継続は期日を過ぎると手続きができなくなるため、退職前に前もって加入している健康保険組合または協会けんぽに問い合わせをしておきましょう。
また、特例退職被保険者の場合も、各組合に問い合わせしておきましょう。

国民健康保険に加入する場合

国民健康保険に加入する場合は、住民票がある自治体の役所で手続きを行います。手続きは退職日の翌日から14日以内に行うことになっています。万が一期日を過ぎてしまった場合には退職日の翌日まで遡り、未加入の期間の保険料を支払うことになるため注意が必要です。手続きに必要なおもな書類は次のとおりです。

  • 健康保険資格喪失証明書(社会保険資格喪失証明書も同じ)
  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカードや個人番号通知カードなど)
  • キャッシュカードまたは通帳と届出印

手続きに必要な書類や手続きができる曜日・時間などは自治体によっても異なるので、あらかじめホームページや役所などで確認をとっておきましょう。また、「健康保険資格喪失証明書」は、会社が作成してくれるケースと日本年金機構に交付してもらうケースがあります。こちらも前もって会社の担当者に確認をしておきましょう。

家族の健康保険の扶養に入る場合

配偶者や子どもなど、家族が加入している健康保険の被扶養者となる場合には、退職日の翌日から5日以内に、被保険者である家族の勤務先で手続きを行います。
手続きには被扶養者届のほか、各健康保険により必要となる書類が異なります。退職後すぐに家族の扶養に入れる条件が揃っている場合は短期間のあいだに手続きをとる必要があるため、前もって家族の勤務先に必要書類を確認し、退職日までに準備をしておきましょう。

65歳以上の場合

65歳になると自動的に介護保険の第1号被保険者となり、これまでは健康保険料の一部として納めていた介護保険料を、住民票のある市区町村に個別に納めることになります。手続きは不要ですが、支払方法が次のように変わります。

  • 年金受給額が年間18万円以上の場合
    ⇒2ヵ月ごとに年金より天引きされる(特別徴収)
  • 年金受給額が年間18万円以下、または年金受給を繰り下げた場合
    ⇒口座振替またはコンビニや銀行などで支払い(普通徴収)

介護保険料は前年度の所得をベースに算出され、保険料は次の見直しが行われるまでの3年間は変更されません。なお、第1号保険者になると、要介護認定または要介護認定を受けることで、その原因を問わず介護サービスを受けることが可能になります。

75歳以上の場合

75歳になると、それまで加入していた健康保険の被保険者から、後期高齢者医療制度の被保険者に移行し、保険料を住民票のある市区町村に個人で納めることになります。
こちらも介護保険と同様に手続きは不要です。納付方法は市区町村により異なりますが、基本的には原則として年金からの引き落とし(特別徴収)となり、条件によっては納付書や口座振替による支払い(普通徴収)となります。
なお、後期高齢者医療制度の運営は各都道府県、市町村、特別区に設置される後期高齢者医療広域連合が行っています。保険料の決定も同連合が行っており、上限額は年間で50万円です。

健康保険の切り替え時の注意点

定年退職後の健康保険をお得に切り替える方法とは?手続き方法と注意点も解説

定年退職後は健康保険を切り替えれば安心というわけではありません。ほかにも次のような注意点があります。

切り替え手続き中の医療費は全額立替払い

健康保険の切り替え手続き中は手元に新しい保険証がない状態が1~3週間程度発生することがあります。この期間に医療機関を受診する場合、医療費は全額立替払いとなります。 ただし、後日健康保険や自治体の窓口で手続きをすれば、自己負担分を超える医療費の払い戻しが可能です。その際には所定の申請書に加え領収書の原本、医療機関が発行する診療明細書が必要となるので、必ず保管しておきましょう。
なお、国民健康保険の場合には医療費を支払った日の翌日から2年以内が期日となるため注意が必要です。
また、健康保険によっては保険証の代わりとなる「健康保険被保険者資格証明書」の発行が可能な場合もあるため、あらかじめ医療機関を受診することが分かっている場合には加入している健康保険に相談してみてもよいでしょう。「健康保険被保険者資格証明書」は年金事務所でみずから申請・発行も可能です。

年金の請求手続きも必要

65歳で定年退職する場合は健康保険だけではなく年金の手続きも必要です。
年金は受給の請求手続きをしないまま5年が過ぎると年金受給権(基本権)が消滅してしまいます。やむを得ない事情がある場合には申し立てを行うことで基本権を消滅させない取り扱いも可能ですが、受給の意思がある場合は速やかに手続を行いましょう。
一方、再就職などで年金受給を繰り下げたい場合は手続きは不要です。65歳の誕生日の3ヵ月前に年金事務所より送付される「年金請求書」を提出しないことにより、年金受給の繰り下げを希望したものとみなされます。年金の受給を希望する場合は、年金請求書を提出すると受給開始となります。

60歳未満の被扶養配偶者も切り替えが必要

会社員の場合は国民年金でいうところの「第2号被保険者」、その配偶者が被扶養者の場合は「第3号被保険者」となり、被保険者の在職中、被扶養者である配偶者には国民年金の保険料の納付義務はありません。
しかし、被保険者の退職時に被扶養者である配偶者が60歳未満の場合、被扶養者である配偶者は「第3号被保険者」から「第1号被保険者」となり、60歳になるまで国民年金の保険料(2022年度は月額16,590円)を納める義務が発生します。なお、第1号被保険者への切り替え手続きは、住民票のある自治体で行います。

まとめ

定年退職は大きなライフイベントです。定年退職の前後は生活の変化やさまざまな手続きで慌ただしくなることが予想されるため、前もって検討・準備ができることには早めに取りかかっておきましょう。
今回紹介した健康保険についても、先に検討しておくことで出費を抑えられるだけでは なく、定年後のライフプランを考える際のヒントになる可能性があります。
現役時代と同じように仕事中心の生活ではなくとも、プライベートの充実に比重を置きながら働き続けることも可能です。保険料だけではなく、収入面や心身の健康、人生の生きがいなどを踏まえながら、セカンドキャリアについて考えてみてはいかがでしょうか。

資金計画に不安ならFPへ相談を

資金計画に不安がある場合、プロであるFP(ファイナンシャルプランナー)への相談がおすすめです。
FPは、相談者の現状やライフスタイルにあわせて最適な資金計画、資産運用や節税などの具体的なアドバイスを提供してくれます。

老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

多くのFP相談サービスがありますが、迷った場合は大手リクルートが運営する『保険チャンネル』への相談がおすすめです。

保険チャンネル

  • 無料で何度でも相談できる
  • 会員100万人突破
  • 全国47都道府県対応
  • 無理な勧誘や営業は一切なし
  • 【公式】https://hokench.com/

アバター画像
執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。