ノマドワーカーとは?メリット・デメリットや向いている仕事を紹介
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ノマドワーカーという働き方をご存じですか?オフィスを定めず、点々としながら自由な場所で働くこのスタイルが、いまひそかな人気を集めています。本記事では、ノマドワーカーの言葉の意味や向いている仕事、向いている人などについて解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- ノマドワーカーとは特定の場所を持たずに仕事をする人のこと
- ノマドワーカーに向いている仕事はインターネット環境と端末があればできる仕事
- ノマドワーカーに向いている人は自己管理能力の高い人
ノマドワーカーとは
ノマドワーカーとは遊牧民をさす英語「nomad」と、働く人をさす「worker」を組み合わせた日本語の造語です。英語圏では「ノマディックワーカー(nomadic worker)」という呼称が一般的です。
ノマドワーカーは固定のオフィスを持たず、スマホやPCなどの端末とインターネットを使用してさまざまな場所で働くスタイルを持つ人を指します。
名前の由来となった「遊牧民」は、定住地を持たず、家畜とともに牧草を求めて居場所を常に変える暮らしをしています。ノマドワーカーの中には、その語源のとおり、住所を持たず国や地域をまたぎ旅をしながら生活する人もいます。
ノマドワーカーの登場
ノマドワーカーという働き方が登場し、次第に注目を集める背景には、時間や場所などに囚われない働き方への人気が高まってきていることがあげられます。毎日の通勤に何時間もかけずに済むことや、育児・介護・転居などのライフイベントがあってもキャリアを中断せずに済むためです。
また、新型コロナウィルスによるパンデミックを通して、テレワーク・リモートワークへの社会的な理解が推進されたということもあります。ある程度の職種で、労働者がオフィスに出勤せずとも業務が成り立つことが証明されました。
さらに、世界的なインターネットの普及で、今やたいていの国の都市圏では公共スペースやカフェなどでWi-fiや電源が使えるのがあたり前になりました。高速バスや飛行機といった移動手段の中ですらインターネット環境が整ってきています。ノマドワーカーはこういった社会背景を元に登場してきました。
ノマドワーカーとテレワーク(リモートワーク)の違い
ノマドワーカーとリモート・テレワークという言葉はよく似ていますが、ノマドワーカーには「特定の場所を持たず、働く場所は都度決める」という意味合いが強い点が違いです。
テレワーク(リモートワーク)は、「tele = 離れた所」もしくは「remote =遠く」と「work = 働く」をあわせた造語です。情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を指します。
テレワークは下記のような働き方を含む意味の広い言葉ですが、ノマドワーカーのもつ「常に移動しながら働く」というという意味合いはありません。
- 在宅勤務
- モバイルワーク(移動中や移動の合間に仕事を行うこと)
- サテライト/コワーキング(サテライトオフィスやコワーキングスペースで仕事を行うこと)
- ワーケーション(バケーションも楽しめる地域でテレワークを行うこと)
ノマドワーカーとフリーランスの違い
フリーランスは、企業等に雇用されずに自身で事業等を営んでいる人を指す広義の言葉です。ノマドワーカーという言葉が働く場所にフォーカスしたものであるのに対し、フリーランスは生計の立て方にフォーカスした言葉です。
ノマドワーカーの中には、フリーランスとして働く人が多いのは事実ですが、フリーランスの中には事務所を定めている人もいます。また、ノマドワーカーにも、企業に雇用されながら働いている人もいるでしょう。
どちらも、時間や場所に比較的とらわれずに仕事ができるという点は共通しています。
ノマドワーカーという働き方のメリット・デメリット
働く場所そして時間にとらわれない自由で身軽なイメージのあるノマドワーカーですが、メリット・デメリットの両方があります。
それぞれ説明します。
ノマドワーカーという働き方のメリット
ノマドワーカーには、特定のオフィスを持たないという点で、おもに5つのメリットがあります。
それぞれについて説明します。
好きな場所で働くことができる
ノマドワーカーは好きな場所で働くことができるのがメリットです。「今日は思考の整理が必要だからカフェで」「明日は大きな画面で作業したいから家で」など、作業内容に応じてより効率の上がる場所を探すこともできます。毎日変化のない同じ環境での作業を避けることができ、マンネリによる能率の低下を防ぐことも期待できます。
プライベートとの両立がしやすい
ノマドワーカーであるということは、居場所が変わることによる仕事の中断を防ぐことができるという点で、プライベートとの両立がしやすいといえます。
離れた場所にいる親の介護をしながら働くこともできますし、海外転勤の多い家族と一緒に動きながら仕事をすることもできます。もちろん、旅をしながら仕事をしている人もいます。
出社・通勤の必要がない
ノマドワーカーには、出社・出勤の必要がありません。出勤に費やす時間を自己研鑽に当てたり、家族のために当てたり、時間を有効に使用できます。また、通勤のために車を維持したり、駅の近くに住むなど、コストをかけることもありません。
オフィス内の人間関係から距離を置ける
ノマドワーカーは物理的にオフィスから距離をおけるので、社内の人間関係に巻き込まれづらいというメリットがあります。会社のオフィスでの人間関係はときに複雑で、自分には関係のないことで大きく時間を取られたり、必要以上に気を遣う状況が発生したりします。
オフィスから離れていることで、そういった人間関係に拘泥せず、集中して仕事に取り組むことができるでしょう。
自分の心地よい服装で働ける
ノマドワーカーはオンラインで業務が完結し、オフィスへの出勤がないことから、自由な服装で働けることもメリットです。真夏にスーツを着て汗で不愉快な気分になることもありません。自分が働くのに心地よい服装でいられれば、ストレスなく仕事を進められそうですね。
ノマドワーカーという働き方のデメリット
特定のオフィスを持たないために、ノマドワーカーが抱えるデメリットもあります。おもな5点を説明します。
作業効率はインターネット環境に左右される
ノマドワーカーの仕事はインターネット通信状況に支えられているため、カフェや公衆無線LANを使って仕事をする場合、通信スピードに問題があると作業効率が捗らない可能性があります。パブリックスペースのWi-fiは無料で使える一方、仕事用に整備されているわけではないため、容量の大きいデータのやり取りなどが必要であれば、作業場所を変えるなどの対応が必要になります。
セキュリティに気を使う必要がある
オフィスで仕事をする場合、オフィスに立ち入るためのセキュリティ、社内LANに施されたセキュリティ、業務用端末にインストールされたセキュリティソフト等、情報漏洩リスクを見越した対策が会社によってなされています。
ノマドワーカーはオフィスの外にいるために、それらの対策をみずからの責任において取る必要があります。後述しますが、公衆無線LANを使用する際の判断など、リスク回避のための情報リテラシーを身につけている必要もあります。
働く場所の確保にかかる費用は自腹
ノマドワーカーの働く場所には、喫茶店、インターネットカフェ、コワーキングスペースなどがあります。これらの場所では作業用の席を確保するのに、軽食代や使用料・会員料などが発生します。毎日のことになるので、積み重ねると少額とはいえないかもしれません。
オフィスでは発生しないこの経費は、原則として自己負担になるため、注意が必要です。
働く場所を確保する手間がかかる
ノマドワーカーには仕事の前に、作業場所を確保するというタスクがあります。オフィスでは、自席が決まっているもしくは十分なスペースが確保されているため、作業場所を求めて探し回る、ということはないでしょう。
しかし、ノマドワーカーはカフェで電源のある席を探したり、コワーキングスペースの利用予約をしたりという手間が発生し、その時間は業務時間とならないため、注意が必要です。
孤独感を感じやすい
ノマドワーカーは基本的には一人で仕事をする人が多いため、人によっては孤独感を感じやすいというデメリットがあります。ノマドワーカーの働き方は、何か仕事で問題が発生した場合に、隣に座っている同僚にすぐに聞くことができなかったり、人脈が広がりにくく、新しい人間関係を築きづらかったりする点があります。
デメリットと感じる場合は、コミュニケーションの頻度を見直したり、仕事関係のソーシャルコミュニティに参加したりするなどの対策が必要です。
ノマドワーカーに向いている仕事
ノマドワーカーは「デジタルノマド(digital nomad)」とも呼ばれるように、IT技術の恩恵を受けた働き方です。ノマドワーカーは、仕事用のIT機器とインターネット環境さえあれば、すべての業務が完結する以下のような職種に多いようです。
- システムエンジニア・プログラマー
- コンサルタント
- Webデザイナー
- クリエイター
- Webマーケター
それぞれの仕事について説明します。
システムエンジニア・プログラマー
システムエンジニアやプログラマーはシステム設計、構築、実装を行う仕事です。IT人材の不足に加え、仕事の需要が高く、初心者であっても受注できる仕事がたくさんあります。
クライアントとのやりとりさえできれば、一人で作業できる業務案件が多くあります。スキルを磨けば高単価な仕事が受注できるため、ノマドワークにかかる経費などを考えても十分な収入を得られるでしょう。
コンサルタント
専門分野において業務知識・経験があれば、コンサルティングサービスを立ち上げることもできます。IT、経営、人事などの分野で企業が抱える問題に対し、現状分析・問題把握・問題解決を手助けする仕事です。ISO取得や株式公開、DXなどの分野でも需要が高まっています。
クライアントとの定期的な打ち合わせを含む業務ですが、昨今ではストレスなくWebミーティングができるIT環境が整っているため、訪問が必ずしも必須ではなくなりました。
Webデザイナー
Webデザイナーは、クライアントのニーズに基づいてWebサイト制作を行う仕事です。利用者やクライアントの狙いを意識したサイトの設計からデザイン、実装までを手がけます。
ポートフォリオを見たクライアントからの発注やパッケージ化して販売するWebデザイン・制作など、仕事の受注方法を工夫すれば案件を多くこなせ、高収入が目指せます。
クリエイター
動画編集や画像加工、シナリオライター、イラストレーション、音楽制作などのクリエイティブ職も、受注・制作・納品がオンラインで完結するようになりました。
大きめのディスプレイや快適なインターネット環境などが欲しい場合は家やコワーキングスペースで、その他の作業はカフェで、など作業によって働く場所を変えながら働くこともできます。
Webマーケター
Webマーケターは、インターネットを活用して行われるマーケティングの企画、デザイン、運用、成果の検証を行う仕事です。企業等からECサイトやSNSの運営、オウンドメディアの構築などを受注したり、企業に入ってWebマーケティングの実施・統括をしたりします。
専門知識が求められますが、需要が高く、将来性の高い仕事です。
ノマドワーカーに向いている仕事の例を紹介しましたが、それ以外にも業務用端末とインターネットだけあればできる仕事であればノマドワークとの親和性は十分あります。
ノマドワーカーに必要な持ち物3つ
移動しながら働くノマドワーカーにとって最低限必要な持ち物、設備は以下の3つです。
- モバイルPCなど仕事用端末
- セキュリティの安定したネットワーク環境
- コミュニケーションツール(スマホやチャットツールなど)
それぞれについて説明します。
モバイルPCなど仕事用端末
移動しながら働くには、持ち運びに適した軽くて堅牢な端末が必要です。仕事で使用するため、情報漏洩のリスクに備え、端末にはセキュリティソフトやパスワード画面ロックなどで十分な対策をとっておきましょう。
移動先で端末を破損・紛失した場合などに備え、セキュリティ対策をとったクラウド上にデータを保存しておくなどの対策も取っておけると安心です。
安全なネットワーク環境
作業する場所のネットワーク環境はノマドワーカーにとって重要です。必要なネットワークの速度は作業内容によって変わりますが、セキュリティについては注意を払いましょう。
カフェや空港や駅などで提供されている公衆無線LANには、セキュリティリスクが存在します。同じネットワーク内に悪意を持つ第三者がいた場合、送受信データが盗み取られる危険性があるためです。
自分の不注意で、自分の個人情報だけでなく、クライアントや会社の重要情報が流出すれば損害賠償責任が生じることもあります。
作業をする場所のネットワークがどんなセキュリティ環境か判断し、状況に応じて場所を変える、スマートフォンのデザリング機能を使って通信する等の対策を取れるようにしましょう。
コミュニケーションツール
一人で作業できる業務が多いノマドワーカーですが、仕事相手や仕事仲間とのコミュニケーションの重要性はより高いと言えます。
適切なタイミングで適切な連絡ができるよう、必要なコミュニケーションツール(スマートフォン、各種ビジネスチャットツール、ミーティングツールなど)を備え、問題なく使えるようにしておきましょう。
ノマドワーカーに向いている人
最後に、ノマドワーカーに向いている人の特徴をご紹介します。旅をしながら、もしくはオフィスに出勤せずに働けるノマドワーカーになりたいが、自分に向いているかどうか心配な方はぜひ参考にしてみてください。
ノマドワーカーに向いている人は以下の4点を満たす人と言えるでしょう。
- ITリテラシーの高い人
- 環境適応能力の高い人
- 自己管理能力が高い人
- ノマドワーカーであることが苦にならず、喜びである人
ITリテラシーの高い人
ノマドワーカーは、ITリテラシーの高い人に向いています。自分の使うソフトウェアに関する知識・技術だけでなく、①情報基礎リテラシー、②パソコンの操作に関わるコンピュータリテラシー、③インターネットの概念に関わるネットワークリテラシーの3分野全般について一定程度理解しておく必要があります。
オフィス勤務であれば社内のIT担当が助けてくれますが、ノマドワーカーは社内で仕事をしていません。PCに何か起こった時の対応、セキュリティリスクの管理など、、自分で対処する能力が求められます。
環境適応能力の高い人
ノマドワーカーは、環境適応能力の高い人に向いています。仕事場を定めず、場所を点々としながら仕事する以上、いつもと違った環境でも集中力と生産性を保って作業できる能力が必要です。
作業場に流れる音楽や周りの人の喧騒、座る椅子や机、住む場所や食べ物など、周りの環境が変わっても同じレベルの仕事ができる人に向いています。
自己管理能力が高い人
ノマドワーカーには高い自己管理能力を持つ人が向いています。会社による労務管理がなくとも、心身ともに健康でいること、スケジュール管理ができること、プライベートと仕事の切り分けができることなど、高い自立性・規律性・計画性が求められます。
ノマドワーカーであることが苦にならず、喜びである人
デメリットのところでみたように、ノマドワーカーでいることは、一定の手間がかかるように、不便さもあります。オフィスに出勤しない働き方には、他に在宅勤務やフリーランスという手もあります。
しかし、あえてノマドワーカーを選ぶのは、ノマドであること自体を喜びと感じるためでしょう。その日の気分や業務に合わせて働く場所を変えることでモチベーションが上がったり、旅をしながら仕事をすることで人生の満足感を得たり、不便さを差し引いてもノマドワーカーであることのメリットを感じられる人が向いています。
ノマドワーカーに向いている人はフリーランスにも向いている
ノマドワーカーに必要な「ITリテラシー」「環境適応能力」「自己管理能力」を持つ人は、会社に属さずに仕事をするフリーランスにも向いています。
フリーランスとしてノマドワーカーになることもできますし、フリーランスとして在宅を基本とした仕事、業務によっては客先常駐の仕事をすることもできます。
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まとめ:自分の向き不向きを考慮して時間や場所にとらわれない働き方を
ノマドワーカーは、働く場所を定めず、自分の好きな場所で働くことができる自由度の高い働き方です。一方、毎回適切な作業場所を見つけたり、作業効率を考えて場所を予約したりする手間がストレスと感じる人もいるかもしれません。
時間や場所にとらわれない働き方は時間の有効活用や満足度の高い職業生活を送る上で注目されています。自分の向き不向きを考慮した上で、理想の働き方を実現しましょう。
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