業務委託契約の注意点【フリーランス側からの業務委託契約書の見方】

フリーランスとして企業から業務委託を受ける際は「業務委託契約書」を交わす場合がほとんどです。一口に業務委託契約と言っても、実は様々な契約の種類があります。契約書の内容も、契約の種類によって変わってきます。本記事では業務委託契約の種類と注意点、業務委託を受けるフリーランスの側からの契約書の見方を解説します。

  • 【この記事を読んでわかること】
  • 業務委託契約は法律上の委任契約、準委任契約、請負契約のどれかであることが一般的
  • 業務委託契約書の大まかな種類は毎月定額型、成果報酬型、単発業務型の3つ
  • フリーランスが業務委託契約書を結ぶ際に注意すべきポイントは12点
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業務委託契約とその種類 

業務委託契約とその種類

業務委託契約とは、自社の業務を他社に外注する際に発注者・受注者間で結ぶ契約を指します。法律上では「業務委託」という用語はなく、個人が企業から業務の委託を受ける場合には民法上に定められている下記3つの契約形態のいずれかをさしていることが多いとされています。

  • 委任契約
  • 準委任契約
  • 請負契約

それぞれについて説明します。

業務委託契約の種類①委任契約

委任契約とは、 当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによってその効力を生じる契約です(民法643条)。委託契約の例としては、法定代理人の契約や訴訟手続を弁護士に依頼する際の契約などがあります。

委任契約においては、委任した業務の遂行自体に対して報酬が発生します。業務の結果が依頼主の期待と異なったとしても、注意義務を尽くして職務を行っていれば契約違反にはなリません。

例えば弁護士に訴訟手続きを委託した場合、弁護士は訴訟手続きの実施に対して責任を負いますが、「勝訴」・「敗訴」といった結果について責任を負うことはありません。

業務委託契約の種類②準委任契約

準委任契約は、委任契約と同じ法律のルールが適用される契約です。委任契約との違いは「法律行為以外の事務を委託する場合の契約」であることです(民法656条)。

準委任契約で委託される「事務」の範囲は広く、一般的には委任契約よりも広く用いられています。準委任契約は、下記のような業務の委託で使用されています。

  • セミナー講師としての講演
  • 商品の広告宣伝業務
  • 研究・調査業務
  • 継続的なシステム開発や保守業務
  • 委託企業に常駐して必要な業務を行う場合

準委任契約は委任契約と同じく、業務の成果に対してではなく業務の遂行自体に対し、報酬が支払われます。

例えば準委任契約によりセミナー講師の業務を受注した場合、受注者はセミナーの実施に対して責任を負いますが、企業が期待するセミナーの結果に対しては契約上の責任を負いません。セミナーの参加者からの評判が悪くとも、客観的に見て適切に業務を行っていれば、契約違反にはなりません。

報告義務と善管注意義務

委任契約や準委任契約では、発注者の求めに応じて業務進捗の報告義務(民法645条)や、「善良な管理者の監視のもと、事務処理を行わなければならない」という善管注意義務(民法644条)があります。この点は、次に説明する請負契約との違いの一つです。

業務委託契約の種類③請負契約

請負契約とは、当事者の一方がある仕事を完成させることを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことによってその効力を生じる契約です(民法632条)。

委任契約や準委任契約との大きな違いは、 請負契約では「業務の完成」が契約内容となっている点です。また、準委任契約と違って請負契約では、業務進捗について発注者へ報告する義務はありません。業務の完成を具体的に定義し、その完成を契約の条件とする場合に用いられる契約形態です。

請負契約の特徴

一般的な請負契約では、成果物が納品できれば作業する場所や時間は問われないため、副業などに向いている契約形態です。一方、納品物に欠陥や不具合があった場合には補償するか損害賠償をしなければならないという特徴もあるため、納品後であっても修正や再納品の可能性があることを理解しておきましょう。

請負契約の例

請負契約は下記のような業務内容で使用されることが多いでしょう。

  • Webサイトの制作
  • 仕様の決まったシステムやアプリケーションの開発
  • 記事制作

例えば、企業向けWebサイト制作の案件では、受注者はWebサイトの制作・完成に対して責任を負い、原則として納品後に報酬を得ます。もし、最初に合意した仕様・条件でWebサイトを納品できない場合は、受注者側の債務不履行となり、報酬が支払われないことがあります。

業務委託契約と雇用契約の違い 

ホワイトボードの前で話し合う社員の様子

同じ仕事をするとしても、業務委託契約によって業務を行う場合と、会社員が企業と結ぶ雇用契約によって業務を行う場合では、さまざまな違いがあります。

押さえておきたい代表的な違いを確認しておきましょう。

業務委託契約と雇用契約の違い

雇用契約 業務委託契約
労働基準法・労働契約法 適用あり 適用なし
社会保険の加入 適用あり 適用なし
企業との関係性 労使関係 対等な関係
提供するもの 労働力 成果物/業務の遂行
指揮命令の有無 指揮命令あり 指揮命令なし
労働時間や作業場所 指定あり 指定なし
仕事や業務への拒否権 原則なし あり

雇用契約は労働基準法や労働契約法に基づく契約であり、会社と雇用契約を結んだ個人は法律によって労働者として保護されます。その代わりに、会社の指揮命令に従う必要があり、原則として仕事や業務の拒否権はありません。労働時間や作業場所などについても、会社の定めに従う必要があります。

一方、業務委託契約は発注者と対等の立場で、ある業務の委託・受託について契約を交わします。提供するものは成果物もしくは業務の遂行であり、その進め方については受注者に任されるものです。労働時間や作業場所などの指定は受けず、契約内容以外の業務については拒否することができます。

業務委託契約書とその種類

業務委託契約書の目的

業務委託契約書は、業務委託を発注・受注する際に結ぶ契約書で、業務内容や各種条件等が書面化されています。

前述した通り、そもそも「業務委託」という法律用語がないため、「業務委託契約書」にも法律で定められたひな型はありません。そのため、内容については両社が交渉して合意した内容を盛り込むことができ、比較的自由度が高いのが特徴です。

一般的に発注者側が契約書を用意することが多いため、契約にあたっては、受注者側が業務委託契約書の内容を良く理解しておくことが大切です。

業務委託契約書の目的

業務委託契約書の目的は、業務の委託に際し、双方で合意が必要な事項について事前に取り決めておくことです。

一般的には、下記の項目などについて具体的に記載し、業務中・業務完了後にトラブルが起こらないようにしておきます。

  • 受託する業務内容の定義
  • 成果物の納品期限と納品方法
  • 検収と検収期間
  • 報酬額と支払条件
  • 経費請求について
  • 契約期間や更新条件
  • 契約の中途解約について
  • 秘密保持条項について
  • 成果物の知的財産権・所有権の帰属
  • 契約不適合責任
  • 損害賠償

各項目の詳細については後述します。

業務委託契約書のタイプ

業務委託契約書は、大きく以下の3つのタイプに分かれています。

  • 毎月定額型
  • 成果報酬型
  • 単発業務型

それぞれについて説明します。

毎月定額型

毎月定額型は、委託する業務に対し、毎月一定の報酬を支払う場合に使用する業務委託契約書です。コンサルティング、システムエンジニアなどの業務で委託契約を結ぶ場合に使用されることが多いでしょう。

毎月一定の報酬を見込めるため、安定的に収入を確保できるのがメリットです。ただし、報酬が一定であるため、業務のモチベーションを保つことが難しいとも言えます。契約を継続するには発注者が満足する質の高いサービスを行うよう心がけましょう。

また、毎月定額型の派生型として、受託者が業務に費やした稼働時間数に定額の単価をかけて報酬を決定する契約もあります。システム保守業務などの契約で用いられることが多いです。

成果報酬型

成果報酬型は、委託する業務に対し、その成果に応じて報酬が変化する場合に使用する業務委託契約書です。Webマーケティングやテレアポ、事務作業などの業務委託案件で使用されることが多いでしょう。

成果を出せば報酬に跳ね返る仕組みで、モチベーションを持って仕事に臨むことが出来るのがメリットです。一方、事前に想定していたような成果が出せない場合は、思ったような収入が得られないというデメリットがあります。

単発業務型

単発業務型は、委託業務が一回きりのもので、その業務に対して固定の報酬が決まっている場合に使用します。デザイン、Webサイト制作、アプリ開発などの案件で使用されることが多い業務委託契約書です。

個別の案件ごとに報酬が示されるため、収入の見通しがつきやすいのがメリットです。ただし、委託業務の内容によって、一件あたりの報酬は大きく異なるため、安定的な収入を得るには案件数・案件ごとの工数・報酬額の管理が必要になります。また、成果物納品ベースでの支払いとなることが多いため、実際に収入が得られる時期についても把握しておきましょう。

フリーランスが業務委託契約書を結ぶ際に注意すべき点  

フリーランスが業務委託契約書を結ぶ際に注意すべき点

フリーランスとして仕事をする場合は、案件ごとに業務委託契約が発生します。トラブルに巻き込まれず、スムーズに業務を完遂するために、業務委託契約書を結ぶ際に注意すべき点を押さえておきましょう。

業務委託契約の受託者の視点から、契約を結ぶ際および契約書を確認する際の注意点は下記の12点があります。

  • 契約の種類
  • 受託する業務内容の定義
  • 成果物の納品期限と納品方法
  • 検収と検収期間
  • 報酬額と支払条件
  • 経費請求について
  • 契約期間や更新条件
  • 契約の中途解約について
  • 秘密保持条項について
  • 成果物の知的財産権・所有権の帰属
  • 契約不適合責任(瑕疵担保(かしたんぽ)責任)
  • 損害賠償

それぞれについて説明します。

契約の種類

フリーランスが受託する業務委託では、法律上、請負契約・委任契約・準委任契約のどれかになることが多いでしょう。どの契約の種類になるかで、契約履行に必要な業務内容が変わるため、必ず確認しておきましょう。

確認方法は契約内容から汲み取るのが一般的で、実際の契約書にはどの契約か明記されていないケースがほとんどです。

契約書の内容からどの契約に当たるのかが判別できない場合は、発注者に確認のうえ、契約書に「本契約は請負(もしくは準委任・委任)契約である」などの一文を追加してもらうことも可能です。

受託する業務内容の定義

契約書に、受託する業務内容が明確に定義されているか確認しましょう。

双方で合意した業務内容・対応範囲が具体的に記載してあることが大切です。業務内容が具体的でなく曖昧なままだと、受注者・発注者間の認識の相違からトラブルに発展することがあります。

具体的に記載しておくことにより、想定外の業務の実施を求められたり、納品後のクレームとなることを避けられるでしょう。

システム開発やWebサイト制作などの案件では納品物の仕様について、詳細に定めておく必要があります。ただし、契約書に盛り込むには長すぎるため、別紙とするのが一般的です。その場合も「仕様については別紙のとおりとする」などの文言で、合意した仕様書が契約内容の一部となるようにしましょう。

業務内容の契約書記載例

第◯条 業務内容
本契約において甲が乙に委託する業務内容は、次のとおりとする。
(1) (業務内容を具体的に記載)
(2) 委託業務の履行に必要な関連業務並びに付随業務
(3) その他、甲乙間で別途合意した業務

成果物の納品期限と納品方法

成果物の納品期限の項目も必ず確認しましょう。

Webサイト制作やアプリ開発などの業務では納品期限は特に重要です。契約時には、期限内に確実に完了できるよう、無理のないスケジュールを立てる必要があります。

また、納品期限に間に合わなかった場合の対応方法についても記載がある場合は、その内容をよく理解しておきましょう。万が一を想定し「納期遅延の恐れがある場合、受託者は委託者に対しその旨を遅延理由とともに直ちに通知し、新たな納品予定日等について指示を受ける。」など、納品期限の見直しに関する一文を入れることも可能です。

一方、コンサルティング契約やシステム保守、記事制作など、委託業務の内容によっては、個別の納品期限が記載されていない契約書もあります。

納品方法

納品方法に指定がある場合や、あらかじめ合意している場合は、納品の方法についても明記しておくと安心です。「受託側としては業務を完了して納品したつもりであったところ、委託側としては他の納品方法を期待していた」などのトラブルを避けることができます。

検収と検収期間

納品期限が明確になっている場合では、受託側納品後の委託側の検収期間とその条件についても確認しましょう。業務委託における検収とは、委託側が成果物を検査し、契約内容を満たしたことを判断し、成果物を受領することです。

報酬の支払いは、通常、成果物納品後に委託側が検収を完了した後となります。検収期間についての取り決めがない場合、委託側が検収をしないため、支払いが行われないといったことになりかねません。

検収と検収期間の契約書記載例

第◯条 検収
甲は、乙から納品を受けた場合、○営業日以内を検収期間とし、その間に納品物の検収を行い、その結果を乙に通知する。
2.  前項の期限内に甲が通知をしないときは、検収が完了したものとみなす。
3.  検収の結果、成果物に不具合等が確認された場合、乙はその不具合等に対応し、成果物を再度納品しなければならない。再度の納品日は協議のうえ定めるものとし、検収期間は再度の納品日から○営業日以内とする。

報酬額と支払条件

業務委託に関する報酬額と、その算出方法および支払い条件が明確に記載されていることを確認しましょう。

契約の種類によって支払いタイミングが異なるため、契約の種類とセットで考える必要があります。

一般的な報酬の支払いタイミング
請負契約の場合 成果物納品後、委託側の検収完了をもって一括支払い
委任契約・準委任契約の場合 委託した業務の実施を前提とし毎月払い、もしくは一定期間を定めて期間毎の支払い

支払い条件

請求書の必要有無、報酬の振込手数料の負担者、報酬の振込日(「納品月の月末締め翌月末支払い」など)についても、明記されているか確認しましょう。

成果報酬型の場合の計算方法

請負契約や、準委任契約であっても成果報酬が導入される場合は、その報酬の計算方法が明確に記載されているか確認しましょう。

成果報酬型の支払いは、営業代行で一件毎に単価が決まっている場合や、準委任契約のWebマーケティングの業務で通常の報酬額の他に成果報酬が上乗せされる場合などがあります。

大規模案件や長期案件の場合

一括支払いが多い請負契約であっても、大規模案件や長期案件では着手金があったり、マイルストーン毎の分割支払いがあったりと、支払いに関する詳細が増えます。不明な点は契約を結ぶ際に確認しておきましょう。

経費請求について

業務を遂行する上でかかった経費を請求できるかどうかについて、契約書で確認しておきましょう。

経費として認められる項目およびその範囲が記載されていると安心です。

交通費・旅費や通信費など、あらかじめ想定される出費は、報酬とは別に請求ができるように契約時に交渉しておくといいでしょう。

契約期間や更新条件

業務委託契約では契約の期間、特に契約の終了と更新の条件について契約書で確認しましょう。

業務委託の契約期間には、業務によって下記の2つのタイプがあります。

  • 委託された業務の完了によって契約を終了とするタイプ
  • あらかじめ一定の契約期間の開始・終了を定めて業務を委託するタイプ

後者のタイプの業務委託では、更新条件に関する条項もしくは自動更新の条項がついている場合が多いとされています。内容をよく理解しておきましょう。

契約の中途解約について

フリーランスの業務委託では、万が一に備えて契約の中途解約についての条項もチェックしておきましょう。

契約の種類により中途解除の自由度が異なるため、契約の種類とセットで考える必要があります。

請負契約の中途解約について

請負契約の場合、法律上、発注者は損害賠償と引き換えに契約の中途解除が可能です(民法641条)。損害賠償の具体的な内容は、業務委託の報酬の全部もしくは一部の支払いです。ただし、受注者の契約違反による契約の解除の場合は支払いを拒否される場合があるので注意しましょう。

契約書を確認する際は、発注者が受注者に不利な条件で契約解除できるような条文となっていないか確認しましょう。

一方、原則として受注者は中途解約ができません。発注者(注文者)が破産手続開始の決定を受けたときは、受注者(請負人)側から契約の解除が可能とされています(民法642条2項)が、それ以外の理由の場合は、発注者との十分な協議が必要となるでしょう。

受注者側から中途解除を申し出ることは、それ自体が契約違反となる可能性があります。報酬が支払われないだけでなく、損害賠償を求められることがあるので慎重に対応しましょう。

もし請負人側からも自由に解除できる契約としたい場合は、契約書にその点を盛り込めるよう発注者と交渉が必要です。

委任・準委任契約の中途解約について

委任・準委任契約に関しては、法律上、発注者・受注者のどちら側からでも自由に中途解約が可能です(民法 651条1項)。中途解約を申し出た際に途中まで業務が進んでいれば、その分の報酬について支払いを請求することもできます。

契約書を確認する際は、お互いにとって余裕を持った解約手続きができるよう、一定の期間を定め解約の予告を行う旨、記載しておくといいでしょう。

秘密保持について

秘密保持に関する条項は、発注側が本来社内で実施すべき業務を外部に発注する業務委託契約では、発注側にとって重要な項目です。情報は一旦漏洩してしまうと取り返しがつきません。契約解除や、場合によっては損害賠償の対象となることもあるので、まずは記載内容をよく確認しましょう。

秘密保持は、業務の中で知り得た情報を漏洩しないことについて、発注側から受注者側に一定の内容が要求されるのが一般的です。逆に、秘密保持をしてほしい情報を受注者側から発注者側に渡すことがある場合は、秘密保持義務が双方にある内容にしておくと良いでしょう。

また、秘密保持義務にも有効期限を定める場合があります。その際は、過剰な期間や内容となる義務が課されていないかも確認しましょう。

成果物の知的財産権・所有権の帰属

特に請負契約においては成果物が発生することから、成果物の知的財産権や所有権が誰に帰属するか明確にしておく必要があります。

知的財産権とは、知的創造活動によって生み出された成果物に付随する「財産的価値を有する情報」を創作した人の財産として保護するための権利です。知的財産権には特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権などが含まれます。

プログラミングや記事の執筆、ロゴデザインなどの業務委託では、知的財産権や所有権を発注者に譲渡する内容となるのが一般的です。

一方、受注者が構想段階から関わり、高度なアプリ・システム開発を行う場合などでは、受注者側が知的財産権を保持しつつ、発注者へ「知的財産権の利用許諾」を与えるという契約が行われることや、その逆のパターンもあります。

業務委託の結果としての成果物の権利をめぐり、後からトラブルにならないよう、知的財産権・所有権についての文言も必ず確認しておきましょう。

参考:知的財産権について|特許庁

契約不適合責任(瑕疵担保(かしたんぽ)責任)

契約不適合とは、請負契約において、検収の前か後かにかからわらず納品された成果物が「そのその種類・品質・数量に関して、契約の内容に適合しないこと」を指します。業務委託契約においては、受注者が契約不定業責任を負うため、発注者は次の対応を受注者に請求できます(民法562条)。

  1. 履行の追完(目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し)
  2. 代金減額
  3. 損害賠償(受注者側に明らかな責任がある場合)
  4. 契約解除

契約不適合責任は、2020年4月1日に施行された改正民法により新設された項目です。以前の民法で「瑕疵担保責任」として定められていた内容が改正され、成果物に対する受注者の負うべき責任がより明確になっています。委任・準委任契約の場合は契約不適合責任の適用がありません。

契約不適合責任に基づいて発注者が受注者に権利を行使できる期間は法律で定められていますが、個別の契約書で独自期間を設定する場合もあります。その場合は、権利行使の期間が長すぎないか確認しておきましょう。

損害賠償

業務委託契約書には、一般的に損害賠償条項が盛り込まれます。契約の当事者のいずれかが契約に違反し、相手方に損害を与えた場合に、その賠償責任を負うものです。

想定されるのは、次のようなケースです。

  • 受注者の不注意が原因で、発注者に損害が生じた
  • 受注者の納品が納期に遅れ、発注者に損害が生じた
  • 発注者が受注者の機密情報を流出させ、受注者に損害が生じた

万が一損害賠償を請求される事態に備え、損害賠償条項では「責任の範囲、期間、金額の制限」が

明確になっているか確認しましょう。

また、業務委託契約書に損害賠償条項を定めていなくとも、債務不履行があれば民法の規定が適用され、損害賠償が請求される場合があります。契約書をよく理解し、業務の遂行には細心の注意を払うようにしましょう。

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まとめ:フリーランスの仕事では業務委託契約の注意点を押さえておこう

業務委託には、トラブル予防のため、受注者・発注者があらかじめ想定し、合意しておくべき事項が多くあります。業務委託契約書はそれらの事項を書面化し、双方で合意する大切な書類です。

フリーランスの受注者は、契約書の内容をよく理解し、必要に応じて契約内容の交渉を行いましょう。双方が納得できる契約書となれば、業務に専念できます。そのためには、業務委託契約における注意点を押さえ、よく契約書を読んでみてください。

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執筆者
阿部雅子
人事/キャリアコンサルタント
人事担当として約12年強、採用から人事管理、退職までをサポート。業界はIT系スタートアップ/ブライダル/政府系研究機関等。国家資格キャリアコンサルタント。中小企業での各種雇用調整助成金の受給やコンプライアンスのための規程整備等の経験が豊富。