DINKsとは?メリット・デメリットや増加傾向にある理由を解説
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DINKsとは、意識的に子供を持たずに共働きをしている夫婦のことです。少子高齢化が進む中、社会情勢と共に生活観やライフスタイルは変化しています。そのため、子供を持たずに夫婦で生きていくという選択をする人も少なくありません。この記事では、DINKsの意味やメリット・デメリット、DINKsが増えている理由を解説します。
- 【この記事を読んでわかること】
- DINKsとは、自分達の意思で子どもを持たず、共働きをしている夫婦のこと
- DINKsのメリット・デメリット
- DINKsが増えている理由
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DINKsとは?
DINKsとは、自分達の意思で子どもを持たず、共働きをしている夫婦を指します。「Double Income No Kids」や「Dual Income No Kids」の略称です。DINKsの概念は1980年代頃からアメリカで生まれました。意識的に子供を持たない共働き夫婦のライフスタイルに加えて、生活観もDINKsといわれています。
内閣府によると、1970年から1980年頃にかけて、アメリカをはじめとする先進国の出生率は顕著に低下していました。その背景には、子どもの養育コストの増大、結婚・出産に対する価値観の変化、避妊など出生抑制技術の普及などが考えられています。
少子高齢化が進行する日本では、近年になってDINKsが注目されるようになりました。
夫婦のみの世帯数は増加傾向にある
近年、日本で注目されているDINKsは増加傾向にあると言えます。厚生労働省の「2021年国民生活基礎調査の概況」では、2021年の夫婦のみの世帯数が1271万4,000人と1986年の540万1,000人よりも倍以上多い結果となりました。
年代 | 夫婦のみの世帯数 |
1986年 | 5,401万人 |
1989年 | 6,322万人 |
1992年 | 7,071万人 |
1995年 | 7,488万人 |
1998年 | 8,781万人 |
2001年 | 9,403万人 |
2004年 | 1,016万1,000人 |
2007年 | 1,063万6,000人 |
2010年 | 1,099万4,000人 |
2013年 | 1,164万4,000人 |
2016年 | 1,185万人 |
2017年 | 1,209万8,000人 |
2018年 | 1,227万人 |
2019年 | 1,263万9,000人 |
2021年 | 1,271万4,000人 |
意図的に子供を持たず共働きをしているかは定かではありませんが、国民の約1割が夫婦のみの世帯であるため、少なからずDINKsは増加していると言えます。
不妊が原因で夫婦のみ世帯となる人もいる
意識的に子供を持たないという選択をするDINKsとは異なり、不妊が原因で夫婦のみで生活する世帯もあります。
厚生労働省の「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」によると、日本では、不妊を心配したことがある夫婦は35.0%で、夫婦全体のおよそ3組に1組の割合となりました。また、実際に不妊の検査や治療を受けたことがあるまたは現在受けている夫婦は18.2%で、夫婦全体のおよそ5.5組に1組の割合です。
2022年4月からは、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」について、保険適用されることとなったため、治療を受けやすくなっています。
DINKsのメリット5つ
DINKsを選択することによって、次のようなメリットが得られます。
- 経済的な余裕が生まれる
- 働き方の選択肢が増える
- 趣味に時間を使いやすくなる
- 自由に旅行ができる
- 好みの地域や家を選択できる
それぞれについて解説します。
1.経済的な余裕が生まれる
経済的な余裕が生まれることがDINKsの1つのメリットです。養育や教育など子供の1人あたりの育成には、中学校卒業までおよそ1,900万円かかり、高校に入学してから大学を卒業するまでの教育費には、平均して942万円かかります。
参考:平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査 子ども・子育て本部|内閣府
参考:教育費負担の実態調査結果|日本政策金融公庫
また、日本の賃金は、その他の先進国に比較すると上昇傾向にあるわけではありません。厚生労働省の「2021年の賃金構造基本統計調査の概況」では、1月あたりの賃金は2001年から2021年までの期間でほとんど変わっていないことが確認できます。
2001年 | 30万5,800円 |
2006年 | 30万1,800円 |
2011年 | 29万6,800円 |
2016年 | 30万4,000円 |
2021年 | 30万7,400円 |
20年間で1,600円程度しか賃金が上がっていないにも関わらず、物価や年金制度などの負担は増しているため、DINKsを選んで経済的に余裕を持とうとする人もいるでしょう。
2.働き方の選択肢が増える
2つめのメリットは、勤務地や職種、雇用形態にこだわらず自由な働き方を選択できることです。子供を持たないDINKsは、先に述べたように経済的な負担も少なく、労働時間や休日などに関して子供を持つ家庭ほど配慮しなくても生活していけます。
転勤が頻繁にある、深夜勤務、休日が少ないといった企業に務めるのは、特に子供が小さい家庭では難しいでしょう。毎日1人で家事や育児をこなすのは負担がかかります。
しかしDINKsであれば、休日を合わせたりなどパートナーと相談することによって、安定して働ける可能性もあります。また、継続して働くのが困難な場合、転職も視野に入れやすいです。
キャリアを築きやすい
DINKsを選択することによって仕事に没頭すれば、キャリアを形成しやすくなります。
特に女性の場合は、出産で仕事を離れるブランクがなくなるからです。子供を持ち長期間企業を離れることによって、昇級に影響する場合も少なくありません。しかし、DINKsであればその心配がないため、キャリアを築きやすいといえます。
3.趣味に時間を使いやすくなる
DINKsによって時間的なゆとりが生まれ、趣味を楽しめます。スポーツやゲーム、読書、フィッシング、キャンプなど、子供の頃から好きだったことや新たなチャレンジもできるでしょう。
東京都福祉保健局の調査によると、定年退職後にどのような生活を送りたいのかは年齢別で次のようになりました。
20代以下 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 旅行や遊び 趣味・スポーツ |
旅行や遊び | 趣味スポーツ活動 | 地域活動、社会貢献のための活動(ボランティ) | 趣味スポーツ活動 | 地域活動、社会貢献のための活動(ボランティ) |
2位 | 旅行や遊び 趣味・スポーツ |
趣味スポーツ活動 | 働く・企業する | 趣味スポーツ活動 | 地域活動、社会貢献のための活動(ボランティ) | 趣味スポーツ活動 |
3位 | 地域活動、社会貢献のための活動(ボランティ) 家族、親族との交流 |
のんびり暮らす | 旅行や遊び | 旅行や遊び | 旅行や遊び | 旅行や遊び |
このように、趣味やスポーツを楽しみながら生活したいという人は、年代にかかわらず共通しています。DINKsを選択し、好きな趣味をする時間が増えれば、仕事など日々のストレスも緩和されます。
4.自由に旅行ができる
好きな場所へ自由に旅行できます。子供がいる場合でも旅行はできますが、行動範囲が制限されることもあります。
特に、子供が小さい間は、長時間の移動が生じる海外旅行に行くのは難しいこともあるでしょう。子供が時間を持て余し、ストレスに感じることを避け、自由に旅行できない家庭は少なくありません。
子供が成人したあと、夫婦で旅行を楽しむのも1つですが、心身的に充実している若い時にこそ、訪問することができる地域や旅先での楽しみ方など、旅行の幅も広がります。
5.好みの地域や家を選択できる
自分が好きな地域や家を選んで生活できます。子供に配慮して選択する必要がないためです。子供がいる場合、子育て支援制度が充実した地域や治安の良い地域、学校や病院が近くにある地域など、居住地を選択するのに配慮することがあります。
また、家を探す場合も子供部屋を設けなくて済みます。注文住宅を建てる場合も部屋数を減らすことによってコストを削減し、その分理想のデザインに近づけられるなど、選択肢が広がるのも1つのメリットでしょう。
DINKsのデメリット
- 老後に不安を感じる
- 世間体が気になる
- 子持ちのコミュニティやライフイベントに参加できない
それぞれについて解説します。
老後に不安を感じる
子供を持たないことによって、老後に不安を感じます。年齢を重ねると共に体力は低下し、病気にかかるリスクが高まるためです。
DINKsの場合、子供に頼れないため、夫婦で支え合っていく必要があります。しかし、同年代のDINKsは、支え合って生活するのが難しい場合もあるでしょう。2021年の厚生労働省の調査によると、男性の平均寿命はおよそ81歳、女性は88歳です。
単純に考えると、男性の平均寿命は7歳ほど短いため、残された女性は7年間を1人で過ごすことになります。そのため、老後に不安を覚える人もいます。老後のためには、サービス付きの高齢者向け住宅の入居を検討する、または社会との交流を保つなど、対策を早めにしておきましょう。
世間体が気になる
同年代の子持ちの家庭や家族、友人からの声など、世間体が気になることがあります。特に、結婚すれば子供を持つのが普通だった世代には、DINKsの概念を理解してもらうのは難しいでしょう。日本国内では、1947年〜1949年の第1次ベビーブーム、1971年から1974年の第2次ベビーブームがあった。第一次ベビーブームの出生数はおよそ806万人だったのが、2019〜2021年の3年間の出生数は252万人と3分の1以下となりました。
そのため、年代によってはDINKsが理解されないこともあり、子供がいないことにストレスを感じることもあります。
子持ちのコミュニティやライフイベントに参加できない
DINKsは子供向けのコミュニティやライフイベントに参加できないまたは参加しにくいことがあります。入学式や卒業式、運動会、成人式、結婚式などのお祝い事、行事のほか、パパ友やママ友、親同士の付き合いなどのライフイベントには参加できません。
自分に使える時間や経済的な余裕がある分、趣味や旅行などやりたいことがある人にはDINKsは適していますが、趣味や目標がない人は時間を持て余す可能性があります。高齢期を豊かにくられせるように、ライフプランを立てておきましょう。
DINKsを選択する場合の注意点4つ
DINKsを選択する場合には、次の4点に注意が必要です。
- マネープランを設計しておく
- 資産形成をしておく
- セカンドライフプランを立てる
- 夫婦で認識を共有する
それぞれについて解説します。
1.マネープランを設計しておく
DINKsを選択する際は、マネープランを設計しておきましょう。子供にお金がかからない分、経済的に余裕が生まれて収支計画がずさんになる可能性があるためです。
令和3年に統計局が実施した家計調査によると、生活費にかかる支出は、食料費、その他の消費支出、交際費、交通・通信費(自動車のガソリン代や携帯電話代など)の順で多くなります。1世帯当たり1ヵ月間の支出合計金額は、231,485円です。
用途 | 金額 |
食料 | 62,531円 |
その他の支出 | 44,183円 |
交通・通信 | 32,309円 |
教養娯楽 | 21,899円 |
住居 | 19,668円 |
光熱・水道 | 17,930円 |
保険医療 | 11,896円 |
家具・家事用品 | 9,720円 |
教育 | 7,690円 |
被服および履物 | 7,255円 |
支出合計 | 231,485円 |
生活資金を見直して無駄な出費を減らし、老後の生活を想定しておくことが重要です。家賃やローン、光熱費、食費などの生活資金や支出の総額を把握し、節約できる部分を貯蓄や投資に回すなど早期から対策しましょう。近年、iDeCoやNISAなどの国によって投資や資産運用が促進されています。複数の商品を見比べて、リスクヘッジを行いつつ、資産を形成するといいでしょう。
病気やけが、介護などによって想定以外の資金が必要になることもあるため、余裕を持った資金計画をすべきです。
2.資産形成しておく
生活資金の見直しによってできた余剰分で資産形成をしましょう。資産形成には次の3つの方法があります。- つみたてNISA
- iDeCo
- 不動産投資信託REIT(リート)
それぞれについて解説します。
1.つみたてNISA
つみたてNISAは、長期的な資産形成を目的として行う投資の1つです。投資の未経験者や初心者をサポートする目的で開始した制度で、少額から投資できます。年間40万円までの投資の場合、分配金や譲渡益に課税されません。最長で20年間運用できるため、毎月コツコツ資産形成したい人に適した投資法です。ただし、投資できるのは限られた投資信託のみのため、自分で自由に商品を選びたい人は別の方法を選択しましょう。
2.iDeCo
iDeCoは私的年金制度の1つで、任意で加入し、掛金の拠出や運用の全てを自分で行う投資法です。掛金は全額所得控除されるうえ、運用益は非課税のため、効率よく資産形成できます。
国民年金や厚生年金などの公的年金と同じように年金の給付を受けられますが、掛金とその運用益との合計額を基に給付を受け取れる点が異なります。
20〜65歳まで運用でき、60歳になった時点から受け取りを開始できます。受け取れるのは、掛金の合計額と運用益を合わせた金額で、3つの受け取り方法から選択できます。受け取りは、一時払い・年金・年金と一時金の組み合わせです。一時払いの場合は積立金額と運用益を一括で、年金の場合は定期的に受け取ります。また、併給の場合は、一部を一時金で残りを年金で受け取ります。
基本的に60歳になるまで資金を引き出せない点には注意が必要です。
3.不動産投資信託REIT(リート)
不動産投資信託と呼ばれるREIT(リート)は、投資家から集めた資金を不動産投資の専門家が運用して得た利益を分配する金融商品です。商業施設やマンションなどの不動産が投資の対象となります。
不動産を購入して売買するには、資金に加えて、不動産に関する知識や経験も必要です。REITは、不動産投資のプロの運用の元、間接的に不動産のオーナーになり成果を享受できます。また、現物の不動産投資より低リスクかつ少額で投資できます。
3.セカンドライフプランを立てる
セカンドライフプランを立てておきましょう。従来、60〜65歳の定年から生涯を終えるまでの15〜20年程度の期間とされてきたセカンドライフ(第二の人生)は、見直されています。平均寿命の延伸やライフスタイル、社会情勢など、さまざま変化が生じているためです。
DINKsを選択した夫婦の場合、ITエンジニアやデザイナーなどのフリーランス、あるいはカフェや居酒屋などの自営業として収入を得ながら、ゆったり暮らすのもいいでしょう。ほかにも、地方に移住し農業をしながら暮らすなど、多様な選択肢があります。
夫婦で相談し、生活資金や健康、仕事などを見直してセカンドプランを立てることによって、充実したセカンドライフを過ごせます。
4.夫婦で認識を共有する
DINKsでは、夫婦で認識を共有することが重要です。意識的に選択するDINKsにとって、認識の共有をすることが、生涯にわたって円満な夫婦生活を送る大事な鍵となります。
子供を持つことに関しての願望や今後の生活、仕事、病気、介護が必要になった場合など、さまざまな状況についてしっかり話し合っておきましょう。
人の考えは環境や時間など、何らかの要因によって変化することもあります。数年前に共有した認識と違うなど気になったことは、その都度お互いに話すといいでしょう。
マネープランやセカンドライフプランを立ててDINKsを選択しよう
DINKsは、賃金が増えず豊かな生活が難しくなっている社会情勢や生活観の変化によって、増加傾向にあるといえます。時間や経済的な余裕が持てるため選択する人もいる一方で、選択したあとに世間体や老後の生活を危惧する人もいます。
事前に夫婦で認識を共有し、資産形成を含めたマネープランニングやセカンドライフプランニングを行ったうえで、DINKsを選択しましょう。
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