老後資金の貯め方は?40代からできる年金に頼らない資産の作り方

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40代の平均貯蓄額を見ると、十分な老後資金を貯められていない人の多さが浮き彫りになっています。
しかし、40代のうちから計画的に老後を見据えた貯蓄を始めることで、豊かな老後生活を送ることも可能です。本記事では、40代からできる老後資金の貯め方と、老後資金として必要な金額の出し方をご紹介します。

  • 【この記事を読んでわかること】
  • 預貯金だけでなく投資信託や保険など資産を増やす手立ては様々ある
  • 40代総世帯の平均貯蓄額は891万円だが中央値は200万円と差がある
  • 40代から計画的に積み立てることで年金に頼らない資産形成が可能

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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。

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40代におすすめの老後資金の貯め方

貯蓄

40代におすすめの老後資金の貯め方は、大きく分けて以下の4つが挙げられます。

  • 積立定期などの先取り貯蓄
  • 非課税制度を利用した運用
  • 利益を追求した運用
  • 貯蓄と万が一の備えがセットになった保険

老後資金を貯める時は上記のどれかに偏ることなく、バランスよく利用するようにしましょう。この項目では、上記4つについて解説します。

積立定期などの先取り貯蓄

老後資金を手堅く貯蓄する方法としては、積立定期と円建て個人年金保険が挙げられます。毎月口座から自動引き落としされることで、先取り貯蓄が可能です。
なお、金融機関に預けている預金は預金保険制度の対象となります。万が一、金融機関が破綻した場合は元本1,000万円までとその利息までが保護されます。

参考:「預金保険制度‐金融庁」

したがって、手堅く安心とはいえ預金の貯蓄が1,000万円を超えると超過分は保護されないため、資産は複数の金融機関に分散するか運用に回すことを考える必要があります。以上に気をつけて、先取り貯蓄の内容を見ていきましょう。

積立定期

積立定期とは、毎月一定額を貯めていく積立式の定期預金のことです。引き落とし日になると自動的に普通預金から定期預金に積み立てられるため、毎月の積立を手間なく継続できます。
ただし、金融機関にもよりますが定期預金の利率は0.01%程度と低金利です。100万円積み立てても利息は100円程度、税金を抜くと80円程度しかつきません。他の貯蓄方法と合わせた運用が必要です。

円建て個人年金保険

個人年金保険とは、一定の年齢まで積み立てた保険料を、その後一定期間または一生涯に渡って年金のように受け取る貯蓄型の保険のことです。公的年金では足りない老後資金を補う目的で利用されます。
なお、個人年金保険で積み立てる保険料は、円建てと外貨建ての2パターンが存在します。

リスク 金利
円建て 低い 低い
外貨建て 高い 高い

円建ては日本円で積み立てるため為替リスクが低く、中途解約または保険会社の破綻がなければ、元本は確実に日本円で返ってきます。
一方、外貨建ては米ドルなど外国の通貨で積み立てるため、外国通貨から日本円に交換する時の為替レートによっては、損失を被ることもあります。

円建ての場合はリスクが低い分、金利も低めで、外貨建ての場合はリスクが高く金利も高めです。預金よりは良い金利で、定期預金のように確実に貯めたいのであれば、円建て個人年金保険がおすすめです。

非課税制度を利用した運用

非課税制度を利用すると、資産運用をする際に税金面でお得になります。主な非課税制度はiDeCoとNISAです。iDeCoは年金の上乗せを目的とした私的年金、NISAは運用益に対する税金を一定金額まで非課税にできる制度です。
どちらも40代で利用できる制度のため、老後資金を貯める際に活用できます。それぞれを詳しく見ていきましょう。

iDeCo

iDeCoは個人型確定拠出年金の別称で、自分で掛金を拠出して自分で運用する私的年金制度のことです。投資信託や保険など任意の運用商品を選んで毎月投資できます。
掛金の金額は被保険者種別によって異なりますが、最低5,000円から千円単位で掛けられます。

iDeCoの大きな魅力としては、以下のような税金面での優遇が挙げられます。

  • 掛金全額が所得控除の対象
  • 運用益が非課税

まず、掛金全額が所得控除の対象となるため、年末調整や確定申告することによって軽減された税金が戻ってきます。仮に毎月の掛金が1万円の場合、所得税10%、住民税10%とすると、年間2.4万円の税金が軽減されて戻ってくるため、お得に運用できます。

参考:「iDeCo(イデコ)のイイコト‐iDeCo公式サイト」

さらに、本来は運用で出た利益には20.315%の税金がかかるところ、iDeCoで運用した分に関しては非課税になります。非課税となった分については運用に再投資されるため、効率的に運用できます。

ただし、iDeCoで積み立てた資金は原則として60歳までは引き出せない点には注意が必要です。40代からiDeCoを始めるのであれば、約20年間は引き出さなくてもいい金額を見積もって、いくらなら毎月拠出できるのかを考えてから申し込みましょう。

NISA

NISAとは、少額投資非課税制度のことです。株式や投資信託の運用で得た利益に対する税金を、一定金額まで非課税にできます。金融機関で株式や投資信託を購入する際に、一緒に申し込みできます。NISAは主に一般NISAとつみたてNISAが利用されており、主な違いは以下の表のとおりです。

一般NISA つみたてNISA
非課税期間 5年間 20年間
年間非課税枠 120万円 40万円
投資可能商品 株式、投資信託など 金融庁へ届け出された一定の投資信託
払い出し制限 なし なし

参考:「NISAとは?‐金融庁」

一般NISAは非課税枠が120万円と大きく、対象となる投資商品の幅が広いことが特徴です。投資商品の購入は基本的に一括払いとなります。
一方、つみたてNISAは非課税枠が40万円と少ないものの、非課税期間が20年間と、長期間にわたって非課税の恩恵を受けられるところに魅力があります。さらに、投資対象は長期・積立・分散投資に適している投資信託に限られており、初心者にもおすすめです。購入方法は基本的に月々の積立となります。

このように、つみたてNISAは20年間にわたってコツコツと運用できるため、老後資金が必要となる60代に向けて、40代から始めるとちょうどいい制度です。
普段から大きな金額を運用している人なら一般NISAを検討する価値もありますが、老後資金を少しずつ用意したい人にとっては、つみたてNISAの方が向いているでしょう。

利益を追求した運用

外貨建て保険

外貨建て保険とは、外国通貨で保険料を積み立てて満期がくれば約束された保険金を受け取れる保険のことです。前述した個人年金保険や、終身保険など、形態はさまざまあります。
外貨建てで積み立てることで為替による恩恵を受けられることもあれば、反対に損を被ることもあります。為替が良くない時に満期を迎えた場合は、外貨預金を作って保険金を外貨のまま保有しておくことで、為替による損失を回避することもできます。

外国債券

外国債券とは、外国の国や企業が資金調達のために発行する有価証券のことです。年に数回決まった利息を受け取ることができ、満期が来ると元本が戻ってくるため、変動が激しい株式より低リスクで投資できます。
日本国債や日本企業の債券より金利が良いこともあります。ただし、為替リスクの影響を受けることや、発行元の信用度によっては倒産リスクがあることを踏まえて投資しなければなりません。

貯蓄と万が一の備えがセットになった保険

老後を見据えた40代の貯蓄方法としては、貯蓄と万が一の備えがセットになった保険を利用するのも有効です。せっかく老後資金を貯めたのに病気で多額の医療費がかかってしまったり、老後を迎える前に亡くなってしまったりする場合もありえます。そんな不測の事態に備える対策として挙げられるのが、以下に紹介する保険です。

終身保険

終身保険とは、一生涯にわたって保障が続く死亡保険のことです。掛金を積み立てて貯蓄しながらも、万が一のことがあれば掛金以上の死亡保険金が遺族に支払われます。解約すれば積み立てた掛け金に応じた解約金を受け取ることもできます。ただし、中途解約をすると多くの場合で払い込み総額を下回るため、解約するなら払い込みが完了してからにしましょう。

とはいえ、多くの場合、払込総額よりも死亡保険金の方が金額は大きいです。基本的には手を付けないで置いておくのがおすすめです。

貯蓄型医療保険

医療保険とは、病気や入院の際に保険金が支払われる生命保険のことです。掛け捨てではなく貯蓄型の医療保険を選ぶと、保険料の一部が積み立てられ、一定の条件をクリアすると給付金が受け取れます。
たとえば、一定期間大きな病気をせず入院がなければお祝い金がもらえるといった保険もあります。ただし、受け取れる給付金は払込相当額とはなりません。医療保障をメインに据え、貯蓄は部分的にできるものと考えておきましょう。

40代総世帯の平均貯蓄額は891万円

貯蓄2

ここまで老後資金を貯める方法をご紹介してきましたが、実際の40代はどのくらい貯蓄しているのかについて触れておきます。以下の表からわかるように、40代総世帯の平均貯蓄額は891万円です。

平均貯蓄額 中央値
40代総世帯 891万円 200万円
40代単身世帯 818万円 92万円
40代二人以上世帯 916万円 300万円

参考:「(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和3年)|金融広報中央委員会」
参考:「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)|金融広報中央委員会」
参考:「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)|金融広報中央委員会」

40代の総世帯、単身世帯、二人以上世帯すべてで、平均貯蓄額は800万円を超えています。ただし、平均値は極端に多いまたは少ないといった一部の数字の影響が大きいため、実態を把握しにくい場合があります。

そこで、平均値の隣に中央値を記載しました。中央値とは、データを小さい順もしくは大きい順に並べてちょうど中央にある値のことです。値の大きさで結果が左右されることなく、順番に並んでちょうど真ん中の人の貯蓄額を知ることができるため、実態を反映していると言えます。

たとえば40代総世帯の貯蓄額の中央値は200万円のため、平均貯蓄額の891万円とは691万円もの差があります。貯めている人と貯めていない人の貯蓄額の差が大きいことが伺えます。
平均値や中央値は自分の貯蓄レベルを図れるツールとも言えます。貯蓄が足りないと感じた人は、紹介した老後資金の貯め方を参考に、できるものから始めてみてください。

老後までに貯めておきたい金額の計算方法

計算

老後資金を貯めるにあたり、いくら貯めればよいのかを計算します。やみくもに老後資金を貯めても、目標が見えずに挫折してしまいます。老後生活で必要な費用や得られる収入などを計算して、老後までに貯めたい目標積立額を導き出しましょう。

老後生活にかかる費用

まずは老後生活でかかる費用を計算します。一般的な生活で必要な支出項目及び平均的な支出額は、以下の通りです。

支出項目 1世帯当たりの1か月間の主な支出額
食費 69,191円
住居費 16,385円
水道光熱費 20,959円
日用品費 10,492円
被服費 5,223円
医療費 15,592円
自動車等維持費 12,122円
通信費 9,847円
娯楽費 19,758円
交際費 17,315円
直接税(住民税など) 12,727円
社会保険料(健康保険料など) 20,018円
ゆとりある生活に必要な上乗せ費用 148,000円
合計 377,629円

※世帯主が60歳以上かつ無職二人以上世帯の場合

参考:「第3-12表(高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別1世帯当たり1か月間の収入と支出|e-Stat」

支出項目の「ゆとりある生活に必要な上乗せ費用」とは、経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、老後の最低日常生活費以外に必要と考えられている金額の平均のことです。

参考:「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査《速報版》|(公財)生命保険文化センター」

ただし、支出項目及び金額はあくまで一例のため、上記を参考にしつつ自分に必要な支出項目と金額を考えてみてください。

臨時出費

上記で算出した支出費に、臨時出費を加えます。たとえば、以下の費用は臨時出費に当てはまります。

  • リフォーム費用
  • 子どもの学費
  • 旅行費用

大きな出費を費用に含めるのを忘れると、老後資金の貯蓄計画に大きな狂いが生じます。考えうる臨時出費を今のうちに考えて、あらかじめ計算に入れておきましょう。

老後生活で得られる収入額と老後資金に回せる現在の貯蓄

次に老後生活で得られる収入額を調べます。老後の大きな収入源は、公的年金や退職金です。公的年金は、国民年金や厚生年金などが挙げられます。国民年金は満額をおさめていれば、年間777,800円支給されます。
会社に勤めていた人がもらえる厚生年金は、加入時期や収入額によって受取額が異なるため、日本年金機構が運用しているねんきんネットで調べると、自分がもらえる正確な年金額がわかります。退職金の金額は勤務先に確認しておきましょう。

さらに、現在貯蓄しているお金で老後資金に回せる余裕資金も計算しておきます。とくに使い道がなく普通預金や定期預金に眠っているお金は、老後資金に回せる可能性があります。

老後までに貯めたい目標積立額

年金や退職金といった老後得られる収入から、老後の生活資金と臨時出費を引いた額が、老後までに貯めたい目標積立額となります。たとえば夫婦二人暮らしの場合、60〜90歳までの30年間で必要な老後資金は以下のようになります。

(C)年間額 (C×30年)総額
(A)毎月の収入 257万円 7,710万円
夫の年金収入 180万円 5,400万円
妻の年金収入 77万円 2,310万円
(B)退職金 2,000万円
(C)老後資金に回せる現在の貯蓄額 1,000万円
(D)支出 444万円 1億3,820万円
日常でかかる支出 37万円×12か月=444万円 1億3,320万円
臨時出費 500万円
(A+B+C-D)目標積立額 257万円ー444万円=-163万円 7,710万円+2,000万円+1,000万円-1億3,820万円=-4,110万円

上記の場合、60歳以降90歳までの老後費用で貯めるべき金額は、4,110万円です。仮に40歳から60歳までの20年間で積み立てるとすると、4,110万円÷20年÷12か月=約17万1,250円が毎月の積立金額となります。なお、すでに資産運用で老後資金を貯蓄し始めている場合は、収入に含めて計算してください。

老後資金を積み立てるコツは、はやめに老後資金を貯め始めることです。積立期間が長くなると毎月の積立金額が減少するため、無理なく老後資金の準備ができます。冷静に現状を踏まえて、はやめに老後資金の貯蓄計画を立てていきましょう。

40代から貯める時の注意点

注意点

老後資金を貯めるにあたって、40代だからこそ気をつけるべきポイントを3つご紹介します。老後資金は貯めれば貯めるだけいいというわけではなく、生活資金と老後資金とは明確に区別する必要があります。また老後資産を増やしたいがために、多額の資産運用をするのも厳禁です。以下で具体的な内容を見ていきます。

出金しにくい貯蓄ばかりにならないようにする

老後資金の一部を資産運用で準備する場合、商品の性格上、解約しづらいものが多くなっています。たとえばiDeCoは60歳まで原則引き出しできず、保険商品は満期が来るまでに解約すると元本を大きく下回ることもあります。
このような商品を老後資金の貯蓄として使用する場合、簡単には出金できないため注意が必要です。日常生活で必要と思われる金額は、しっかり手元の預金に置いておきましょう。

リスクの高い投資をしすぎない

資産運用で投資する先は、リスクの高いものを選びすぎないようにしましょう。なぜなら、40代からの運用は、運用成績が悪くても挽回できるチャンスが少ないからです。
40代は若い人に比べて、どうしても運用期間が短くなります。その分、ある程度リスクを抑えた投資も必要です。年齢が上がるにつれて、リスクの低い投資先を増やしていくとよいでしょう。

無理のある貯蓄はしない

現状では老後資金が足りていないことがわかっても、無理して老後資金を貯蓄する必要はありません。今の生活に支障をきたしてまで貯蓄するのではなく、今の自分ができる貯蓄方法と貯蓄金額を、少しずつ模索していきましょう。

貯蓄だけで足りなければ、60歳以降も再雇用で働く、年金受給を遅らせることで年金額を上げる、など収入を増やす方法もあります。

参考:「年金の繰り下げ受給|日本年金機構」

老後資金の貯め方は人それぞれのため、自分にとってどの方法がベストか、じっくり考えてみてください。

老後に向けた資産形成は40代の今がチャンス

老後資金を貯めるには、ある程度の時間とお金が必要です。40代は定年退職までまだ約20年あり、安定した収入が得られやすい時期です。NISAなどの非課税制度を利用した投資信託や、貯蓄型の保険などの資産運用を検討してみてください。

ただし、運用する資金は、生活に支障をきたさない範囲の余裕資金であることが大切です。安心して老後を迎えるために、老後資金について考え始めるチャンスを逃さず計画的に貯めていきましょう。

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執筆者
エイジレスメディア編集部
エイジレス社会の専門誌として、すべての人が何歳でも豊かな暮らしを紡げるよう有益な情報を発信していきます。主に、エイジレスなビジョンを体現している人物や組織へのインタビュー記事を執筆しています。