専業主婦の年金は共働きの約半額?受給額や老後資金対策を解説

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年金額は支払った保険料によって決まるため、一般的に専業主婦は、共働き世帯の妻よりも老後に受け取る年金が少ないです。そのため、年金だけでは足りない老後の生活費を計画的に準備する必要があります。
この記事では、専業主婦の具体的な年金額や共働き世帯との比較、老後資金を準備する方法について解説します。

  • 【この記事を読んでわかること】
  • 専業主婦の年金は国民年金のみでもらえる金額は共働きの約半額
  • 将来の年金の不足分をiDeCoなどで準備する必要がある
  • 会社員の夫と離婚すると年金分割が受けられるが受給額は半分程度

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専業主婦と共働きの年金の受取額の違い

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専業主婦が老後に受け取る年金額はいくらで、共働きに比べてどの程度少ないのでしょうか。最初に専業主婦と共働きの年金額(月額)を見ていきます。

男女別国民年金と厚生年金の月額

以下は、厚生労働省年金局による2020年(令和2年)の国民年金と厚生年金の月額の平均です。国民年金はすべての国民が加入するため、厚生年金受給額には国民年金分が含まれます。専業主婦の年金額は国民年金の5万4,112円、共働き家庭の主婦の年金は10万3,808円と両者には約2倍の開きがあることがわかります。

国民年金 厚生年金(国民年金含む)
男性 5万9,040円 16万4,742円
女性 5万4,112円 10万3,808円

参考:厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

世帯の年金額の違い

上記のデータをもとに、世帯のタイプ別の年金額の違いを確認しておきましょう。

世帯のタイプ 世帯の年金額
自営業の世帯 11万3,152円
専業主婦世帯(夫が会社員) 21万8,854円
共働き世帯 26万8,550円

夫が自営業者の世帯は妻が事業を手伝っていても専業主婦でも、夫婦の年金は国民年金だけです。夫が会社員で妻が専業主婦であれば、夫の厚生年金のために世帯の年金は自営業者世帯よりも増えます。
さらに共働きならば夫婦2人分の厚生年金が受け取れるため、より年金額が多くなります。

年金は同じ金額を一生受け取るため、いくら受け取れるかを早めに確認し、老後の生活設計を組み立てましょう。

専業主婦の年金は国民年金のみ

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夫に扶養されている専業主婦が将来受け取れる年金は、国民年金のみです。ただし、同じ専業主婦の家庭でも夫がサラリーマンか自営業かによって、妻の年金保険料負担の有無が異なります。

夫がサラリーマンの場合

夫が会社員・公務員で妻が専業主婦の場合、妻は国民年金の第3号被保険者となります。第3号被保険者とは、第2号被保険者に扶養されている配偶者です。

第3号被保険者には年金保険料を支払う必要はなく、自己負担なしで国民年金の老齢基礎年金や障害基礎年金を受けられます。夫は厚生年金を受給できますが、専業主婦の妻がもらえるのは国民年金だけです。

夫が自営業の場合

夫が自営業の場合、専業主婦の妻は夫とともに第1号被保険者となり、年金保険料をそれぞれ支払います。夫婦ともに国民年金の世帯は、老後に受け取るのは老齢基礎年金だけです。国民年金だけで老後の生活費をまかなうのは難しいため、自営業の世帯は特に意識して老後資金を準備していく必要があります。

専業主婦世帯向け老後資金の準備方法6選

ポストイット

専業主婦は家事や育児に割ける時間が多く、家庭を大切にする人にはメリットがあります。しかし、老後に受け取る年金は共働き世帯に比べて少なくなるため、早い時期から計画的に準備しなくてはなりません。

ここでは専業主婦世帯の老後資金準備に有効な方法を紹介します。複数の方法を組み合わせると、より強力な対策になります。各家庭に合った方法を取り入れましょう。

1.60歳以降に国民年金に任意加入

国民年金の受給額が満額でない人は、60歳以降に任意加入で年金額を増やせます。国民年金は480カ月保険料を納めると、65歳以降に満額(2022年度は月額6万4,816円)受け取れます。任意加入とは60歳までに保険料を480カ月納めていない人が、引き続き加入して増やす制度です。国民年金の任意加入には、以下のすべての条件を満たす必要があります。

  • 日本国内に居住する60歳以上65歳未満の人
  • 老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない人
  • 60歳までの保険料納付が480カ月未満の人
  • 厚生年金・共済組合等に加入していない人

上記の条件から任意加入を利用できるのは、自営業者とその妻などです。先述の平均受給額は、満額から1万円前後少ない金額でした。60歳以降も夫婦そろって任意加入すれば世帯で月額2万円近く年金が増やせる可能性があります。支払う保険料は社会保険料控除の対象にもなるため、積極的に活用しましょう。

2.付加年金に加入

国民年金の保険料に追加して付加保険料(月額400円)を納めると、将来受け取る年金を増やせます。付加保険料を納められるのは第1号被保険者なので、夫が自営業者の専業主婦なら付加保険料を納付できます。
また、任意加入している人も利用可能です。ただし、国民年金基金に加入している人は付加年金を利用できません。

付加保険料を支払うことで増やせる年金額(年額)は、「200円×保険料納付月数」です。2年以上年金を受け取ると支払った保険料以上の年金が受け取れます。

たとえば、30歳から60歳まで360カ月(30年)付加保険料を納めたとすると、上乗せされる年金額は7万2,000円(200円×360カ月)です。 わずかな負担で年金を増やせるので、自営業者の世帯なら夫婦で利用したい制度です。

3.国民年金基金に加入

国民年金基金は自営業者のための年金の上乗せ制度で、専業主婦の妻が第1号被保険者なら加入できます。
加入が必須となる1口目は終身年金で、30歳の女性の1カ月の保険料は1万2,010円(保証期間なし)です。この保険料を60歳まで支払うと、65歳以降の毎月の年金額が2万円上乗せされます。

このように、国民年金基金の将来の受取額は加入時に決まる仕組みです。安心な反面、将来インフレになったときには受け取る年金の価値が下がるリスクがあります。
国民年金基金の保険料は全額社会保険料控除の対象になります。ただし、一度加入すると加入資格を喪失(厚生年金に加入など)しないかぎり、任意の脱退はできない点に注意が必要です。

4.年金の繰り下げ受給

老齢基礎(厚生)年金は65歳から受け取らずに、最長75歳まで繰下げて受け取れます。繰下げた期間に応じて年金額が増え、増えた年金を一生涯受け取れます。増額される年金額は65歳から受け取る年金額に対して、繰下げた1カ月あたり0.7%です。70歳まで繰下げると42%、75歳まで繰下げると84%の増額となります。

ただし、年金を繰下げると受け取りまで無収入になる可能性があり、それまでの生活費の準備が必須です。

5.iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入

iDeCo(個人型確定拠出年金)は公的年金の上乗せ制度で、専業主婦も加入できます。支払った保険料で加入者が運用商品を選び、将来運用の成果を年金または一時金で受け取る仕組みです。iDeCoには加入者の属性による掛金の上限があります。自営業者の妻で第1号被保険者であれば、毎月の掛金上限は6万8,000円(国民年金基金と合算して)です。会社員の妻で第3号被保険者であれば、毎月2万3,000円が上限となります。

iDeCoは掛金が全額所得控除になりますが、収入のない専業主婦にはメリットになりません。しかし、自営業者の妻が夫のお金で毎月6万8,000円(年間81万6,000円)の掛金を支払ったとしても、贈与税はかかりません。贈与税には年間110万円の基礎控除があるからです。専業主婦が夫のお金で加入して、自分名義の資産が作れる点は、iDeCoのメリットです。

ただし、60歳までは年金資産の引き出しはできないため、無理のない掛金を設定しましょう。

6.つみたてNISAを活用

つみたてNISAはNISA(少額投資非課税制度)の一種で、運用益が非課税になる制度です。1年間の非課税投資の枠は40万円で、非課税期間は最長20年です。

つみたてNISAはiDeCoと同様に専業主婦が夫のお金で積立てでき、自分名義の資産を作れます。iDeCoと違い、途中引き出しも自由にできるので余裕資金を安心して回せます。また、加入期間に上限がないので、高齢になっても続けられる点は他の制度にはないメリットです。

通常の投資で利益が出ると、運用益は配偶者控除の基準となる「合計所得金額」に加算されます。合計所得金額が48万円以上になると、配偶者控除を受けられなくなるのです。しかし、つみたてNISAは運用益に課税されないため、いくら利益が出たとしても配偶者控除に影響がありません。

専業主婦の年金についての注意点

注意

専業主婦世帯の年金は共働き世帯に比べて少なく、計画的に老後資金を準備しなければなりません。しかし、それ以外にも注意すべき点がいくつかあるので、頭に入れておきましょう。

離婚すると年金が半分になる

専業主婦だった人が離婚すると、第3号被保険者であれば第1号被保険者への切り替えが必要です。離婚後の保険料は自分で負担することになります。
夫が厚生年金に加入していた場合、「年金分割」(合意分割または3号分割)を請求できるケースがあります。

合意分割とは、2007年4月1日以降に離婚した夫婦が、婚姻期間中の厚生年金記録を合意または裁判によって分割する制度です。3号分割は2008年5月1日以降に離婚した夫婦が、婚姻期間中の厚生年金記録を1/2の割合で分割請求できます。どちらも請求期限は2年です。

年金分割は婚姻期間中の厚生年金を分割するため、短期間で離婚した場合には妻の年金はあまり増えません。また、受け取れるとしても婚姻期間中の夫の厚生年金の1/2までである点に注意しましょう。

夫が退職すると第1号被保険者への切り替えが必要に

会社員や公務員の夫が退職すると専業主婦の妻は第3号被保険者の資格がなくなり、第1号被保険者への切り替えが必要です。切り替えの手続きは市区町村の役所で行います。手続きには基礎年金番号通知書または年金手帳などが必要です。第1号被保険者になると、以降の保険料を支払わなければなりません。

また、60歳以降も厚生年金に加入しながら働いていた夫が65歳になった場合も、専業主婦の妻は第3号被保険者の資格がなくなります。夫が老齢基礎年金の受給資格を満たす場合、第3号被保険者は第1号被保険者へ切り替える必要があります。

もらえる年金が少なくなる可能性が高い

将来受け取る年金は、現在の見込額より少なくなる可能性があることにも注意が必要です。

日本の公的年金は賦課方式といって、現役世代の保険料で高齢者の年金を支払っています。少子高齢化が進み、年金を受け取る世代と保険料を負担する世代の人口バランスが悪化すると、年金財政の悪化は避けられません。厚生労働省の「令和4年版厚生労働白書」によると、「標準的な年金受給世帯の年金額夫婦の国民年金+夫の厚生年金」」は2004年の23万3,299円から徐々に減少し、2022年は21万9,593円になっています。

年金の将来の見通しは暗く、受給額が減っていくことは覚悟しておきましょう。また、年金財政が厳しい中で第3号被保険者に保険料負担がないことは不公平との声もあります。今後、何らかの制度変更も想定しておきましょう。
専業主婦世帯には計画的な老後資金の準備が必須ですが、年金制度の改正への対応も必要となります。

まとめ:専業主婦は計画的な老後資金対策が必要

専業主婦の年金額は共働き主婦の約半分となり、老後に向けての準備が必須です。さらに夫が自営業者の場合、世帯の年金が国民年金だけとなり、積極的な自助努力が欠かせません。老後資金準備は早く始めるほど有利です。この記事を参考に世帯に合う方法を検討し、すぐにでも実行に移しましょう。

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執筆者
松田聡子
ファイナンシャルプランナー
明治大学法学部卒業後、証券システムのITエンジニア、国内生保の法人コンサルティング営業を経て2007年よりファイナンシャル・プランナーとして独立。コンサルティングのほか、主な活動は企業型確定拠出年金導入企業へのセミナー講師、マネーサイトへの執筆など。年金・資産運用・保険などに精通、iDeCoやNISAなどの制度を活用した人生100年時代の資産形成をアドバイスしている。