iDeCoと退職金は受け取る順番で手取りが変わる!お得な受け取り方は?
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iDeCo(個人型確定拠出年金)を一時金で受け取ると退職所得扱いとなり、退職所得控除のためにかかる税金が少なくなります。ただし、勤務先に退職一時金がある場合、退職所得控除に調整が入るケースがあり、注意が必要です。この記事ではiDeCoや退職一時金の税金の仕組みやそれぞれを受け取る場合にかかる税金が少なくなる方法について解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- iDeCoの受け取り方法は一時金と年金があり、一時金は退職所得控除で税金がかからない場合もある
- iDeCoの一時金と勤務先の退職金を両方受け取る場合、総額が退職所得控除を超えると税金がかかる
- iDeCoと退職金を別の時期に受け取るなら、iDeCoを先に受け取るほうが有利
iDeCo(個人型確定拠出年金)の受け取り方法は3種類
iDeCoと企業型確定拠出年金(DC)の60歳以降の受け取り方法は、以下の3つから選択します。
- 一時金
- 年金
- 一時金と年金の併用
一時金で受け取る場合は退職所得として扱われ、年金受け取りの場合は雑所得として扱われます。なお、受け取り可能年齢になっても、いつから受け取るかは75歳までの好きな時期を選べます。
1. 一時金
iDeCoは60歳から75歳になるまでの間に、一時金として全額を受け取れます。一時金で受け取る場合は退職所得として扱われ、退職所得控除が適用されます。退職所得は給与所得など他の所得とは分け、単独で税金を計算する分離課税という方式です。退職所得の課税所得金額の計算式は以下の通りです。
課税所得金額=(退職金支給額-退職所得控除)×1/2 |
退職金支給額はiDeCoの場合、掛金と運用益の合計です。
退職所得控除は勤続年数ごとに以下のように計算します。勤続年数はiDeCoの場合、加入年数です。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円 × 勤続年数 |
20年超 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数 -20年) |
参考:国税庁「退職金と税」
例えば、iDeCoの加入年数が30年の人の退職所得控除は、1,500万円(800万円+(70万円×10年))です。つまり、この人のiDeCoの一時金が1,500万円以下であれば退職所得金額はゼロになり、課税されません。
2.年金
iDeCoは、資産の一部を売却しながら5年以上20年以下に分割して受け取れます。年金受け取りの方法(年に何回受け取るかなど)は、金融機関ごとに決められています。
受け取ったiDeCoの年金は、雑所得として公的年金や給与所得と合算して税額を計算する点が、一時金との大きな違いです(総合課税)。iDeCoの年金額が少なくても、公的年金やその他の所得が多い人は所得税が高くなります。雑所得の計算式は以下の通りです。
公的年金等の雑所得=年金の収入金額-公的年金等控除額 |
公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合の雑所得は、以下のように計算します。公的年金等の収入金額とは、公的年金やiDeCoの年金を合計した金額です。
公的年金等の収入金額 | 公的年金等に係る | |
---|---|---|
65歳未満 | 60万円以下 | 0円 |
60万円超130万円未満 | 収入金額-60万円 | |
130万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5,000円 | |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5,000円 | |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5,000円 | |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5,000円 | |
65歳以上 | 110万円以下 | 0円 |
110万円超330万円未満 | 収入金額-110万円 | |
330万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5,000円 | |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5,000円 | |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5,000円 | |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5,000円 |
参考:国税庁「公的年金等の課税関係」
公的年金等の収入以外がない人であれば、65歳未満で公的年金とiDeCoの合計が60万円まで、65歳以上であれば110万円までは税金がかかりません。
例えば、65歳で公的年金等以外の収入がなく、公的年金とiDeCoの収入の合計が300万円の人の雑所得は、以下の通りです。
300万円-110万円=190万円 |
年金受け取りでは、iDeCoの資産を運用しながら取り崩すことになります。資産を投資信託で保有している場合は資産額が変動するため、一般的に受取額も毎回変動します。
3.一時金と年金の併用
iDeCoの資産の一部を一時金で受け取り、残りを年金で受け取るという、一時金と年金の併用も可能です。その場合、一時金は退職所得として退職所得控除が適用され、年金は雑所得として公的年金等控除が適用されます。
iDeCoの一時金と退職金の受け取りに関するルール
iDeCoを一時金で受け取る場合、一時金が少ないケースや加入期間が長いケースでは課税されない可能性があります。退職所得控除が適用されるためです。ただし、勤務先に退職一時金(退職金)の制度がある場合は、iDeCoの一時金と退職金の退職所得控除が調整される点に注意が必要です。
iDeCoの一時金と退職金を同時に受け取る場合
勤務先の退職金とiDeCoの一時金を同一年に受け取る場合、両方を合計した収入金額で退職所得金額を計算します。その場合、勤続年数が重複している場合は長いほうを採用し、重複していない期間は加算して求めます。
4年以内に他から支払われた退職金がある場合
退職金を受け取る前年4年以内に他から支払われた退職金がある場合、それぞれの勤続年数の重複期間を含めずに退職所得控除を計算しなければなりません。
例えば、60歳でiDeCoを一時金で受け取り、退職所得控除を適用したとします。その場合、65歳以降に勤務先の退職金を受け取れれば勤続年数に調整が入りません。
iDeCoの一時金と勤務先の退職金の合計が多くて同時に受け取ると課税される場合でも、タイミングをずらすことで課税されない可能性もあります。
過去19年以内に退職所得を受け取っている場合
退職金がiDeCoなど確定拠出年金の場合は、前年19年以内に他から支払われた退職金があると、それぞれの勤続年数の重複期間を含めずに退職所得控除を計算することになります。
例えば、勤務先の退職金を60歳で受け取ったケースでは、iDeCoを75歳までに受け取らなければならないため、退職所得控除の調整を必ず行うことになります。
手取りが多くなるiDeCoと退職金を受け取る順番を検証
上記のルールを踏まえ、iDeCoの一時金と勤務先の退職金を受け取る順番によって手取りがどの程度変わるのかを試算してみましょう。
前提条件
- 60歳時点で勤続年数30年
- iDeCo加入年数20年
- 勤務先の退職金2000万円
- iDeCo受取額1000万円
勤続年数とiDeCoの加入年数は重複しているものとします。
税金の計算は以下の表をもとに行います。
課税退職所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万円~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
参考:国税庁「退職金と税」
1.60歳でiDeCoと退職金を同時に受け取る場合
最初に60歳で退職し、勤務先からの退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取る場合を見ていきましょう。この場合、勤続年数は勤務先の勤続年数である30年が採用されます。
退職所得控除:800万円 + 70万円 × (30年 -20年)=1,500万円 課税所得金額:(1,000万円+2,000万円-1,500万円)×1/2=750万円 所得税額:750万円×23%-63万6,000円=108万9,000円 |
2.60歳で退職金を受け取り、65歳でiDeCoを受け取る場合
60歳時に勤務先から退職金を受け取り、65歳でiDeCoを一時金で受け取る場合、先述した「過去19年以内」のルールによりiDeCoの退職所得控除が調整されます。【60歳時の退職金にかかる税金】
退職所得控除:800万円 + 70万円 × (30年 -20年)=1,500万円 課税所得金額:(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円 所得税額:250万円×10%-9万7,500円=15万2,500円 |
【65歳時のiDeCoの一時金にかかる税金】
退職所得控除:なし 課税所得金額:1,000万円×1/2=500万円 所得税額:500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円 |
勤務先の退職金とiDeCoの一時金に、合計72万5,000円の所得税がかかります。両方を一度に受け取る場合に比べて少ない結果となりました。
3.60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取る場合
最後に、60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で勤務先の退職金を受け取るケースを試算してみます。このケースではiDeCoを先に受け取っているので、先述した「過去4年以内」のルールが適用されます。60歳と65歳では4年以内に該当しないため、退職所得控除は調整されません。
【60歳時のiDeCoの一時金にかかる税金】
退職所得控除: 40万円 × 20年=800万円 課税所得金額:(1,000万円-800万円)×1/2=100万円 所得税額:100万円×5%=5万円 |
【65歳時の退職金にかかる税金】
退職所得控除:800万円 + 70万円 × (30年 -20年)=1,500万円 課税所得金額:(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円 所得税額:250万円×10%-9万7,500円=15万2,500円 |
勤務先の退職金とiDeCoの一時金で合計20万2,500円の所得税がかかります。3つのケースで1番かかる税金が少なくなりました。
iDeCoと退職金の手取りを多くするためのポイント
上記の通り、iDeCoと退職金の受け取りはタイミングによってかかる税金に差があることがわかりました。それぞれにかかる税金を抑え、手取りを増やすためのポイントを確認しておきましょう。
iDeCoと退職金を受け取る順番によって手取りが変わる
試算した3つのケースのうち最も税金を抑えられるのは、iDeCoの一時金を先に受け取り、勤務先の退職金を5年以上後に受け取るパターンです。退職金、iDeCoともに退職所得控除に調整が入らないため、手取り額が多く残ります。iDeCoの受け取り時期は60歳から75歳までの間で自由に選べるので、手取り額を計算しながら有利なタイミングを考えましょう。
必要に応じて年金受け取りを組み合わせても
しかし、勤務先の退職金支給は自分の意思では変更できません。そこで、どうしてもiDeCoを退職金より5年以上前に受け取れない場合は、少しでも手取りが多くなる受け取り方を工夫しましょう。
退職金とiDeCoの受け取りを1年でもずらす
例えば、先述した資産ではiDeCoと退職金を同時に受け取るより、iDeCoを後に受け取ったほうが(2番目のケース)、約36万円手取りが増えます。かかる税額は、例えば退職金を受け取った翌年にiDeCoを受け取る場合でも変わりません。つまり1年でもタイミングをずらせば手取りが増やせるわけです。
iDeCoを年金受け取りしても
退職金の金額が多い人はiDeCoを年金受け取りして、公的年金を繰下げ受給する方法も考えられます。先述の例では60歳で退職金を受け取った場合の所得税は15万2,500円です。
iDeCoを、60歳から64歳までは年間60万円ずつ、65歳から69歳までは年間110万円ずつ受け取ると、課税されません(合計受取額850万円)。70歳からは公的年金が42%増で受け取れます。それまでの生活費の不足分は、退職金を充てるとよいでしょう。
まとめ:手取りが多くなるiDeCoの受け取り方を考えよう
iDeCoの受け取りは、約60%の加入者が一時金を選んでいます。勤務先の退職金がある人の場合、iDeCoを先に受け取り、5年以上空けて退職金を受け取ると退職所得控除に調整が入らず手取りが多くなります。
しかし、退職金の受け取り時期は自分では決められないため、iDeCoを先に受け取れないケースも多いでしょう。また、節税だけを目的に受け取りを決めないほうがよい場合もあります。この記事を参考に自分の手取り額を試算し、最適なプランを見つけましょう。
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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
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