役職定年とは?役職定年に向けて備えておくべきこと
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労働人口の減少、雇用期間の延長、環境変化のスピードアップなど、さまざまな要因があり、最近企業内でもルールの変更を行う企業が増えています。今日はその中で『役職定年』について考えてみたいと思います。
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■役職定年制とはなにか?
役職定年制とは、ある一定の年齢に達した社員が、課長・部長といった役職から退く制度のことです。
役職定年制が浸透した理由は、定年が延長されたことにあります。
1986年に「60歳定年」が企業の努力義務として求められ、1994年には60歳未満の定年が禁止となりました。
企業としては、それまでよりも長く社員を雇用しなければならず、人件費の抑制や組織の若返りといったねらいで役職定年制が広がったと言われています。
また、2021年4月より「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正法が施行され、70歳定年が努力義務化となりました。
この流れを受けて役職定年を導入する企業もいる一方で、労働人口の減少を鑑みて役職定年を撤廃した企業もあります。
しかしマクロの観点からすると役職定年や、ベテラン社員の定年前のポストオフは避けられないケースが大半でしょう。
次に役職定年制を導入することのメリット・デメリットに触れてみましょう。
■役職定年制を導入するメリット
役職定年制を導入する企業のメリットは大きく以下の2点です
①組織の若返りや新陳代謝を自然と起こすことができる
②人件費を抑えることができる
以下で詳しく説明します。
①組織の若返りや新陳代謝を自然と起こすことができる
日本企業の多くは、年功序列の人事制度、賃金制度を施行していたため、年齢を重ねれば重ねるほど役職や賃金が上がっていきやすい仕組みとなっていました。
課長や部長といった管理職になると定年退職するまで、その椅子に座り続ける、ということも多く見受けられましたが、役職定年制を導入することでポストをベテラン社員だけで独占する、ということが解消され、一定の若さを保ちながら、優秀な人材をポストに登用・昇進させることが可能となります。
②人件費を抑えることができる
役職定年制は、役職を外すことにより、役職手当など人件費を抑えられる点がもう一つの大きなメリットです。
現在は65歳までの雇用確保が義務化されました。この変更により、企業はそれまでよりも従業員を5年長く雇用しなければならなくなり、人件費の増加の要因となりました。課長や部長といった役職についたまま定年まで雇用すると役職手当を支払う必要があり、コスト増につながります。役職定年を導入して役職を外し、役職定年後は役職手当を払わないことで、コストを抑え定年まで雇用できます。
■役職定年制を導入するデメリット
もちろん役職定年制はメリットだけでなく、デメリットもあります。
役職定年制を導入するデメリットは以下の3点です。
①役職定年後のモチベーションが低下する
②役職定年後の異動、配属によってはこれまでの経験や知識がいかせなくなる
③年下の上司が遠慮する、要望できない、といった事象が起こりやすく組織風土の風通しが悪くなる
以下で詳しく見ていきましょう。
①役職定年後のモチベーションが低下する
役職定年制の一番のデメリットは役職定年となった社員のモチベーション低下です。モチベーションが下がる大きな理由は、多くの人はこれまでは右肩上がりで肩書きがグレードアップしてきたのに、この気を境に肩書がなくなってしまうことです。そして年収が下がってしまうことにあります。企業からの期待の象徴とも言える肩書や給与が下がればモチベーションは下がってしまう、というのは想像に難くないことだと思います。
②役職定年後の異動、配属によってはこれまでの経験や知識が生かせなくなる
役職定年後はそれまでの部署のまま仕事を継続することもありますし、他部署への異動もあり得ます。異動となった場合はこれまでの知識や経験、人脈などが直接は生かせないことになる可能性もあります。
仮にこれまでと同じ部署であっても、長年マネジメント業務を行っていた立場の人が、ある日を境にプレイヤーになるとしたら、役職時代と違う思考や行動が求められるため、一定の習熟期間が必要となるでしょう。
③年下の上司が遠慮する、要望できない、といった事象が起こりやすく組織風土の風通しが悪くなる
役職定年制が導入される、ということはその会社の役職者はある一定の年齢以下で構成されていることになります。そうなるとその年齢以上の方は年下の部下に従事し、上司からすると年上の部下をマネジメントすることになります。もしかするとかつての上司が部下になることもあり得ます。多くの日本企業が年功序列的な制度や風土をある程度保有していることもあり、年上の部下へは、『要望しづらい』『厳しいことは言いづらい』という人が大半なのではないでしょうか。結果として年上の部下だけには遠慮してしまっているように見え、ほかの社員からすると不安や不信の種となり、組織の雰囲気や風通しが悪くなってしまうことが懸念されます。
■役職定年後の選択肢と役職定年に向けて準備しておくこと
このように役職定年制の導入にはメリット・デメリットの両側面があります。しかし、雇用延長がどんどん伸びていく中では、役職定年制を導入する企業は増えていくことが予想されます。
つまり、これからのビジネスパーソンは、役職定年というイベントを念頭に置いた上でキャリアを描くことが求められている、と言えます。
役職定年があることが前提で、役職定年後のビジネスパーソンとして働く場合、
①役職定年後も何らかの形で役職者として働く
②役職定年後にはプレイヤーに戻り働く
という2つの選択肢があると考えられます。
①役職定年後も何らかの形で役職者として働く
これまで所属していた会社では年齢の制限で役職者にはなれないため、転職で別の会社で役職者として活躍する、という選択です。
役職経験者を必要としている企業も多いので、転職することが必ずしもハードルが高いわけではありませんが、転職するにあたっての事前のリサーチや、自身の経験やPRポイントをわかりやすく伝える必要があるため、転職に向けての準備は必要となります。
②役職定年後にはプレイヤーに戻り働く
そのまま会社に残ることも、転職することもどちらのパターンもあります。
ただし、役職者としての期間が長ければ長いほど、現場の感覚やプレイヤーとしてのスキル、経験はブランクがあることが想定されるので、役職定年を迎える前から、「自分自身は役職定年後は何を売りとしていくのか、どんな専門性を持ってプレイヤーとして再度働くのか』というプランと自己研鑽を進めることが望まれます。
これまでの年功序列中心の社会では、50代にもなると『あがり』という感じで社会人生を捉えていた人も少なくありません。
しかし、定年が70まで延長され、役職定年を採用する企業は今後も増えることが予想されます。
そうなると多くのビジネスパーソンはビジネスキャリアの後半になって、再度プレイヤーとして活躍することは求められる、もしくは役職者として活躍するためには外部に活躍の場を求めることになります。
こういった大きな変化は一朝一夕の準備で対応できるものではありません。
役職定年を迎える前から、自分自身がどういうビジネスキャリアを歩みたいのか、そのためにはどのような経験やスキル、行動が求められるのかをしっかりと棚卸し、計画を立てることが重要となります。