退職金をもらった翌年の税金は高い?理由と税金を抑えるコツを解説
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退職金を受け取り、翌年の税金に不安を感じている人もいるかもしれません。
しかし、退職金は長きにわたる勤務への労いや老後資金としての意味合いがあるため、翌年の税金に影響はありません。
本記事では、退職金をもらった翌年の税金が高いと思われる理由や退職金をもらった翌年の税金を抑えるコツを解説します。
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- 【この記事を読んでわかること】
- 退職金そのものは翌年の税金に影響はない
- 退職金をもらった翌年の税金が高いと思われる理由は住民税のしくみにあり
- 住民税は前年の所得に対して遅れて納める
- 退職後は翌年の住民税に備えて退職金の一部を貯めておくなどの事前準備が必要
退職金そのものは翌年の税金に影響しない
退職金は、在職中の給与と税金処理が異なるため、多額の退職金を受け取っても翌年の税金に影響しません。
退職金は、長きにわたる勤務への労いや老後資金としての意味合いがあることから、単独で税金処理され、かつ退職金独自の控除によって優遇されています。
退職金をもらった翌年の税金が高く感じるのは、税金の中でも特に住民税のしくみや支払い方法にあります。
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退職金をもらった翌年の税金が高く感じる理由
退職金をもらった翌年の税金が高く感じる理由には、下記2点が挙げられます。
- 住民税は前年の所得に対してあとから払う
- 住民税の支払い方法が変わり、1回の請求額が大きくなる
住民税は前年の所得に対してあとから払う
退職金をもらった翌年の税金が高く感じる理由の1つに、住民税のしくみが挙げられます。
住民税は、前年1月1日〜12月31日までの所得に対してあとから支払います。
たとえ退職して収入がなくなっても、退職する前までの所得に対する住民税を納付する必要があることから、今まで以上に負担を大きく感じてしまうのです。
なお、在職中に収入が高かった人は、翌年に支払う住民税額も高くなりやすい傾向にあります。
住民税の支払い方法が変わり、1回の請求額が大きくなる
退職金をもらった翌年の税金が高く感じる理由の2つ目に、退職後の住民税の支払方法が変わり、1回の請求額が大きくなることが挙げられます。
在職中の住民税は毎月の給与から天引きされますが、退職した後は普通徴収へと納付方法が変わります。
普通徴収とは、住んでいる市町村から送られてくる納税通知書(納付書)に従い、銀行やコンビニで自ら支払う方法です。
納付方法は自治体によって異なりますが、口座振替やクレジットカード支払いなど自分が忘れない方法を選びましょう。
また、特別徴収から普通徴収に変わることによって、支払回数が異なります。
特別徴収では毎月の給与から天引きされ、年間の住民税を12回に分割して納付しますが、普通徴収では一括もしくは4分割での支払いになります。
支払い回数が減り、一度に支払う金額が大きくなることも、退職金をもらった翌年の税金が高く感じる要因のひとつとして挙げられるでしょう。
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住民税の計算方法
ここからは、住民税の計算方法や算出過程を解説します。
住民税=所得割+均等割
住民税は、前年の所得金額に基づいて算出される「所得割」と、前年の所得に関わらず自治体が定めている「均等割」から成っています。
住民税を求める税率と年間税額は以下のとおりです。
所得割(税率) | 均等割(税額) ※()内は防災施策のための臨時増税(~2023年) |
|
---|---|---|
道府県税・都民税 | 課税所得×4% | 1,000円(1,500円) |
区市町村民税 | 課税所得×6% | 3,000円(3,500円) |
たとえば2022年分の課税所得が150万円の場合は、下記のように求められます。
=(150万円×10%)+5,000円
=15万5,000円
なお、前年の所得が規定以下だったり生活保護を受けていたりする場合は、所得割のみもしくは所得割と均等割の両方が非課税となります。
住民税の算出過程
住民税の計算は、以下の流れで算出します。
住民税を計算するためにも、まずは課税所得を算出する必要があります。
算出過程 | 詳細 |
---|---|
1.年収から所得金額を算出する | 会社員の場合は「源泉徴収票に記載された給与所得額ー給与所得控除」 会社員以外の場合は「収入ー経費」 |
2.所得控除合計金額を算出する | 基礎控除や社会保険料控除などから自分の状況にあった所得控除を行う |
3.課税所得金額を算出する | 課税所得金額=総所得ー所得控除 |
4.住民税(所得割)を算出する | 課税所得×10% |
5.税額控除を行う | 税額控除後の所得割額=4ー税額控除 配当控除や寄付金控除などから自分の状況にあった税額控除を行う |
6.住民税額を算出する | 所得割+均等割 |
退職した翌年の住民税額計算の例
前述したように、退職した翌年の税額は、退職した年の年収から割り出します。
たとえば、以下のケースの場合の翌年の住民税の金額を求めてみましょう。
(例)年収:350万円
給与所得控除:113万円
住民税の所得控除合計金額:100万円
税額控除合計金額:0円
=350万円ー(収入金額×30%+8万円)
=350万円ー113万円
=237万
②課税所得=所得ー所得控除
=237万円ー100万円
=137万円
③住民税の所得割=課税所得×10%
=137万円×10%
=13万7,000円
④住民税=所得割+均等割
=13万7,000円+5,000円※
=14万2,000円
※防災施策のための臨時増税金額にて計算(~2023年)
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退職金をもらった翌年の税金を抑えるコツ
ここまで解説したように、退職金を受け取っても翌年の税金に影響はありません。
しかし、退職後に収入がない場合などに備えて、できるだけ翌年の税金を抑えるコツを2つ紹介します。
- 退職所得控除額を超える分は年金として受け取る
- 確定申告をする
退職所得控除額を超える分は年金として受け取る
退職時に受け取るお金には、企業によっては、退職一時金の他に企業型確定拠出年金(企業型DC)も採用しています。
企業型確定拠出年金とは、企業が毎月拠出する掛金を従業員が自らの年金資金のために運用する制度です。
企業型確定拠出年金で運用したお金は、一時金受取か年金形式、もしくはその両方の選択が可能であり、受け取り方によって適用される控除が異なります。
退職金の受け取り方による控除の違い
受け取り方 | 適用される控除 |
---|---|
一時金 | 退職所得控除 |
年金 | 公的年金等控除 |
一時金と年金両方の形式で受け取ることで、退職所得控除と公的年金等控除を最大限活用できます。
たとえば、勤続年数35年で退職金が1,600万円、企業型確定拠出年金の積立金額が400万円だった場合を考えてみましょう。
勤続年数35年の場合の退職所得控除は1,850万円なので、退職金の1,600万円と企業型確定拠出年金の積立金のうち200万円を一時金として受け取れば、退職金所得控除の枠を余すことなく活用することが可能です。
ただし退職後に、再就職した場合や公的年金を受け取る場合など収入がある場合は、所得が増え税金のみならず社会保険料が増える可能性もあるので、注意が必要です。
確定申告をする
退職金にかかる税金は源泉徴収で済んでいるため、確定申告は不要です。
しかし、下記の場合は確定申告が必要、もしくは確定申告によって払いすぎてしまった税金が返還される可能性があります。
払いすぎた税金が年末調整および確定申告によって返還されることを「還付」といいます。
- 退職時に必要書類を提出していない場合
- 1年の途中で退職した場合
- 所得控除を受ける場合
退職時に必要書類を提出していない場合
退職金を受け取る際は、退職所得控除の適用を受けるために「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」の提出が必要です。
もし提出していない場合は、退職手当等の金額に対して一律20.42%の税率で所得税および復興特別所得税が源泉徴収されてしまいます。
退職所得申告書を提出しそびれていた場合でも、確定申告をすれば還付を受けられるので、忘れずに確定申告を行いましょう。
1年の途中で退職した場合
1年の途中で退職した場合、会社に年末調整をしてもらうことができないため、自分で確定申告をする必要があります。
そもそも毎月の給料から源泉徴収される所得税は、少し多めに引かれていることが一般的なので、確定申告をすれば還付を受けられる可能性が高いです。
また、年末調整で受けるはずだった所得控除の申告を行いましょう。
確定申告をした方がいいケース | 使える控除 |
---|---|
健康保険、国民年金、介護保険料などの保険料を支払った | 社会保険料控除 |
民間の生命保険料を支払った | 生命保険料控除 |
地震保険料 | 地震保険料控除 |
確定申告を提出する際は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を活用すれば、画面の案内に従い金額を入力するだけで提出できます。
確定申告をする際に必要な書類は以下のとおりです。
- 退職までの源泉徴収票
- 生命保険料控除証明書
- 国民健康保険料、国民年金などの領収書
なお、1年の途中で退職した場合でも年末までに再就職した人は、転職先の企業に前職の源泉徴収票を提出すれば、前職分と合わせた年末調整を受けることが可能です。
参考:「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき | 国税庁」
所得控除を受ける場合
在職中か退職済みかに関わらず、以下のケースでは確定申告をすると節税が可能です。
1つでも当てはまる場合は、確定申告をしましょう。
確定申告をした方がいいケース確定申告をした方がいいケース | 使える控除 | 備考 |
---|---|---|
年間10万円以上の医療費を支払った | 医療費控除 | 年間10万円は家族単位での計算 |
指定の医薬品を年間1万2,000円以上購入した | セルフメディケーション税制 | 医療費控除との併用はできない |
ふるさと納税などの寄付を行った | 寄附金控除 | ふるさと納税の寄付した先が5ヶ所以下でワンストップ特例を利用すれば、確定申告の必要はない |
災害などで損失が発生した | 雑損控除 | |
今年住宅ローンを組んだ | 住宅ローン控除 | 住宅ローン残高の1%を控除できる |
参考:「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除) | 国税庁」
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まとめ:退職金は翌年の税金に影響しない!
多額の退職金を受け取っても、翌年の税金に影響しないということは理解していただけたでしょうか。
退職した翌年にかかる税金負担が大きいというイメージは、住民税の支払いに時差があることと、支払い回数が減ることによる1回の請求額が大きくなることに原因があります。
退職時に必要書類を提出していない場合や、1年の途中で退職した場合は、必ず確定申告を行い還付を受けられるようにしましょう。
確定申告時に活用できる所得控除を最大限活用することで、翌年の住民税の節税が可能です。
税金に関わる用語は、難しく感じてしまうかもしれませんが、源泉徴収票などの必要書類を手元に準備し、「確定申告書等作成コーナー」の画面指示に従えば確定申告を提出できます。
また退職後に再就職をしない場合は、収入がなくても住民税を支払う必要があることを念頭に置き、貯蓄や退職金の一部を住民税支払いに向けて蓄えておきましょう。
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老後資金2,000万円問題に代表されるように、老後の生活費はひとりあたり数千万円が必要と言われています。
漠然とした不安を抱えるのは辛いものです。まずは現状を把握し、どのような対策が必要なのかを相談してみましょう。
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